憑依妖魔学園紀(九龍妖魔学園紀✕クトゥルフ神話)   作:アズマケイ

101 / 158
幻影の構成2

襲撃されたカオルーンを訪問した。

 

「申し訳ございません、ただいま片付けの最中でございまして。本日はこちらの営業が出来ないかと思います」

 

「うわ、これは......。誰か暴れたんですか?」

 

「ひどいなあ......」

 

「はい、《夜会》のあとからあとを経ちません......。今夜はいつも以上に派手にやられまして」

 

「お疲れ様です。そっか......やっぱりあのせいかな......」

 

「あれ?」

 

「ほら、昨日の世話役の巫女さんのお守り」

 

「白岐に渡したっていうあれ?」

 

「うん、天敵の私が見せちゃったのが不味かったかなってちょっと思ったりして」

 

「でもさァ、あれ見つけたの翔チャンだろ?まさかあんだけアラハバキが反応するとは思わなかったんだから仕方ないって。誰が想像できるよ。破邪の効果がありそうなお守りもってきたら、アラハバキの知り合いのだったとか」

 

「それはそうなんだけどさ......昨日よりアラハバキの《遺跡》の《鍵》を探す活動が過激化してるみたいだし、下手に刺激し過ぎたかなと思って」

 

「おや、なにやら穏やかでは無い様子ですね。差し支えなければ教えていただけませんかな?」

 

私たちは千貫さんに昨日の一部始終について説明することにした。

 

「なるほど......無関係ではなさそうですね」

 

「あはは......なんかすいません」

 

「いえいえ、侵入者に幾度も隙を与えた私の不手際ですのでお気になさらず。ところでなにかご用ですかな?」

 

「あ、そうそう、そうだったそうだった忘れるとこだった。マスター、さっき翔チャンが送ったメールの件で阿門に話があるんだけどさ~。どこにいるかわかる?家?」

 

「いえ、まだこちらにお戻りにはなっておりませんので、おそらくは生徒会室かと」

 

「そっか、そっちか~。俺たちの用事はさっきメールで送った通りなんだけどさ。ファントムや親衛隊の襲撃だけじゃなくて《レリックドーン》も近々行動を起こすらしいんで気をつけてって阿門に伝えたいんだ」

 

「承知致しました。生徒会室にいってみてください、こちらから連絡は入れておきますので。情報提供ありがとうございます」

 

私たちはその場をあとにした。生徒会室の鍵は葉佩がトトからもらっていたそうなので、いくら施錠されていても無意味である。

 

生徒会室には千貫さんの言う通り、阿門ひとりだった。

 

「こんにちは、阿門。ちょっといいかな」

 

「お邪魔しマース」

 

「......誰かと思えば葉佩と江見か......。お前達の目的がなにかは知らないが、俺の周りを彷徨くのは止めた方がいい。前にもいたはずだがな、葉佩。俺の気が変わらないうちにさっさと失せろ。ここで全てを終わりにしたくなければな」

 

「あれっ、マスターから聞いてないのかよ、阿門。俺も行くって伝えてもらったはずなのになァ」

 

「......本当か?お前もこの學園の一員ならば己の言葉には責任を持つべきだと思うが」

 

「この言われようだよッ!ひっどいなあ!ほんとだって!なあ、翔チャン」

 

「うん、千貫さんからは生徒会室にいるから行ってみてくれって言われたよ?」

 

「江見には知らないようだが、葉佩。生徒会室の備品がなくなっていることについて何か申し開きはあるか?」

 

「えっ、ちょっと九ちゃん」

 

「あっはは~、なんのことかなあ?あ~、マスター、BARの片付け大変そうだったから後からするつもりだったのか?なんか悪いことしちゃったな」

 

私達の会話を聞いて、だんだん気まずそうな顔をし始めた阿門はちょっと待ってろといいながら携帯を開いた。葉佩は不安そうだ。ついつい口が滑る。

 

「早く来すぎちゃった俺らが悪いからそこんとこよろしくな、阿門」

 

「......ああ、わかっている」

 

頭が痛いのか困り顔の阿門である。また千貫さんが色々と気を回したせいでドッキリ状態だとみた。ため息が深い。私は苦笑いするしかない。葉佩は阿門と私の様子を見比べて、何となく察したのか口元がつり上がる。阿門の視線が痛いが私は目を逸らした。

 

なんとか聞く耳をもってくれた阿門に、私達は携帯の画像を見せながら盗聴器などの位置取り、撤去するには大量の爆発物が連動していることを知らせる。あとは《レリックドーン》が近々動き出すから、その時に備えて隠してあるたくさんの物騒なものを撤去した方がいいという忠告だ。

 

「さすがに数が多すぎて敷地内の把握で手一杯だったんだ。警備員はもういないからこれ以上増えることはなさそうだけどね」

 

「喪部ひとりで準備はさすがに無理だと思うしさ」

 

思案顔だった阿門は少しだけ態度を和らげた。

 

「葉佩、わざわざ伝えにきたことについては礼を言う。江見を連れてきたのは話を聞いてもらうためだろう」

 

「まあね、俺だけじゃ門前払いがいいとこだし。それに今回の件については事の発端がH.A.N.T.をハッキングされちゃった俺だからさ。責任は取らなきゃいけないだろ?これはその一環だよ」

 

「天香學園のネットワークシステム自体に欠陥があるから遅かれ早かれ似たような事態にはなったと思うけどね」

 

「ふむ......」

 

「あ、メール送れない......。えーっと、あ、メンテナンス名目で管理会社がサーバ停止させたみたいだね。これから数時間で対応してもらえると思うよ。流出した情報についてはどうしようもないけど」

 

「そうか......」

 

阿門は顔を上げた。

 

「《生徒会長》として礼をいう」

 

「どういたしましてッ!」

 

「仮にも自分の敵であるこの俺に対してそんな顔が出来るとは。俺はお前のことを少々過小に評価していたようだな。いいか、葉佩。我ら《生徒会》とお前は本来相容れぬ存在だという事は忘れないことだ」

 

「阿門にまで心配されちゃったんだけど俺ってそんなに忘れちゃってるように見えるのかな、翔チャン」

 

「凹んでるから視野が狭まってるみたいだけど大丈夫だよ、九チャン。そういう意味じゃないのは確かだから」

 

「フッ......」

 

「ほんとに?!めっちゃ笑われてるんだけどッ!?」

 

「さっきニヤニヤしたせいだと思うよ、意匠返しって言葉知ってる?」

 

「ひでえや!」

 

「葉佩......まったく、お前はいつも誰にでもそうなのか?ふざけるのもたいがいに......まァ、いい。江見、すまないが気が散るから外へ出てもらえるか、葉佩をつれてな」

 

「うん、わかった」

 

「みんな俺の扱いひどすぎると思う」

 

「そのバレバレな盗癖治してから言おうか、九ちゃん」

 

私は笑って葉佩の肩をおす。見送る阿門に私は声をかけた。

 

「そうそう、ひとつだけ。喪部は《遺跡》の《鍵》がなんなのかわかってる口ぶりだった。きっと《祖神》を降ろしてるから生半可な罠なんて通用しない。父さん、母さんがいずれも最深部手前で門があいたから閉じるために贄になったことまで掴んでるはずだ。あそこが一番氣が集まるところだってことは阿門もわかってるだろ?気をつけて」

 

「───────江見、お前は......」

 

「オレ?そうだね、オレもそろそろ準備を始めるよ。父さんを救う準備には1日2日じゃできそうにないからね。1998年の龍脈が一番活性化したのが25日のクリスマスだったんだ。今年もきっとそうだよね?」

 

「......」

 

「沈黙は肯定ととるよ。オレは江見睡院を救うためにここまでやってきたんだ。絶対にやりとげる。九ちゃんや《生徒会》の邪魔にならないようにはしたいんだけど、もしもが起こってしまったらまた頼らせてね」

 

扉がしまった。

 

「───────翔チャン、それってどういう......」

 

「そのままの意味だよ、九ちゃん。父さんも母さんも最深部の手前のエリアで門が開いたから悲劇に見舞われたんだ。きっと連動しているギミックがそこにはある。オレはそこに用がある。連れて行ってくれないか?」

 

なにをいわんとしているのかがわかってしまった葉佩は私をみる。

 

「なんでそのエリアだって断定できるのか聞いてもいいか?ずっと疑問だったんだけど、翔チャン両親が失踪した場所わかってるみたいだよな。なんで?」

 

「わかるさ、18年前の母さんは《生徒会》の副会長だったんだから」

 

「───────ッ!?」

 

「ごめんね、黙ってて。父さんのH.A.N.T.のバディ情報だけしか証拠がなくてさ。確証が得られるまで誰にもいいたくなかったんだ」

 

「......わかったんだ、いまは?」

 

「わかるよ。龍脈の位置的に次の区画が最適なのはたしかなんだ。父さんを救うには絶対に必要な場所で、母さんも同じことを思ったはずで。ギミックが母さんの担当エリアにあるとしたらあの門と同じエリアにあるはずだ。あの門は今まで踏破してきたエリアからだいたい2階層分の深さはあった。《遺跡》全体が逆さピラミッドなんだから、高さは同じで広さが狭まっていくわけだ。私の目的地は2つ先だ」

 

「そっか......。翔チャンはなにする気なんだよ?」

 

「母さんが失敗した、父さんの古文書にあった儀式を完遂させる。準備にかなりかかるから、2つ先のエリアまではバディとして手伝えそうにないけどごめん」

 

「俺が手伝えることってある?」

 

「出来たら精神力分けて欲しいんだけどさ、《生徒会》や《レリックドーン》が見過ごすとは思えないから九ちゃんは戦いに集中して欲しい。母さんが失敗したのは一人で全部やろうとしたからだし」

 

「でもそれって危なくないのかよ?翔チャン、精神力奪われる度に死をかけてるじゃん」

 

「そのためにこのブローチを使うんだ」

 

「ブローチを?」

 

「どうやらこれ、精神力を貯蓄できる特性があるみたいでね、母さんの想いが詰め込んであるんだ。だから父さんに対する魅了状態になる。儀式には不可欠だ」

 

「そっか......。わかった」

 

「ありがとう、九ちゃん。なるべく邪魔はしないように約束する」

 

「そこは頼ろう、翔チャン」

 

「そうだね、もしもの時はよろしく」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。