憑依妖魔学園紀(九龍妖魔学園紀✕クトゥルフ神話)   作:アズマケイ

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虚人たち

軍用トラック1台に乗った30人ほどの黒ずくめの集団が學園を襲撃した。新しく配属された警備員が静止にやってきた。

 

「なッ、なんだ君たちはッ!?」

 

「黙らせろ」

 

「はッ!」

 

兵士が銃をかまえる。マシンガンの音が響いた。

 

「うぎゃァァァッ!」

 

警備員たちは次々と倒れてしまう。黒ずくめの兵士たちは警備員室は占領し、監視室におしかけ、管理している監視カメラを陣取ってしまった。そしてマイクやトランシーバーを駆使して先行した兵士たちと連絡をとりはじめた。

 

學園の門の前にトラックが横付けされ、誰も近づけなくなってしまう。そして、警備員室に数人を残して黒ずくめの集団が隊列を組んで學園敷地内に侵入し、初めから想定されていた経路を通って各施設に入っていった。

 

そして30分後。外が騒がしくなる。空から大きな音がする。なんだなんだと教室にいた生徒たちがみたのは、巨大なヘリコプターだった。ヘリコプターが校庭に着陸し、アーマーを来た兵隊が複数散会する。

 

「この學園は我ら《レリックドーン》が占拠したァァァッ!ゲハハハハッ!総員、配置につけェ!」

 

「ハッ!」

 

武装集団は學園を占拠すべく校舎をはじめ、あらゆる施設に大挙して押し寄せてくる。それを見てしまった生徒たちはパニック状態になった。

 

ヘリコプターから巨大な体躯の男が降りてきた。

 

「うへへへへッ、この俺様が支援部隊を指揮することになるとはな。モノべのやつは来ていないのか、ペルーの遺跡以来だってのに薄情なやつだ。まあいい」

 

「マッケンゼン様、モノべ様からあまり手荒な真似はするなよと」

 

「いいだろ、別に。《遺跡》はモノべに任せるっていってるんだからよォ。《鍵》は手に入ったって聞いてるぜ?」

 

「ですが、《秘宝》を手に入れるまで騒がれると面倒だと......。我々の任務は《遺跡》にいって」

 

「ぐへへへへッ、ならさっさと制圧しちまえば文句はねえはずだ。辺境の島国の猿が恐怖に慄いてる姿がみてーんだよ、俺はァッ!いいじゃねえかよ、少しくらい。略奪や殺戮を楽しまねーとな」

 

「......」

 

「俺様はガキの泣き叫ぶ声を聞かねーと盛り上がらないのはお前らもよく知ってるはずだ。俺様が《オデッサ機関》にいた頃から今日まで......なんで挽肉製造機と呼ばれているか知らないとは言わせないぜ」

 

「............」

 

「まったく、モノべはもう《遺跡》かァ?日本人てのは真面目すぎていけないぜ。さあて、ここにいる連中をどこか一箇所に集めろッ!」

 

「はっ!」

 

先に潜入していた兵士たちが校内放送を流し始めた。

 

「全校生徒及び教職員に告ぐ。この學園は、我ら《レリックドーン》が占拠した。今から30分の猶予を与える。全校生徒及び教職員はすみやかに体育館に集まり、我らの指揮下に入ること。抵抗する者は、容赦なく射殺する。繰り返す。全校生徒及び教職員に告ぐ。この學園は我ら《レリックドーン》が───────」

 

校庭で血を流して倒れている警備員たちを見てしまった生徒、教職員たちは、体育館にいく。《レリックドーン》たちはそのまま立てこもった。襲撃者達は事前に武器弾薬を隠し、準備を行っていた計画が狂ったため、初めからものものしい雰囲気だ。数をさらに増強したらしい。

 

「お、おい、まじでテロ組織なのか、こいつら?」

 

「正門突き破ってトラック、校庭にヘリコプター、ガチじゃない?」

 

「あの銃本物か?」

 

「警備員のおじさんたち撃たれてたし......」

 

「まじかよ......」

 

「警察や自衛隊は何やってんだ?」

 

「外部の通信手段奪われてんのに誰が連絡するって?トラックきた瞬間から携帯つかえないし、取り上げられてんのに」

 

コソコソ喋っていた男子生徒に《レリックドーン》の兵士が静かにしろと怒鳴りながら銃で脳天を殴りつけた。女子生徒の悲鳴があがる。

 

「......ど、どうしてこんなことに......」

 

響は隅の方で縮こまっていた。

 

「......う~ん、石たちがザワザワしていると思ったら、この人たちのせいかあ」

 

黒塚は水晶が入ったケースを抱えながら1人つぶやく。

 

「そこっ、静かにしろッ!」

 

「どんな石が好きだい?」

 

「石だあ?石っていやあ、宝石が好きだな。ダイヤモンド......これが終わったらプロポーズするつもりなんだよって死亡フラグを立てるとでも思ったかァッ!静かにしろといっているのが聞こえんのかッ!」

 

「なるほど......《レリックドーン》は宝石が好き......」

 

「変なメモをとるなッ!」

 

「ふふふッ......」

 

見回りの兵士たちに銃をむけられているにもかかわらず、黒塚は眼鏡を逆光でさえぎりながら意味深に笑う。

 

「石たちの声が聞こえるかい?」

 

「は?なにいっ───────」

 

「ひっ───────」

 

「何だこの音はッ!?」

 

「耳元で囁くな気持ち悪いッ!」

 

「な、なにいってんだ、お前ら?」

 

数人の兵士たちが突然銃を落としたかと思うと耳のあたりをがんがん叩き始める。やがて壁に頭をうちつけはじめ、兵士たちが羽交い締めにしてもとまらず、床で自分を痛めつけ始める。それはまるで感染するように広がっていき、次々と兵士たちがおかしくなっていく。

 

ある者はパニック状態で逃げ出し、ある者は肉体的なヒステリーあるいは感情の噴出で周りを恐怖に陥れ、またある者は早口でぶつぶつと意味不明の会話をしはじめた。

 

「ふふふッ......石はなんでも知っている~。やっと脳幹が手に入るね、よかったよ。そういえば博士がいないなあ。どこに行ったんだろう?まあいいか、あとで《遺跡》に連れて行ってくれるだろうし、僕はこの辺で失礼するよ~」

 

《レリックドーン》の兵士たちが次々と狂気に侵されていくのをまじかに見ていた生徒たちはそちらに意識をとられて一人いなくなったことには誰も気づかないのだった。

 

複数の銃声が響き渡り、我に返って逃げ出そうとした人質たちを牽制する。

 

「げははははッ!!ようこそ、我らが《レリックドーン》主催のパーティへ!猿ども、余計な気を起こすんじゃないぞ。中に狂信者が混じってるみてーだが、能無しどもと俺様はちがうからなァッ!」

 

マッケンゼンと呼ばれた男は天井にかかげた銃の引き金をひいた。蛍光灯が破裂してガラスが飛び散る。生徒たちは縮こまって体育館の隅の方によっていった。

 

「さあて、まずは男と女にわかれて1列に並べ。そして女共は講堂に連れていけッ!」

 

「はッ!」

 

人質が体育館に「すし詰め」状態のためだろうか、暑いのか狭くて暴れられないのか、マッケンゼンはそう指示を出した。

 

「白岐さん......月魅.....翔チャンたちが見当たらないの......大丈夫だよね?」

 

「大丈夫、大丈夫ですよ、きっと。《生徒会》関係者のみなさんもいないようなので、まだ掴まってはいないはずです」

 

「そうね......キュエイを倒していたはずだから、きっとまだ自由の身のはずだわ」

 

「九チャン......」

 

「なにをぐちゃぐちゃ喋っているッ!はやくこい!」

 

「きゃあっ!」

 

「八千穂さん!」

 

「何をしている」

 

「し、しかし、この者達が我らにごちゃごちゃと話していました。もしやなにか反抗を」

 

「モノべ様からの指示だ、《鍵》の女を探す。もし殺した女が《遺跡》のキーパーソンだった場合、どうなるかわかっているのか?」

 

「な、なんですとッ!?人間が《鍵》?そうとは知らず申し訳ありませんッ!」

 

「こいつらは俺が連れていく。お前は血の気が多すぎるからな、男子生徒どもをみはれ」

 

「はッ!」

 

どうやら同じ黒ずくめの男たちでも序列があるようだ。

 

「立て」

 

先程と止めに入った男が八千穂たちを促す。マシンガンがチラついている。白岐は《力》を使おうか迷っていたが、数十人も一度に相手をできるかと言われたら自信がなかった。相手を見誤ったら最後、体育館の人質が全滅することになるのは明らかだ。八千穂に手を貸し、七瀬と共に歩き出す。男を見たとき、なにかに気づいたのだ。

 

「生意気そうなガキ共だ。我ら《レリックドーン》に逆らうとろくな事は無いぞ」

 

歩きながら男がいう。銃が皇七に向いた。

 

「───────ッ!?」

 

「や、やめてッ!八坂さんは関係ないでしょッ!」

 

「関係無くはない。お前たちが余計なことをすればこの女は死ぬ」

 

「わかった......わかったから......なにもしないから......」

 

「そうだぞォ?貴様らを殺るのは簡単だが、それだとガキ共、お前らの泣き叫ぶ顔が見れないしな。これまた面白くない。どうだ?俺様のこの知能的駆け引きはよォオオ」

 

「......」

 

マッケンゼンはニタニタしながら八千穂たちの顔をのぞきこんでいた。

 

「わかったから銃をおろしてよぅ」

 

「ゲハハハハッ、ガキ共はやっぱり素直が1番だぜ。さっさと連れていけ!」

 

「はッ!」

 

背後に銃の気配を感じながら、八千穂たちは体育館をあとにした。

 

「───────......ん?どうした、応答せよ!」

 

「何事だ?」

 

「突然、アルファ班からの通信が途絶えましたッ!」

 

「なんだとッ!?」

 

「報告しますッ!!ブラヴォ班やチャーリィ班の通信も途切れましたッ!」

 

「馬鹿どもめッ!モノべからの調査報告書を読んでなかったのかッ!?《生徒会》関係者共の仕業に決まっているだろうがッ!殺せ、視界に入り次第射殺しろッ!ただちに救援に迎えッ!」

 

マッケンゼンの苛立ったような叫び声が体育館に木霊する。生徒たちはヒソヒソと《生徒会》の関係者たちがここにいないことに気づいて、目の色に光が戻り始める。訳の分からないバケモノを倒していたという目撃情報が広がっていく。舌打ちをしたマッケンゼンはあたりに銃を乱射した。生徒たちの悲鳴があがる。

 

「いいことを思いついたぜ、おいテメーら、校内放送の設備はどこだ!これ以上好き勝手するようなら体育館ごと吹き飛ばすと警告してやれッ!!武装集団が立てこもる体育館で爆発が起きたらどうなるか、奴らもわかるはずだからなァッ!銃撃戦になるか、屋根が崩落して完全に崩壊するか。楽しみだぜえッ!」

 

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