インフィニット・ストラトス ─名も無き武者は悪鬼となる─ 作:4696猫
それでは、どうぞ!
第八話:戦鬼は真実を語る
謎の狭間悠騎なる男が去ってから一時間が経った。関わっている件の四人は学園長室へと呼ばれ、事情聴取を受ける事となる。
「さて、まずは東雲君。君から話を聞こう」
「どこから話すべきでしょうか?」
「最初からお願いします」
景秋の問いに轡木十蔵が答えた。答えを聞いた景秋は話を始める。
「自分は篠ノ之やオルコット、円香と観客席で観戦していただけです。まさか侵入者が来るとは思いませんでした。自分は織斑や鳳では対処は難しいだろうと思い援護を......」
景秋の言葉を遮って千冬が言葉を発した。
「あの程度の侵入者など、一夏だけで事足りた。それに教師部隊も待機していたのだ。貴様が余計な事をしなければ......」
「ほぅ?一瞬で頭を掴まれ、地面に叩き付けられた挙げ句、足蹴にされていた織斑だけで事足りたと?鳳も円香も歯が立たず、自分ですら足止めが精一杯だった相手が織斑だけで事足りるとは思えませんがね。更に、貴女の言う教師部隊とやらも結局は駆け抜けてこなかった......」
景秋がそう言うと千冬は親の仇を見る様な顔で景秋を睨み付ける。だが、景秋は意に介さず言葉を続けた。
「円香にISの使用を許可したのは確かに自分です。実際にドアはロックされ、円香のISの武装が無ければ避難誘導すら儘ならなかった事もあり、円香には情状酌量の余地はあるかと思います」
「なら自分はどの様な罰でも受けると?」
轡木の言葉に景秋は頷くと言葉を続ける。
「はい。円香のIS無断使用に関しては自分が責任を取ると言いました。どの様な罰であろうと甘んじて受けさせて頂きます」
「それは捉え方によっては妹を庇っている様に思えますが?」
その言葉に景秋は心の中で苛立ちながらも淡々と答え続ける。
「円香では無く、篠ノ之やオルコットがISを無断使用した場合であっても自分は責任を負います。自分はそう言って、彼女らを避難誘導へと送り出しました。非があるとすれば自分です」
景秋はそう言い切って一歩下がる。
「本人がここまで言ってる事ですし......情状酌量の余地はあると判断し、東雲さんには原稿用紙一枚の反省文の提出。代わりに東雲君、君が彼女の罰も加えて二週間の停学だ。良いね?」
「はい。甘んじて受けさせて頂きます」
景秋が頭を下げてその場を去ろうとした時、鈴が異を唱える。
「ま、待ってください!」
「どうしました?」
「かげ......東雲さんと東雲君だけが罰を受けるのはどうかと思います。私と織斑も罰を受けるべきだと思います。私は東雲君の制止を振り切って乱入者へと向かって行きました。織斑も同様です」
鈴はそう言って意見する。轡木はその意見に唸り声を上げて考える。
「それでは二人にも反省文二枚の提出を罰としよう。それでいいかな?」
鈴は納得したのか頷いたが、織斑は納得出来ずに声を荒げる。
「なんで俺も反省文書かなきゃいけないんだ!」
「聞いた話によると君は命令無視に加え、東雲君の制止も無視。その結果、乱入者......狭間と名乗った男にいいようにやられ、周りも危険にした。違うかね?これ以上、文句を言うようであれば罰を重くする事も可能だよ」
轡木がそう言うも、織斑は止まらず文句を言い続ける。
「なら仕方無い。織斑君、君も二週間の停学だ。良いね」
轡木は有無を言わせず話を切り上げた。
「皆、解散で良いよ。あぁ、東雲君は少し残りたまえ」
「はい」
皆が帰り、景秋一人が残された。
「まずは乱入者、狭間悠騎と名乗った男について。何も知らないって事で良いのかな?」
「はい。俺はあの男は初見です。俺や織斑以外にも男性IS操縦者がいるとは......轡木さんはご存知で?」
「いや、私も初めて聞いたよ。それに見付かっていれば、この学園に話は来る。つまりは......」
「秘密裏に見付かった操縦者と言う事ですか?」
「その可能性が高い。若しくは、人工的に作られた可能性も少なからずあるね。......そうだ、二週間で良かったかな?」
轡木は話を変えて景秋に問う。
「はい。二週間もあれば、俺は十分です」
「なら今すぐにでも帰りなさい。時間は有限ですよ」
「はい。失礼します」
景秋は頭を下げ、その場を後にした。
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「兄さんはどうするの?」
「俺は会社に戻ってあの流派教わる」
部屋に戻った後の円香と景秋の会話。
「でも停学じゃ......」
「轡木さんに事前に言っておいたからな。だから二週間って時間をくれた」
「わかった。気をつけてね」
「あぁ、わかってる。さて、そろそろ行く」
景秋がそう言って指輪を嵌める。
「来てくれ、ダークホーク」
景秋の体を流線型の黒い装甲を持つISを展開した。
「あれ?ISなんて持ってたっけ?」
「移動用のステルス機。戦闘は最低限しか出来ないけど、レーダーにも写らないし、サーモにも写らない。最強のステルス機」
「兄さん。がんばってね」
「おう。行ってくる」
景秋は窓を開けて飛び立って行った。残された円香は窓を閉めてその場に座り込んだ。
「これで独りか......慣れてた筈なのにな...兄さん...」
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景秋はエヴァンスエレクトロニクス社に到着し、社長室への道を歩く。景秋は声を掛けられるが、別の人だと思い、無視してそのまま歩く。
「お~い!そこの少年!」
謎の長身の男は景秋の頭を掴み、景秋を止める。
「どなたですか?」
「あぁ、自己紹介がまだだったな。俺の名前は
「は?」
景秋はその言葉に首をかしげる。そして答える様に一条は言葉を返す。
「いやいや、今更剣術なんて教わった所で...」
「でも君の剣術は我流だ。雲耀...って言ったっけ?......確かに示現流で言う所の雲耀に近い剣速は持ってる。けど、技の引き出しの少なさ、応用も利かない技に拘る意味は無い。君もそう思ったからここに来たんだろ?」
「.........」
一条の言葉に景秋は言い返せずに黙る。
「今の君は良く言えば才能任せ、悪く言えば傲岸不遜ってところかな。君の荒削りの才能と天賦の才を使い物にしてやる」
「......俺のどこが才能任せなのか教えて頂きたいものだ」
景秋は一条に言い返す。けれど自分でも才能任せな事は理解していた。その事実を受け入れられず、異を唱える。
「今、言っただろ?君の我流剣術自体が才能任せな証拠だ。示現流をイメージして剣を振ってるんだろうけど、本物の示現流に遠く及ばない。それどころか中伝の剣士にすら劣るよ、君は。其ほどまでに君は弱い。弱すぎて話にならない」
突き付けられた現実に景秋は吐きそうになる。吐き気をなんとか堪えて言葉を出す。
「アンタは信用出来るのか?」
「安心しろよ。君は二週間ここに居られるんだろ?なら一週間半で君の荒削りの才能と天賦の才を使い物にしてやるよ」
一条はそう言って歩き出す。
「ついてきな。時間は有限だぜ」
景秋は言われた通りについていき、辿り着いた先は社内に設置された道場だった。
「なんでここに?」
「そりゃ、剣術を教える為だからね。アリーナでバチバチやりあうもんだと思ってた?」
「まぁ...」
「君には吉野御流合戦礼法って剣術を覚えてもらう」
一条はそう言って景秋に木刀を放り投げる。景秋は軽々とそれを掴んだ。
「一週間半で覚えろと?」
「あぁ。君の特技、見たものを再現する。その特技があれば一週間半で技は覚えられる。後はひたすら実践あるのみだ」
「はぁ...」
一条はそう言って景秋を道場の中へと引っ張る。
「これから一週間半、地獄だぜ?覚悟しろよ」
一条はニヤリと笑ってそう言った。
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次回、インフィニット・ストラトス─名も無き武者は悪鬼となる─
『絶望を知って』