インフィニット・ストラトス ─名も無き武者は悪鬼となる─   作:4696猫

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 私の友人に景秋のイラストを描いていただきました!いや、本当に嬉しく、感謝感激です!

 
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 それでは、どうぞ!


第十話:戦鬼と出会う銀髪の兎達

 第十話:戦鬼と出会う銀髪の兎達

 

 停学明けの景秋は何事も無かったかの様に教室に入り、自身の席に座って時間が来るのを目を積むり適当に待つ。

 

 ......そう言えば、結局実践やらせてもらって無いぞ...一条め......

 

 クラスの中に居ても誰かが話し掛けてくる。なんてことは無い。景秋のクラスでの立ち位置はあくまでも近寄りがたい男。一度だけ乱入者と戦ったからと言ってそれが変わる訳は無い。

 

「兄さん、久し振り」

「おう、円香。心配掛けた」

「別に。兄さんのやりたい事が出来たならそれでいいよ」

 

 教室にやってきた円香に声を掛けられ、景秋も言葉を返す。そこで見えたのだ、銀髪の小柄な少女と金髪の青年を。

 

「あの二人......」

「あぁ、編入生のラウラ・ボーデヴィッヒとシャルル・デュノアだな」

「箒......」

「久し振りだな、景秋。と言っても二週間だけだが」

「確かにな。それにしても俺が居ない間に編入生なんて来てたんだな」

 

 景秋の呟きに、箒は答える。

 

「確かに珍しい時期ではあるな。けど、私と同じような境遇なら納得も出来る」

「そうかもしれないな。......何もなければ良いんだがな」

 

 景秋の憂いだ呟きは誰にも聞こえる事はなく、消えた。

 

─────────────────────

 

 IS実習の時間。景秋を含めた男性IS操縦者三人はアリーナに備え付けの更衣室にて着替えていた。

 

「それにしても、IS学園って思ってたより大変だね」

「デュノアはそうだろうな。そこまで顔が整っていれば、さぞ苦労するだろう。これからもな」

「アハハ...それは勘弁して欲しいかなぁ」

 

 景秋は制服の上を脱いでTシャツ姿になるとアリーナを出ていこうとする。

 

「あれ、東雲君...だったかな?ISスーツに着替えないの?」

「俺のISは特別製でな、ISスーツに着替える必要は無いんだ」

 

 景秋はそれだけ伝えて、更衣室を出る。その後、遅れて来た二人は千冬に名簿で殴られていた。

 

─────────────────────

 

 二組との合同訓練。景秋の周りにはいつものメンバーが集まってならんでいる。

 

「二週間の間、皆と訓練してても暇だったのよねぇ」

「私達では役不足とでも言いたげですわね、鈴さん」

「そんな意味じゃないわよ。景秋ほど接近戦が出来る人って少ないから」

「その言い方だと捉え方によっては『お前は私より弱い』と言われているように感じるからやめておいた方が良いぞ、鈴」

 

 景秋は話をしている横で鈴に注意する。注意された鈴は少しバツが悪そうにしていた。

 そこに織斑とシャルルがやって来る。

 

「おい、景秋。俺ら置いていくとか酷くないか?」

「別に酷くないだろ。お前らが時間なのに会話してるのが悪い」

「はぁ?!なんでそうなるんだよ?!」

 

 景秋と織斑の会話にシャルルは苦笑い。周りも同様。

 

「......独りでやってろ」

 

 景秋はそう言って黙った。少しすると千冬がやって来て、織斑を名簿で殴る。その後、織斑は景秋を睨んでいたが、景秋の一瞥でそれすらも止んだ。

 

「今日の授業の前に少しだけ模擬戦を行って貰う。今から名前を呼ばれた生徒は前に」

 

 千冬がそう言うと周りの雰囲気がガラリと変わる。まるで自分が選ばれると思っているかの様な雰囲気が漂う。

 

「そうだな...東雲兄妹にやってもらう」

「あれ、あからさまに嫌がらせよね」

「鈴さん、もう少し声量を下げて下さいまし。あの教師に聞こえますわ」

「聞こえる様に言ってんのよ」

 

 千冬の選抜に鈴は文句を言う。セシリアは声の大きさを注意するも鈴は聞く耳を持たなかった。

 

「相手が誰でも負ける気は無いよ。例え、兄さんであったとしても」

「同意見だ。誰が相手だろうと相対するなら斬り伏せるだけだ」

 

 円香と景秋はそう言って列から外れ、前に出る。

 

「貴様ら兄妹の相手は山田先生だ。この間の件もある。絞られてこい」

 

 空を見上げると山田先生がラファール・リヴァイブを纏って現れる。景秋と円香は二人共、右手を前に突き出して口上を唱えた。

 

「千日の稽古を(ちから)とし、万日の稽古を(まもり)とす。以って此れ我が劔冑なり」

「世に鬼あらば鬼を断つ。世に悪あらば悪を断つ。ツルギの理ここにあり」

 

 それぞれ劔冑を纏った二人は刀を抜刀し、空へと向かう。

 

「2対1でやるのも後味悪そうだな。円香、やれるな?」

「勿論」

「ならやってやれ」

「わかった」

 

 二人はプライベートチャンネルで会話を済ませて戦闘へと頭を入れ換える。

 

「それでは...始めろ!」

 

 千冬の声と同時に円香は全速力で山田先生へと斬りかかる。初撃を食らったのみで、その後は山田先生もブレードを出して斬り結ぶ。

 

「東雲君の影に隠れがちですが、中々やりますね」

「兄さん相手なら誰だって霞みますよ、先生」

 

 鍔迫り合いの最中の会話。景秋はと言うと、遠く離れた所で腕を組み、戦闘を観戦している。

 鍔迫り合いで膠着した円香は右手首にある筒を山田先生へと向けた。

 

「正宗、力を貸して...ッ!」

《何を今更!!》

 

 鈍い痛みを感じながら円香は山田先生と鍔迫り合いを続けた。すると、筒から弾丸が射出される。

 砲から放たれた弾丸には速度は無く、威力も無い。それはまるで押し出したかの様だ。そんなものを攻撃に使うのはあまりにも無謀だった。だからこそ円香は使った。

 激しい轟音を伴いながら爆発するそれからは何かの破片が混ざっていた。

 

 ......IS相手じゃこの攻撃は通じないか...あぁ...チクショウ...滅茶苦茶痛い......

 

 周りは声を失った───自身の目に写り、目の前で起こっている事象を受け入れられずにいる。

 

「こ、これ......骨と装甲...ですか?」

「えぇ、まぁ。そういう武装なんですよ、これ」

 

 円香はそう言い終え、痛みを噛み殺すと刀を中段に構えた。

 

「朧・焦屍剣!」

 

 炎獄の如き灼熱に手を焼かれると同時に刀が熱を帯びていくのが分かる。刀身の周りには陽炎が揺らめき、空間を歪ませて見せる。

 

「仕切り直しですね。勝たせて貰いますよ、先生!」

 

 円香はそう言って再度山田先生へと迫る。対する山田先生も円香と同様に前に出る。

 

「二度目は通じないか...」

「流石に対策位立てますよ」

 

 もう一度鍔迫り合いになる。だが、山田先生のブレードを熱せられた円香の太刀が切断する。切断されたブレードの切断面は溶けていた。

 

「なっ!」

「これで終わりです、先生」

 

 円香の言葉通り、円香の猛攻に反撃の機会を見出だせずに山田先生は敗北した。

 

 ......やっぱり、朧・焦屍剣は使うタイミング考えないと...私の腕が焼け焦げる......

 

 円香は劔冑を解除した後、自身の焼けた掌を眺めながら思う。幾ら治癒力が高かろうと痛いものは痛いのだ。

 物思いに耽っていると景秋が円香の元に向かい、円香の頭を撫でた。

 

「頑張ったな、円香。よくやった」

「兄さん...」

「だが、自傷行為はなるべく控えろ。姉さんに打診はしてみるが、そう言う劔冑だからな。使うなとは言わない。だが、多用はするな。痛いのを我慢するのも大変だろ?」

「う、うん...ありがと、兄さん」

 

 円香は恥ずかしそうに俯く。景秋はそんな円香の気持ちを知らずに言葉を続けた。

 

「けど......怪我が無くて何よりだ。正宗の治癒能力に感謝だな」

 

 景秋はそう言って皆の所へ戻っていく。円香も景秋の後を追って皆の所へと向かった。

 

「タハハ......負けちゃいました...。東雲さん凄いですね。これで東雲君まで参戦していたらと思うと...もっと速く敗けてたかもしれませんね...」

 

 山田先生の言葉に千冬は円香と景秋に親の仇でも見るような目付きで睨むものの、姉弟揃って景秋の一瞥には勝てなかった。

 

「......この兄妹が放課後に訓練をしているのは皆も知っているだろう。東雲がここまで強くなったのも、その訓練での努力の賜物だ。専用機を持っていない者は借りる事だけで精一杯だと思うが、努力だけは怠らないようにな」

 

 千冬の言葉に事情を知らない生徒は返事をする。だが、事情をある程度知っている者は怪訝な表情を見せた。

 

「あれ、絶対心にも思って無いわよ」

「その位、分かりますわ」

「ほら、そろそろ訓練の時間だ。お喋りは控えろ」

 

 景秋は鈴とセシリアに注意し、訓練の準備を進めていく。

 

 ......そんなに睨むな、織斑千冬...貴様がこの学園すら裏切っている事をバラされたくなければ、だがな......

 

 その日の訓練は飛行訓練で専用機持ちが指示を出しながら進めていったが、シャルルや織斑の元へ生徒が集まることは容易に想像出来ただろう。

 

─────────────────────

 

 放課後、景秋を中心としたメンバーでの訓練。そこにはなぜか織斑がいた。

 

「なぜ織斑がいる。俺の居ない間になにがあった?」

「あのバカ姉が告げ口したのよ。そしたら『俺も混ぜてくれよ。皆でやった方がいいだろ?』だと。なにバカな事抜かしてるんだか」

「......追い出せないのか」

「無理ですわ。私や箒さんでお引き取り願おうと何を言っても聞く耳を持ちませんの」

「あぁ、一夏め...あそこまで酷いとは......」

 

 景秋の問いに各々が答えていく。皆、腹立たしいのだろう。鈴に至っては地面を何度も踏みつけては「クソ」と連呼する始末。景秋も見ていられなくなったのか、織斑の元へ向かう。

 

「織斑、なぜ貴様がここにいる」

「え?訓練するんだろ?俺も一緒に......」

「正直に言う。邪魔だ、織斑一夏。誰に唆されたのか知らんが、許可も無く、他人の借りているアリーナにずかずかと...。その歳にもなってマナーと言うものを知らんのか」

 

 景秋の言葉に織斑はあっけらかんとしている。その態度に呆れた景秋はその場を去る。

 

「......はぁ...もう知らん。好きにしろ」

「どうだったのよ、景秋」

「あれは無理だ。」

 

 戻って来た景秋に鈴は問うが、景秋は首を横に振った。

 

「アレは無視して訓練すべきだ。時間が勿体無い」

「まぁ、それもそうね」

 

 景秋の言葉に頷いて、準備体操等をしながら体を解す。

 

「それじゃ最初は高速飛行訓練からだな」

 

 皆が一斉に空へと飛ぶ。皆が自分の持てる最大速度でアリーナを縦横無尽に飛び回る。まるでそれは演舞の様に見えた。

 10分程飛んだ後に地面に着地し、次のメニューへと移った。

 

「次はそうだな...回避訓練と遅滞戦闘を同時にやるか。時間無いし」

「でも同時にってどうやってやるんですの?」

「遅滞戦闘訓練だと反撃もOKだ。でも今回は時間制限を設けて何秒間は反撃OK。それを過ぎたら回避行動のみ。これの繰り返しなら同時にやれる」

 

 景秋はそう言って円香と二人で実演して見せた。実演を見たことで他のメンバーも納得したのか、皆で訓練を再開する。

 訓練を続けて数十分が経った。そこで織斑がやって来る。

 

「俺にもやらせてくれよ。好きにしろって言ったんだし良いだろ?」

「......勝手にしろ。鈴、セシリア。相手してやれ」

 

 景秋はそう言ってセシリアと鈴に指示を出す。

 

「ブッ殺す!」

「鈴さん、死体処理が面倒です。塵一つ残さずに消し炭にしますわ」

 

 二人はそうして織斑と訓練を始めた。

 

「ちょっと!ちゃんと避けなさいよ!」

「ハァ?!なんで反撃しちゃいけないんだよ!」

「反撃するタイミングは参加してない方が指示する様になってますわ!」

 

 織斑の言葉に鈴やセシリアは声を荒げ、その光景を見ていた東雲兄妹も苦言を溢す。

 

「酷いな...」

「アレは救いようが無いね...」

 

 その後の訓練も鈴の攻撃にのみ集中していて、セシリアの攻撃を食らう。やり直してもセシリアの攻撃に集中していて、鈴の攻撃を食らい、反撃の機会を与えられてもまともに反撃出来なかった。

 

「ちょっと!やる気あんの!」

「正直、時間の無駄ですわ」

「少しくらい俺に合わせてくれたって良いだろ!」

「はい?すると思いますの?私達は遊びでやってる訳じゃありませんの。遊びのつもりなら辞めてくださる?」

「そうそう。お陰で模擬戦やる時間すら無いわよ」

 

 遠くで織斑達の口論を見ていた景秋。その目には転入生のラウラ・ボーデヴィッヒの姿が写る。

 

「えっと...ボーデヴィッヒだったか?織斑目当てならやめておけ。もうアリーナの閉館時間まで少ない。また日を改める事をおすすめするが?」

「そうか。忠告感謝する」

「それと一つだけ言っておく。アレはお前が復讐対象にする程強くないぞ」

「それは私が決める事だ」

 

 踵を返すラウラへ景秋は言葉を送る。だが、景秋の言葉を否定してラウラは帰って行った。

 

「じゃじゃ馬ってやつだな...ほら、セシリアと鈴はいつまで口論してる。もう閉館時間だぞ!」

 

 景秋は帰る為に、皆の元へと駆け寄って行った。

 

 




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 次回、インフィニット・ストラトス─名も無き武者は悪鬼となる─

 『放つ一撃──電磁抜刀』
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