インフィニット・ストラトス ─名も無き武者は悪鬼となる─   作:4696猫

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 戦闘描写下手くそですし、オリジナル設定になる所が多々ありますが、暖かい目で御覧ください。

 それでは、どうぞ!


プロローグ.III

 プロローグ.III

 

 テスト用アリーナにて──

 

「これが、かー君の劔冑。武州五輪だよ」

「これが...俺の...劔冑...」

 

 景秋の目の前にはシンプルながらも圧倒的な存在感を醸し出す劔冑に息を飲む。

 

「...千日の稽古を(ちから)とし、万日の稽古を(まもり)とす。以て此れ我が劔冑なり」

 

 景秋が口上を唱えた途端に、景秋の体を劔冑が覆っていく。すると、束が景秋の肩を叩いた。

 

「マドカちゃんにも劔冑持たせてるんだよ。見せてあげて」

「分かりました。......世に鬼あれば鬼を断つ。世に悪あれば悪を断つ。ツルギの理ここに在り!」

 

 対するマドカも圧倒的な存在感を持つ劔冑を纏っていた。

 

「これが私の劔冑、相州五郎入道正宗。悪を断つ最強の劔冑!」

「俺に正義だの悪だのは似合わない。あるのはただ、人斬りの心と果たせなかった約束のみ!」

 

 マドカと景秋は共に太刀と大太刀を八相に構える。そして、束のスタートの合図がアリーナに響いた。

 

「戦闘...開始!」

「ウォォォォォォ!」

「ハァァァァァァ!」

 

 束の合図と同時に景秋の大太刀とマドカの太刀がぶつかり合い、金属音を鳴らしながら火花を散らす。

 鍔迫り合い。機体性能はほぼ互角。残るは纏う者の力、鍔迫り合いでは僅かにマドカが後ろに下がった。

 

「クッ...まだまだぁ!」

 

 マドカの斬り下しを景秋は最低限の動きで回避し、逆に胴に横一閃。続けて景秋はマドカの背中に袈裟斬りの様に斜めに斬って、続けて背中に蹴りを叩き込む。

 

「どうした、マドカ。こんなものか?強い奴と戦いたいと言うから、久し振りに覚悟して全開でやってるんだ。こんなので終わったら詰まらない所かアップにすらならねぇぞ」

「......」

 

 景秋の言葉にマドカは言い返せない。だが、刀を支えに立とうとする。

 

「もう止めようか?今のかー君にはマドカちゃんは勝てない。食らい付いて惜しい所まで続けるって言うかもしれない。けどね、まだ刀一本でやってるだけマシだよ。二刀流になったらいよいよ最後だ」

 

 アリーナで試合を観ている束は昇にそう提案した。だが、昇は聞こうとせず続行。束は何かを危惧して止める様に景秋の過去の一部を語った。

 

「まだやらせてみよう。マドカは諦めて無いようだし」

「それで心が折れるかもしれない。かー君は簡単に相手の心を折る。前、彼がまだ剣道を辞める前に見た試合もそうだった。

 全国の決勝戦での話だよ。残り時間30秒、かー君が1本取られて不利。相手もそれで勝ちを確信したんだろうね、その気持ちをかー君は簡単に破壊した。

 30秒も要らないと言わんばかりに構えを崩しては直してを繰り返して、結果残りは10秒。そのたった10秒で2本取り返して優勝を決めた。その後、相手の子は剣道を辞めたらしい。

 そりゃそうだよね、自分が1分以上掛かって、更にかー君に取らせて貰った形で1本取ったのに、相手はそれの半分以下のたった数秒で2本取ったんだもん。心位なら簡単に折れるさ。

 かー君が剣道を辞めた理由も、気持ちも解る。だからこそ、マドカちゃんとこれ以上戦わせちゃいけない」

 

 束の話を聞いた昇は少し考え込んだが、続行させると口にした。

 

「いや、続行させる。今のマドカに必要なのは敗けを知る事だ。敗けを知ってマドカは強くなる」

「知らないよ、それで再起不能になっても」

「その時はその時だ。それに、この程度で再起不能になる程度の奴ならこの先の戦いで勝てないさ」

 

 昇達の会話はアリーナで戦う二人に届くことなく、終わった。

 

「まだやるか?」

 

 マドカは無言だが頷く。

 

「ハァ......。なら俺も二刀流で相手しないと失礼かな」

 

 マドカは立ち上がり、刀を中段に構える。景秋は左手に小太刀を持ち、構えた。

 

「景秋...ここまでの強さがあって、何を怖がる!」

「人との繋がりが切れるのが怖い。裏切られるのが怖い。失うのが怖い。俺は臆病者で、強者と呼ばれる部類に入ってた男だ。だからこそ、力の使い方を間違えるのが怖い。...けど、勝負においては、ギリギリの...負けるかもしれないって所で戦うのが心地良い。そんな自分が......怖い」

 

 マドカは初めて他人の本心を聞いた気がした。先の会話でも景秋は本心を話さなかった。

 景秋は全てが怖い。恐らく、本心を知られる事も怖いのだろう。そんな景秋が本心を語った。マドカにとって初めての事だ。

 

「怖い...か...」

「あぁ、怖い。臆病者だと、腰抜けだと罵るか?」

「いや。お前の気持ち、解らないなりに理解するつもりだ」

「この短時間でよくもまぁ、成長したもんだ。さて、いくぞ」

「あぁ、来い!」

 

 景秋の小太刀が振り下ろされる。それをマドカは受け止めるが、右の大太刀に斬られる。

 

「クッ...ッ!」

「今の俺が二刀流なのを忘れたか?」

「なら...これで!」

 

 マドカの刀に熱を帯びていくのを察した景秋は距離を取った。

 

「おいおい...どうなってやがる...武州五輪、解析しろ」

 

 景秋は今まで呼ばなかった名を呼び解析をさせた。

 

《御堂、奴の刀が熱源の正体だ。恐らく、一撃でも食らえば致命傷になりうる》

「コピー出来るか?」

《不可能だ。原理も理屈も不明な上にあれは能力ではなく武装だと思われる》

 

 武州五輪の機械的な声を聞きながら、景秋は冷や汗を流す。

 

「これが私の武器の一つ。朧・焦屍剣(おぼろ・しょうしけん)!」

「厄介な代物出して来やがって...」

《御堂、恐らくあれは使用者の手まで焼くぞ。使用者の事を思うなら早急に倒す事だ》

「わかってるよ、武州五輪。その為の力を貸せ」

《諒解》

 

 武州五輪はその言葉だけを残し、声が消えた。

 

「自滅覚悟の一刀なんて恐ろしくない。もっとも恐ろしいのは、相手を殺す殺気が...意思が感じられる一刀だ」

 

 景秋は覚悟を決めて飛び出した。

 

「今までの堅実な戦い方はどうした!」

「......」

 

 マドカの問いに答えない。だが、マドカの灼熱の刀が景秋の肩を割く。

 

「ッ......ぐぅッ!」

 

 声を噛み殺し、灼熱の刀を左手で掴む。

 

「な、何を!」

「これで...お前の攻撃手段は無くなったな...」

 

 その光景を見れば誰もが思う【イカれている】と。灼熱の刀、使用者の手すら焼くそれを肩で受け、更には掴むのだから。

 見えはしないが、仮面の奥にある素顔は歪で狂った様な笑みを浮かべているに違いない。そう思うしかない程までに景秋の行動は常軌を逸していた。

 景秋の攻撃手段は至って簡単。近い間合いでの脇差による攻撃のみ。何度も斬り着ける。

 稼働限界かエネルギー切れか、はたまたマドカの限界なのか、正宗の装着が解け、マドカがアリーナの地面に倒れた。

 

「はぁ...俺も少し疲れた...」

 

 景秋はそのまま眠るように気絶した。

 

「まぁ、仕方無いかな」

 

 気絶した景秋を束は呆れと安堵が混ざった様な表情で見ていた。

 

─────────────────────

 

「ッ...」

  

 景秋は目を覚まし、起き上がる。

 

「お、目が覚めたみたいだな」

「昇さん...。マドカは」

「今はスコールが説教中。君も後で篠ノ之博士から説教だよ」

「アッハハハ...ハァ...」

 

 昇の言葉に景秋は乾いた笑いと溜め息を吐く。

 

「あんな無茶したんだ、当然だろ?修理だって篠ノ之博士がするんだぜ?可哀想だろうが。後で謝っとけよ」

「は...はい」

「ったく...世話の焼ける小僧共だよお前らは」

 

 昇はグチグチ何かを言いながら病室を出ていった。そこに入れ替わる様にクロエが入ってきた。

 

「景秋、束様がお呼びです」

「ハァ...俺の人生もここまでか...」

 

 景秋は何かを悟った様な表情で束の元へ向かった。

 

─────────────────────

 

 結果として景秋は束に殴られ、こっぴどく叱られた。その際、言われた言葉『自分の体をもっと労ってあげて』とだけ言われた。

 そして現在、景秋は部屋にマドカと二人きりである。

 

「あの...迷惑掛けたみたいで...ごめん...なさい」

「気にするな。お前が勝とうと本気でやったのなら仕方無い。けど、二度と自滅覚悟の攻撃なんかするなよ」

「あ、ありがとう...兄さん...」

「へ?」

 

 景秋はいきなりの事で頭が追い付かず、変な声が出る。

 

「す、スコールに言われたんだ。この方が兄妹っぽいって...」

「プッ...アッハハハハハ。マドカ、お前そんな事気にしてたのか?」

「あ、当たり前だ」

「気にしなくても良いのに。俺は別に呼び捨てでも気にしねぇよ」

 

 景秋が笑いながらそう言った。だが、マドカは意見を変えようとしない。

 

「兄なら敬わなければならないから...それに、私なりの好意と思ってくれて良い...」

「なら好きにしな。俺はこれ以上何も言わねぇよ」

 

 

 景秋はそう言って部屋のベッドに横たわると、そのまま眠った

 

 




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