インフィニット・ストラトス ─名も無き武者は悪鬼となる─ 作:4696猫
それでは、どうぞ!
第一話:入学
第一話:入学
いよいよIS学園への入学しなければならない。そんな中、景秋とマドカは...
「マドカ、なんで目覚ましを止めた?」
「煩いから...」
「目覚ましはそういうものだ」
「うん...」
寝坊していた。会社側が社員の社宅として建設したタワーマンションの空き部屋に住み始めた二人だったが、結果は入学式を寝坊するというトラブルになっていた。
「あぁ...クソ...モノレールの発車時間に間に合うか?」
「バイクなら間に合うんじゃない?」
「しょうがない。バイクで行くぞ」
「やったね」
景秋の視界の隅でガッツポーズをするマドカをスルーして景秋はバイクの鍵とヘルメットを持って部屋を出た。
「鍵閉めたか?」
「閉めたよ」
「電気とか消したか?」
「消したよ...心配性過ぎ」
「念には念を...」
景秋はそう言いながらバイクのエンジンを掛け、スロットルを回す。
「スピード違反にならない程度で飛ばすからな、しっかり捕まっとけよ」
「うん」
マドカの返答を聞いた景秋はモノレールの駅までバイクを飛ばした。
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「ハァ...ハァ...ハァ...間に合ったぁ」
「ほ、本当に良かったぁ...」
二人はなんとかIS学園に辿り着き、職員室らしき所へ向かう。
「すみませ~ん。企業代表の東雲です」
「同じく企業代表の東雲です」
「あぁ、到着が遅れると聞いてましたが...。案内の教師を連れてきますので、お待ち下さい」
「わかりました」
そうして二人で待っていると、二人が良く知った顔。織斑千冬がやって来た。
「全く...遅刻などしおって...。私が貴様らの担任になる織斑千冬だ」
「どうも、エヴァンスエレクトロニクス社企業代表の
「同じく、
二人はそう言って頭を下げる。そこで、千冬が反応した。
「景秋...?」
「はい?」
「お前、なんでこんな所に?」
「あの...誰かと間違えてませんか?俺は確かに景秋ですけど」
景秋がそう言うと納得していないような顔をした。
「そ、そうか...居なくなった弟に似ていてな。すまない」
「いえ、他人の空似...と言うのもありますので。それで、案内は...」
「あぁ、すまない。こっちだ」
千冬には(本当に別人なのだろうか)という疑問が残った。
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教室に着いた景秋達を待っていたのは異様な空気だった。織斑一夏が自己紹介だったのか立っていた。内容が内容故に千冬は名簿で頭を叩く。
......口頭注意が先じゃないか?......
そう景秋が思った矢先。
「げぇっ!関羽!?」
「誰が三国志の英雄だ、馬鹿者!」
更にもう一発。その時、景秋は思った。この人に口頭注意という言葉は存在しないのだと。
「東雲兄妹は、篠ノ之の後ろだ」
「わかりました」
円香と景秋はそのまま席に着き、自分の自己紹介を待っていた。
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自己紹介の番が漸く回って来て、景秋は席を立つ。
「東雲景秋です。趣味はツーリング、ISについては未熟者故、ご指導・ご鞭撻の程、宜しくお願いします」
景秋はそう言って頭を下げた。そこで名前を聞いた織斑一夏と篠ノ之箒はハッとするも、その場では黙っていた。
そして周りの女子達は景秋の持つ陰鬱な雰囲気と鋭い目付きに若干だが、萎縮していた。
「同じく東雲円香です。趣味はゲーム。宜しくお願いします」
円香の自己紹介も終わり、景秋はクロエのナノマシン開発の為に携帯端末を使って色々な計算を行うのだった。円香も既に携帯端末でゲームを始める。
「う~ん...なるべく視界は自然に、そしてクリアに見えた方が良いよなぁ...そうなると...」
景秋はそんな事をブツブツと呟くのだった。
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自己紹介も終わり、休み時間。件の少年が景明の元にやって来た。
「俺は織斑一夏、宜しく!」
「東雲景秋だ、宜しく頼む」
「お互いにIS動かしちまって散々だよな。まぁ、二人しか居ないわけだし、仲良くやろうぜ」
「あぁ...」
景秋は正直、仲良くしたいとは思わない。自分のお陰とは言いたくないが、それで風当たりが弱くなったのに自分の立場が大きくなった途端に本性を現したのだから。
そんな人間と仲良くしたいなんて微塵も思いはしない。
「それよりも、後ろにいる女はお前に用があるようだが?」
「え?...ほ、箒!?」
「一夏じゃ無い。東雲に用がある」
「ん?俺か。まぁ、良いが...ここでは嫌なのか?」
景秋がそう言うと箒は頷いた。
「あ、あぁ。頼む」
「なら早く移動しよう。時間が惜しいからな」
景秋はそう言って席を立つと人気の少ない所へ向かった。
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「それで、俺に何の用かな?」
「誤魔化さないでくれ!景秋なんだろ!?」
「確かに景秋だけど、君達の言ってる景秋とは別人だよ」
景秋はそう言って否定する。それでも箒は引き下がらない。
「いや、景秋だ。確かに、髪型も違うし目付きも鋭くなった。だが、目は腐っていない。あの時の景秋と同じ目だ」
「他人の空似ってヤツさ。俺は君の事を知らない」
箒の言葉を景秋は否定する。だが、否定出来ない事実を突き付けられた。
「昨日、姉さんから連絡が来た。見知った顔がIS学園にやって来ると」
「それって織斑の事じゃないのか?」
「それには写真も添付されていた。これがその写真だ」
箒が見せてきた写真を見る。その写真は正真正銘自分の写真だった。14歳の頃だが、今とあまり変化は無い。
......束姉さん...帰ったら説教してやる......
「はぁ...それで?お前は知ってて嘘付いてた訳か?」
「そ、そうなるな...。すまん」
「写真が送られてきた事を先に言えば誤魔化さずにすんだのに」
景秋は頭を掻く。その言葉に箒は問う。
「やっぱり...お前は...」
「あぁ。この際だ、言った方が楽だろうしな。俺が織斑景秋だ。久し振りだな、箒」
景秋はそう言って微笑む。
「どれだけ...!どれだけ私が心配したと...!」
「ごめん、箒」
「景秋が死んだと聞いて、お前の遺言を聞いて、私は自分を責めた。お前は約束を果たそうとしていたのに...私は...」
箒は景秋に抱き付いて涙を流す。今までの事を懺悔し、景秋へと謝罪する。
「気にするなよ、箒。終わった事だ」
「あぁ、でもなんでIS学園に?」
景秋は気にするなと言って笑う。
「箒、お前との果たせなかった約束を果たしに来た。俺は何があってもお前を守るし、お前の味方でいてやる」
「景秋...ありがとう」
箒の言葉に照れた様に景秋はそっぽを向く。そして時間を見て少し残念そうな顔をした。
「あ~...この時間じゃ授業出れねぇな」
「フフッ...そうだな」
結局二人は授業をサボり、次の休み時間に戻ることにした。
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バレ無いように授業に戻った矢先の事。クラス代表を決める事になった。
「自薦他薦問わない。誰かいないか?」
「私、織斑君を推薦します!」
「私も!」
クラスの色々な人が織斑を推薦していく。そこで織斑が立ち上がり、辞退を申し出る。
「すみません、辞退出来ませんか?」
「無理だ。推薦した者の意見はどうなる」
「なら俺は東雲を推薦する!男ってだけで推薦されるなら東雲だってそうだろ」
織斑の一言で景秋は残りの生徒からの推薦を受ける。
「私も東雲君に」
「「私も!」」
......困ったなぁ...そんなものになるつもり無いんだけど......
「すみません、俺も辞退で。企業の方があるので」
「さっきも織斑に言っただろう。推薦した者の意思を尊重すると」
「いや、俺企業代表の仕事が...」
「それでもだ」
千冬の否定の直後。金髪ロールの生徒が机を叩いて立つ。
「冗談じゃありませんわ!」
「なぁ、箒。あれだれだ?」
「あれは確かセシリア・オルコットだな。イギリスの代表候補生だ」
景秋は席が前である箒に問い、答えに頷く。
「へぇ、ありがと」
「うん」
景秋は箒に礼を言ってオルコットの話に耳を傾けた。
「本来ならこの私が選ばれるべきなのに、物珍しいというだけの理由で無知な男が代表になるなど、いい恥さらしですわ!
貴族である私に1年間味わえとおっしゃるのですか!?大体、無知な極東の猿に代表が務まりますの?実力からいえば、私の方が上でしてよ!!」
「「「...............」」」
オルコットの発言にあの千冬でさえ黙る。周りの生徒や教師ですらオルコットを睨み付けている。
景秋は怒りよりも呆れの感情の方が強かった。
......あの生徒。やらかしたな......
「それに...」
......いや、まだ続けるの?君?......
オルコットが言葉を続けようとした所で織斑が声を荒げる。
「いい加減にしろよ!黙って聞いてれば、好き勝手に言いやがって!イギリスだって同じ島国じゃないか!碌な料理も作ることもできないくせに!」
「なっ!?私の祖国を侮辱しますの!?」
「先に言ってきたのはそっちだろ!!」
二人のやり取りを景秋は残念そうに見ている。
......話ややこしい方向に持って行きやがって...収拾つかねぇじゃねぇか......
景秋は溜め息を吐きながら織斑達に聞こえる声で呟いた。
「ハァ...あ~あ~、高校生にもなって何を低俗な口喧嘩してんだか」
「なんだと!?」
「なんですって!?」
食い付いてきたなと言わんばかりに景秋は笑って言葉を発する。
「だってそうだろ?この話し合いは本来、クラス代表を決める話し合いだった筈だ。
それにメシマズだの極東の猿だのと...お門違いにも程があるぞ。それにな、お前らが乗ってるISは誰が作った?篠ノ之束だろう。
そんで、束博士は日本人だ。オルコット、お前はISの開発者を猿って言ったんだぜ?そういうのって良くはないよなぁ?」
景秋は元々の目付きの鋭さでオルコットと織斑を萎縮させる程に威嚇する。
「さて。これで謝って、はい終わりともいかないだろう?だから提案なんだけど、推薦された俺と織斑、オルコットで総当たりの決定戦をやれば良い。勝ったヤツが全部決める。それでどうだ?」
景秋の提案にオルコットと織斑は頷く。
「それで良いぜ。手っ取り早くてわかりやすい!」
「私も異論はありませんわ」
「これでどうですか、織斑教諭?」
景秋は千冬の方へ向いて問う。千冬は頷いて答える。
「あ、あぁ。問題ない。なら一週間後、アリーナにて決定戦を行う!」
千冬のその言葉で皆は意識を勉強へと移して行った。
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授業を全て終え、後は帰るだけとなった。
「さて、マドカ。帰るぞ」
「うん」
「待って下さい!」
「ん?あぁ、山田先生どうしました?」
景秋が振り返ると、山田先生が肩で息をしていた。
「ハァ...ハァ...ハァ...お、お二人は寮で生活していただきます」
「いや、え...?俺ら社宅の方でって話では?」
「そう伺ってますが、それでも何かあったら困るとの事で...」
恐らく、景秋の目付きの鋭さに、今にも泣き出しそうな山田先生の表情を見た景秋は自分の目付きの悪さを恨み、溜め息を吐いて話を聞く。
「ハァ...それで、俺らの部屋はどこに?」
「こ、こちらのメモに書いてありますから!」
......あぁ、これは完全に俺の目付きのせいだな。ほんの一瞬で目を反らしたよ、この先生......
「そ、それでは...」
山田先生は駆け足でどこかへ去って行き、景秋は受け取ったメモと鍵をポケットにつっこんで寮へと向かった。
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寮の自室に着いた円香と景秋は、いつの間にか運ばれていた自分達の荷物を整理したり盗聴機の有無の確認を終え、ベッドの上で休んでいた。
「円香、盗聴機はあったか?」
「えっと...蛇口の中に一個。クローゼットとかベッドの下に数個。でもそのくらいかなぁ」
「コンセントの中とかありそうだな」
「でも盗聴機があるって事は危険云々は嘘って事になるよ?」
「盗聴機がある事も問題だけど、誰が何の目的で仕掛けたのかが問題だろ」
二人は全部の盗聴機を見つけたとは思えず、ハンドシグナルで話していた。
「どうせ、あの織斑じゃないの?」
「決め付けるのは良くないぞ、円香。この学園の生徒会長様だって確か日本の暗部の人間だ。可能性はある」
円香の言葉を否定して景秋はドアの方へ向かう。
「そっか~兄さんは博士に連絡?」
「一応な。外に出てくる。その間にも盗聴機探しておいてくれ」
「了解」
円香にそれだけ言い残して、一人きりになれる屋上へと向かった。
「さて、姉さん。どういう事だ。なんで箒に俺の写真を送った?」
「結局話すのなら早く正体を話すのが一番だと思ってね。別に送らなくても良かったけど、かー君と箒ちゃんの間にトラブルが起きて、正体が解ってもギスギスしてるのなんて嫌だから。だから送った。ごめんね、嫌だった?」
束の答えを聞いて、景秋は一人笑った。
「いや、姉さんは無駄な事はしない筈だし、それに...後で叱ってやろうなんて思ってたけど、理由聞いて納得した自分がいるからさ。今は何とも思わないよ。......クロエは?」
「もう寝ちゃった。景秋が連絡をくれませんって拗ねてそのまま寝ちゃったよ。明日にでも謝りなよ?」
束の言葉に苦笑いを浮かべて答える。
「勿論。大切な家族なんだ、俺にやれることならなんだってする。後で俺なりに纏めた資料を送るから目を通しといて」
「はいはい、わかったよ~。それじゃおやすみ」
「おやすみ、姉さん」
そこで電話を切る。景秋は背後にいる人に声を掛けた。
「盗み聞きとはあまり関心しませんよ、生徒会長殿」
「あら、バレてた?」
「当たり前でしょう。と言うか、わざとバレる様にしてましたよね?」
「それもバレてるのね...」
景秋は水色の髪色をした少女と対面する。
「それじゃあ、俺はこれで」
「あら、そう?なら、一つ忠告しておくわ。私の学園で好き勝手はやらせないわよ」
「さて、なんのことやら」
景秋は惚ける様に笑ってその場を後にした。
「さて、俺らの目的に気付けるかな?生徒会長...更識楯無」
景秋は狂った様な笑みを浮かべて自室へと戻って行った。
読了ありがとうございました。
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