インフィニット・ストラトス ─名も無き武者は悪鬼となる─   作:4696猫

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 今回、少し詰め込みすぎたかなぁと思ったりしてます。それに景明が少しゲスく感じるかなと...。

 それでは、どうぞ!


第五話:編入生は戦鬼を知っている

 第五話:編入生は戦鬼を知っている。

 

 景秋と束が箒に目的を話した夜から何日か経過したある日のSHRを終えた朝。景秋は睡魔に襲われ欠伸をする。

 

「随分と眠そうですわね、景秋」

「あぁ、セシリア。最近は俺のISの武装設計とか色々立て込んでてな、寝れてないんだよ...クァァ~...眠い...」

 

 セシリアからの言葉に答えている途中で、欠伸をする。景秋の後ろの席である円香がセシリアに景秋が眠い理由を話した。

 

「兄さんが眠いのは自分のISじゃなくて会社の方で作るISの武装設計だけじゃなくて機体設計とOSの開発もやってるんだよ」

「因みにどのような機体で?」

「高速射撃戦に特化した機体。兄さんがセシリアのブルーティアーズ見てからイメージが固まったからって」

 

 景秋は円香の頭を鷲掴みして力を込める。そして口を開いた。

 

「痛い痛い痛い!」

「余計な事を話すな。確かに俺が設計してるのはセシリアのブルーティアーズから着想を得た。けど全くの別物。

 セシリアが精密射撃なのに対して俺が設計してるのは、兎に角弾幕を張るのがメインだ。それにな、設計してて気付いたんだが...」

 

 景秋は円香の頭を離してそのままガリガリと頭を掻いた。

 

「多分、ピーキー過ぎて量産出来ないんだわ。G耐性があれば乗れる機体だけど、女でそうそう居ないからな。多分、性能を二段階位落として漸く誰でも乗れるISになる」

「元々の性能を下げておけば良かったのでは...」

 

 セシリアの言葉に景秋は反対の言葉を伝える。

 

「いや違うんだな、それが。考え方の違いだけど、元々の性能を下げるとその上が無い。つまり人によっては使い辛いものになる。それは何としても避けたいからリミッターを設ける事の方が長く使えるし、個性も出せる。量産機でも専用機に勝てるのが俺の理想だ」

 

 景秋の言葉の後に箒が景秋に話し掛けた。

 

「なぁ、景秋。知っているか?二組に編入生が来たらしいぞ」

「それって多分、代表候補生だろ」

「やはりそうか。セシリアと円香は知っていたか?」

「えぇ。ルームメートがその様な話をしていましたわ」

「私は初耳だな。けど、強ければ問題ない」

 

 箒の問いに二人が答えたとほぼ同時に大きな声が聞こえてくる。

 

「なんだ?」

「行ってみようか」

 

 景秋と箒の会話の後、セシリアと円香を連れて二人は声の主の元へ赴いた。

 

「誰だ、朝から大声を出す阿呆は。こっちは寝不足の人間なんだ。揉め事は外でやってくれ」

「誰よ、アンタ」

 

 景秋は一歩前に出てツインテールが特徴的な少女に文句を言う。その少女はイラついた様に景秋に名前を問う。

 

「人の名前を聞く時はまず自分から名乗るのが礼儀なんだがな...。まぁ、良い。俺は東雲景秋、エヴァンスエレクトロニクスの企業代表だ」

「景秋......なの?」

「ッ...誰の事だ?俺は確かに景秋だが、君とは初対面だ」

 ......どっかで会ったっけなぁ~この子。名前聞けば思い出すかね......

 

 景秋はそう思いつつ誤魔化して名を聞いた。

 

「私は凰鈴音、中国の代表候補生よ。その名前で思い出したけどアンタね、一夏が言ってた武者ってのは」

「あぁ、恐らくは俺の事だろうな」

「なら話は早い。放課後、私と戦いなさい!アリーナは申請しておくから、逃げるんじゃないわよ!」

 

 凰鈴音と名乗った少女はそれだけ言い残して嵐の様に去って行った。

 

「なぁ、箒。なんだったんだ、一体?」

「さ、さぁ?ただ戦いを挑まれたと言う事だけだな。解るのは」

「だよなぁ...お前達との訓練もあるのに...」

「ま、まぁ...アリーナを借りられるのは良いことじゃないか。空いてるスペースで皆と訓練するさ」

 

 残された景秋と箒はそんな会話をして授業の為に席に戻るのだった。

 

─────────────────────

 

 放課後。約束の模擬戦の為に景明達はアリーナに来ていた。

 

「逃げずに来たわね!」

「そりゃストーカー並に後ろ付けられてちゃ逃げるに逃げれないだろ」

「それもそうか。まぁ良いわ。まどろっこしい事は抜きにしてちゃっちゃと始めちゃいましょ。後ろのお友達と訓練するならね」

 

 景秋の言葉に同意しながら鈴は体を解し始める。景秋は棒立ちのまま。

 

「そりゃ有り難い。俺が勝ったらお前にも訓練に混ざって貰う」

「なら私が勝ったらアンタの事、話して貰うから!」

 

 15メートル程離れた二人は、お互いにISと劔冑を纏う。

 

「来なさい、甲龍!」

「千日の稽古を(ちから)とし、万日の稽古を(まもり)まもりとす。以って此れ我が劔冑なり!」

 

 鈴は二振りの青竜刀『双天牙月』を構え、景秋も小太刀と脇差しの二刀流で構えた。

 

「アンタの武装、随分と小さいのね」

「いや何、小回りを重視しただけさ。アンタ相手にゃ大太刀じゃキツそうなんでな」

 

 開始の合図も無しに二人は共に飛び出して脇差しと双天牙月がぶつかり、鈍い金属音を鳴らす。

 

「まずは合格...って所かしらね」

「お誉めに預かり光栄...なんて言うとでも...ッ!」

 

 景秋は左足で鈴の横っ腹を蹴り飛ばして距離を取る。

 

 ......あぶねぇ...気ィ抜いてっと下手やらかせば簡単に折られる......

 

「そら次いくわよ!」

「なら...迎え撃て、ティアーズ」

 

 武州五輪の装甲が青に変色し、腰部に接続されていたティアーズ達は鈴へと射撃を行う。

 

「なによこれ!」

「ブルーティアーズ。俺が初めて手に入れた力だ」

 

 ティアーズ達に阻まれ、鈴は動きを止める。その瞬間を景秋は見逃さず、景秋は鈴へと小太刀を振り下ろした。

 

「この程度で!」

「斬れる筈も無いか...だが、傷は付けられた。なら斬れる」

 

振り下ろされた小太刀を受け止めた双天牙月に罅が走り、欠片が飛び散る。その事に腹を立てた鈴は無茶苦茶に双天牙月を振るった。

 

「さっきまでの冷静さでいられたら俺の勝機も低かったと思う。けど、今のアンタは...怖くない」

「口だけじゃ、格好付かないわよ!」

「そうだな。零落白夜!」

 

 青かった装甲の青みが増し濃紺色に変化。更に装甲の所々が金色に変化し小太刀と脇差しが青白い光を放つ。

 

「IS相手にゃ零落白夜は最強の矛だ」

「それって!」

「気付いたか。でもな、遅い!」

 

 脇差しで罅欠けていた双天牙月を折り、小太刀で鈴本人を攻撃した。

 

「零落白夜最大出力!」

 

 刀身の輝きが増し、ビームサーベルの様に刀身が伸びる。

 

「早速新技だ。雲耀ノ太刀────」

 

 鈴は景秋の異様な姿に警戒し、防御の体勢になる。

 

一閃!

 

 太刀の長さになった小太刀による不可侵の速さによる振り下ろし。最大出力の零落白夜により、甲龍のシールドエネルギーはゼロになった。

 

「俺の勝ちだぜ。鈴」

「そうね...勝てると思ったんだけどなぁ」

「正直、小太刀と脇差し、大太刀のどれでも対処は厳しい位には鈴の力は強かった。俺が勝てたのは既に勝負は終わってたからだ」

 

 景秋のその言葉に激昂し、鈴は胸ぐらを掴み怒鳴る。

 

「私が貴方より弱いって言いたいなら直接言えば良いでしょ!遠回しに言わなくたって良いわよ!こっちだって自分が弱いこと位解ってるのよ!」

「それがお前の強さだ。弱さを認め、それでも尚、強くあろうとする。それが強さだ。けどな、勝負ってのは前提条件で勝敗が左右する。

 それは精神状態、武装、ルール、ISの性能、当人の才能、能力...色々ある。俺はその...千変万化していく無数の数の前提条件...戦況の中で変わっていくモノのどれかが勝ってただけだ」

 

 景秋はそう呟くように告げる。その声は低く鬼の声とも思える声だが、その時だけは...優しく聞こえた。

 

「なんで...アンタなんかが、あの時の景秋と同じ事言ってるのよ」

「さぁな、他人の空似だろ。さて、時間も迫ってきてる事だし皆で訓練やろうか」

 

 景秋のその言葉に今か今かと待ちわびていた皆が一斉に景秋へと飛び付いていった。

 

─────────────────────

 

 その日の夜。景秋は夜風に当たるために一人で屋上に居た。

 

「やっぱりここにいた。貴方、何がしたいの?」

「なんの事ですかねぇ、生徒会長殿」

「盗聴機。何機か仕掛けたのに全部綺麗に焼却されてたわ。何が目的?いえ、何をする気?」

 

 楯無の言葉に景秋は狂気を孕んだ笑みで答える。

 

「俺の目的?決まってるでしょう。俺は俺の為に戦うだけですよ。さて、ここからは交渉の時間です」

 

 景秋はそう言って先程の会話を流す。

 

「脅そうって訳?」

「脅しではありませんよ、言ったでしょう?交渉の時間だと」

「何が目的?私の体?それとも専用機かしら?」

 

 楯無の言葉に反論する形で答える。

 

「いえ、貴女の専用機の情報が欲しいんですよ」

「言うとでも思ってるのかしら?」

「なら俺はこの録音を学校側に提出します。貴女は生徒会長の座から必ず下ろされる。幾ら貴女に後ろ盾があろうと盗聴なんて事、揉み消せますかね?」

「...」

 

 楯無が黙ったのを良いことに景秋は言葉を続けた。

 

「今ならまだ俺と貴女しか知らない。ここで無かった事に出来る。随分と美味しい話だと思いませんか?勿論録音は消します。どうですか?」

「...本来はこんな事しないけど、背に腹はかえられないわ。このUSBメモリに私の専用機の情報全てが入ってる。但し武装とワンオフアビリティについてだけだけど。これで満足かしら」

「.........確かに確認しました。では俺も」

 

 USBを受け取った景秋は記録を確認してポケットに仕舞う。そして録音していた録音機を地面に叩き付け壊す。

 

「これで復元も不可能です。お互いにとって良い話し合いが出来て良かったですね、会長?」

「えぇ、そうね...」

「それではこれで」

 

 景秋はそう言ってその場を後にした。

 

─────────────────────

 

「円香、あの話し合いは録音、録画出来てるか?」

「勿論。一秒たりとも逃してないよ」

 

 部屋に戻った景秋は円香と話していた。

 

「兄さんも卑怯だね。データを壊したフリをして私に録画と録音させるなんて」

「油断するあの人が悪いんだよ。さてこれでミステリアス・レイディのデータは手に入った。

 そのデータ、もしもの為に色んな所でデータのバックアップしとけよ。俺らのスマホ、パソコン、会社、タワマンの俺らの家のパソコンとかにも色々と」

「わかった。スコール達の携帯にも一応バックアップの為に送っとくよ」

「あぁ」

 

 景秋は円香にそう指示してベッドに横になる。

 

「ねぇ兄さん。ミステリアス・レイディのデータなんて手に入れてどうするの。コピー?」

「それもあるけど、一番は敵になるであろう人の情報は持っておきたい。対策が立てられるからな。それに...あの人は日本の暗部だ。必ず敵になる。

 俺の予想だけど、三つ巴になる気がするんだよ。ISを兵器として使いたい世界、兵器としてのISの数を最低限に減らして元の目的で使おうとする俺ら、まだ姿すら捉えられない第三者の組織。この三つ巴になる筈だ」

 

 景秋はそう言って円香に聞かせる。円香は「よくそこまで考えるよな」と呆れに似た感情を抱いた。

 

「その第三者は味方?」

「恐らく敵だ。でも世界の味方でも無い。予想の域を出ないからなんとも詳しくは言えないけど、その第三者は織斑千冬を利用してる奴がボスなんじゃねぇかなぁ...って。目的は...ただ戦争をしたいだけなのか...それともほかに何か目的があるのか...わからねぇけどな」

 

 景秋は円香の問いに答えてから目を瞑った。まるでそれは眠るのではなく、これから起こるであろう大戦の為に策を考える様にも見えた。

 

 

 

 




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 次回、インフィニット・ストラトス ─名も無き武者は悪鬼となる─

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