第1析 『創作者と英雄』
あぁ…幻想の終わりが近づいてきた。
一つの物語の終幕という読み手として見逃せない場面に、僕は立っていた。上条当麻と
初めはただの好奇心から始まった
この世界を訪れた時から、今にかけてを振り返っていた。何一つ変わらないものその姿を見続けた。平凡とただひたすらに平凡で壮大な
『上条当麻』という少年の物語を。
「その幻想をぶち殺す!!」
決まって彼がいつも口にしていた言葉だ。誰よりも弱い癖に、誰よりも
困った人を見過ごせない…典型的な度の過ぎたお人好し。生まれ持った特異な右手により、いつも不幸な目にあっているのに、どんな時も笑顔のままだった。自分の不幸よりも他人の不幸が許せない。普通の思考を持ったものからすれば狂気の沙汰。自身より他人が大切という、下手をすれば破綻者と相違ない考えに一種の恐怖を感じた。
自身の命とその他大勢の命を天秤にのせられても、彼は喜んで命を差し出すだろう。
理解できなかった。全てを解析する僕の
正体不明、理解不能に陥ったことなんて初めての出来事だった。幾つもの世界を巡り、その全ての存在、事象を解析したこの能力でさえ、彼の心まではわからなかったようだ。
この胸の高鳴りはそういうことだろう。子供が玩具を与えられて喜んでいるのと同じ、心が喜んでいる。
そんな主人公である彼に、私は大変興味を持った。
彼の運命がそうさせるのか、それとも彼が運命を引き込むのか、何時もなし崩し的に戦いに巻き込まれる。特異な右手以外、特に一般人と大差はない。そこらにいる
しかし、どんな強敵であろうとも怯むことは無かった。命を失う危険もあっただろうし、逃げ出したい時もあっただろう。それでも彼は敵に対して、逃げ出すことなど何一つ考えてなどいなかった。
炎の巨人や聖人、魔神程の力を持った修道女。学園都市第一位、全能とも言える力の持ち主達とも、その全てを己の力でひっくり返してきた。
幸も不幸も関係ない。ただその身一つで、成し遂げる勝利の軌跡。僕が惹かれた彼の背中はこの世界よりも大きなものだった。
いつしか私は彼のファンになっていたらしい。何事にも興味を持ったなかった僕が唯一、何よりもずっと見ていたかった者。
だけど…物語というのはいつしか終わるもの。ずっと見ていることなんて出来やしないんだから。
「どうやら僕はここまでのようだ。」
上条当麻の
身体が光に包まれる。
「神野…お前!!身体が!!」
「上条当麻。どうやら奴はここまでのようだ。」
突然の友人の変化に叫ぶ当麻。
オティヌスもまた、芸夢の状態を察したらしい。
芸夢は世界であり、この世界の異物。外なる世界より来たもの。別世界のものが混じり込めば、世界はそれらを押し出そうと抑止をかける。芸夢は今日までそれらの抑止を抑え続けてきた。遂に限界が訪れ、世界線の修正が始まる。
「こんな気持ちは久しぶりだった。幾つもの世界を巡り、その物語を見尽くしてきたというのに。どうやらこの世界は、これ以上を僕を受け入れたくないらしい。
全く…読み手としては最後まで見ていたかったが、ここで終わりだ。栞を挟む暇もないし、またこの世界を見ることも叶わないだろう。だからこそ、最後に一つ問いたいことがあるんだ。」
「なんだ?」
「僕は…君のようなヒーローになれるかな?」
本心。ずっと憧れ、遠い過去に置き去りにしたもの。最後の最後に振り絞った一つの問い。何事にも興味はなく、ただその場に存在するだけだった少年の嘆き。
全能とも言える能力を有してる芸夢が、全てを投げ打ってまでなりたかったもの。
唐突な問いに、一瞬顔を歪める上条。だが、何だが照れくさそうにうっすらと笑い、
「わかんねぇ。けど、お前がなりてぇもんならなれるんじゃねぇか?
俺は馬鹿だから、ヒーローだとかそんな事に拘ったこともないし、ただ勝手に身体が動いてただけさ。
できるとかできないとか色々あるだろうけど、これだけは言える。
お前がそんなこと悩んでるだったら俺はその
拳を握り、芸夢の眼前に突き立てる。上条らしい答えだった。だからこそ、安心したのかもしれない。
迷いも晴れた。芸夢の幻想は、打ち砕かれた。
「やっぱり…そう言うと思ったよ。だから安心した。
そうだ。もし黒子ちゃんに会うことがあったらこう言って欲しい。
『答えは得た。』とね。
ありがとう。さようならだ、
「あぁ、ありがとな。神野。」
「ではな。
満足した笑みを浮かべながら、神野芸夢は光の粒子となって消えた。その背中はなんの迷いも後悔もない事を、上条とオティヌスは感じとった。
創作者と英雄の物語はここで終わった。
だが終わりは、新たなる物語の始まり。答えを得た彼が訪れるは、それはおそらく…上条当麻のようなヒーローがいる世界であろう。
とあるシリーズの物語を終え、次は僕ヒロの世界へと進む感じになります。
余りにも無謀かもしれませんが、応援よろしくお願いします。
主人公のもう一つの能力を決めようと思うので、投票の方をおねがいします。(一つ目は一方通行です。)
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