転生から小2まで
いきなりですが私は転生するらしい。どうやら私が間違って死んでしまったということで転生すると言うことらしい。ちなみに死んだ時の痛みは覚えている。
転生先はインフィニット・ストラトスという世界に送られるらしいのだが、意味が分からない。神様って名乗る精神科に行った方が良いと思われる美人な女性がそう言ったからだ。
美人なだけで残念な人だ。自分の事を神って言っている時点で脳に異常が起こっているわけなのに更に横文字の世界に転生させる?どう考えても
「やめて、それ以上私を苛めないでください!それに私は正真正銘の神様なんだって!」
異常過ぎる。……?声に出してないのに私の貶しに対して肯定している。
「いや、肯定してないから!否定してるの!それにこの空間にいてそんな冷静だなんて、異常なのはアナタも一緒だよ!」
むっ!失敬だな。私が異常なはず……いや、異常なのか?
「反論なく異常って認めるんですか!?」
おかしいな。喋ってないのに会話が成立してる。この人はまさか───
「ようやく、私のことを────」
変態か
「違います!!そして、何故変態になるんですか!!私は神様なんです!!もういいです!此方で勝手に特典を決めさせて貰います!とっとと行っちゃってください!!」
……勝手に決められても困るんだけど。横文字の世界とか行きたくないよ。
私がそんな事を心の中で思っていると突然の浮遊感。下を見ると真っ暗な空間へダイブしていることに気がつく。
◇◇◇
「最後の最後まで表情を変えませんでしたね。それに無口で声すら聞けませんでした」
むむむ、と唸り、私は特典について考えます。無口で表情を変えない。………あっ、それならあのキャラを元にすればいいんじゃないですか。
「ふふふ、散々貶されたんです。此方も復讐を兼ねて特典を付けましょう」
自分でも悪役じゃんと思うぐらいの笑いをしていた事に気がついた。
◇◇◇
やあ、織斑千夏(ちなつ)5歳です。先に言っておきますが私は男ですよ?確かに女の子に付ける名前ですが、男です。大事な事なので2回言いました。容姿は黒髪のロングで……女顔。けど、私は男なのだ。
話が逸れましたね。あの電波美人が横文字の世界に転生するとか言っていましたがどうやら普通の世界です。普通なのですが、アニメの世界らしんですよね。あの電波で脳に異常がある美人がそう言っていました。どうやら彼女は電波を送信できるらしく、私の頭の中に送ってきたんですよ。その際に誤って受信したのか私が貰った特典とやらを聞かされました。
一つ目は、ユークリウッド・ヘルサイズの容姿で黒髪。全く意味がわかりません。誰なのですか?その方はヘルサイズというのですから死神の方でしょうか。
二つ目にユークリウッドさんの能力。詳しく説明すれば、手には傷を治す力。言葉の力。ですかね。後は、これを使うと代償として頭痛が来るようです。傷を治した時はその痛み。言葉の力は私が言った言葉を対象の相手に対して強く思えば発動するようです。ただし、『死ね』や『腹を切れ』、『あいつを殴れ』などと言った自傷行為や、他者を傷つける行為は出来ないらしいです。これも使用すれば頭痛が来ます。ユークリウッドさんには感情を出すと周りの運命を歪めるというのもあったらしいんですが、私には無くしてくれたそうです。まあ、滅多なことで感情を表に出さないですがね。
三つ目はセラフィムという方の身体能力でした。しかし、この人の身体能力は凄いですね。体が葉っぱのように舞うことが出来ますよ。
まあ、詳しい説明はこれぐらいにしましょうか。ああ、言い忘れてましたが。私の家族は姉と双子の弟のみです。両親は蒸発しちゃいました。私としては両親は居て欲しかったのですけどね。
「ちなつにい、なにかんがえてるの?」
『特に何も考えてない』
「ちなつにい、なんてかいたの?ぜんぜんよめない。ちふゆねーなんてかいてるのかおしえてー?」
ああ、言い忘れてましたがまだありました。私は、『はい』などといった簡単な言葉は口にしますがそれ以外の意思表示は筆談ですので。理由は特典の能力が万が一、誤って発動するのを避けるためです。まあ、自分で言うのもなんですが感情をコントロール出来るので滅多なことでは誤発しないと思いますね。因みに私が使用する愛用のペンはユークリウッドさんと同じで鎌になる不思議なペンだそうです。これもまた電波美人が送ってきたものです。
「特に何も考えてない、だ。千夏お前は何故言葉に出さないで筆談する。そして、何故、お前はその年で漢字まで使えるんだ」
『長い言葉は疲れる。後、本を呼んでいればこの程度余裕』
はぁ、と溜め息をつく姉さん。本当の理由は違うけどそんな事は口に出さないし、書かないからね。一夏はまだ小さいため訳が分からないようだ。
『それより、姉さんは部屋を綺麗にした?』
私は知っているのだぞ。姉さんはプライベートではとてもだらしないと言うことを
「……………勿論だ」
『その間は何?』
「ちふゆねーのめが、みぎむいたり、ひだりむいたりしてる」
一夏それは嘘をついている時の姉さんなんだよ。私はそれを見て立ち上がる。
「ま、まて千夏!部屋の掃除は自分ですると──」
「ダメ」
私は言葉の力を使い、姉さんに向かって言う。しかし、思うことがあるんだがあまり効果がないような気がするぞ。この力は。因みに頭痛はきてます。ただし、あまり痛くはありませんね。
「おー!ちなつにいのきれいなこえ、ひさしぶりにきいた」
一夏は私の声を聞いて喜んでいる。
ふむ、何故だ?そして、姉さんは何を悶えているのだ。まあ、今は姉さんの部屋の掃除をする事にしよう。教育を兼ねて一夏を連れて行こうか。
『一夏、掃除のコツとか教えるから………』
ぐしゃぐしゃと今書いた紙を丸める。そうだった。一夏はまだ漢字を読めないんだった。なのでもう一度書き直す。
『いちか、そうじのコツをおしえるからついてきて』
「おー、ちふゆねーやちなつにいのやくにたてるようになりたいからよろこんでついていく」
一夏なんて良い子なんだ。この歳で家族のために頑張る5歳児は一夏だけだよ。ん?私はかって?前世を含めれば余裕で成人だよ。
私の後をトコトコとついてくる一夏はとても可愛らしかった。
因みに一夏は教えたことをスポンジのように吸収してくれるから楽に覚えてくれるんだ。全く、素晴らしい弟だよ。勿論、姉さんも素晴らしい姉だからね。家事以外は。
◇◇◇
キングクリムゾン!
はて、何か電波を出している美人の声が聞こえましたね。まあ、どうでも良いんですがね。現在私は一夏と共に小学校の入学式に出ております。
保護者席には千冬姉さんと……天災が居ますね。おそらく、妹さんを見に来ているのでしょう。
「おーい!箒ちゃんになーくん、いっくん!!コッチを向いてー!」
「束!周りの迷惑だ!少し黙っていろ!」
ギリギリと何かが軋む音が此方まで聞こえてくる。
ふむ、頭蓋骨の軋む音か。私は冷静に何が起こっているのかを予想する。隣にいる一夏は気になって仕方ないようだが
『一夏、気にしてはダメ』
一夏の肩を叩き、メモ用紙を見せる。一夏はひらがなを完璧に覚え、ある程度の漢字なら読めるようになった。しかし、難しい漢字にはフリガナをつけて書く。
「でも、恥ずかしいんだよ」
『無関係を貫き通せ。それが最善』
チラリと私は天災の妹さん事、篠ノ之箒ちゃんを見る。後ろの天災のせいかとても恥ずかしそうにしていた。
ふむ、ドンマイだ。と心の中で励ました。まあ、本人には聞こえないのだがね。
「ちーちゃんそろそろ、中身がぶちまけ─────」
そこから天災の声が聞こえなくなった。
◇◇◇
さて、クラスの自己紹介なのだが……どうしようか。取りあえず、千冬姉さんが先生に言ってくれたみたいだから黒板に書けばいいか。
「織斑千夏くん、自己紹介お願いします」
いつの間に一夏が終わっていた。まあ、考えてもしょうがないか。そう思い、黒板の前まで歩く。やはりと言っていいのか事情知らない生徒は何か言っている。一夏と箒ちゃんは私の事を知っているからただ見ているだけだ。そして、私は黒板に自己紹介を書く。
『初めまして、織斑千夏。性別は男。趣味は読書と家事。皆さんよろしく』
流石にフリガナをつけて書く。平仮名は大体読めるだろう。
チラリと先生の方を見ると凄く驚いていた。おそらく、漢字のことだろう。本を読めばこの程度余裕だろうに。
「何で喋らないの?」
少女Aから質問が飛んできた。まあ、普通の反応だよな。
『長い言葉は疲れるからあまり喋らない』
「女みたいに髪伸ばしてやんの」
少年Aが私の見た目のことを言ってきますが、好きでロングにしている訳では有りませんよ。一度だけ、髪を切ったことがあるんです。その時に千冬姉さんが後ろに阿修羅を出したんだ。その場は髪を切らないので怒らないでとお願いし抑えて貰いました。流石に私が表情を変えないからといって阿修羅は危ないです。私は表情を表に出しませんでしたが結構怖かったです。一夏に関しては大泣きでした。それ以来、一夏を泣かせない為に髪を切ってないんです。
『髪を切ると姉が阿修羅を出すので』
そう答えると一夏だけが反応した。勿論、怯えて体をガタガタと震え上がっている。おそらく、髪を切るという文字にアレを思い出したのだろう。
私は自己紹介を終えているので一夏の近くに行き、周りに聞こえないように耳元で
「大丈夫」
と言い、一夏を安心させた。私が席に着くと箒ちゃんが此方を向いていた。……何だろうか?私は不思議に思いながらも、この自己紹介が終わるのを待った。
◇◇◇
またまた、キングクリムゾン!
……もう、気にしません。あれから1年が経ち小学校2年生です。義務教育が終わるまで後7年……先は長いです。
まあ、それはおいておいて今、私はとても視線を感じています。犯人は箒ちゃんです。接点と言えば、私と箒ちゃんはちょくちょく会うぐらいです。一夏と千冬姉さんは道場で会っているのでそれなりの仲なのだと思います。それにしても視線が気になりますね。
「夏兄どうしたの?」
『なんでもない。それより、道場の方はどう?』
私が道場の事を聞くと一夏は楽しそうに話してくれる。千冬姉さんの事が大半でとても強いということがわかる。
一夏はシスコンだな。と思う。まあ、仕方ないことだ。家族が私と千冬姉さんだけなのだから自然とそうなるだろう。ん?私はかって?勿論、ブラコンとシスコンの自覚はあるよ。何も隠すことはないしね。
「おーい、男女~。今日は木刀は持ってきてないのかよ~」
「……竹刀だ」
「へっへっ、お前みたいな男女には武器がお似合いだよな~」
どうやら、箒ちゃんに突っかかっている男子達がいる。それにしても1人何かで喋りかけてきたような……ああ、あの自己紹介の時の少年Aか。それにしても、集団で女の子を虐めるなんて。
私は、胸くそ悪くなり、止めようとする。しかし、一夏が私より早く止めにかかっていた。流石は私の弟だ。弟の成長を見て感動する。
「なんだよ織斑、お前こいつの味方かよ」
「お前、男女のこと好きなのか?」
そこから一夏と男子達が口論になる。
しかし、男子の一言により一夏はキレる。
「この前なんか、こいつリボンしてたもんな!男女のくせによー。笑っちまう───ふごっ!?」
一発だけでは済まず、顔面に拳を叩き込む。しかし、流石に不味いと私は判断し、一夏の拳を止める。
『一夏、流石にこれは駄目』
「夏兄!なんで止めるんだ!」
『だから、これ以上は』
そこで書き終える前に、私の耳にある言葉が入ってきた。
「痛ぇな!織斑!お前なんかそこの男女と『死んじまえ』!」
今、この男子はなんて言った?死んじまえ?コイツは死ぬ痛みを知らないで軽く口に出した?
パチィン!
私は思考よりも体が先に動いていた。男子の頬を平手打ちしたのだ。
その場にいた誰もが驚いていた。勿論、一夏もだ。
『”死ね”なんて軽々しく言うな』
「なんだよ!お前も死んじまえよ!」
再び平手打ちをする。男子は怒り出し、私を殴ってきた。思考と体の動きが合わなくなった事に対し混乱していた為、顔に当たった。口からは血が流れており、どうやら口を切ったようだ。
「てっめぇ!!よくも、夏兄を!」
一夏が男子に掴みかかろうとするが、私はそれを止める。
『此処で騒ぎになれば千冬姉さんに迷惑がかかる。だから、私がこの場を終わらせる』
どうやら殴られたお陰で混乱が解けたようだ。取りあえず、この男子達には
「謝って」
学校で初めて声を出した。学校では意思表示がめんどくさく、返事などは手を挙げるなどしてきたから今回が初めてだ。周りに生徒があまりいなくて助かった。勿論、言葉の力を使っている。対象は箒ちゃんを虐めていた男子達。
「「「ごめんなさい」」」
『謝る相手は私じゃない。箒ちゃんだ』
男子達は箒ちゃんに謝る。これで事は済むと思った。しかし、丁度良く通りかかった教師が私が自分でも思っていないぐらい口から血を流しているのを見て慌てて駆け寄ってくる。一夏はその先生に私を殴った奴のこと、箒ちゃんを虐めていた男子達のことを話した。
この時、なんで血の処理をしなかったんだと嘆いた。
そこからは保護者を呼ばれ、面倒な事になった。私が怪我をしたと聞き、千冬姉さんはやはりと言っていいほど怒っていた。たかが口を切った程度で魔神を召還していた。お陰で男子達のバカな保護者を黙らせた。しかし、魔神を召還済みの千冬姉さんは止めるのに苦労した。
◇◇◇
私の名前は篠ノ之箒。決して掃除用具の道具ではない。今は、掃除の時間で言ってしまったが……まあ、それはそれとして、私の視線の先には何時も千夏が映っている。何故かというと彼が不思議だからだ。
一夏とは道場で会っているのでそれなりにわかっているが千夏の方は全くといってわからん。ただ、わかっていると言うことは筆談で会話をする事だ。最初は病気で声が出せないのかと思っていたが、本人が『喋るのが疲れるて面倒』と書いたのだ。更に、千夏は表情を変えることがない。少し気味が悪い。無表情で無口。一夏に話を聞けば、声は聞いたときがあると言っていたが表情は変えたときがないと言っていた。ちなみに声の綺麗さを散々聞かされた。
「おーい、男女~。今日は木刀は持ってきてないのかよ~」
「……竹刀だ」
「へっへっ、お前みたいな男女には武器がお似合いだよな~」
コイツは何が言いたいんだ?
そんな事を思い、聞いているとどうやら私を男みたいな女ということでからかってきたのだ。しばらく、言われ続けると一夏が止めに入ってきた。千夏の方を見るとただ、見ているだけ。そこまで、貧弱なのかと思っていると
「この前なんか、こいつリボンしてたもんな!男女のくせによー。笑っちまう───ふごっ!?」
一夏が殴ったのだ。そして、追撃にもう一発を顔面に入れようとする。しかし、止められていた。千夏によって。私はあのタイミングを止めるのかと驚いた。どう考えても完璧に決まる一撃を止めたのだ。
『一夏、流石にこれは駄目』
「夏兄!なんで止めるんだ!」
一夏は何故止めに入ったのかと兄に怒鳴りつけている。今の一夏の迫力は私でさえも退くと思うのに、千夏は表情を一切変えずにいる。
『だから、これ以上は』
「痛ぇな!織斑!お前なんかそこの男女と『死んじまえ』!」
男子の言葉で千夏が動きを止め、男子の方を向き
パチィン!
平手打ちをした。この時、私は驚いた。いや、私だけではない。一夏ですら呆然としていたのだ。あの無表情の千夏が”怒っていた”のだから。
『”死ね”なんて軽々しく言うな』
「なんだよ!お前も死んじまえよ!」
更に千夏は平手打ちをするが。男子は何もしないと言うわけはなく、千夏を殴った。
千夏は口から血を流しており、血が床に滴り落ちていた。おそらく、深く切っているようだ
「てっめぇ!!よくも、夏兄を!」
千夏が殴られたことに怒り、再び殴ろうとする一夏。しかし、またもや千夏に止められる。
『此処で騒ぎになれば千冬姉さんに迷惑がかかる。だから、私がこの場を終わらせる』
千夏の一言で一夏は止まる。そして、千夏が男子達の方を向き
「謝って」
初めて千夏の声を聞いた。一夏からは聞いていたが、予想以上に綺麗な、耳残るような声だ。もっと聞いてみたいと思ってしまった。その声で私の名前を呼んで欲しいと思ってしまった。千夏の言葉には素直になってしまいそうだ。
そんな事を思っていると先程まで私に対してとやかく言っていた男子達が謝ってきた。突然の事で驚いた。おそらく、千夏の声が動かしたのだろう。私は、千夏と一夏にお礼を言おうとするが、丁度良く通りかかった教師が千夏の血を見て慌てて事情を聞き始めた。一夏が何が起こったのか事情を説明し、そのまま職員室に連れて行かれた。
……いつお礼を言えばいいのだろうか。一夏は道場で言えるが千夏とは学校か家に行くぐらいしか会えないのだが。どうしたらいいのだ。