現在私と箒ちゃんの部屋にて何故か一夏と鈴ちゃんの喧嘩が勃発しております。
2人に理由を尋ねれば、私と箒ちゃんに見てて欲しいそうだ。どちらが悪いのかを。
傍迷惑な。
そんな事を思いながら箒ちゃんの方を見ると、全くだと言わんばかりに頷いてくれた。
すると、喧嘩がヒートアップしていき
「なんだと!この貧にゅ───」
鈴ちゃんの禁句を言いかけた瞬間、一夏の顔すれすれの所に拳が打ち出されていた。
「言ったわね。言ってはいけないことをッ!」
「わ、悪い今の『は』オレが悪かった」
「今の『は』?今の『も』よ!一夏のバカ!もう口なんて聞いてやんないんだから!!」
鈴ちゃんはそう言い扉を強く閉めて出て行った。
「所で、一夏。何故喧嘩になったのだ?」
箒ちゃんが喧嘩の原因を一夏に聞く。
私の予想だと一夏の勘違いで、約束を違った捉え方をしていることだろう。具体的には酢豚の件
「鈴が転校するときに料理が上手くなったら毎日酢豚を奢ってくれるって約そ───」
一夏が続きを言おうとした瞬間、恐ろしいほど無表情の箒ちゃんは一夏を部屋の外に出し
「馬に蹴られて死ね」
そして、扉を閉めた。
そんな箒ちゃんを見て私は暫く何も考えることが出来なくなるほどの恐怖に襲われた。
その日の夜は余りの恐怖に抱き枕を強く握り締め続けた事だけを記そう。
◇◇◇
それから、クラス対抗戦まで、鈴ちゃんと一夏は一切話すところを見ていない。鈴ちゃんは私と箒ちゃんに相談するためにちょくちょく部屋に訪れるがまだ一夏と話す気は無いようだ。というよりは、一夏が謝るまで話さないと私と箒ちゃんに愚痴っていたのだ。
一夏というと、別に何も無かったかのように過ごしていた。
私は少しだけ鈴ちゃんの事を聞いてみるが、
「話しかけるなって言われたから話さない方がいいんだよ」
と言ったので取り敢えず脇腹を思いっきり殴っておいた。
まあ、色々なことが渦巻いた中、クラス対抗戦が始まろうとしている。
何の因果が一回戦は一夏VS鈴ちゃんという組み合わせになっている。恐らく専用機持ちだからぶつけたっぽいけど……そう言えば四組にも専用機持ちがいるって聞いたんだけど。そんな事を考えている内に試合が始まっていた。
一夏は、何とか近距離戦に持ち込もうとするが、見えない攻撃により、距離が詰めれなく攻撃が出来ない。対して鈴ちゃんは、見えない攻撃を撃ちまくっている。
ジッとモニターを見ているとセラがプライベートチャンネルを繋いできた。
『千夏殿、外にISの反応が確認出来ますが、どうしますか?』
(IS学園関係?)
『いえ、所属不明です』
……恐らく、一夏のISを奪いに襲ってくるのだろう。
もしかしたら、あの人たちかもしれない。あの変態さんと、お、オームさん?だっけが
もし、そうだとしたら…
私は皆に気付かれないようにその場から出て行く。
◇◇◇
外に出るなり私はサイレント・サイズを展開し、愛用のペンを鎌に変化させる。そして、ISが来るであろう予測地点、アリーナの真上に待機する。
『千夏殿来ます!』
セラがそう言うと此方にISが向かってくる。私は先手必勝とばかりに鎌で切りかかるが腕の鋭い何かで防がれる。そして、もう一方の腕を振りかぶったのを見た瞬間、後方に避ける。
後方に下がり、一旦距離をとる。そして、相手の姿を見て私は固まる。
その理由は────
「───くま?」
そう、クマが空を飛んでいるのだ。しかも学ランを着ている。
突然の事に思わず声を出してしまった。それくらい驚いたのだ。
『あ、あれは!?』
セラが何かを知っているような雰囲気で叫ぶ。私は知っているのと聞くとセラの返事は
『あれは、悪魔男爵クマッチです!』
「………………」
唐突なセラの発言に呆れてしまう私。
セラってこんな性格なのと思わず考えたくなる程の発言だ。
……けど、取り合えずばアレを倒してしまってもいいと言うことだ。
アレが本当にISかどうかは疑問だが。
相手のクマは高度な知能があるのか私の様子を窺っているように見える。
すると、クマが突っ込んできた。私はそれに対してカウンターするように鎌を振るうが、クマは学ランを脱ぎ捨て、私の視界を奪う。そして、左側から衝撃が伝わってくる。
「カハッ!?」
『千夏殿!?』
私はクマの攻撃を直撃しそのまま、吹っ飛んでいく。ある程度の距離を飛ばされ、その場に静止する。
普通の獣のように本能の赴くままに動くのではなく、考えて動いているようだ。そう思いながらもクマの方を向くと何故か学ランを着ている途中だった。
私は何故かイラッとしてしまった。殴られた後に追撃が出来るはずなのに学ランの方に行くという余裕に対して苛ついたのだ。
「セラ、リミッターを一つ解除」
『……………了解です。十秒お待ちください』
少し間が合ったけどどうしたのだろうか?
リミッターを解除している間クマはシャドーボクシングをしている。
明らかに舐めている。先程の攻撃で自分が優位だと思っているのか?あれは、虚を突かれただけだ。対策でも幾らでも出来る。けど、あのクマとてもイラッとくるのは何故だろう。
『リミッター解除しました。無茶はしないで下さい』
私は無言で頷き、構える。そして、正面から突っ込む。リミッターを一つ解除した状態はイグニッション・ブーストの半分の出力が常時出ている。その状態で瞬間加速(イグニッション・ブースト)をすれば通常の1.5倍程のスピードが出るだろう。
正面から突っ込んで行ったことに対してクマはカウンターをするための攻撃をして来る。しかし、私はクマの拳が打ち出された瞬間、瞬間加速で真横に移動し、攻撃を避け、もう一度瞬間加速を使い、クマの後ろに行く。クマの後ろに行った際、私はその場で止まり、クマの首に鎌を当てる。
そして、鎌を思いっ切り振り切る。
クマの首は綺麗に切られ、宙を舞った。
『…………………死神…いえ、千夏殿は女神でした』
セラが何かを呟いたが聞こえなかった。
首をはねられたクマはそのまま機能を停止し、落下する。落下する際に空中で小規模な爆発が起こり、残骸がなくなる。
一段落着いた。そう思った瞬間
『ッ!?千夏殿上です!!』
セラの言葉が聞こえた瞬間、上から強い衝撃がきた。
そのまま、上から来たISは私を押し続け真下にあるアリーナに落とされる。
ドォンという凄まじい轟音が鳴り響き、私と上から襲ってきたISはアリーナの地面に落ちる。
私は何とか地面に落ちる前に抜け出したので地面に叩きつけられ、あのISの下敷きになることはなかった。
しかし、余りにもダメージを受けすぎた。サイレント・サイズの装甲は鉄板同然。あのクマの攻撃ですら相当のダメージだった。それに加え、あの重装甲のISの拳をまともに受けてしまった。故に────
(全身痛い)
「夏兄大丈夫!?」
「えっ!?千夏なの!?」
一夏と鈴ちゃんが私の姿を見て、駆け寄ってくる。鈴ちゃんはISを展開した時の私を見たときがないせいか私とは認識出来なかったようだ。それはそうだ、友人がISに乗ったら銀髪赤目なるなんて誰も思わない。そんな事を考えながらも敵から視線を逸らさない。
『大丈夫』
鈴ちゃんは突然空中に文字が浮き上がってきてことに更に驚いている。
「けど、夏兄ボロボロじゃないか」
「確かに、何でそんなにボロボロなの」
『ボロボロじゃない』
「いや、ボロボロ────」
『ボロボロじゃない』
一夏が何かを言いかけたが、私はそれを遮る。
こんなのボロボロじゃない。まだ、攻撃は2発しか食らってない。
『それより、アレを倒さないと』
「千夏、アレは何なの?」
『知らない』
知らないのかよと言う2人のツッコミがあったが、私は綺麗にスルーする。
そして、私は所属不明のISに突っ込んでいく。鈴ちゃんは速っ!?と私のISのスピードに驚いている。
私は先程のクマにしたことと同じ様に相手の後ろに回り込み、首を切る。
「「………うわぁ、死神」」
2人は何か言ったようだが、距離があったせいかぜんぜん聞こえなかった。
私はクビをはねたことに油断していたせいか、相手がまだ動けることに気付かず───
「夏兄!危ない!!」『千夏殿後ろです!!』
捕まった。
不覚、先程のクマはクビをはねて爆発したからそれと同じと思っていた。
自身に言葉の力を使おうとするが強く握られているせいか声が出ない。
さて、どうするか。そう考えていると、物凄いスピードで一夏が突っ込んできた。
「───オオオッ!」
一夏の手には雪片弐型が強く光を放っており、シールドエネルギーを纏っているのか一回り大きくなっている。
そして、私を掴んでいる腕を切り落とし、胴体にも一太刀浴びせた。
けれど、これでは倒せない。
そう思った瞬間、四つのビームが相手を貫いた。
「流石はセシリア」
一夏はまるで来るのがわかっていたかのようにセシリアにそう言った。
「ふふ、当然ですわ」
満足そうに言うセシリア。
『何でセシリアが来ることがわかったの?』
私は尤もな疑問を一夏にぶつける。
一夏は笑顔で答えてくれた。
「そりゃあ、セシリアって仲間思いだと思ったから助けにくるかなって」
……どうやら勘だったようだ。
笑顔でいる一夏を見ていると
『千夏殿!まだ、倒せていません!』
セラの言葉に私はISの方を向く。すると、残った片腕で最大出力のビームを溜めており、どうやら溜め終わったらしく、ビームを放とうとしていた。
(一撃必殺の鎌)
ISは最大出力のビームを放った。私はそれに向かい、一撃必殺の鎌を振るう。全身が痛むがそんな事を気にしていられない。私はこの攻撃を防ぐために能力を惜しまずに使う。
「この攻撃を確実に防いで」
そう自分に言う。
そして、私は意識を失った。