日本国に大量のミサイルが飛んでくる事件は束さんが開発した『インフィニット・ストラトス』通称『IS』の白騎士によって解決された。ミサイル撃墜後には大量の戦闘機や戦艦などといった軍事兵器を無力化していった。後に、白騎士事件と呼ばれる。
ただ、ISは女性にしか反応しないことがわかった。その事から女尊男卑の世界がうまれるであろう。
ISが正式に発表され数ヶ月。学校からの帰り道1人で歩いていると公園のベンチに座っている束さんを見つける。束さんは世界中から指名手配されているはずだ。なのに何故此処にいるのだろう。そう思い私は束さんの方へ向かう。束さんは私を待っていたようで突然、質問してきた。
「ねぇ、なーくん。この世界は楽しい?」
考えることなく答える。
『普通』
私の素直な答えに束さんは笑い始める。というよりは笑い狂う。そんなにおかしな事を書いたろうか?
「あははは、ゴメンね。全く予想してない答えが返ってきたからさ。……そっか、なーくんは普通なんだ」
『この世界は普通なだけ。私が関わってきた千冬姉さんや一夏、箒ちゃん。それに束さんは最高。みんなと過ごした時間は楽しかった』
「……また、予想外な答えだよ。やっぱり、なーくんは読めないな。なーくん、私は雲隠れしてるんだ。まあ、世界中を回ってるだけだけどね」
『では、お土産は満漢全席』
「あははは、やっぱりなーくん面白いな。お土産が満漢全席って。わかったよ。次、会うときまで作れるようになろうかな」
『よろしく』
「なーくんこそ食べ切れなきゃ許さないからね」
じゃあねと言い束さんはニンジンに乗り何処かに行ってしまった。寂しくなるな。そんなことを思い、ニンジンが行った方を眺めていた。
ニンジンが飛んでいった方を向いていると空から手紙が落ちてきた。私はその手紙を掴む。手紙には『なーくんへ』と書いてあった。おそらく、束さんからだろう。そう思いながら手紙を開く。
手紙の要点はこうだ。
ミサイル撃墜したときのなーくん格好良かったよ。
満漢全席は必ず作れるようになるからなーくんもちゃんと食べれるようにする。
なーくん愛してるよ。
……この手紙何時書いたの?あの一瞬で書いたわけだよね。だって満漢全席の約束が書いてあるし……深く考えても無意味か。ミサイル撃墜はやっぱり気付かれてた。それよりも、最後のはよく臆面もなく出来るなと関心する。何故というとキスマークを付けているからだ。束さんには恥ずかしいという感情は無いのだろうか。私なら恥ずかしすぎてそんな事出来ない。
そんな事を思いながら帰路を歩く。
◇◇◇
白騎士事件の後大きな出来事の一つで箒ちゃんが引っ越してしまったことだ。。篠ノ乃束の家族ということで重要人物保護プログラムというせいだ。政府の意向ということなのでどうすることも出来ない。
一夏も納得いかないという表情をしていたのは覚えている。私だって納得していない。けど、仕方ないことだ。
別れの際、私は再会できる為の願掛けに箒ちゃんにリボンをプレゼントした。箒ちゃんに似合うリボンだ。一夏は自分が使っていた竹刀を渡していた。
この後、私は一夏説教をした。女の子に竹刀を渡すとは、将来女の子に何かをプレゼントするときに大変になるだろうと思いしたことだ。
そして、もう一つ大きな出来事は転校生が来たことだ。
鳳鈴音──中国からの転校生だ。鈴ちゃんは一夏に好意を持っている。惚れた理由は、イジメから救い出された事だ。転入して間もない頃、中国人だからといって、イジメが起こったんだ。私はその場に居ないときだった。その時に一夏が助けてくれたらしい。聞いた話によると一夏は穏便にその場を済ませたらしい。私は一夏の更なる成長に感動したのは言うまでもない。ただ、一夏本人は気付いていない。誰でも気付くであろう好意に気づいていないんだ。この鈍感め。
私は鈴ちゃんに色々とアドバイスをしているのだが……
「千夏ぅ~!今回もダメだったぁ~!」
『鈴ちゃんは素直になるべき』
第30回一夏とくっついちゃおう作戦は失敗に終わったのだ。この作戦の八割は鈴ちゃんのツンデレな性格により失敗、残り二割は一夏の勘違いという名の鈍感で成り立っている。実の所は30回も作戦を決行しているのに私自身が驚いているのは内緒だ。
「そもそも、一夏の奴は女の子に興味があるのかしら?」
『それは兄として心配』
本気でこの頃、思っている事だ。クラスの女子とは、なんの隔たりもなく喋れているんだけど、ただ喋っているだけだ。全然女子に興味を示さないのだ。
「その理由として、千夏!アナタよ!」
『何故私?』
意味が分からない。なんで私が一夏の女子に興味が無い疑惑の理由になるんだ。
「何故って?それはね。それは、千夏が可愛いからよ!何よこのくびれは!まるで女の子じゃない!それに髪だってサラサラで綺麗だし!なによりも、その容姿よ!無表情だけど整ってて、小顔で真っ白で………可愛いのよ!」
そう言いながら私の体を触ってくる。くすぐったいが私は表情を動かさない。それよりもこれはセクハラにならないのか?
『言いたい事はそれだけ?後、離れて』
流石に鈴ちゃん君は言い過ぎたよ。私は男なんだ。そんな女の子みたいではないんだ。それともなんだ。鈴ちゃんは私を男して認識していないのか?この行動や言動からそう考えてしまう。これはどうしようか。
鈴ちゃんは何かを察したのか離れていく。
「……え、ええ、言いたいことは言ったわ。それよりなんでかしら。千夏が怖く感じるんだけど」
『それは気のせい』
ああ、言い忘れてたけど作戦の五割は鈴ちゃんが私の事を女の子と言った時に考えたものなんだ。決して、復讐なんかじゃないよ。ただ、その時に思い付いたんだ。それだけのこと。
「お~い!夏兄!鈴!帰ろうぜ~!」
これはチャンスとばかりに私は鈴ちゃんと一夏を二人きりさせる事を思い付く。第31回目の作戦を開始する。
『一夏、私はコンビニにようがあるから鈴ちゃんと先に帰ってて』
「わかった。じゃあ鈴、行こうぜ」
「う、うん。……千夏ありがとね」
鈴ちゃんが私の耳元で呟く。そのぐらい素直になれば一夏も少しは気付くと思うのに。そんな事を思い、親指を立てる。一夏と鈴ちゃんは帰って行った。
それでは私はコンビニにでも行きますね。フ〇ミチキを食べに。
◇◇◇
「あの、天空の城って信じますか?」
現在、赤髪ロン毛が私をナンパしています。生まれて初めて私はナンパされました。しかもコンビニの前でファ〇チキを食べているときに。というかナンパなのかこれ?
「この後、暇?あ、名前教えて」
ナンパでした。一体最初の質問は何だったんだ?
まあ、それよりも名前をどうするかだ。別に偽名を使っても良いだろうか。どうせこれ以上関わらないだろう。
この時私は中学に上がるときにまた再会することは知る余地もない。
『姓は大塩。名は大五郎。アナタは』
「五反田弾です。……あのその名前ってマジなの?」
『大マジ。だから大五郎と呼んで。ちなみに男だよ』
「お、男!?嘘だろっ!?いや、名前が大五郎だし……でも、こんなに可愛いのに男なわけあるはず…」
五反田君がパニック状態に陥っています。そんなことよりもファミチ〇を食べ終えました。では、帰りましょうか。
私はその場に悩み続ける五反田君を放置し、家へと帰る道のりを歩くのであった。
「でも、大五郎って……あれ?大五郎がいなくなってる」
◇◇◇
キングクリッ!?
遂に電波をジャクして潰せるようになりました。まあ、それはおいておいて今私と一夏は第2回モンド・グロッソを観に行こうとしている。千冬姉さんの試合を観る為だ。千冬姉さんは前大会で総合優勝の『ブリュンヒルデ』という称号を貰っている。本人はその呼び名を嫌っているけどね。
今回も圧倒的な力で決勝戦まで進んでいってる。
決勝戦前の応援では私は会場が観客の声により五月蠅いことを理由に誰にも声を聞かれないと思い、声を出して千冬姉さんを応援したところ。何故かその声が千冬姉さんに聞こえたらしく、一瞬で勝利していてた。
小声で周りが五月蠅いから聞こえないはずの声を聞き取るとか千冬姉さんも人間辞めてない?
そして今、決勝戦の会場に行こうとしているのだが。
「織斑千冬の弟の千夏と一夏だな」
黒服の如何にも怪しい雰囲気をさらけ出している5人集団が目の前にいます。少し前に出て一夏が返事をしようとした瞬間、私は一夏の服を引っ張り、後ろに下がらせる。黒服達は一夏にスタンガンを向けていたのだ。
「なっ!?スタンガン!?」
『一夏逃げて警察呼んできて。私が囮になる』
「それならオレが!」
『駄目。兄からの命令。さっさと呼んできて』
黒服達は私達のやりとりを黙って見ているわけはなく、襲ってくる。何故か私の方に向かって。私は黒服達の攻撃を避けながら一夏に言う。
「逃げて」
一夏は悔しそうな表情をして走っていく。黒服達も一夏を追いかけて行こうとするが、私がそれをさせない。黒服の鳩尾に蹴りを決め一人潰す。その際、服の中に手を突っ込み銃やら何やら色々拝借する。
「1人逃したか」
「いや、人質は1人で十分なはず」
黒服達は銃を私に向けてくる。
「生きていれば動けなくても人質になる。抵抗しなければ痛い思いをしなくてすむぞ」
私は足下に気絶している黒服を投げる。それの黒服を盾にするように走り出し、また1人の鳩尾に蹴りを入れる。残りの3人が私目掛けて引き金を引く。3人とも狙いは足。行動不能にするつもりなのだろう。
しかし、金属音が響く。黒服達は驚く。それもそのはず今まで持っていなかった足を隠すほどの刃の大鎌を持っているのだから。私は大鎌の刃の腹の部分で銃弾を防いだのだ。そこからはなるべく持ち手の棒の部分で黒服を沈めていく。黒服達を無力化すると女性の二人組が現れた。
「おいおい、スコール。話しと全然違うじゃねーか」
「私も驚いているわ。まさかこんな可愛い子が強いなんて」
先程の黒服達よりも強い。私は見た瞬間そう感じた。それにISの待機形態らしきものを身に付けている。拙いかな。そう思い構える。
「スコール、コイツ持ち帰りでいいか?」
「勿論良いわよ。オータム私にも可愛がらせなさいよ?」
「OKだ!」
そう言いISを展開して突っ込んでくる。
「悪いけど時間が無いからな!手っ取り早く行かせて貰うぞ!」
ブレイドで切りかかってくる。私は大鎌で防ぐが力が強すぎる。そのまま弾き飛ばされる。私は先程黒服を気絶させたときに拝借させて貰った閃光弾を投げる。
「なっ!?フラッシュ!?」
強い光により、オータムと呼ばれていた女性の視力を奪う。私は近くに倒れていた黒服のサングラスを掛けていたので無効化。そして、私は逃げようとする。
「悪いけど、逃がさないわよ」
スコールと呼ばれていた女性がISを展開し逃げ道を無くしていた。逃げ道を無くされた私は真逆の方へと逃げる。スコールは追う素振りを見せずにそのまま見ているだけだ。
私は疑問に思いながらも全力で逃げる。
◇◇◇
「ふふふ、そっちは行き止まりよ。オータム行くわよ」
「ああ、クソ!まさかこんな簡単にしてやられるとは」
全くあんな子供に視力を奪われるとは。というか表情変えないから行動が全く読めねぇよ。それに何故あんなに戦い慣れているんだ。そんなことを思い、私はスコールと織斑千夏が向かった元々作戦の予定で監禁する筈だった所へ向かう。
「それにしても彼、まるでお人形さんみたいで可愛かったわね。着せ替えなんてしてみたいわ。フリフリで可愛いやつをね」
今のスコールの目は欲しいものは絶対に自分のモノにするときの目だ。私も織斑千夏を手に入れたいと思っているんだがな。後、着せ替えるなら断然メイドか、ナース服。もしくはスクミズが良い。
「それより、織斑千冬の動きは?」
私の言葉にスコールは確認をとる。すると顔色が変わる。
「拙い状況だわ。織斑一夏が間もなく織斑千冬の下へ着くは。おそらく、時間がないわ」
元々の作戦はそれで良かったんじゃないか?私はそんなことを思う。
◇◇◇
そろそろ、助けが来てくれても良いんじゃないかな。けど、警察が来たとしてもIS相手に太刀打ち出来るか。
暗闇に身を潜めながらこの後どうしようか考える。おそらく、追いかけてくるはず。なら此処でどうにかするしかない。
けど、相手はISを乗っている。つまりシールドバリアーが働いているはず。それを突破する攻撃力がないと操縦者にダメージを与えられない。気絶させられない。
けど可能性は低いけど出来るかもしれない。しかし、それは1人が限界。相手は2人確実に此方がやられる。けど、やるしかない。やらないと誘拐させる。あの2人は危ない感じがするんだ。主に男として何かが失ってしまう感じだ。
そんな事を思いながら、腕時計の時刻を見る。もう決勝戦が始まっている時刻だった。応援出来なかったな。そんなことを思う。
外から何かが来る気配が感じられる。私は入り口から正面の壁際まで離れたところに行く。そして、自分自身に言葉の力による強化をし始める。
「限界を超えるスピードで」
足音が近付いてくる。
頭痛がする。
「シールドバリアーを突破して気絶させる攻撃力を」
入り口で足音が止まる。
頭痛が更に酷くなる。今にも裂けそうな痛みだ。
そして、入り口が開きオータムがISを展開していることを確認する。
「見つけたぜ!織斑千な───」
「動かないで」
最後の一押しで動きを止め、壁を全力で蹴り大鎌の棒の部分をオータムに向け真っ直ぐ突っ込んでいく。
「なっ!?動けない!?」
そして攻撃が決まる。ISの装甲を壊し、オータムが吹っ飛んでいく。オータムが纏っていたISが待機形態に戻るのを確認する。どうやら気絶したらしい。成功したがもう1人いる。
「……驚いたわ。まさかシールドバリアーを突破して絶対防御を発動されるなんて。けど、足がフラフラよ」
もう一回ぐらいはと思っていたけど予想以上に辛い。意識を保っているのがやっとだ。
「そろそろ、織斑千冬が此方に来るわ。私としてはアナタを私の可愛い子として攫いたい所だけど、オータムを回収することで手が足りないわ」
この言動からして見逃してくれるのか?それに千冬姉さんが此処に来る?今は決勝戦が始まってるはずなのに。
「け・ど・ね。1、2回着せ替えの時間があるのよね。エプロンの下にスクミズからね」
『やめい。このショタコンが』
抵抗する。それはそうだ、何が男にスクール水着を着せたがる。そんなの拒否するに決まっている。危機回避能力が発動しているのか頭痛をそっちのけてるぞ。
「ショタコンで構わないわ。ただ、私は可愛いアナタの可愛い姿を見たいのよ。それより、さっきみたいに綺麗な声で喋ってもいいのよ?」
『私は男だ。そんな格好断る』
フラフラした足を無理矢理動かし殴りかかる。しかし、簡単に捕まってしまう。スコールは私の体を触り始める。
「本当に男なのかしら。このくびれやらこの髪の毛の綺麗さ。キューティクルの痛みが無いじゃない。女性にとっては羨ましいのよ。それにこの容姿」
顔が近い。鼻と鼻がくっついてるよ。
「無表情は減点だわね。けど可愛いから許すわよ」
頬をすり合わせてくる。この人は一体何なんだ!
そんな事を思っているスコールは私を放す。
「無駄な話をし過ぎたみたいだわ。それじゃあ私はオータムを連れて帰るわ。元々の任務は完了したもの。それじゃあ、また会いましょう───」
───マイダーリン
そう言ってISを展開しどこかに行った。この時、私は変態だと思ったのは悪くないはず。その後、私は緊張の糸が切れ、その場に倒れるように意識を失う。
◇◇◇
次に私が目を覚ますと知らない天井を見上げていた。周りを見回すとどうやら病院らしい。目を覚ましたということでナースコールを鳴らす。
すると、看護婦さんよりも千冬姉さんが先に来た。
「…千夏……すまない。…私の……私のせいで…お前を……」
泣きながら、抱きつきながら謝る千冬姉さん。初めて千冬姉さんが泣いたところを見た。千冬姉さんはどんなことがあっても泣かない。そんな人だ。けど、私のせいで泣いてしまってる。千冬姉さんのせいじゃないのに。
「千冬姉さんのせいじゃないよ」
その言葉を自然と私は口にしていた。その言葉を聞いた千冬姉さんは声を押し殺すように泣いた。
それから暫くして千冬姉さんが泣き止む。そして、一夏が来ると同時に病院の人が来た。そこからは体に異常がないかの検査が行われる。その際に誰が私を助けてくれたのかを聞くと千冬姉さんが決勝戦を棄権し、私を助けに来てくれたことを聞かされた。スコールが言ってたことはこのことだったのか。
検査後、私は千冬姉さんに謝った。私のせいで優勝を逃したことを。けど、千冬姉さんは笑って言った。
「千夏のせいじゃない。私は家族を守るためにしたことだ。だから、千夏が気に病む必要はない。それに優勝よりも千夏や一夏の方が大切だ」
何かが頬を伝う。
「ち、千夏!?どうした!?何処か痛いのか!?」
千冬姉さんが心配してくる。私は頬に伝う何かを手で拭き取る。冷たい。どうやら涙のようだ。涙は降り止まない雨のように流れ続ける。
悲しいんじゃない。ただ、嬉しいのだ。大事な試合を棄権してまでも私を助けに来てくれた。それが嬉しくて仕方ないのだ。なら、言わないといけない。
「千冬姉さん。助けてくれてありがとう」
この時、私は初めて笑顔で言った。
◇◇◇
「千冬姉さん。助けてくれてありがとう」
私は見惚れでしまった。初めて千夏が表情を変えて、笑顔で言った。それも涙を流しながら。不覚にも胸がキュンとした。表情を変えるだけでコレほどの威力を出すなんて思いもしなかった。
今までは家族としての好きだったがコレは拙い。コレは──────
────本気で好きになってしまうではないか