擬似ユークリウッドな織斑家長男   作:クルス@アルマゲドン

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原作開始
入学して


IS起動したことにより、私達はニュースや新聞で『世界初兄弟?でISを動かした』と報道されていた。何故、兄弟『?』なのだ?まさか、私を男として認識していないのか。これほどまで私は男して見られないのだな。

今思えば、小学校の水泳の授業だって教師から必ずパーカーを着ろと言われていたし、脱ごうとすると女子が止めて、男子は目が血走っていた。

中学になると水泳の授業は免除されてしまってたし。……世間の認識が辛い。

 

まあ、現実逃避はこれぐらいにしておこう。現実と向き合うことにしよう。現在居る場所はIS学園の教室。私の周りには女子、女子、女子。前には一夏がいる。とどのつまり私と一夏は晴れて今日IS学園に入学したのだ。

一夏の表情は見えないがおそらく、緊張しているはず。だって私がつついても振り向かないんだもん。

そう思いながら周りを見渡す。すると見覚えがある人がいた。

 

箒ちゃんだ。願掛けは叶ったね

 

そう思い見ていると箒ちゃんと目があった。しかし、直ぐに逸らされてしまった。どうしたんだろうか。

 

すると教室の扉が開き、先生が来た。

 

「全員揃ってますねー。それじゃあSHRはじめますよー」

 

やる気に満ち溢れている先生。しかし、見た目が生徒と変わりない。しかも服はサイズが合っていないため、小さく見える。更に童顔なために子供が無理して大人の服を着てますよといった風に見えた。

 

「それでは自己紹介をしましょう。まずは私から山田真耶です。このクラスの副担任を勤めますので皆さん一年間よろしくお願いしますね」

 

誰も返事をしない。先生が可哀想に見える。それよりも副担任ということは担任はどこに居るんだろうか。

 

「そ、それじゃあ出席番号順で自己紹介してください」

 

山田先生がそう言い、自己紹介が始まる。そして一夏の番に回ってきた。次は私の自己紹介か。今回も前にでて黒板に書く。

それにしても一夏なんで山田先生が呼んでいるのに反応しないんだろうか。

そう思い一夏を見るとまだ緊張している様子だった。

 

「織斑くん。織斑一夏くんっ」

 

「は、はいっ!?」

 

見事に声が裏返った。案の定、周りがくすくす笑っている。そのせいか一夏ますます落ち着かない感じになっている。

すると一夏はチラリと私の方を見た。それから深呼吸をする。どうやら落ち着いたようだ。

 

「あっ、あの、大声出しちゃってごめんなさい。怒ってるかな?ゴメンね。でもね、自己紹介、『あ』から始まって今『お』の織斑くんなんだよね。だからね、じ、自己紹介してくれるかな。だ、ダメかな?」

 

頭を下げて、一夏に謝る山田先生。どう考えても一夏の方が悪いはずなのに。

 

「いや、あの、そんなに謝らなくても……っていうか自己紹介はしますから、それに先生が謝る理由なんて無いですから」

 

笑顔でそう言う。一夏は無意識でやっているが笑顔で優しくされた女性は大半が惚れる。

「え、ええっと、その、ほ、本当ですか。本当なんですね!絶対ですよ!」

 

ほら、山田先生も少し顔が赤くなっている。そう思っていると一夏は皆の方に向く。

 

「織斑一夏です。よろしくお願いします」

 

儀礼的に頭を下げて、上げる。しかし、周りの反応は物足りない感じだ。

まあ、自己紹介で名前だけなのだからしょうがないか。もっと趣味とか特技も言えばいいのに。

 

「えっと……以上です」

 

パアンッ!

 

「痛っ!」

 

一夏の後ろから千冬姉さんが出席簿で叩いていた。

それより出席簿ってそんな音出せたんだ。

そんな事を思っていると一夏はおそるおそる後ろを向いた。

 

「げえっ、関羽!?」

 

「…………」

 

パアンッ!

 

無言の一撃。これほどまで背筋がゾッとしたのは人生初だろう。しかし、関羽はないんじゃないのかな。どちらかというと、貂蝉あたりじゃないかな。千冬姉さん美人だし。そんな事を思い千冬姉さんを見つめる。

 

「山田先生クラスへの挨拶押しつけてすまなかったな」

 

「い、いえ、これぐらいは副担任として、これぐらいはしないと……」

 

「諸君、私が織斑千冬だ。君たち新人を一年で使い物になる操縦者に育てるのが仕事だ。よく聴き、よく理解しろ。出来ない者は出来るまで指導してやる。私の仕事は弱冠十五才を十六才まで鍛え抜くことだ。逆らってもいいが、言うことは聞け。いいな」

 

物凄く暴力的だが千冬姉さんらしい。けど『出来ない者は出来るまで指導してやる』の時に私を見て言っていたのは何故だ。それに、一瞬だけだけど顔が緩んだような気もするし。

そんな事を考えていると周りから黄色い声が聞こえてきた。

 

「キャー!本物の千冬様よ!」

 

「ずっとファンでした!」

 

「私、お姉様に憧れてこの学園に来たんです!北九州から!」

 

IS学園の倍率の高さは千冬姉さんが理由なんじゃないかと本気で思ってしまうくらいだ。

 

「私、お姉様の為なら“死ねます“」

 

その言葉を聞き、私は思いっきり机を叩いた。ダァンという大きな音が教室の黄色い声を消して静寂をつくる。千冬姉さんも含めた全員が驚いていた。一夏は理由がわかったのか頭を抱えている。私は立ち上がり、黒板に

 

『“死ねる“なんて軽々しく口にするな』

 

そう書いた。千冬姉さんが我に返り、私をフォローするかのように口を開く。

 

「…千夏の言うとおりだ。簡単に自らの命を絶つなどと言うな。わかったな!」

 

その言葉に生徒たちは少し遅れて返事をする。まさに鶴の一声。

そんな事よりもやってしまった感がある。初日からこんな事になるなんて。

 

「で?挨拶も満足にできんのか、お前は」

 

「えっ!?いや、千冬姉、オレは──」

 

パアンッ!

本日三度目。それにしても千冬姉さん、一夏対して辛辣過ぎないか。

 

「織斑先生と呼べ」

 

ああ、そう言うこと。公私混同するなってこと。

 

「千夏、手本を見せてやれ」

 

ずっと黒板の前に立ちっぱなしの私に千冬姉さんはそう言う。

……ああ、そういうことかやっぱり千冬姉さんは優しいな。

千冬姉さんの意図に気付きそう思った。そして、黒板に書く

 

『名前は織斑千夏。さっき自己紹介した一夏の双子の兄。趣味は読書と料理。特技は家事を全て出来ること。無表情は気にしないでね。それとさっきは驚かせてすみませんでした』

 

そう書き頭を下げる。皆は何故黒板に書くのかなど全く気にしない感じだ。

 

「いや~別に気にしてないよ~。ね、みんな~」

 

のほほんとした雰囲気の子がそう言うと皆が頷いた。

私はホッとした。まさか初日から悪印象をつけたかもしれないと思っていたのだから。けど、あの言葉はそれぐらい嫌いな言葉なのだから。

その後私は席に着く。

 

「そ、それより織斑くん達って、千冬様の弟……?」

 

「いや違うわよ。弟と妹よ!」

 

「えっ!?けど双子の兄って……」

 

「あんなに可愛い子が男の子のはずない!」

「もし、男の子だったら私のストライクゾーン、ド真ん中よ。……ハアハア」

 

また、机を思いっきり叩いてもいいでしょうか?これは叩いても私は悪くないよね。特に最後のは身の危険を感じるんだけど。それにしてもこのクラスの順応性は半端ないな。私があんな事をしたのに、まるで昔の出来事みたいにしてるなんて。

そう思っていると

 

「五月蝿い!少しは黙っていないか!!」

 

千冬姉さんの一言で静かになる。

 

「これでSHRは終わりだ。お前たちには半月で基礎知識を覚えて貰う。その後実習だが基本動作は半月で体に染みこませろ。いいな、いいなら返事をしろ。よくなくても返事をしろ、私の言葉には返事をしろ」

 

少しキレ気味に千冬姉さんはそう言った。

 

◇◇◇

 

一限目のIS基礎理論授業が終わり今は休み時間、一夏はぐったりしている。それもそのはず周りの異様な雰囲気がいかんともしがたいのだ。私達、男がISを起動し、入学したということで、注目されているというわけだ。廊下の方を見ると他のクラスの生徒までいる。中には上級生までいる。話をかけようとする女子もいるがして来ない。

 

「……ちょっといいか」

 

「え?」

 

『久し振りだね。箒ちゃん』

 

一夏は驚いているようだけど、私はそんな事はない。それにしても綺麗になったよな。

 

「廊下でいいか?」

 

『OKだよ』

 

私は即座に返事をするが一夏は、まだ少し驚いている。

 

「早くしろ」

 

「お、おう」

 

箒ちゃんがそう言うとすたすたと歩き始める。私は箒ちゃんの隣を歩き、一夏それを追うようにしてついて来る。そして、集まっていた女子生徒たちがざあっと道をあけた。まるでモーゼの海渡りをしているようだ。

私と一夏、箒ちゃんから四メートルくらい離れて女子生徒たちの包囲網が出来ている。全員が聞き耳を立てているようだ。

そんな事を思っていると一夏が話を切りだした。

 

「去年の剣道の全国大会で優勝したってな。おめでとう」

 

『私は中継で見た』

 

「何故、知っているんだ!それよりも、何故千夏は中継で見ているんだ!」

 

顔を赤らめながらそう言った。

 

「いや、夏兄に教えて貰って。それに新聞で見たし…」

 

『箒ちゃんが出るって知ったから。そして、優勝したとき真っ先に近くにいた一夏に教えた』

 

「だからと言って……」

 

何やらぶつぶつ言い始めた。それよりも言わないといけない事があるな。そう思い、ぶつぶつ呟いている箒ちゃんの肩を叩く。

 

「な、なんだ!」

 

『綺麗になったね。そのリボンも使ってくれてありがとうね』

 

そう書いて見せると箒ちゃんの顔が一気に茹で蛸みたいに赤くなった。

そんな箒ちゃんを見て一夏が口を開く

 

「もしかして、箒って夏兄のこと、す───」

 

「わ!わわわ!何を言うんだ!」

 

箒ちゃんが一夏が何かを言おうとしたのを遮った。そして、2人は私に聞かれないように何かを小声で話し始める。

 

「箒、夏兄のこと好きなの?」

 

「何故、そんな事を言うんだ」

 

「いや、だって夏兄の紙に書いてあった綺麗になったねに物凄く反応してたし、夏兄を見る目がなんか違ったし」 

 

「うう、な、内緒にしてろよ。……一夏め、自分に向けられている好意は鈍感の癖に」

 

「最後の方は聞こえなかったけど内緒にはしておくよ」

 

2人が内緒話をしているとチャイムが鳴った。2人は気づいていないらしく、そのまま話し続けている。私は取り敢えず教室に戻り、自分の席に着くことにした。

すると、外から2人の、痛っ!?という声とパアンッ!という出席簿の音が聞こえてきた。

それよりも、2人の声よりも出席簿の音が遅れて聞こえるってどういうことだろうか。

 

 

 

◇◇◇

 

オレはIS学園に着て驚きの連発だ。

千冬姉が教師をやっているし、夏兄の嫌いな言葉が初日から出るわ。

あの言葉を聞いた瞬間に夏兄がまた怒るって思ったけど、表情にはあまり出ていなかった。あまりだから少しは出ていた。気付くとしたらオレと千冬姉、箒ぐらいかな。

 

まあ、逃避は止めて現実に向き合おうか。

そう思い、オレはまるで呪文でも書いてある教科書を見る。

 

(全くわかんない)

 

参った。これはマズい。ダメだ。ギブだ。いっそのこと寝てしまおうか。そんな事を思うが、寝てしまったら出席簿が火を噴く。

ついてこれないのはオレだけなのか、と思いチラリと後ろの夏兄を見る。相変わらずの無表情からは何も読み取れなかった。仕方ないと思い周りを見る。全員がそんな事わかってますよといった顔で見ている。

 

(本当にオレだけなんじゃね)

 

そんな事を思っていると山田先生がオレが困っていることを感じたのか

 

「織斑くん……一夏くんの方ですよ。何かわからないところがありますか?」

 

「えっと、その」

 

全部わからないって言っていいのか

 

「わからないところがあったら訊いてくださいね。なにせ私は先生ですから」

 

胸を張って言う。

山田先生、眼福です。……って、そんな事よりも頼れる先生なんですね。

そう思い、オレは思い切って訊いてみる。

 

「先生!」

 

「はい、一夏くん!」

 

やる気に満ちた返事。いいぞ、この人はさすが先生だ。

 

「ほとんど全部わかりません」

 

素直に自分の弱さを吐露する。恥ずかしがっていてはいけない。こういうことはちゃんと訊かないといけない。そうした方が多くの場合、受け入れてもらえるのだ。

 

「え……。ぜ、全部、ですか……?」

 

山田先生の顔が困り度百パーセントで引きつっている。後ろからは夏兄の溜め息が聞こえてきた。

 

……え?そこまでオレ駄目なの?

 

「え、えっと……一夏くん以外で、今の段階でわからないっていう人はどれくらいいますか?」

 

挙手を促す山田先生。しかし、周りの手は挙がらない。

 

「……織斑、入学前の参考書は読んだか?」

 

教室の端で控えていた千冬姉が訊いてくる。ここで嘘をついても仕方がない。素直に答えよう。

 

「古い電話帳と間違えて捨てました」

 

パアンッ!

 

「必読と書いてあっただろう馬鹿者。…千夏は」

 

『余裕です』

 

「まあ、千夏は心配ないか。織斑、再発行してやる。一週間以内に覚えろ。いいな」

 

あの分厚さを一週間で!?そんなの無理と言おうとすると夏兄が何かを書く。

 

『千冬姉さん』

 

そこまで書いたが紙を丸め、書き直す。

 

『織斑先生。私の参考書を貸すので再発行はしなくても平気です』

 

それを見ると千冬姉は顎に手を当てる。

 

「ふむ、なら千夏そうしてもらえるか」

 

夏兄は頷く。しかし、オレは違う。

 

「貸してもらえるのはいいんだけど、あれを一週間で覚えるのは───」

 

「やれと言っている。いいな」

 

「……はい。やります。」

 

ギロッと睨む目は、もはや人の目ではない。悪魔だ、悪魔の皮を被った人だ。同じ人間である分タチが悪い。どうすれば人が苦しむか熟知しているもんな。

 

「大丈夫ですよ一夏くん。先生が放課後にわかるように教えます」

 

山田先生オレに近付いてそう言う。

おお、やっぱり山田先生は頼りになる先生だった。

 

「先生、それじゃあ放課後よろしくお願いします」

 

そう言うと千冬姉は教室の端に戻る。

 

「ほ、放課後……放課後2人きりの教師と生徒……。だ、ダメですよ、一夏くん。先生は強引にされると弱いんですから……そ、それに私、男の人は初めてで……」

 

男に対する免疫が低いのか山田先生は頬染めてぶつぶつ呟いている。大丈夫なのか?

そんなことよりも周りの視線が痛い。視線が物理的に干渉力があったらオレは蜂の巣だ。いや、跡形もないかも。だって後ろの夏兄の視線が一番痛いんだよ。

 

「で、でも、織斑先生の弟さんだったら……」

 

「あー、んんっ!山田先生、授業の続きを」

「は、はいっ!」

 

千冬姉の咳払いで妄想から一向に帰ってこない山田先生を呼び戻した。山田先生は慌てて教壇に戻った。

 

 

◇◇◇

 

二限目が終わり私は一夏の席の前に行く。一夏は一限目の休み時間と同じでぐったりしていた。

 

『大丈夫?』

 

「想像以上にキツい」

 

『それは私も同じ』

 

私が書いたことに一夏は少し驚いていた。

失敬だな。私とて男なのだ。こんなに多くの視線は辛いんだよ。

 

「ちょっと、よろしくて?」

 

「へえ?」

 

突然声をかけられた。一夏は素っ頓狂な声出した。私は声のした方を見ると金髪が鮮やかな女子がいた。その女子はロールがかかった髪型で、私はチョココロネを思い浮かべてしまった。

 

「訊いていますの?」

 

「あ、ああ……訊いてるけど、どいう用件?」

 

『美味しそう』

 

「……?何を仰っているんですか?それよりも何ですか、その返事は。私に声をかけられるだけで光栄なのですから、それ相応の態度があるじゃないかしら?」

 

金髪さんが何かを言っているけど、私はそれよりも、お腹が空いてきた。

そう思いながらずーっと私はロールを見つめる。

 

「悪いな。オレ、君が誰か知らないし」

 

「私を知らない?このセシリア・オルコットを?イギリスの代表候補生にして、入試主席のこの私を!?」

 

「あ、質問いいか?」

 

「ふん。下々のものの要求に応えるのも貴族の務めですわ。よろしくてよ」

 

「代表候補生って、何?」

 

がたたっと凄い音が聞こえてきた。私は驚き、周りを見ると何故かみんな倒れていた。

えっ?何が起こったの?

 

「あ、あなたっ、本気で仰ってますの!?」

突然、金髪さんが起こり始めた。

私がチョココロネのせいでどうやら話を聞いていなかったようだ。かといって話を聞いていなかったなんて言うとこの金髪さんが怒りそう。だって、そういう風に見えるんだもん。如何にも男より女の方が偉いと思っている女尊男卑が好きなタイプ。私の嫌いなタイプだ。

 

「そうか。それはラッキーだ」

 

私が長考している間に話が進んでいたようで一夏が投げやりにそう言った。

 

「……馬鹿にしてますの?男でISを操縦できると聞いていたしたから、少しくらい知能的さを感じさせられるかと思っていましたけど……それよりもアナタは何故一言も喋らないんです!?」

 

ずっと黙っていた私が標的にされる。

取り敢えずは答えようか。

 

『めんどくさいからよっぽどの事がないと喋らない。だから筆談』

 

「わ、私と話すのがめんどくさいですって!?」

 

勘違いをされた。別にアナタだけにめんどくさいと思っていると言ってない。

金髪さんは大声を出して何故か頬を染めている。どうやら、貴族様にとってはしたなかったようだ。

 

「ま、まあ、私は心が寛大ですから、そんな事は気にしませんわ。それに、泣いて頼まれたらISのことでわからないことがあれば、教えて差し上げますわよ。何せ私は、入試で唯一教官を倒したエリートの中のエリートですから」

 

此処で私と一夏も倒したと書けば火山が大噴火するのかな。

私はそう思い、大人しくする。

 

「ん?それってISを動かして戦うヤツか?」

 

「それ以外に入試などありません」

 

まさか一夏のヤツ、火山を人為的に噴火させる気か?

私の考えは間違えではなかった。

 

「それならオレも夏兄も倒したぞ。それにしてもあの時の夏兄は凄かったな。何にも武器を使用せずに殴って勝つなんて。しかも一撃も当たってなかったろ?」

 

そう質問してくる一夏。

どうやらコイツは大噴火させるのではなく、核を投下した。

まあ、何にも武器を使わなかったんじゃなくて使えなかったのが正しいんたけどね。私は鎌一筋だからね。……けど、もっと他の武器も使えるようにした方がいいよね。

長考しているとチャイムが鳴った。金髪さんは何か文句を言って席に戻ったけど私の耳に金髪さんの文句は入ってこなかった。

 

千冬姉さんが入ってきて教壇に立つ。どうやらこの授業は千冬姉さんがするようだ。

 

「再来週に行われるクラス対抗戦に出る代表者を決めないといけない。自薦他薦は問わん」

 

自薦他薦は問わないか。だとしたらおそらく

「はいっ。織斑くん……一夏くんを推薦します」

 

「私は千夏くんが良いと思いますー」

 

予想通りだ。私と一夏が男ということで推薦されたというわけだ。

そんな事を思っているとまた、金髪さんが突っかかってきた。どうやら彼女は男である私たちが代表になるのが気に食わないらしい。

「大体、文化でも後進的な国で暮らさなくてはいけないこと自体、私にとっては耐え難い苦痛で───」

 

その程度で根を上げるのなら来なければ良かったのに。

 

「イギリスだって大してお国自慢ないだろ。世界一まずい料理で何年覇者だよ」

 

……また余計なことを口にして。

一夏の表情を見る限り口が滑ったらしいな。私はチラリと後ろを見ると金髪さんは顔を真っ赤にして怒っていた。

自業自得だな。両者共に。

 

「あっ、あっ、あなたねえ!私の祖国を侮辱しますの!?」

 

そう言っているけど金髪さんだって日本のことを侮辱したよね。

 

「決闘ですわ!」

 

バンッと机を叩く。

 

「おう。いいぜ。四の五の言うよりわかりやすい」

 

一夏も一夏でそんなのに乗るな。私にも降りかかってくるだろう。それにしても代表候補生ってこんな感じの人が多いのだろうか。

そんな事を考えていると爆笑が巻き起こった。

 

「一夏くん、それ本気で言ってるの?」

 

「男が女より強かったのって、大昔の話だよ?」

 

爆笑の理由は一夏が男が強いとでも言ったのだろう。それにしてもISだけで此処まで変わるんだなと思う。

しかし、誰がISより弱いと言ったのだろうか?ISを展開する前に気絶させてしまえばいいんだし。

それよりも流石に一夏が此処まで笑われるとムカつく。

私は無言で立ち上がる。クラス内にいた全員が私に注目する。

 

『別に男が女よりも弱いわけじゃない』

 

「あなた、何を言って─────え?」

 

私は一瞬で金髪さんとの距離をゼロにし首筋にペンを当てる。

 

『ほら、ISなんて展開される前に操縦者を倒せばいい』

 

一瞬の出来事で全員、いや千冬姉さん以外は何が起こったのかわからないでいた。

 

『一夏の言うことは間違っていない。けど、これを出来る人が少ないだけ』

 

ペチン

 

そう書いた紙を見せていると頭に衝撃を感じた。後ろを向くと千冬姉さんが頭に手を乗せていたので、おそらく叩いたのだろう。

 

「今は授業中だ。席に戻れ」

 

『了解』

 

頭をさすりながら席に戻る。

 

「何を呆けている」

 

パンパンと手を叩き、呆けている生徒が我に返る。勿論、金髪さんも同じだ。

 

「あっ、あなたも負けたら奴れ───ヒャッ!?」

 

黒い何かが金髪さんの横を通り過ぎた。私でも目視できなかった。

 

「小娘、千夏を何にするというのだ?」

 

余りの恐怖に金髪さんはガタガタと震えていた。それより、金髪さんは何て言い掛けたんだろう?

 

「ふん、まあいい。それでは勝負は一週間後の月曜。放課後、第三アリーナで行う。各自用意をしておくように」

 

そう言ってぱんっと手を打って千冬姉さんが話を締める。

それよりも一夏に聞かないといけないことが。そう思い一夏をつつく。

 

「ん?夏兄何か用?」

 

一夏は小声で言う。私は聞きたいことを書き、一夏に見せる。

 

『金髪さんの名前って何?』

 

「えっ!?今更!?」

 

「授業中だ!馬鹿者!」

 

パアンッ!

 

私のせいで一夏は本日、六度目になる出席簿アタックを食らった。私は心の底から一夏に謝った。

 

 

 

 

 




ようやく、原作突入出来ました。

不定期ながらも御覧になっている方々に感謝です。これからもよろしくお願いします。
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