やりましたよ!
まあ、お待たせしました!
それでは言うこともないのでどうぞ
彼が部屋から出てきた。それはきっと……
……お嬢様が負けたのだ。それが意味することは…創真くんがここから出ていくということ。
それでも私は創真くんとは離れたくなかった。同じ人間だったから?
それとも初めて出会った異性だったから…?
理由は分からないのだが、創真くんと離れる…創真くんと会えなくなってしまう……という事実が、私の胸を締め付けた。
「咲夜さん。」
彼が私に話しかける。
「どうかしましたか?創真くん。」
私は彼にそう聞いてみる。すると彼は口を開いて
「身体の方は大丈夫ですか?」
「…………!」
どうして……彼は自身のことを考えないのだろう…彼の左手はお嬢様のレーヴァテインで既に表面の皮膚はなく、お腹も同様に大穴を開けられていたのだ。どう考えてもわたしの心配をしている場合じゃないのに……どうして……?
「私は大丈夫です…創真くんこそ大丈夫なんですか?その傷……」
そう私が聞くと、彼はなんとも思ってないかのように
「僕は大丈夫ですよ」
と答えた。
「嘘を……つかないでください……」
「…?どうしたんですか?」
「どうして嘘をつくんですか?!」
「……?!咲夜さん?落ち着いてください…」
「落ち着くって……創真くんはそんな傷を負っているのに……どうして私の心配ができるんですか!……おかしいですよ…」
小さく呟く……すると創真くんがそれに…私の問に答えるようにこういったのだ。
「実は……痛みはあるんですが、倒れるとかそういうのは無いんですよね…多分……妖怪の治癒能力が残ったからでしょうけど…」
「……え?」
……今、なんて言ったの?そう聞き返そうとすると……それを予測していたかのように彼は続ける。
「きっと、無理やり人間に戻したせいで感覚が……妖怪のままなんだと思います。それに……今の僕は人間に戻った、とはいえ妖怪の時に近づいている感じがするんですよね。」
多分……と付け足して
「近いうちに、僕にはまた翼が生えて来ると思います。それに今度は血を欲す吸血欲求も……近いうちには…間違いなく」
「それなら……もう一度私の能力で……」
「ダメですよ。それじゃあ」
「そんなことしてたら咲夜さんの身体が持ちません。だからいいんですよ。ただ僕が妖怪になってしまった時、僕は自分をコントロールできるか…正直分からないです。……だから……」
「だから?……どうするんですか……?」
嫌な予感がする……これ以上は言わないで欲しい。聞きたくもない…!
それでも創真くんは私に淡々と、何よりも笑顔でこう告げた。
「僕は暴走が始まる前にどこかで死のうと思います。
……僕が誰かを傷つける前に……」
その言葉に私は言葉を失った。
彼は自分が誰かを傷つけるならば自身の命を捨てると言ったのだ。
そんなことは……させない…誰かに殺されるのなら……死ぬまで私の手で……
「なら……私がずっとあなたを支え続けます!!これから先ずっと!!
だから……」行かないで……とは言えなかった。
そして彼は私の方に向いて、微笑みながらこう言ったのだ……
「それでも……もう僕に居場所は無いですよ…既にレミリアさんを1度退けた……ならば復活したレミリアさんは今度は真っ先に僕の精神、肉体の2つを破壊するでしょうね……だからその前に僕はその力の及ばない所へ行くか、この首輪を破壊もしくは無効化できる所を目指さないと……」
そうして創真くんは後ろに踵を返して歩き始めた。
それを…歩き離れていく彼を…私は止めることが出来なかったのだった……
はい!離れていく創真くん、完全に告った咲夜さん…それでも2人の思いはお互いに届くことはないでしょう……
てな感じです。
次回からは……紅魔館から出る為に動き出す創真。
それを食い止める為に立ちはだかる館の住人たち……
果たして…創真はレミリアに遭遇することなく、館を出ることができるのか?
ていう予告。
それでは次回も、お楽しみに!