ぼぉ……とした感じで部屋を見渡す。
先程僕にここにいるように言った八意永琳という女性はどこかに行ってしまったまま帰ってこないし、僕はどうしたらいいんだ?
なんてことを考えていたら、突然部屋の扉が開いた。
「起きてる?!」
入ってきたのは倒れる前に見たうさ耳の生えた少女だった。
「起きてるけど……それよりあなたは?」
「あぁ、私?私はこの永遠亭で助手をやっている鈴仙・優曇華院・イナバよ……まぁ…気軽に鈴仙とでも読んでくれる?」
鈴仙さん……か、まぁ悪い人では無いのだろうし、そこまで警戒する必要もないか…と思ったので、僕も名乗ることにした。
「そうなんだ。僕は創真。とある理由であの竹林に迷い込んでいたんだ。助けてくれてありがとう。」
理由については伏せたが…別に気にはしないだろう。と言うことで必要最低限のことだけを話した。
自分が外の世界から来たことや、外の世界の記憶は殆どおぼえていなかったこと、それからの出来事等を曖昧にぼかして説明した。
鈴仙はそんな話でも真剣に聞いてくれていた。
(真っ直ぐないい人だなぁ……)
と、話しながらそう思っていた。
「……と、まぁ僕の言うことはこれくらいかな?聞いてくれてありがとうね。」
「いやいや、気にしなくていいのよ。創真君こそ話してくれてありがとうね!まぁ、今日ももう遅いから、そろそろ部屋に戻るけど…何かあったら呼んでね。」
「分かったよ。それじゃあ」
「えぇ、おやすみ。」
そうして鈴仙さんは自室へと戻って行った。
僕は一人になった部屋の中で、(死にたいと思っていたはずなんだが………僕の頭の中はぐちゃぐちゃだな……生きたい自分と死にたい自分が半々だ。僕は…………
何がしたいんだろう。)
そう、小さく呟いた。
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翌日、朝に鈴仙さんが部屋にやって来て早速こんなことを言い出した。
「貴方って弾幕とかは扱えるの?」
それを聞いた僕はつい
「どうして?」
と聞き返して閉まった。
弾幕は扱える……と聞かれても半妖怪の僕がどうやって妖力を扱うか等は知らなかったので上手く答えられなかった。
それに…
「まだ体が万全じゃないから打つことは難しい……と思う。」
とだけ返した。
「そう……なら、また体が治ったら見せてもらうからね!」
と言ってその会話は終わって、また2人で喋って時間を潰した。
病院食は人参がいっぱい入っていた。
……美味しかったが。
そうしてこんな生活を繰り返して、数週間が経過した。
次回もお楽しみください