昼から読んでくれる人はおるかな
「あ……あ…。」
「創真?調子はどう?」
声が聞こえる…。僕はそちらの方にゆっくりと顔を向ける。
「……。声が出せないようね。鈴仙。以前と変わらず、創真の面倒を見るように。」
「はい。……創真くん、こっちに…」
目の前で兎の女の子……鈴仙という子が創真と……僕のことを言って手を差し出していた。
僕はその出された手に掴まり、彼女の後を着いていく。
「それでは……師匠。」
「えぇ。月を隠すのは次の満月。それまでに創真の戦闘能力を限界まで引き上げておいて。」
「……はい。分かりました。」
そうして僕は鈴仙に支えられながら、その部屋を後にする。
「………ごめんね…。」
その子が何か謝っている。……何に謝っているのか、今の僕にはわからなかった。
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「ねぇ、永琳?」
「どうされましたか?姫様。」
「例の彼…。どうなの?」
「恐らくは、次の満月までには完成しているでしょう。それまでに出来なければ…異変解決者達の人質として使います。」
等とサラりと永琳は輝夜に説明する。
輝夜は「そう。」と言ってそのまま部屋を出る。
「どこへ?」
「え?……感情を狂わされた彼を見に行くのよ。」
そうして輝夜は創真と鈴仙のいる、鈴仙の部屋へと歩き出すのだった。
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ー博麗神社ー
今日も何も無い平和な時が流れていた。
そう、彼のいない前の博麗神社で。
楽園の素敵な巫女……博麗の巫女の博麗霊夢は紅魔館の一件以降の出来事は全て忘れていた。
以前のような抜け殻状態になっている間に、異変を起こされた際対処する物がいないからだ。
彼女の記憶は、人里で寺子屋を経営している上白沢慧音によって忘れさてられている。
そしてそれ以降は彼女の友人も、創真のことは話していない。
なので彼女はいつもどうり生活できている…が、もし彼女が彼のことを思い出してしまえば……次どうなるかはわからない。
ザッザッ……と境内へと登ってくる音がする。
そしてそこに現れたのは、一人の青年だった。歳は恐らく20代で、その服の中には多くの怪我を負っている。
彼は霊夢に一礼して、そのまま神社の中に入っていった。
「……ふぅ。」
彼はため息を零す。
すると何処からか空間に隙間がでてきて、そこから八雲紫がヌッとでてきた。
「どうかしましたの?」
「いや……何と言うか、無口だな…と」
「あぁ、霊夢?あの子ならそういう子よ?自分からは絶対に関わりを作ろうとしない、それが博麗霊夢という巫女よ。それにあなただって他者との関わりは最低限に抑えているじゃない。」
「さぁな。」
「まぁ、この世界でもあれを使いこなしたのは凄いと思うわ。霊夢が元に戻るまでの間は、退魔師ではなく、異変解決者として行動してもらう。……でも不用意に妖怪を殺したりはしないでね。」
「わかってるよ……全く、面倒なことになったな。」
ボリボリと髪を掻きながら、面倒くさそうに彼はそういった。
「さて、そろそろ飯の時間だ。お前も食っていくか?」
「あら、ならそうしましょうかね……。」
わかった。とだけ言って彼は料理を作るために部屋を後にした。
これが、今の博麗神社の様子である。
次回もはやめに