創真……!創真…!!!創真!!!
博麗霊夢は彼の名をずっと叫び続けた。
止まらない、喉が枯れても彼を待ち、喉が痛み、声が出せなくなろうとも、彼を呼び続けた。
だが、その創真は既に永遠亭に保護されていて、その叫びは彼に届くはずもなかった。
そんな環境が長く続いて、ある日…本当に妖怪が無縁塚に集まり始めた。
そいつらは何かの封印を破壊し、そこから爆発的な妖力が溢れていた。
しかし、霊夢は動かない、ショックのせいで、動けないのだ。
それにこの妖怪はスペルカードルールで戦おうとはせず、なんと普通に襲いかかってきたのだ。
それで彼に依頼が入った。
彼とは、退魔師の事である。
退魔師の彼は、霊夢達のスペルカードルールに従わない、もしくは従えないような妖怪の処分を請け負っていて、そうして退魔師にその大妖怪を倒せ、と任された。
「最悪だ……。」
彼はそう零す。当たり前だ。彼は人間なのだ…。確かに能力こそ備わっているが、それは実戦では役にたった試しがない。
なので、彼はほとんど自身の力量だけで、数多の魑魅魍魎を切り伏せてきた。
逆に言えばそれ以外は不可能。
そんな不可能の依頼を吹っかけられたせいで退魔師の彼は、死ぬだろうとだけ思い、その敵へと単身で向かった。
彼の装備は、退魔用の刀、博麗式や自作で作った札。そして生命力、霊力を糧にすることで人外の如しパワーを手にすることが出来る、
輝石だけだった。
結果として、彼は妖怪達を全て殺しきった。
大妖怪以外は全て一撃。
そして肝心の大妖怪も、封魔ブレスレットの扱い方を理解した彼がその溢れる霊力…生命力を鎧のように纏うことで、現れた最強の戦士によって、圧倒するかのように大妖怪おも消し去ったのだ。
そして……それから早いうちに、霊夢の中にある創真の記憶を上白沢慧音によって消すことにした。
それによって彼女はほんの少しだけ昔のような巫女に戻ることが出来た。
それからは何かと霊夢のことを気にかけてか、その退魔師が博麗神社にやって来て、霊夢の代わりに何かと家事などをするようになった。
その霊夢も、八雲のマヨヒガで、よく鍛錬をしているので、ちょうどよかったのだ。
そんなことを繰り返すこと、1ケ月くらいが過ぎた頃。
「平和すぎる。」
男は不満げにそうこぼした。
「そう……?私はこんな日々もいいと思うけど」
少女はそう返す。かなり言語能力も戻ってきているようだ。
「俺に平和なんて言葉はなかったんだよ。……毎日刀を振っていたからな。」
「それは……可哀想に」
「全部、八雲のせいってことだな。」
「あいつはいい事しないから」
違いねえ、と言った所で、2人は笑った。
満月まであと2日…
サンキュウリーディング!
どうもありがとうございました!
この話していた……見覚えあるという方いるかもしれません。
はい。そうです、幻想の退魔録の一部なんですよね笑
まぁ元々この小説のサブ的なお話だったので組み込んでいます。
まぁよかったら幻想の退魔録……読んでみてください。
それでは次回から異変スタートです