「ちなみにこの姿は手加減は出来ん!お前の全力で自身を守れ!!」
どこから声を出してるのかは分からないけど彼は動きながらそう言った。
そして彼はそのまま拳を突き出す。
「あぶっな……?!」
僕はその拳をギリギリ頭を傾けて躱し、そこから宙へ逃げる。
しかし彼はそんな隙を見逃さなく、彼はそのまま僕の足を掴み床に叩きつけた。
「が……っあ……!?」
「俺は空が飛べないんだ。だから飛ぶことは許さん……。」
体にくる衝撃をまともに受けた僕はそこから動けなかった。
「つ……強い……!」
「強くなければ守れないからな。」
僕は危機を感じ、自身の能力を解放させる。
久々に現れた翼はより一層禍々しさを醸し出していた。
「半妖の力を使えるのか……?なるほど興味深い。」
少し考える素振りをして
「まぁ、今それを使われるのは厄介だ。……本能からか?」
「分からない……!でも…このままだと不味いって……そう感じたんだ…!!」
僕は弾幕を作り出しそれを辺りにばらまいた。
それらは久國の周りを漂い、彼の動きを制限させるーーー
が、ーーーーー
「こんなもの……」
彼が腕輪に力を込めて、腕を振り炎を発生させた。
すると僕の出した弾幕は彼の腕から出た炎によって掻き消された。
「なっーーー」
「弱すぎる。」
その光景に驚いた時には彼は僕の目の前に現れていて、そのまま拳を
振るった。
ドスッーーーっと鈍い音がなった。
その後直ぐに僕の体は後ろへとぶっ飛ばされた。
「ーーーー?!」
結界の壁に叩きつけられ、言葉にならない悲鳴が出た。
「ゲホッ……ゴホ…ハァ……ハァ……ハァ……」
呼吸が整わない。不味い、彼が歩み寄ってくる……。
「そろそろ終わりか?」
「まだ……だよ……!!」
僕は妖力を収縮させる。この人に通用するかは分からないけど……これしか対抗できる手段が僕にはない……!!
「……?!一体何を……!」
「『重壊 極風嵐』!!」
大量の弾幕と重力弾が辺りを破壊しながら嵐のように彼を襲った。
彼はすぐにその2つの弾幕に対応できず、重力の負荷と弾幕の攻撃で
翻弄させた。
しかし、彼の鎧はそれをものとしてない様子で攻撃を受けた。
「重いな。重力負荷が厄介だ。」
体に弾幕を浴びながら彼はゆっくりと歩いてくる。
そしてーー
「『炎符 炎上拳』」
彼が発動させたスペルカードは一瞬にして僕の体を炎で貫いた。
一撃、そして何故か体の前に僕の翼は落ちていた。
「何が………」
「これで完了だ。」
何を言っているんだ……?そう考えようとしても、僕のからだは
全く動かない、力を一気に奪われた感覚がした。
今まであった物が無くなって、ぽっかりと穴の空いた気分がした。
「大丈夫だ。」
「……?」
僕は彼の方へと頭をあげる。……なんの事だ……
「お前はそこで眠ってろ……起きた時にはお前は博麗神社に居る。」
「そ……そう……か…」
思い出した……博麗神社…僕が初めて訪れた……名前をくれた人の場所……。
しかし直後に僕の目の前が真っ暗になる。
後のことは全部……どうにでもなるだろう……
悔やむことがあるとするなら……
「れい……せ……ん……」
彼女達の役に立てなかったことだろうか……僕はそのまま意識を失うのだった……。
次回からは久國たち視点になります。
主人公はここで一時撤退です。