時間は創真と久國の戦いが始まる前に戻る……
「貴女、ここの住人ってことで間違いないわよね?」
お嬢様は目の前にいる兎にそう聞いた。
「そうよ。……私は月の玉兎。名前を鈴仙……鈴仙・優曇華院・イナバ。」
彼女は静かにそう答えた。
お嬢様ははァ…とため息を零して
「生憎とね、私は貴女に用はないの。……用があるとするなら貴女の主よ。あの女を出しなさい。」
鈴仙という玉兎を睨みながらそう告げた。
すると彼女は呆れたようにこちらをみて
「ま、そんな要求を聞く方がおかしいと思うんだけど?
……当然貴女のその要求は却下するわ。」
と吐き捨てた。
「分かった。ならーーー」
お嬢様は翼を広げて戦闘状態に入る……。
「お前を倒して散策を再開するまで!!」
即座に玉兎に対して弾幕を展開させていくのだったーーー!
◇
戦闘が始まり、お嬢様の攻撃は玉兎に当たることは無く、彼女はその弾幕をかわし続けていた。
「……ちょこまかと………!」
「ふふっ…そんな攻撃は私には通用しないわよ!」
「……なら…!『神槍 スピア・ザ・グングニル』!!」
お嬢様は痺れをきらして自身のスペルカードを発動させる。
現れた槍はお嬢様の妖力に反応してバチバチと紅い稲妻を帯びていた。
「これを受けて立っていられるか?」
「当たればやばそうね。当たれば。」
「2回も言うんじゃないわよ!……行くわよ…!!」
そしてお嬢様が腕に力を込め、槍を投擲しようとした時に…
「その力はこんな道中で使う物ではなくてよ。」
なんて言葉が空間に響いた。
「……なんだと?」
お嬢様はその声に反応して攻撃をストップする。
「聞こえなかったかしら?その力はここでは使うものじゃないと……
そう言ったのよ。」
何も無い空間から隙間妖怪が姿を現す。
「ならばこいつはどうする。」
「優秀なメイドにでも任せなさい。」
唐突に私に話を振られる。
「お嬢様……私は従うまでですわ。」
「咲夜…ならお前にこいつの相手は任せる。」
「判りましたわ。ここはお任せを」
するとお嬢様は槍を消し、声のする方へと歩み寄った。
「敵の目星は着いているんだろうな?……八雲紫。」
「えぇ。もう寸前よ。」
「なっ……デタラメでしょ?!」
「残念ね、月の兎さん?生憎と結界のエキスパートがこちらには
居るから。」
「……なら貴方達全員ここで叩く!」
すると紫は愉快そうに笑って
「それは出来ないわ…だって貴女の相手はそこの優秀な」
「私のメイドだからな」
「……ま、そういう事ね」
そうして彼女等は隙間を用意する。
「それじゃあ咲夜、後は任せた。」
「はい、お任せください。」
お嬢様が隙間に入り、気配が無くなったのを確認して私は改めて玉兎に
話しかける。
「ま、そういう事で貴女と戦うことになった紅魔館のメイド長をしている十六夜咲夜よ。」
「私も改めて自己紹介をするわ。……私は月の玉兎。鈴仙・優曇華院・イナバよ!私は私の師のために貴女の進行を止めてあげる。」
「私もよ。……私もお嬢様の為に貴女を倒す。覚悟の準備はいいかしら?」
「へぇ…結構な自信なこと、なら私もここから全力で戦う必要がありそうね。」
「当然。出し惜しみなんてしてたら一瞬で片がつくわ。」
そうして私はナイフを取り出すのだったーー。
次回は鈴仙VS咲夜です。