幻想郷の世界へと誘われて【不定期投稿】   作: 白黒魂粉

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お待たせ


従者の戦い 4

時間は止まった。

今度は近接で確実に攻撃をヒットさせる。

その為に私はそのまま距離を詰めた。

 

「確実にこれで終わらせてお嬢様の元へ向かう。」

 

そうして彼女の目の前まで到達して、私はそこで近接用スペルカード

を取り出し…発動させようと宣言を開始した時だった。

偶然…本当に偶然なのだが、彼女の胸の内側が光ったように見えた。

 

「……何なの、これは……」

妙な胸騒ぎがした。

これを確認してもいいのか……と、自身に問いかけるように

心の中で反芻した。

しかし、私はその光ったものを……不安要素の確認をやってしまったのだ。

 

「………………な、…んで……?」

力が抜けた。

どうしてこれがここにある。

これは……彼に渡した筈なのだ。

それなのに……何故…………?

 

「くっーー時間切れ……」

 

これで決着を付けるはずだったのに私はそのチャンスを潰してしまったことに嘆く。

しかし先ずは何故コレを持っているのかを尋ねなければならない。

 

「……!そこまで距離を……!?」

時間が動き出し、唐突に距離を詰められたことに気が付いた鈴仙は

即座に身構える。

 

「ねぇ。」

そんな彼女に私は怒気を孕んだ声で問いかける。

「なんで……なんで貴女が……その時計を持っているの?!」

 

「時計……?!なんでその事を……!」

「答えて。どうして……どうして彼が持っているはずの時計を貴女が

持っているの!!」

 

怒りで声が震える。

こんなことを聞いた所で帰ってくる答えはわかっている。

それでも尋ねないと気が済まなかった。

彼がここにいることを……彼がまだ生きているということを

ここで確認してしまいたかった。

 

「彼……か、貴女も創真のことを知っているのね」

「…………!!やっぱり創真君はここに…?」

「えぇ、死にかけの状態でここまで辿り着いたわ。……でもそれが

どうかしたの?」

「彼は今どこにいるの」

「創真は今、こことは違う場所で侵入者の迎撃に向かっているわ。」

 

どういうこと?彼が異変の首謀者達に加担しているってことなの?

訳が分からず頭が混乱している私に鈴仙は補足するように

「言っておくけど、洗脳とかにはかかっていないからね。…今は」

「それこそ有り得ない。彼は絶対に悪に堕ちることの無い正しい人物よ。そう簡単に……」

 

そう簡単に……博麗霊夢の敵になるような愚行は侵さない。

それなのに

 

「でも結果として最後には自身から協力すると言ってくれたわ。

……だからこそ今回の異変にも少なからず協力してもらってる。」

「そうだとしても…彼の実力では異変解決者達には……」

 

代償スペルを使うことで彼はようやくこの世界の実力者達と対等に

戦闘が出来るようになるのだ。

そんな代償スペルを何発も使えない状態な彼が侵入者の迎撃なんて

吸血鬼の力を行使しない限りは出来ないのだ……!

 

「なら、教えてあげる。彼は半妖なのよ。吸血鬼の翼に酷似したのを

展開することで妖力を桁違いにまで上昇させるわ。」

 

……どうやら私達のやってしまったことは、彼のことを深刻なまでに

追い詰めてしまったらしい……。




咲夜さんは薬で抑制してることを知りません。
誤解が解けたらいいね!

次回に続く

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