それから3日後、僕は再び慧音さんの所へ訪れていた。
「慧音さん。こんにちは」
慧音さんもこちらに気が付いたのかニコリと微笑を浮かべながら
こちらに挨拶を返してくれた。
それからすぐに前と同じ部屋に通されて僕の仕事の話になった。
「それじゃあ、早速本題に入らせてもらうがいいな?」
「はい。お願いします」
「わかった。まぁ結果なんだが……昼の警備と貸本屋の店番については
連絡が取れていてどちらともOKがとれている。香霖堂についてはすまないがここから離れた場所にあったから連絡が届いていない。
だから選ぶならこのふたつで頼むよ」
まぁ、それならこの2つから選ぶだけか…
すこし考えてから僕は慧音さんに
「それじゃあ僕はこの昼の警備を受けたいと思います。」
とだけ伝えた。
慧音さんも
「わかった。それじゃあ今から伝えにいこう」
と言ってくれたので、そのままその警備の場所へと向かった。
人里の端にある出入口には大きな門が東西南北に四つ存在している。
この門から人間は里に出入りしており、僕も先程ここに来る時は
場所は違うがこの門を利用している。
門の近くまで来た時だった。門の見張りをしていた人物がこちらに
気がついたのか、早足でこちらに寄ってきた。
「…!慧音さん。どうかされましたか?」
珍しい人だな…と言う表情でこちらをみている見張りに慧音さんは
すぐに
「あぁ、今日は以前言っていた門番の仕事をしたいと言っていた人の
案内に来たんだ。」
と伝える。
見張りはこちらをチラリとみてすぐに視線を慧音さんに切り替え
「この人ですか?」
と確認をとる。
慧音さんが頷く素振りを見せたら、男は
「わかりました。君、名前は?」
と聞いてきたのですぐに僕は
「はい、僕は創真と言います、よろしくお願いします。」
そうお決まりの挨拶を言っておいた。
「分かった、よろしくね。それじゃあ手続きとかしたいから来てくれる?あと慧音さんも」
そう返された僕と慧音さんはそのまま案内された部屋に通された。
「よし…それじゃあこの紙に名前と印鑑を書いておいてね。」
そう言って渡された紙に、僕は名前を記入しようとするが……ここで
一つ疑問が浮かんだ。
ここの人に僕が書く言葉がわかるのかどうかだ。
この幻想郷での文字というのを僕は知らなかったことにこんな所で気が
つくとは……
僕はチラリと慧音さんの方を見て、
「すいません…ちょっと文字が合ってるか分からないので書いてもらってもいいですか…」
と小声で言った。
慧音さんは少し驚きながらも僕の名前を書いてくれた。
やはり僕の名前は僕の考えていた文字とは違っていたので良かった…と
安堵の息をついた。
それからの手続きはすぐに終わり、僕はどこの部署を担当するのかと
何時からその仕事をしたらいいのかを聞いて、その日は解散することになった。
「それじゃあこれからよろしくね。」
「はい、こちらこそお願いします。」
それだけ言って僕らはその門を後にするのだった。
帰り際に、慧音さんが「少しいいか」と改まった感じで話しかけてくる。
「どうかされました?」
「いや、文字の読み書きができないのは少々不便だろうとな。
君が良かったらなんだが…明日から私の元で文字の読み書きを習うといい。……どうだろうか?」
その問いに僕は二つ返事で了承するのだった。
続く