ハイスクールD×D×SHUFFLE!   作:ダーク・シリウス

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Episode9

―――ヤハウェside―――

 

「・・・・・」

 

彼、兵藤一誠が死んだ。冥府に封印していているサマエルを奪い彼の命を奪った

リゼヴィム・リヴァン・ルシファー。まさか、サマエルを真正面から奪うなんて誰が思う?

誰一人として思わない。

 

「イッセーくん・・・・・」

 

無事に、天国へ昇天したでしょうか・・・・・。彼が地獄なんて似合わないです。

あんな優しくて純粋な子が・・・・・。

 

「・・・・・っ」

 

何て残酷な運命・・・・・。両親に殺されたと知った時は信じられませんでした。

あの人たちがあの子を殺すなんて未だに信じられない・・・・・。

 

「どうしてあなたたちはそこまで変わってしまったのです・・・・・?」

 

「―――ヤハウェさま」

 

「ミカエル、なんですか?」

 

振り向けば、私を支えてくれる大天使長で四大熾天使(セラフ)の一人、ミカエルが跪いていました。

 

「兵藤一誠くんが所有していた神滅具(ロンギヌス)の調査の結果が出ました」

 

「―――――」

 

あの子が死んですでに数日が経過している。龍門(ドラゴン・ゲート)で召喚しても召喚されず、次元の狭間に死体も見つからないまま結果、死亡ということに決定してしまった。

しかし、まだあの子の手掛かりは残っている。

 

四つも所有していた神滅具(ロンギヌス)が他の宿主の人間に宿ったかどうか。

ミカエルの口から聞く結果に、真っ直ぐ目を向け、耳を傾ける。

そうする私の気持ちに理解したようで、ミカエルは静かに言葉を発した。

 

神愛護珠(ゴッド・ラブ・ディフェンス)は紫藤イリナに宿っております。

彼が死ぬ直前に渡したようなのは間違いなさそうです」

 

「・・・・・他はどうなっておりますか」

 

「・・・・・」

 

催促とばかり尋ねると・・・・・ミカエルが途端に怪訝な面持ちとなった。

 

「ミカエル?」

 

「ヤハウェさま・・・・・なんと申し上げればよいのか私は戸惑っております」

 

「どういうことです?」

 

「・・・・・未だに残りの三つの神滅具(ロンギヌス)の消失の確認が取れていません」

 

―――――っ!

 

それはまさか・・・・・。彼がまだ生きているということ・・・・・?

神滅具(ロンギヌス)の所有者が亡くなれば、消失し、新たな宿主へと移り変わる。

それは天界のシステムで確認が取れる。誰がどんな神器(セイクリッド・ギア)を所有していることも。

 

「ですが、聞けば彼はサマエルの毒と呪いを受けているとか。それならば、肉体は滅び、

魂も消滅しているはず。それでは、神滅具(ロンギヌス)として封印されている二匹のドラゴンも

ただでは済まないはずです。なのに・・・・・三つの神滅具(ロンギヌス)が未だに消失していないんです」

 

「・・・・・」

 

「とても信じられない結果だと思います。

彼はサマエルの毒と呪いを受けながらも―――生きているということです。

可能性ですが、魂の状態でなんとか生存しているのではないか?

と我々は結論に拱いておりますが」

 

魂の状態・・・・・彼はそこまでした生き長らえている・・・・・?

ですが、一体どうやってそんなことを・・・・・あの子がとてもできるとは

とても思えない・・・・・もしや、第三者の仕業?

 

「ヤハウェさま・・・・・?」

 

「・・・・・ミカエル、そのことを知っている者は誰ですか?」

 

「私を含め熾天使(セラフ)のメンバーだけです」

 

「では、そのことを誰にも漏らしてはいけません。第一級極秘扱いとします。

少しでも漏らしたら厳しい罰を与えます。他の者たちにもそのように伝えてください。

いいですね?」

 

真剣な表情で言う。ミカエルは頭を垂らし、同意と返事をして私のもとから去る。

彼がいなくなれば―――。

 

「イッセーくん・・・・・っ!」

 

思いもしなかった彼の生存に安堵して、涙が止まらず出てしまう。

良かった・・・・・どんな形であれ、生きてくれればまだ希望がある・・・・・!

 

―――アザゼルside―――

 

「・・・・・ぷはぁ・・・・・」

 

「アザゼル、ここ数日、酒ばかり飲んでおるではないか。いい加減に飲むのを止めたらどうだ」

 

「・・・・・うるせぇ・・・・・こうしたいんだよ、俺は・・・・・」

 

同僚に窘められるも止めないとばかりコップに酒を入れる。

 

「たくっ、何が堕天使の総督だ。

大層な名前のくせに、教え子を見殺しにしちまったんだからな・・・・・」

 

「・・・・・アザゼル」

 

「はっ!誠と一香に槍を突き付けれずにいた俺はとことん臆病者だ!

ぜーんぶ、イッセーに任せてしまったんだからよ!

そのおかげで、あいつは死んじまった!ははははっ!」

 

哄笑する。ああ、今は笑うしかないだろう?だって、本当のことだしなぁー。

 

「・・・・・っ」

 

その瞬間。ドゴンッ!と同僚に殴られて背中から壁にぶつかった。ってぇーな・・・・・。

 

「言いたいことはそれだけか、アザゼル」

 

「あ・・・・・?」

 

同僚が険しい顔で訳の分からないことを言う。

 

「朱璃を甦らせたあの子に恩を抱いている俺も、あの子を殺した奴らに殺意を覚えている。

いま目の前にいたら真っ先に殺してやりたい気持ちが一杯だ・・・・・!

それなのに、お前はなんだ。あの子の死を受け入れたくないように酒を飲んでばかり、

酒に溺れているばかりではないか!」

 

「・・・・・」

 

「俺が知っているアザゼルはお前のような腑抜けた男ではない!お前がそうなんでどうするのだ!

お前たちを守ったあの子の気持ちを気付かなかったとは言わさんぞ、アザゼル!」

 

―――――っ・・・・・・。

 

「さっさと前に進むために立ち上がれ。それがせめてあの子の為ではないのか」

 

言うだけ言って、同僚が俺に背を向けてどこかへと行った。

 

「・・・・・くそ、んなこと・・・・・分かってらぁ・・・・・!」

 

立ち上がって、ゆっくりと歩を進める。

 

「イッセー、お前の仇は俺が取ってやるよ。だから・・・・・ゆっくりあの世で休んでいろ」

 

それがせめての供養だ。

 

―――サーゼクスside―――

 

「私が・・・・・魔王に?」

 

「ええ、私の後釜に相応しい悪魔はあなただけ」

 

私、サーゼクス・グレモリーは現五大魔王の一人、

ルシファーさまに次代の魔王になって欲しいと申されていた。

 

「今の冥界はあなたを含め五人の魔王が統治しているからこそ存在している。

なのに、私が魔王なんて・・・・・」

 

「最上級悪魔で魔王である私より三倍も強いあなたが相応しいの。

その紅の髪も私と同じだしね」

 

「私はただの学園の理事長にすぎません。冥界の悪魔はあなたたちの信頼と信用、

期待をしているのです。それをあなたは無化にしようとしていることを承知の上で

私に魔王になれと申すのですか?」

 

「今回の件の責任は私にあるの。弟、リゼヴィムの凶行・・・・・誠さんと一香さんを

甦らせたユーグリット・ルキフグス。悪魔が仕出かした件の責任は私たち五大魔王にある。

だから、フォーベシイを除いた魔王全員、魔王の地位を捨てることにしたわ」

 

バカな・・・・・魔王の地位を捨てるとは冥界に住む民の悪魔たちを見捨てると道理のことだ。

それをルシファーさまは、いましようとしている・・・・・。

 

「考え直してください。一介の理事長が魔王などと・・・。

それに私の代わりに誰が理事長を務めるというのですか?」

 

「この話は今すぐってわけじゃないの。時が来たら、冥界全土にテレビで放送するわ。

理事長のこともちゃんと考えます」

 

「・・・・・」

 

「また改めて訪問するわ。―――それでは」

 

転移用魔方陣で姿を消したルシファーさま。あの方がいなくなった途端に、

私は深く溜息を吐いた。

 

「私が魔王などと・・・・・」

 

それでは―――ミリキャスとリーアたんと接する時間が大幅に減るではないか!

 

―――清楚side―――

 

一誠くんが死んで一週間が経過した。学校は変わらず何時もの日常を送っている。

授業を学ぶ生徒、生徒に知識を学ばせる教師。―――一部変わっている中で繰り返し続けている。

 

「・・・・・」

 

窓際にある空いているテーブルに花が入れられた瓶。あそこは一誠くんが座っていた席・・・。

彼はもう、この世にはいない。私は今でも彼の死に受け入れないでいる。

 

「一誠くん・・・・・」

 

―――和樹side―――

 

彼、一誠が死んで周りは変わった。清楚さんが簡単なミスを何度もする。

龍牙が連日学校をサボって家で修行をしている。カリンちゃんは学校に来ているけど

ずっと上の空。家でも教室でもイリナは暗い顔を浮かべる。

ゼノヴィアは何時も考えている顔をしている。悠璃と楼羅は兵藤家に戻ってしまった。

リーラさんは・・・・・学校を辞めてしまった。

 

「一誠・・・・・」

 

キミがいなくなると僕たちはこうも変わってしまうんだよ?死んだキミは知らないだろうけど、

僕たちはとてもキミに依存していたようだ。

 

「まあ、僕もそうみたいだ」

 

授業をそっちのけで、式森家が代々保管していた魔導書を見ている。もしかしたら死者を甦らす

魔法があるのかもしれないと禁断の魔導に手を出している。家族や一族に黙ってね。

 

―――イリナside―――

 

「・・・・・」

 

イッセーくん・・・・・どうしてこの翼を私に渡したの・・・・・?私に何をして欲しいの?

復讐?それとも、皆と一緒に戦えってこと?

 

「私は・・・・・」

 

ねぇ、イッセーくん。今度こそあなたは死んじゃったのね・・・・・。

もう二度とあなたの笑う顔を見ることはできないのね・・・・・。

 

―――ゼノヴィアside―――

 

私はあの時、同じ場にいたのに何もできなかった。何もしていなかった。私にもっと力があれば、

イッセーを殺されずに、共に戦えれていたのかもしれない。だが、イッセーに良く言われている。

パワーばかりでは絶対に勝てないと。・・・・・剣術の技術・・・・・テクニック・・・・・。

だが、それだけでは勝てないのかもしれない。聖剣、六つのエクスカリバーが

必要かもしれない・・・・・。

 

「・・・・・懇願して私の願いが、想いが届くのだろうか分からないが・・・・・」

 

幸い、神王さまがいる。あのヒトに頼めば・・・・・。うん、そうしよう。

帰ったらすぐに頼もう。例え、拒まれたとしても、何度も頼もう。

 

―――カリンside―――

 

実感がしない・・・・・イッセーが死んだなんて・・・・・まだ、実感しない。

 

『カリン』

 

「っ!?」

 

何時も呼ばれ慣れた声が聞こえた。教室の中を見渡せば・・・・・私を呼ぶ声の主がいない。

空耳か・・・・・。

 

「・・・・・今頃になって、ようやく気付いた」

 

初めて大切なものが失って気付く。そんなことないと思っていたのに・・・・・私は気付いてしまった。私は―――イッセーのことが好きだったんだと。本当に・・・・・自分の気持ちに気付くのは遅かった。もう、私の想い人は死んでしまったから・・・・・。

 

―――龍牙side―――

 

学校なんて行って強くなんかなれない。僕は今までずっと甘えていたんだ。

誰よりも強い彼ならずっと僕の友達でいてくれるって。でも、それは間違いだった。

―――彼は死んでしまった。自分より強大な敵によって。だから、僕は―――。

 

「今日もお願いします。神王さま」

 

「ああ、坊主の言う通り殺す気で掛かるからな。死んでも恨むなよ」

 

連日、神王さまに稽古してもらっているんですから。もっと、もっと強くなって

彼の仇を僕が討つんだ!

 

「おおおおおおおおおおおおおおおおっ!」

 

―――リーラside―――

 

『はは・・・・・お前をこうやって守ったのは・・・・・十年前以来だな・・・・・』

 

あなたは本当に十年前と同じ顔で、体勢で私を守ってくれました。

ですが・・・・・私はあなたの死まで望んでいなかった。

 

「・・・・・」

 

一誠さまの部屋のベッドに顔を埋めて悲しみを漏らす。

どうして、どうしてあなたが死ななければならないのですか・・・・・っ!

私は、私はあなたの代わりに命を落としかった・・・・・!それで私は・・・・・!

 

「一誠の・・・・・バカ・・・・・本当にあのヒトは大バカよ・・・・・・!」

 

最愛が死に、残された私たちの気持ちを考えてよ・・・・・!一誠・・・・・・!

 

―――楼羅side―――

 

一誠さまの命の灯火が・・・・・消失していたことを確認した私たちはとてもショックを

受けました。

 

「いっくん・・・・・いっくん・・・・・いっくん・・・・・」

 

悠璃が一日中、ずっと一誠さまの名前を呼び続ける。

一誠さまを一番依存しているのはもしかしたら妹なのかもしれません。

 

「・・・・・一誠さま・・・・・」

 

私もそう呟くと、枯れたと思った涙が、頬を濡らす。ああ・・・・・私も一誠さまに依存していた一人でした。

 

―――悠璃side―――

 

いっくんを殺した悪魔たちを殺す・・・・・絶対に、生易しい死なんてさせない。

内臓を引きずり出して、手足の指を一本ずつ切断して、耳を削ぎ落し、目玉をくりぬいて、

舌を切り落としてそれから―――!

 

「・・・・・一誠さま・・・・・」

 

楼羅が泣いている。うん・・・・・私も同じ気持ちだよ・・・・・。

いっくんが死んでとても悲しい。

だからね、楼羅。―――一緒にあいつらを殺そうよ。いっくんの仇を私たちの手で討つんだ。

 

「待っていろ・・・・・人外ども・・・・・」

 

―――ガイアside―――

 

一誠が死んだ。それを聞いた途端に我は真っ先に次元の狭間を泳いだ。

もしかしたらと一誠はこの狭間にいるのかもしれないと思って何時間も、何日も探し続けた。

そして・・・・・見つけた。

 

「・・・・・」

 

魂の無い肉の塊が二つ。一つは一誠だ。もう一つは・・・・・話に訊いていた堕天使だ。

二人が重なるように死んでいた。奴らは死体ないまま葬式とやらをしたようだが、

それは我がずっと隠していたからだ。その理由は、一誠の死体をベースにして我自身の体で

新たな肉体を再構築している。一パーセントに満たない可能性に縋り、我は思っている。

一誠は再び我の前に現れると。

 

「早く、早く姿を見せんか。一誠・・・・・」

 

我は、お前を何時までもずっとここで待っているのだからな。

 

 

―――???―――

 

「・・・・・」

 

俺は・・・・・どこにいるんだ?青い空に白い雲が浮かんでいて、豊かな大地、草原、

遠くに森林がある。ここが・・・・・所謂天国というやつなのか?

でも、今の俺はサマエルの毒と呪いで死んで・・・・・。

 

・・・・・ヴァンの奴はどうした?辺りを見渡せば―――いた。野原の上に寝転がっていた。

 

それだけじゃない―――俺の中にいたオーフィスとドラゴンたちまで何故か俺の中から出ていた。

―――サマエルまでいる。どうしてだ?気になることは山ほどあるが今は起こそう。

ヴァンに近寄り跪く。

 

「おい、起きろ」

 

「・・・・・」

 

起きない。・・・・・なら、

 

デ コ ピ ン☆

 

ズビシッ!

 

「あだぁっ!?」

 

した途端に短い苦痛が交じった悲鳴を上げて上半身を起こした。あっ、起きた。

 

「てめぇっ!?起こすならもっと優しく起こすか、他のやり方で起こしやがれ!」

 

「・・・・・悪魔のくせに狸寝入りしていたのか」

 

「・・・・・・」

 

そう指摘すれば、ヴァンが反射的に俺から目を逸らした。

あれ、お前ってそんなキャラだったっけ?

まあいいや。それよりも―――。

 

「なぁ、ここはどこだと思う?」

 

「どこって・・・・・おい、お前・・・・・どうして平然と私と話しをしているんだ?

毒と呪いでお前の体は・・・・・」

 

「分からない。気がついたらここにいた。それにオーフィスたちも」

 

「はっ?・・・・・おいおい、サマエルまでいるじゃないか。どうなってやがる」

 

俺が知りたいところだ。

 

「・・・・・私たち・・・・・死んだんだよな」

 

「天国だと思っているんだけど・・・・・違和感を感じてしょうがない。体も異様に軽過ぎる」

 

「とりあえず・・・・・分からないことだらけだ。

何か分かるようなものがあるはずだ。歩かないか?」

 

「どこにだよ?辺り一帯草原と森林しか見えなかったぞ」

 

「それは賛同するけど」と付け加える。ヴァンから離れ、

オーフィスとクロウ・クルワッハ、羽衣狐に近づく。

 

「おい、三人とも起きろ」

 

「「「・・・・・」」」

 

起きない。・・・・・なら、

 

デ コ ピ ン☆

 

ズビシッ!

 

 

―――数分後―――

 

 

「私たちは何時の間にかお前の中から出ていたとは・・・・・」

 

「ここ、どこ?」

 

「のう、もう少し優しく起こしてほしいかったのじゃが・・・・・・」

 

額から煙を立ち昇らせるオーフィスとクロウ・クルワッハ、羽衣狐。

四人で協力してゾラードたちも起こしたら、相談し合う。

 

『不思議な場所だ。なんというか、懐かしいと感じる』

 

『ああ、この場所は来たことないのに、我も感じる』

 

『別の世界・・・・・なのでしょうか?』

 

別の世界・・・・・もしや、異世界だというのか?

俺たち、知らない間に異世界に来てしまったというのか?

 

『にしても・・・・・サマエルとやらがいるのはどうしてなのですか?』

 

「知らない。俺も実際に驚いている」

 

一応・・・・・あのドラゴンも起こしたんだけど、俺たちから距離を置いて佇んでいる。

様子を窺っているのは良く分かる。

 

『アレのことは放っておけ。いまはどうして俺たちがここにいるのかだ。

兵藤一誠が毒と呪いに侵されて絶命するはずだったのに拘わらずピンピンしているしな』

 

「それこそ俺が知りたいって」

 

嘆息して天を仰ぐ。悩む俺たちにただ覆うように広がる空―――。

 

ヒュゥゥゥゥゥゥ・・・・・・ッ

 

「・・・・・・ん?」

 

何か、落ちてくる・・・・・?怪訝に目を細めてジッと見つめると―――声が聞こえてきた。

 

「う、うわあああああ!ど、どいてくださぁあああああああああああああああああい!」

 

「へ?」

 

一拍して、俺たちの間に何かが轟音と共に落下した。思わず顔で腕を覆って後方に下がった。

 

「・・・・・なんだ?」

 

俺たち以外にも誰かがいたのか?土煙が止むまで見据えると、ムクリとそれは起き上がった。

 

「あたたた・・・・・もう、あのバカ龍!私を縛って大砲に突っ込めて飛ばすなんて・・・・!

帰ったら覚えていなさいよ!」

 

『『『『『・・・・・・』』』』』

 

「「「「「・・・・・・」」」」」

 

突然現れて早々、誰かに対して愚痴を言う謎の人物・・・・・いや、

頭から角を生やしているぞ。人と言うべき存在か・・・・・?

その存在はすぐに俺たちに振り向く。

 

「あっ、すいません。みっともないところを見せてしまって。私はメイドのウリュウと申します」

 

「・・・・・メイド?」

 

良く見れば・・・・・確かに従者が身につけるような服を着ていた。

頭にカチューシャもつけている。

 

「はい、あなたは兵藤一誠さまですね?お待ちしておりました」

 

「お待ちしておりました?俺を待っていたのか?

いや・・・・・ここに来ることを事前に知っていたような言い方だな」

 

俺が尋ねれば、ウリュウというメイドはコクリと頷いた。

 

「良くお気付きに。はい、そうなんです。あなたとドラゴンたちは私たちの長が招いたんです。

そこにいる堕天使はついでですが」

 

「ついでかよ!?」

 

ヴァンが食って掛かった。私たち(・・・)()ね・・・・・。

どうやら町があるようだな。

 

「あなた方はいま、どうしてここにいるのか、

それを知るためには私たちが住んでいる城に赴いてくれれば分かります」

 

「・・・・・拒否する権利はなさそうだな」

 

「長があなたとお会いしたがっております。

仮に抵抗するならば―――強硬手段を取らせてもらいます」

 

そう言ったウリュウが光に包まれた。どんどん光が大きくなり、やがて消失した。

 

「な・・・・・に?」

 

『私たち龍の長があなたを招いたのです。私と共に来てください』

 

俺の目の前に、ウリュウが龍と化となった。・・・・・どうやら、

俺たちは別の世界に召喚されたようだ。

 

「イッセー」

 

「・・・・・拒否するつもりもないが、また疑問が湧いた。ああ、龍の長とやらに会おう。

でも、一つ良いか?」

 

『なんでしょう?』

 

「あいつもいいか?」

 

距離を置いているサマエルに視線を向ける。

 

『・・・・・ドラゴンに対する悪意を持つドラゴンに長と会わせる訳には参りません』

 

厳しい目で言われちゃったぜ。・・・・・しょうがない。こうするか。

 

「サマエル!お前も来い!」

 

『ちょっ!?』

 

俺の言動にウリュウが目を見開いた。

 

『あなたはあのドラゴンの呪いによって命を落としそうになったのですよ!?

それなのにどうしてあのドラゴンまで連れて行こうとするのですか!』

 

「それなら、どうしてあいつまでここにいるんだよ?

龍の長とやらがあいつも呼びだしたんだろう?じゃなきゃ、サマエルはここにいない。

それに俺が何も考えないで連れて行こうと思っているのか?

―――メリア、サマエルに結界を張ってくれ。ああ、包む感じで」

 

『わかりました』

 

メリアが目を煌めかす。サマエルを包むように金色の膜ができて、

本人の意思と関係なく俺たちのもとに来た。

 

「これなら、龍の長に被害は出ないはずだ。本人が大人しくしていればの話しだけどな」

 

『・・・・・・』

 

ウリュウは目を細めて俺を睨むように見詰めてくる。

 

『・・・・・やはり、あなたは物凄く変わっている人間ですね』

 

「おい、俺のどこが変わっているんだよ」

 

『いえ、こちらの話です。ですが、龍の長があなたに意識を向けるのが

良く分かった気がします』

 

なんのことだよ・・・・・。龍の長とやらにすら会ったことがないのにさ。

 

『では、私についてきてください』

 

翼を力強く羽ばたかせ、ウリュウは空を飛翔する。

ゾラードの頭にオーフィスと羽衣狐と乗り移り、俺たちはウリュウの後を追った―――。

 

 

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