それは突然のことだった、僕たちは兵藤家上階にあるVIPルームにて一堂に会していた。
ルーマニア―――カーミラ側の本拠地に赴いているアザゼルから直通の回線が開いている。
僕たちは魔方陣から移される立体のアザゼルからすぐに事情を聞き、そして驚いた。
「―――リアスさんたちが!?」
清楚さんの驚きにアザゼルも頷く。
『ああ、どうにもツェペシュ側の方で大きな動きがあったようでな。ツェペシュ、カーミラ、
両領地の境界線上が一時混乱状態になった。あちらでクーデターが起きたと見ていい。
リアスと木場兵藤誠とイッセーの奴もそれに巻き込まれた可能性が高い。
というよりも拘束されているだろう。こちらからリアスに通信ができん。
そちらも同様じゃないか?』
『・・・・・』
突然の報告に全員が息を呑んでいた。
朱乃さんが小型の魔方陣を描いてリアスさんへ通信を送るが・・・・・反応は全くなかった。
「クーデター・・・・・」
小猫ちゃんがボソリとそう呟く。・・・・・まいったね。
彼女があっちに行っている時に起こるなんて、誰も思いもしなかった出来事だよ。
ギャスパーくんは顔を強張らせているし・・・・・、
『カーミラ側の幹部の話では、今回のクーデターでツェペシュのトップが
入れ替わったそうだ』
『―――ッ!?』
全員がその一方に表情を激変させる。
ちょっと、トップが入れ替わったって・・・もう、事が終わったあとじゃないか。
「と、とんでもないことになってんじゃないですか」
龍牙の言葉にアザゼルも息を吐く。
『・・・・・現在。ツェペシュの当主、つまり、男尊派ツェペシュの大元たる王が
首都から退避したとのことだ』
「・・・・・ツェペシュの王が逃げるだなんて、相当なことが起きた証拠ですわね」
アザゼルの報告に朱乃さんも眉をひそめてそう漏らした。
ソーナさんが顎に手をやりながら言う。
「おそらく、聖杯に関与した件で『
―――ツェペシュは『
リゼヴィム・リヴァン・ルシファーが率いる現『
生命の理を司るという聖杯を持つ吸血鬼側(ツェペシュ派)と繋がっている可能性は
極めて高いと報告を受けていた。
つまり、『
それを用いて滅んだ邪龍(グレンデル)を復活させたのだろう―――と、
アザゼル、ソーナさんをはじめ、各陣営の方々の共通見解だった。
『ああ、裏で「
アザゼルも面白くなさそうにそう漏らし、さらに続ける。
『・・・・もともと、吸血鬼の連中はツェペシュもカーミラも他の勢力との接触を避けて、
内々に独自の内政を行っていた。だからこそ、「
あったんだろう。内部に現政権を疎む連中なんざ、どの勢力にも必ず一派はいるもんだ。
聖杯の噂を聞き、そいつらを通して、裏からじわじわと侵食していったんだろう』
「反政府の過激派の動きに気付いても現政府側は他に助けを呼ばなかったんですね」
僕がそう言う。よほどの馬鹿でもない限り、過激派の怪しい動きを多少なりとも掴むだろう。
王の傍にまで食い込まれる前に他へ助けを求めればよかったのに、
ツェペシュは―――吸血鬼はそれをしなかった。アザゼルが言う。
『・・・・・自分たちの事を至高の存在と位置づけて、誇りとやらを重んじだ結果だろう。
死んでも他に助けを求めたくもなかった。
または聖杯の存在を意地でも他に漏らしたくなかった。
そんなところだろう。というわけでツェペシュの本拠地が気がかりでな。
俺はカーミラの根城からあっちに向かう予定だ』
聞いて分かった。貴族って―――馬鹿だね。
『―――おまえらを召喚することになるな。てなわけで直ぐに飛んで来い。
リアスたちと合流しつ、ツェペシュ側の動向を探らなければならん。
お前たちの戦力が絶対に必要だ。
何せ、ツェペシュ側の反政府グループ以上に危険なものが関与しているんだろうからな』
―――なんとなくだけど、こうなると予想はしていた。
『だが、戦力をこちらに集中させるわけにもいかない。そこは一度襲撃を受けているからな。
こちらに来るのはグレモリー眷属、イッセーと小猫、ギャスパー。葉桜と式森と龍牙、
イリナとゼノヴィア、以上だ。シトリー眷属と名前を呼ばれていない奴らは
その町に待機してもらう。いいな』
アザゼルの言う通り、この町は先日襲撃を受けている。。
二度とあんなことのないよう町を覆う結界、
関係者の出入りにも細心の注意を今まで以上に払うようになった。
「・・・・・私もそっちに行く」
悠璃が不満そうにアザゼルに言うと
『こちらも重要だが、そちらも大事だからな。かなりの実力者たちを
そっちとこっちで分散させた方が良いだろう』
リアス先輩と木場のことだろう。―――ソーナさんの挙手に視線が移った。
「いい機会です。皆さん、うちの新人一名を連れて行ってもらえないでしょうか?」
「新人・・・・・ですか?」
僕がそう訊く。彼女の眷属に新たに加わっていることは知らなかった。ソーナさんは頷いた。
「ええ、彼らまだ悪魔としての戦いが経験不足な面があります。
それに今回の一件、彼の力が役立つ可能性も高いでしょう」
ふーん、戦闘経験知稼ぎってことかな?アザゼルがレイヴェルちゃんに視線を送った。
『レイヴェルはそこに残れ。さすがに今回は客分のお前さんが立ちあうには辛い局面だ。
わかってくれるな?』
レイヴェルちゃんもアザゼルの言葉に頷いた。
「はい。心配ごともありますけれど・・・・・、兵藤家と駒王学園はお任せください」
聞き分けの良い子だよ。本当に。文句の一つ言わず応じてくれた。
彼女はフェニックス家から預かっている大切で大事な客分。
危険な場所にはおいそれと連れてはいけない。彼女の実力が上がっているからといってもね。
アザゼルが僕たちを再度見渡す
『詳しい事は現地で話す。―――では、準備ができ次第、こちらにジャンプしてくれ。
カーミラ側に受け入れ用の転移魔方陣を敷く。状況開始だ』
『はいっ!』
皆が応じる。―――ルーマニアに突入だ。現地に行くメンバーは僕と清楚さん、
龍牙、イリナ、ゼノヴィア、成神、小猫ちゃん、ギャスパーくん、
シトリー眷属の新メンバー一人。他のメンバーはここに待機。
―――一誠side―――
「おお・・・・・イッセーくん!生きておったのか!」
ロマリアダンジョンの前で俺はカリンの父親強く抱きしめられた。
「久し振り、サンドリオンさん」
「髪と瞳の色が変わっているが、生きていたのならばワシは安心した!
これで、極東の地にいるカトレアに嬉しい報告ができると言うものだ!」
そう言えば彼女はどうしていたのだろうか。すっかり忘れていた。
「しかも、キミもダンジョン攻略に協力していたとはな。うむ、キミだったら納得できるぞ」
「俺だけの力じゃない。皆と協力してダンジョンを攻略したんだよ」
「そうだとしても、イッセーくんはやはり凄いな。
うむ、キミならカリンやカトレアの婿に相応しいだろう」
ちょ―――このオッサンはなに言っているんだよ!?カリンはともかく、カトレアもって!?
「お父さま・・・・・」
「カリン、私はルイズと共に帰るがお前は彼と共にいなさい。
お前がいない間にお前の荷物を全て彼の家に移しておこう」
「えっ、それって・・・・・!」
「彼を守り抜け。良いな」
えっと、カリンが俺の家に住むことになったのか?当のカリンは嬉しそうに頷いた。
「サンドリオンさん。聖地のことに関しては・・・・・」
「無論、ワシの娘が伝説の虚無の魔法が使えようと聖地奪還のために戦場に
送るようなことはしない。
心の拠り所が必要だと教皇陛下は仰ったが、今のワシの心の拠り所は家族が待っている家だ」
「・・・・・」
「極東の地、日本。あの国に来てワシも変わったようだな。
故郷のことよりも家族の方が大事だと今ならばハッキリと言える」
俺とカリンの頭を撫でながらサンドリオンは言った。その表情は父親のそれだった。
貴族としての振る舞いをせず、一人の父親として俺に接してくれる。
「イッセー、出発の時間だ」
「分かった」
エルザ・スカーレットに促されサンドリオンと握手を交わす。
「行ってきます」
「カリンをよろしく頼むぞ。未来の義息子よ。
カリン、しっかりとヴァリエール家の名に恥じない戦いをし、イッセーくんを守るのだよ」
「はい!」
俺の手を握り、カリンに引っ張られる形で仲間のもとへ連れて行かれる。
「久々にイッセーと共闘だわ。イッセー、一緒に戦いましょう?」
「了解だ。攻略してやろう最後のダンジョンを。なっ、お前ら」
『おおっ!』
皆が気合の声を上げた。そして、俺たちはダンジョンの中へと侵入する―――。
―――○●○―――
ダンジョンの中は・・・・・。
「え、ここって・・・・・」
「火竜・・・・・山脈?」
ガリアとロマリアの国境の東西に伸びる山脈の前にいた俺たち。
空は灰色の雲に覆われていて天侯があまりよろしくない。
「まさか、次の試練は・・・・・あのドラゴンってわけじゃないよね?」
「いや、ロマリアダンジョンをクリアしていないんだぞ。
あのドラゴンが眠りから覚めるとはとてもだが、有り得ないだろう」
「じゃあ・・・・・どうしてここにいるんだ?」
そう言われこの場にいる俺たちは首を傾げた。
―――すると、上空から音が聞こえてきた。その音がする方へ顔を向けると、
「―――見たことない」
『・・・・・・』
「数のドラゴンだな、おい!?」
東洋、西洋のドラゴンが上空から現れて俺たちに襲いかかってきた!
「ちょっと待ってぇえええええええええっ!?」
グォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!
ルーシィ・ハートフィリアの叫びに、ドラゴンが吠えだした。
「最後のダンジョンはやっぱりこうじゃないとな!」
「燃えてきたぁー!」
「相手がドラゴン。私の剣で全て倒してくれる!」
フェアリーテイル組が不敵の笑みを浮かべ、襲いかかるドラゴンたちに攻撃し始める。
「お前らも大暴れして来い。相手が豊富だぞ」
内にいるサマエルだけ残して
『ようやく戦いらしい戦いをさせてくれる』
「おら、私に倒されたい奴は掛かってこい!」
「我、イッセーを守る」
透明なステルスも含めて九匹のドラゴンたちも攻撃を開始した。
俺自身も創造の力で創った金色の軍杖を構えて呪文を呟き、俺を含めて十人の分身を生みだした。
「っ!イッセー、その魔法は・・・・・・!」
「ああ、ルイズの婚約者と言う人から盗んだ魔法だ。これ、便利だよな」
「―――凄い、やっぱりイッセーは凄いわ!私も負けていられない!」
カリンは嬉々として呪文を呟いた。
そしたら、カリンも俺と同じ魔法で本体も含めて八人を生みだした。
「「いけ!」」
―――数十分後―――
「って、全然数が減っていないようなんですけど!?」
ルーシィ・ハートフィリアが愕然と言う。うん、そうだな。一向に減る気配も感じない。
全員で合わせば百体は越えていると思うんだけどな。一体どーなっている?
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・・」
エルザ・スカーレットが全身で息をする。彼女もグレイ・フルバスターもよく戦った。
でも、数の暴力に苦戦していた。メイジのシャルロット、ジョゼットキュルケも魔力が
底を切れ俺の傍で休んでいる。
「おりゃあああああああああっ!」
まだ戦っている奴がいる。特にナツ・ドラグニルはまだまだ元気が有り余っているな。
オオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!
「っ!」
西洋のドラゴンが迫ってきた。そのドラゴンに対して極太のレーザービームのような炎を撃ち、
消滅させた。
「く・・・・・っ!」
祖までカリンが苦悶を漏らした。彼女も魔力が底を尽いたようだ。
「ごめん・・・・・イッセー・・・・・」
「いや、よく頑張ってくれた。ありがとうな」
「・・・・・帰ったらイッセーがしているような修行をしなきゃ」
いや、それこそしなくていいからな!?あれ、マジでヤバいからさ!
「ナヴィ、この辺りの調査は終わったか?」
「ええ、イッセーのドラゴンは凄いわね。疲れ知らずのように、
次々とドラゴンを倒しちゃっているわ」
「久々に体を動かせれるからはしゃいじゃっているんだろうな」
チョコンと肩に乗っかっているオーフィス以外は。
「でも、それでもどこからともかくドラゴンが出てくるわ」
「その場所はどこからだ?」
「空からよ」
「空か・・・・・だったら、そこへ行こうか」
真紅のオーラを全身に纏い、真紅のドラゴンへとなり変わる。
「イ、イッセー・・・・・その姿は・・・・・・」
「昨日宿で話しただろう?俺はドラゴンに転生したって」
体勢を低くして皆を背中に乗せる。
「ナツ!ヴァン!空に行くぞ!俺の背中に乗れ!」
未だにドラゴンと戦っている二人に咆哮する感じで催促し、体に乗せれば空へ飛翔する。
「って、俺を置いていかないでくださいっすよ~!」
デュリオ・ジェズアルドが追い掛けてきた。
いや、お前一人だけでも大丈夫かと思ったんだけどな。
俺が空に飛翔すれば、クロウ・クルワッハたちも何かあるのだと察したのか、
俺についてくる。
「雲の上からドラゴンの臭いがすんぞ」
「雲の上だな?分かった」
バサッ!
翼を大きく羽ばたかせ、雲に突っ込んだ。しばらくして、雲から抜け出した。
青い空に太陽の光が目に映る。
「・・・・・なんだ、あれは」
向こうに黒い玉のようなものが浮かんでいる。ジッと凝視してみたら―――俺は絶句した。
「マジかよ・・・・・・」
冷や汗を掻く。いくらなんでもあれは・・・・・あんまりすぎるんじゃないか?
「イッセー、どうした。あの黒い塊が何だか分かるのか?」
「・・・・・あれ、全部ドラゴンだ」
俺の言葉で背中に乗っている全員が呆けた声をする。俺の目に映る黒い塊は、
グルグルと数えきれないほどの東洋と西洋のドラゴンたちが動きまわっている。
『おいおい、なんだよ。あの数のドラゴンどもは・・・・・・』
「流石にあの数と戦うのは・・・・・」
邪龍や龍王たちすら絶句して様子だった。
「イッセー・・・・・流石に今回は死んだかもと思っていいかしら?」
「却下。まだ負けちゃいない」
「でも、イッセー。見えないけど黒く見えるのが全部ドラゴンなんでしょう?
流石にイッセーでも・・・・・」
ジョゼットが顔を青ざめて話しかけてくる。まあ、俺一人だったらそうだけど。
「メリア、皆をお前の背中に乗せてくれ」
『主?』
「オーフィスの力で鎧を纏う」
金色のドラゴンに近寄り、エルザ・スカーレットたちを乗り移させれば、オーフィスに問うた。
「オーフィス。あの時以来にお前の力を貸してくれ」
「ん、我はイッセーを守る」
頭の上から無限の魔力を感じる。俺も魔力のオーラをオーフィスの魔力と
融合させるように放出する。
「我、無限を司る龍神なり」
「我、無限を司る龍神に認められし者」
「我は無限の力を認めし者のために振るい」
「我は愛しい者たちのために力を振るい」
「我らは共に一つとなりて―――」
「我らの敵を嗤い、我らの敵を憂い」
「「汝らを無限に葬り去ろう!」」
インフィニティ・ジャガーノート・ドラゴン・ドライブ!
―――エルザside―――
カッ!
「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」
イッセーがオーフィスと融合した。見れば綺麗だった真紅の体が黒に浸食されていくように紋様が
浮かび、体がさらに大きくなった。・・・・・六百メートルぐらいだろうか。
とにかくデカい。翼も六対十二枚にまで増えていた。
「す、すげぇ・・・・・」
「ああ、イッセーの奴・・・・・とんでもねぇ野郎だな」
ナツとグレイが感嘆する。ああ、そうだな。私もまだまだイッセーの力をそこが知れないと
思い知らされたよ。
バサッ!
と、あいつが翼を羽ばたかせて黒い塊の方へ飛んで行った。他のドラゴンたちは動かない。
「お前たちは行かないのか?」
そう尋ねれば、首を横に振られた。
『今の主は真龍と龍神が一つになった状態。ならば、我らが出る幕はない』
『くくく・・・・・こんな気持ちは生まれて初めてだ。戦いたくないと思ってしまったぞ。
奴の底知れぬ無限の力を感じてな』
「やっぱり、あいつは有り得ない人間・・・・・ドラゴンだな。もしかしたら、
ガイアを倒してしまうんじゃないか?」
青いドラゴンが笑みを浮かべたその時だった。
チュインッ!
黒い塊から一瞬の閃光が走った。―――刹那。黒い塊を飲み込むほど真紅と黒の光が激しく膨張した
直後に私や皆に突風が直撃してきた。
『な・・・・・なんて馬鹿げた魔力の塊だ・・・・・っっっ!?』
「あんな魔力、今まで感じたことがないぞ!」
『あれが今の主の一撃・・・・・!』
ああ、あんなに離れているところから感じる膨大な魔力!
アレが本気の一撃ではないと言われたら、イッセーはこの世界、地球を破壊するほどの力を
有していると言うことになる!膨張した真紅と黒の光は未だに宙で浮き続けている。
―――その中からこっちに向かってくる一つの影が。
「ただいまっと」
平然とした態度と調子で私たちに声を掛けてくるドラゴン、イッセー。
『あ、主・・・・・今の攻撃は・・・・・?』
「あー、面倒くさかったから本気で攻撃したんだよ。一応、始祖の秘宝は手に入れたけどな」
『アレで本気か・・・・・お前と言う奴は、ガイアを越えるつもりか?』
「いずれ越してみたいよ。まだまだ掛かりそうだけどな」
目元を細め口の端を吊り上げた。微笑んでいるのか?だが、すぐに真剣な瞳となった。
「これで全ての塔を攻略した。残すは―――エンシェント・ドラゴンを倒すだけだ」
そうだ。それがイッセーがハルケギニアにやってきた最大の理由。
火竜山脈に眠るドラゴンを封印することがイッセーの目的だった。
「現世に帰るぞ」
イッセーはどこかへと飛んで行く、私たちを乗せている金色のドラゴンもついていくのだった。