ハイスクールD×D×SHUFFLE!   作:ダーク・シリウス

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Episode9

 

 

なんか、凄く酷い戦いをしたような・・・・・。

相手が自滅するなんてどうしたらそうなるんだ?

 

「ねぇ、物凄く勝った気がしないんだけど」

 

「和樹さん。それはこの場にいる皆も思っていることです。流石に、あれはないでしょう」

 

「あれで、Sクラスなのか?三年のゼファードルのほうが歯応えあったぞ」

 

「なにやら、勝手に爆発しましたが・・・・・」

 

あっという間に終わってしまって、体育の授業の残りの時間は自習となった。

教室に戻った俺たちは反省会もとい、疑問をぶつけあっていた。

 

「きっと、あの爆発はカリンちゃんの姉の魔法だろうね。

良くも悪くもあの爆発魔法は、感情の高さによって威力が変わるんだよ。

興奮、怒りをすれば強大に、落ち込み、不安になれば威力が弱まる」

 

「じゃあ、あいつは興奮か怒って魔法を暴走させたってことなのか?」

 

「んー、暴走じゃなさそうにも見えたんだけど・・・・・どうしてなんだろう?」

 

「まあ、済んだ授業のことはもうどうにもなりません。

それよりも、Sクラスを倒したことでお祝いをしましょうよ」

 

龍牙が嬉しそうに提案してきた。珍しいな、自分から言い出すなんて。

 

「どうしたんだ?何かいいことがあるのか?」

 

「まあ、前代未聞なことだしね。FがエリートクラスであるSを形がどうであれ、

結果的に倒したんだよ」

 

「あー、確かにそれは凄いことかもな。―――全く実感しないけどな!」

 

「ははは・・・・・でも、これで戦力が増強できるからいいじゃない」

 

ん・・・・・?戦力増強?どうしてだ?と葉桜に問うたら、説明してくれた。

 

「えっとね、一番低いクラスが三つ以上のクラスを倒したら、

そのクラスから一人だけ指名してクラスに引き込めることができるの。

例え、委員長でもね?それに、授業に参加した生徒は学校から頑張ったご褒美として、

無料食券一ヶ月分を貰えちゃうの」

 

「その上、相手はSクラス。僕たちクラスは移動範囲も拡大しました。

一気にF~Sですよ?別のクラスにいる友達に会いに行けるようになって他の皆さんも喜びます」

 

「―――つーことは、Aクラスにいる杉並の所に行けるようになった訳だ?」

 

「勿論です」

 

・・・・・ふふふっ、ようやくお前の顔を拝める日が来たようだ。

 

「な、なんか・・・兵藤くんの体から黒い靄のようなものが・・・・・」

 

「杉並さんにしてやられていましたからねぇ・・・・・。

その仕返しがようやく出来ると喜んでいるのでしょう」

 

「その喜び方が禍々しいよ・・・・・」

 

なんだろう、とんでもなく失礼なことを言われた気が・・・・・・。

 

「で、Sクラスから誰を選ぶんだ?個人的にカリンが良いんだけど」

 

「うん、僕も彼女でいいよ」

 

「異論はありません」

 

「私もです。葉桜さま、ご決断を」

 

「はい、多数決を決めても結果は同じだろうし、彼女にしましょう。早速、先生に―――」

 

「いや、その必要はない」

 

葉桜の言葉を遮ったのは、この教室の扉が開け放たれ音と共に聞こえた第三者の声だった。

 

「私が志願しておいた。だから、先生に言わなくてもいい」

 

鳶色の瞳の桃色のポニーテールの少女が、ツカツカと教卓の傍によって、ペコリとお辞儀をした。

 

「二年F組の皆さん。今日からこのクラスに所属となった

カリン・デジレ・ド・マイヤール・ラ・ブロワ・ド・ラ・ヴァリエールだ。

これからよろしくお願いします」

 

カリン・デジレ・ド・マイヤール・ラ・ブロワ・ド・ラ・ヴァリエール。彼女が自ら来た。

 

「やー、カリンちゃん。一緒になるのは一年ぶりかなー?」

 

「だからカリンちゃんと言うな!私はそんな呼ばれ方は嫌いだ!」

 

「あはは、からかいがあるよ」

 

「くっ・・・・・!」

 

カリンは顔を赤く染めて和樹を睨んだ。まるで兄妹の風景だな・・・・・。

 

「でも、いいの?まだ先生の所に言っていないのに・・・・・」

 

「ああ、これは私自身のけじめなんだ。敢えて言わせてもらうが、嫌々Fに所属した訳ではない。

仲間を止めれず、ルイズ姉の暴走を止めれなかった自分がダメだったんだ。一から鍛え直して、

それから再びSクラスに戻るつもりだ。もっと強く発言を言える自分になってな」

 

口の端を吊り上げて威風堂々と・・・・・その言動に俺は思わず呟いた。

 

「恰好いいな」

 

「・・・・・え?」

 

「いや、今のカリンの言動にそう思ったんだよ。恰好いいなって」

 

「――――――っ!」

 

ポンと、カリンの顔が真っ赤になった。ありゃ、照れたか?

 

「か、恰好いいだなんて・・・・・そんな・・・・・」

 

クネクネと頬に手を添えて悶え始めたカリン。

 

「・・・・・あれ、喜んでいるのか?」

 

「うん、嬉しいことを言われるとあんな感じに、ね」

 

不思議そうに和樹に問えば、苦笑いをしながらも頷く和樹だった。

 

―――○●○―――

 

―――木漏れ日通り

 

「皆さんの活躍でSクラスを・・・・・倒した形で私たちF組はSに勝利しました。

そのお祝いとして今日は、一杯食べて盛り上がりましょう。

そして、新しいクラスメートとなったカリンちゃんに祝い―――乾杯!」

 

『乾杯っ!』

 

とある店、名前は『フローラ』。

その店で俺たちは、カリンの歓迎会兼祝杯をすることになった。

 

「かんぱーいっ!」

 

招かざる客がいる中で・・・・・。

 

「緑葉・・・・・どうしてお前がここにいる?」

 

「ふっ・・・愚問だね兵藤。美少女がいるところに俺さまがあり、

美女がいるところに俺さまがあり、だよ?」

 

ニヒルな笑いをする緑葉樹。俺たちが座る席の隣で緑葉の他にも数人の男女が座っている。

 

「それに、俺様もただで参加した訳じゃない。

こちらもキミたちを祝ってもらえる友達を呼んできたよ」

 

「おめでとー!」

 

「おめでとうございます」

 

「おめでとう!凄いね、Sクラスを倒しちゃうなんて流石!」

 

リシアンサス、ネリネ、リコリスは分かる。だがな・・・・・。

 

「すいませーん、パフェを注文おねがいするのですよー!」

 

「ま、真弓ちゃん・・・・・・」

 

「・・・・・すまん」

 

揉み上げが長い黒髪にオッドアイの少女が祝うどころかそっちのけで、デザートを注文していた。

オレンジ色の神の少女と一人の男子生徒が気まずそうに座っている。

 

「緑葉・・・・・一名、思いっきり目的とは違う事をしているぞ」

 

そう言うと緑葉のやつは苦笑を浮かべるだけだった。

 

「・・・それにしても、お前らは二度目だな。会ったのが」

 

「会った・・・・・?すまないが、どこかで会ったか?全く覚えがないんだけど」

 

「ああ、物凄い勢いで通り過ぎていたから気付かなかったか。

そこのオレンジ色の髪の女子生徒を抱えて、大勢の人たちから逃げていた時が遭っただろう?

その時に見かけたんだ」

 

あの時のことを脳裏に思い浮かべ、説明すれば心当たりがあったようで、

彼女は頬を淡く朱に染めた。

 

「・・・・・楓の親衛隊に追いかけられていた時だったか」

 

「親衛隊?ファンクラブの奴らか?」

 

まだ他にもいたのかと、思ったら「正確に言えば、非公式ファンクラブだよ」と、

緑葉が話しかけてきた。

 

「既にキミは狙われて知っているだろうけど、シアちゃん、ネリネちゃん、の親衛隊の他に彼女、

芙蓉楓ちゃんの親衛隊もいるんだよ。KKK、きっときっと楓ちゃんっていう親衛隊をね」

 

「・・・・・苦労しているんだな。お前も」

 

「ああ・・・・・」

 

同情の余地があり過ぎる。寧ろ、同じ境遇の奴がいると知って嬉しく感じる。

 

「寧ろ、嫉妬という名の男の勲章を受け取った方がいいべきだと俺さまは様思うよ。

学校のアイドルを独り占めにしている稟と兵藤には酷く、妬み、

悔しく思っている男子生徒は多いからね」

 

「言いかえれば、あまりにも羨ましすぎて面白くないから、

暴力を振るうはた迷惑な集団ってことか」

 

「まあ、そう捉えられても仕方ないね」

 

いや、そう捉えるだろう?どう考えてもさ。

 

「あんまりしつこいようだったら僕も手伝うからね」

 

「友達の苦行を見過ごせませんからね」

 

「・・・・・ありがとうな。お前ら、いい奴らだよ」

 

和樹と龍牙がフォローしてくれた。俺の中の友情値が35増えた。

 

「稟と言ったか?苗字は何なんだ?」

 

「土見だ。土の土、見るの見、土見」

 

「土見稟か。分かった」

 

「呼ぶんなら稟でいいぞ。こっちは一誠と呼ぶから」

 

その言葉に肯定と頷く。と、

 

「あっ、私は―――」

 

「だったらその話に乗らない訳がないね。兵藤、俺さまもキミのことを一誠と呼ばせてもらうよ。

だからキミも俺さまのことを樹と呼んでも構わない」

 

さっき注文していた女子生徒が挙手をした。

でも、緑葉が遮ってしまって話の続きが聞こえなくなった。

 

「―――邪魔なのですよ緑葉くん♪」

 

「んなっ!?俺さまはなにもしていないのに―――!」

 

あっという間に緑葉の奴は全身に縄で縛られて芋虫状態になった。

 

「私の名前は真弓=タイムなのですよ」

 

・・・・・誰も名前を聞いていないんだけどな。まあいいか。

 

「言っておくけど、奢らないからな。」

 

「えー!そんなー!」

 

図々しい奴だな。勝手に来た奴の分まで奢るかよ。

 

「まあ、いいのですよ、緑葉くんに払ってもらうから」

 

「本当に図々しい奴だな!?」

 

「それが真弓でもあるからな」

 

稟の奴が溜息を吐いた。それはそうと・・・・・。

 

「芙蓉楓をお姫様だっこしていたから、お前らは付き合っているのか?」

 

「ふぇっ!?」

 

「いきなり何を言い出すんだお前は・・・・・俺と楓は幼馴染なんだ」

 

へぇ、幼馴染か・・・・・そう言えば俺にもいたな。茶髪の男の子と銀髪の男の子。

あいつら、今頃どうしているんだろうか?

 

「稟と芙蓉楓はどこに住んでいる?」

 

「稟くんは私と一緒に住んでいますよ」

 

「正確にいえば、楓の家に居候している」

 

「・・・・・ヒモ?」

 

「―――ぐはっ!?」

 

あっ、稟が倒れた。どうしたんだ?冗談のつもりで言ったんだけど・・・・・。

 

「いや、一誠の言う通り、稟は楓ちゃんに家事、炊事、洗濯を任せているからね。

でも、それは楓ちゃんが稟のために尽くしているからなんだ。

まあ、その発言はあながち正解だけどね」

 

何時の間にか縄から抜け出した緑葉が、俺の言葉に同意の意を示した。

すると、リーラが芙蓉楓に興味を持ったのか、顔を彼女に向けていた。

 

「因みに一誠はどうなんだい?」

 

「俺?リーラと一緒に住んでいるぞ。家では俺のメイドとしているし」

 

「・・・・・一誠、キミは稟に劣らずなんだね・・・・・」

 

―――どうして血の涙を流して、拳を握るのか説明してくれるとありがたいな。

 

「・・・・・芙蓉さま、土見さまのことがお好きなのですか?」

 

「は、はい・・・・・?」

 

「もし、恋心を抱いているのであれば、メイドになることをお勧めしますよ」

 

「メ、メイドに・・・・・ですか?」

 

「はい。御主人さまのために一生尽くす素晴らしい職業だと私は思います。

それが、自分が異性に好意を抱いているならば尚更です」

 

―――あのリーラが、お勧めしちゃっている!?芙蓉楓の答えは―――。

 

「え、えっと・・・・・私は今の生活に幸せだと思っていますのでメイドは・・・・・・」

 

「そうですか。ですが、土見さまのお世話をこれからもしたいというのであれば

私にお声を掛けてください。立派なメイドに仕上げますので」

 

「・・・・・」

 

彼女がここまで言わせるほど、芙蓉楓は稟に尽くしているのか・・・・・。

 

「(どこか、リーラと似ているところがありそうだな彼女は・・・・・)」

 

芙蓉楓、そして、土見稟・・・・・か。

 

 

―――○●○―――

 

 

「がーっはっはっはっ!」

 

「はーっはっはっはっ!」

 

時刻は夜。俺とリーラ、ガイアと静かに雑談も含めた夕食のはずだった。

しかし、プリムラを預けていたお隣さんこと神王と魔王が上がり込んで来ては、

俺を巻き込んで意味不明、理解不能のなか盛り上がった。

 

「(これ、近所迷惑に等しいだろう。

いや、そもそも近所なんてこの二人しかいなかったから迷惑なんて関係ないか)」

 

「いやー、ネリネちゃんとリコリスちゃんから聞いたけど、

高位クラスを倒したなんてやるじゃないか!」

 

「それこそシアの許婚候補だけあるってもんだ!」

 

「神ちゃん、ネリネちゃんとリコリスちゃんも忘れちゃダメだよ?」

 

「おっと、そうだったな。がーっはっはっは!」

 

どうやら元凶が報告したらしいな。元凶に目を細めて視線を向ければ・・・・・・。

 

「ご、ごめんなさい・・・・・」

 

「すみません・・・・・」

 

「ごめんなさいっす・・・・・」

 

物凄く申し訳なさそうに三人が俺に向かって頭を下げて謝罪する。

 

「次から気をつけろ」

 

ガイアが嘆息しながら三人に言う。突然の嵐の訪問にガイアも呆れている一人だった。

 

「プリムラ、二人と一緒にいてどうだった?」

 

「なにかと、騒がしかった」

 

「ははは、そうか」

 

学校に行っている間。神王と魔王がプリムラと一緒にいたようだな。

何をしていたのかは分からないが、問題はなかったようだ。

 

「そう言えば、プリムラの学校の件についてどうなっている?」

 

「ああ、問題ないよ。明日からプリムラも学校に行けるようにサーゼクスくんと話し合ったよ。

なのでほら」

 

フォーベシイが魔方陣を展開して、何かを取り出した。

 

「プリムラの制服を私が作ってみたのだよ!」

 

「―――アンタは本当に魔王なのか?」

 

魔王らしくないことをする魔王に俺は訝しんだ。

しかも、リーラが来ている制服のサイズとは違うが、デザインが酷似している。

というか、全く同じだ。フォーベシイが遠い目をする。

 

「私はね一誠ちゃん。趣味は家事や炊事、洗濯をすることなんだ。

でも、ママがさせてくれないんだよ」

 

マ、ママ・・・・・魔王しからぬ妻の呼び方だ・・・・・。

 

「まー坊。あのチビッ子にまだ尻に敷かれているのかぁ?」

 

「ママの涙目を見ちゃったら、女性を愛する私が言う事を聞くしかないよ」

 

「男はドン!と胸を張って行動すべきだって。じゃなきゃ、したいことができなくなる!

なっ、一誠殿もそう思うだろう?」

 

「一誠ちゃん、勿論女性を優先して接するべきだとそう思うよね?」

 

急に話を振らんでくれ・・・・・・。でも、そうだな・・・・・。

 

「二人の良いたいことも分かる。でも、個人的には―――」

 

「「個人的には?」」

 

自分の中の答えを口にしようと口を開いたその瞬間だった。

ズボンのポケットに仕舞ってある携帯が震えだした。

誰からだ?と思いながら取り出して操作すると、リアス・グレモリーからのメールだった。

 

『この場所へ、直ぐに来てちょうだい』

 

内容はこの場所に来てくれというものだった。操作し続けるとマップみたいな表示が出て、

目的地の場所へ記されている。

 

「一誠ちゃん?」

 

「どうした?」

 

「・・・リアス・グレモリーから夜の散歩に誘われた。無化に断わるのもなんだから、

ちょっと行ってくる」

 

二人の王から不思議そうに問われたが、立ち上がって歩を進めようとすると、

 

「一誠さま」

 

「直ぐに戻ってくる。どうでもいい話ならな」

 

リーラに話しかけられた。が、それだけ言い残して俺は、リビングキッチンからいなくなった。

 

「(さて、俺を呼びだして何をする気なのか、教えてもらおうじゃないか)」

 

玄関から外に出て、背中から金色の六対十二枚の翼を展開し、翼を羽ばたかせて夜空へと飛ぶ。

 

―――○●○―――

 

バサッ!

 

目的地に到着して地上に降り立つ。

 

「・・・・・で、俺を呼んだ理由は何でしょうかね?」

 

「ごめんなさいね、イッセー。こんな夜中に呼び出してしまって」

 

俺を呼びだした張本人と一言で言えば大和撫子みたいな女子生徒がいた。

オレンジ色の紐で黒い長髪をポニーテールに結んでいる女子生徒だ。気になり問うた。

 

「そいつは?」

 

「三年A組の姫島朱乃。私の下僕の一人で『女王(クイーン)』よ」

 

「始めまして兵藤一誠くん。私は姫島朱乃。どうぞよろしくお願いしますわ」

 

「・・・・・悪魔か」

 

目を細めて嫌そうに呟く。わざわざ紹介するだけで呼び出されたわけじゃないだろうな・・・・・?

 

「そんな嫌そうな顔をしないで。彼女はあなたに危害を加えないわ」

 

「それを決めるのはお前じゃなくて俺だ。・・・それで、俺を呼んだ理由はなんだ?」

 

さっさと用件を言えと視線で向ける。リアス・グレモリーは溜息を吐いてじゃら口を開いた。

 

「ここ最近、堕天使と遭遇しているわよね?」

 

「ああ、そう言えばそうだったな。ドーナシークとかいう堕天使が最近だったな」

 

「私の新しい下僕がお友だちのはぐれシスターを助けたいと、

いま私の『騎士(ナイト)』と『戦車(ルーク)』と共に敵本陣に直接奇襲を掛けに行っているの」

 

はぐれシスター?というか、リアス・グレモリーの新しい下僕って・・・・・あいつか?だけど、

教会と悪魔は基本的、接しないようにしていたはずだが・・・・・どうしてはぐれなんかに?

 

「そこで私たちはちょっとお掃除をしなくちゃいけなくなったの。

付き合ってくれるかしら?あなたにもメリットがあるはずよ」

 

「・・・・・」

 

堕天使・・・・・期待はできないが、リアス・グレモリーの考えていることは大体分かる。

俺の家族を殺した堕天使の女、ヴァンのことが聞ける。そういうメリットがあると。

 

「・・・分かった。付き合ってやるよ。俺にとって堕天使は悪魔と同じぐらい嫌いな存在だらな」

 

「・・・・・できれば、悪魔を嫌いにならないでほしいわね」

 

「無理だ。実際、嫌悪になるようなことがあったしな」

 

勧誘してきた悪魔に触れると、リアス・グレモリーは額に手を当てた。

 

「・・・・・いいわ、行きましょう。すぐそこだから」

 

そう言って歩を進め出す。俺と姫島朱乃も続いて歩を進めだす。

 

「三大勢力が戦争しなくなって人間を含め、四種族交流を果たしているにも拘らず、

まざ小競り合いとかあるのか」

 

「表向きは確かにそうだけれど、まだまだ完全に敵と仲良くなっているわけじゃないのよ」

 

「裏では今でもこういった小規模な小競り合いがよくあるのですよ?」

 

へぇ、そうなんだ。完全とは言い難いんだな。

 

「―――これはこれは」

 

不意に、声が聞こえた。声からすると女だ。

 

ザッ、

 

俺たちの目の前にゴスロリを身に包む金髪少女が上から落ちてくるように現れた。

 

「私はひと呼んで堕天使のミッテルトと申します♪」

 

スカートの裾を摘まんで持ち上げて、どこかの貴族の娘のように礼儀正しく挨拶をした。

 

「あらあら、これはご丁寧に」

 

「下僕があなたを察知したの。私たちに動かれるのは、一応は怖いみたいね」

 

リアス・グレモリーが相手を探るように言った。

でも、堕天使の少女、ミッテルトは不敵の笑みを浮かべる。

 

「ううん、大事な儀式を悪魔さんに邪魔されたらちょっと困るってだけ」

 

「あら、ごめんなさい。たったいま、うちの元気な子たちがそちらへ向かいましたわ」

 

「えっ、ホント?ヤダ、マジでっすか?」

 

信じられないと唖然と訊くミッテルトに、姫島朱乃が笑みを浮かべたまま肯定の意を示した。

 

「はい、表から堂々と」

 

「しまったぁっ!裏からコッソリとくると予想していたのにぃ!」

 

俺たちから背を向けて文字通り、地団駄して悔しがった。

 

「まあ、三下なんざ、何人邪魔しようがモーマンタイじゃね?うん、決めた、問題無し」

 

だが、それは一瞬の事だった。

 

「なんせ、本気で邪魔になりそうなのは、あなたがたお二人だけだもんね。

うっふ、わざわざ来てくれてあっざーす」

 

こっちに振り返って不敵に言うミッテルトだった。

 

「無用なことだもの」

 

「え?」

 

「私は一緒に行かないもの」

 

「へぇ、見捨てるってわけ?まあ、とにかくあれよ。

主のあんたをぶっつしちまえば、他の下僕っちはお終いになるわけだしね」

 

ミッテルトは堕天使の証である一対の黒い翼を展開して叫ぶように言った。

 

「いでよ!カワラーナ、ドーナシーク!」

 

カッ!

 

俺たちの背後から二つの魔方陣が展開した。

 

「何を偉そうに」

 

「生憎、また見えてしまったなようだな。グレモリー嬢と人間」

 

「貴様の下僕には借りがある」

 

何時かの堕天使の男と見知らぬ女の堕天使。

 

「あらあらお揃いで」

 

三人か・・・・・この中で知っている奴はいるのか・・・・・?まあ、聞けばいいだけか。

 

「ドーナシークだったな?」

 

「ああ、そうだ」

 

「一つ質問をしたい。とある堕天使を探しているんだ」

 

「堕天使・・・・・?」

 

怪訝な顔で呟いた。きっと、誰の事だ?と脳裏で思っているだろう。

 

「―――堕天使の名前はヴァン、女の堕天使を探している」

 

「「「なっ・・・・・!?」」」

 

三人の様子が激しく変わった。目を丸くして開いた口が塞がらない。

しばらくすると、三人の瞳に恐怖の色が浮かんだ。

 

「人間・・・・・どうしてあのお方の名を知っている」

 

「十年以上前、俺の父さんと母さんは殺された。殺したのは悪魔と堕天使の三人組だ。

その堕天使はヴァンと呼ばれていた」

 

黒いカラスのような翼を生やした女。今でも焼きつけるようにハッキリと覚えている

 

「十年前・・・・・そうか、あのお方はまだ生きておられるのか・・・・・」

 

「ま、マジかよ・・・・・っ!」

 

・・・・・なんだ、この反応は?

 

「人間、あのお方のことは知らない。

あの三大勢力戦争が終戦してすぐに姿を暗ましたと訊いている。故に、

我らは姿すら見たことはないし、俺たち堕天使はあのお方のことを『同族殺しのヴァン』と

恐れ戦いている」

 

「同族殺し・・・・・?同じ堕天使を殺したって言うのか?」

 

「ああ、そうみたいだ。自分の欲望のために堕天使の幹部を殆ど殺した最強で最凶の堕天使。

通称『女帝のヴァン』だった伝説の女堕天使」

 

ドーナシークはヴァンのことを発するだけで冷や汗を流している。

それだけ恐怖の対象ということなのか。

 

神器(セイクリッド・ギア)マニアだと聞いている」

 

「確かに、あのお方はアザゼルさまの次にとても強く神器(セイクリッド・ギア)に興味を持っていた。

だからこそなのだろうか、あのお方は、アザゼルさまを筆頭に神の子を見張る者(グリゴリ)

研究し続けた神器(セイクリッド・ギア)の資料を全て奪うだけではなく、堕天使の幹部を殺しつくした」

 

「・・・・・」

 

「これが、俺が知っている全てだ。これ以上のことを聞いても分からん。

ミッテルトとカワラーナに訊いても同じことだ。

もっと知りたければ上層、堕天使の総督アザゼルさまに訊くことだな」

 

光の槍を生じて掴み、構え出すドーナシーク。

 

「・・・・・そうか、礼を言うよドーナシーク。

あの堕天使を少しでも知ることができて儲けもんだ」

 

六対十二枚の金色の翼を展開すれば、翼を動かして、三人を捕縛する。

 

「「「っ!?」」」

 

「殺しはしない。有意義な情報を提供してくれたからな」

 

三人を解放すれば、体に金色の拘束具が付けられていた。

 

「リアス・グレモリー。こいつらを生きたまま堕天使の総督にもとに送ってやれよ」

 

「え、ええ・・・・・」

 

「そんじゃ、また明日な」

 

金色の翼を羽ばたかせて夜空へと飛翔する。だいぶ時間が掛かったな。

リーラとガイア、プリムラが心配しているだろう。早く帰って安心させよう。

 

 

 

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