ハイスクールD×D×SHUFFLE!   作:ダーク・シリウス

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Episode2

 

川神学園川神市、川神学園に俺は訪れた。その理由は風間翼の息子の風間翔一に会うためだ。

・・・・・そう言えば、俺の事・・・・・百代たちに教えていなかったな。

まあ、いつか再会する時が早まっただけか。まずは学長の川神鉄心に挨拶だ。

誰もいない玄関ホールを入り、川神鉄心がいる場所へと足を運ぶ。

とある扉の前に立ち止まるとノックをする。

 

『入ってよいぞい』

 

入室の許可が下りて扉を開け放って中に入る。

 

「・・・・・誰じゃ?」

 

「久し振りだな。川神鉄心」

 

「・・・・・お前さん、兵藤一誠かの?」

 

肯定と首を縦に振る。

 

「ああ、言い遅れた。俺は甦ったんだよ」

 

「ほう・・・・・そうじゃったのか。それなら百代は喜ぶじゃろうな」

 

嬉しそうに目を細める川神鉄心。世間話をしに来たわけじゃないから、早速本題に。

 

「風間翔一をここに呼んでくれないか?」

 

「風間翔一?一子の友人を?」

 

「ああ、あいつの父親に用があってな」

 

「ふむ・・・・・モモじゃなく、モモの友人に会いに来たというわけか。

ならば、直接会いに行こう。今は授業中じゃからな」

 

川神鉄心が立ち上がり、学長室から出る。

後を追うと、廊下を進み階段を上がっていくと2-Fのクラスに辿り着いた。

 

ガラッ・・・・・。

 

と授業中のクラスに川神鉄心が入る。俺も入ると、

 

「風間翔一。ちょいと学長室に来なさい」

 

「へっ!?」

 

赤いバンダナを巻いた男子生徒が驚いていた。

そこへ小豆色の髪の女性が怪訝な面持で話しかけてきた。

 

「学長。今は授業中です。なのにどうして風間翔一を?」

 

「なに、この者が指名したのでな」

 

「・・・・・この少年が?」

 

このクラスの担当教師と思しき女性―――知っているけど小島梅子が俺に視線を向けてくる。

 

「授業を邪魔して悪いな、小島先生」

 

「っ!?」

 

俺の言葉に聞き覚えがあったようで、目を丸くした。

 

「・・・・・兵藤一誠なのか?」

 

「まあ、本名はそうだな。今は―――」

 

「いっせえええええええええええええええええええええええええええええっ!」

 

紫がかかった青髪の女子生徒が叫びながら俺に抱きついてきた。

 

「って、京!?」

 

「嬉しい!生きていたんだね!夢じゃないんだね!?」

 

女子生徒、椎名京が涙を流して訊ねてくる。

 

「ああ、心配を掛けた。ごめんな」

 

「ぐす・・・・・うん・・・・・」

 

頭を撫でてやれば、泣き止んだ。

 

「・・・・・お前が生きていたとはどういうことだ?」

 

「正確には甦ったと言うべきかな。まあ、甦り方はちょっと特殊だったけど。

っと、それより風間翔一に用がある」

 

「お、俺に用だって?」

 

「ああ、お前に話があってな。お前と話しをしたい」

 

風間翔一に手招く。あいつは困惑した表情ながらも、席から立ち上がる。

 

「待ってくれ」

 

男子生徒の制止が掛かった。

 

「なんだ?」

 

「俺たちのキャップに一体なんのようなんだ?

お前ほどの人物が高が学生の生徒に用があるなんて、よほどの事なのか?」

 

「・・・・・」

 

真実を告げても、なにも変わらないか?いや、説明してもいいか・・・・・。

 

「詳細は教えれないが、風間翔一に深い関わりがある。それだけしか言えない」

 

「具体的に教えてくれ」

 

「それは俺がいなくあった後にこいつから聞け」

 

指をクイッと動かすと風間翔一の体が宙に浮き、俺のもとへ寄ってくる。

 

「全てが終わった後になるだろうがな」

 

宙を浮かせたまま風間翔一を教室から連れだした。

 

「で・・・・・俺は何時まで浮いたままなんだ?」

 

「まあ、屋上に行くまでだな」

 

―――屋上―――

 

屋上に着くや否や、風間翔一を下ろした。

 

「それで・・・・・俺に話ってのはなんだよ?」

 

「お前の父親、風間翼のことだ」

 

「俺の親父?親父がどうかしたんだよ?」

 

「お前の親父さんがテレビに出ていただろう。古代遺跡を発見したトレジャーハンターだ」

 

俺の言葉に風間翔一は頷いた。自分の父親の事に関係があると理解した様子だった。

 

「風間翼が持っていたあの赤い結晶。今どうなっているか知っているか?」

 

「えっと、確か・・・・・一旦この日本に持ち帰ってそれから芸術館に展示するってメールで」

 

「となると、あの赤い結晶は日本に持ち込まれるわけか。移動手段は飛行機でいいんだよな?」

 

「ああ、日本に戻るために今ごろ飛行機の中だと思う。

でも、どうして親父とあの赤い結晶の事を聞くんだよ?」

 

風間翔一は怪訝となる。まあ、確かにそんな事を聞かれたら不思議に思うよな。

 

「あの赤い結晶を狙っている奴がいるんだ。

まず、赤い結晶を欲するためにお前の親父を殺してでも奪い取るだろう」

 

「なっ!?」

 

となると・・・・・飛行機を探さないといけないわけか。

もしかすると、飛行機を襲撃しようとしている可能性があるな・・・・・。

 

「分かった。取り敢えず飛んで飛行機を探してみよう。

お前は心配せず授業を受けてくれ」

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ!どうして親父が殺されるんだよ!?

あの赤い結晶が一体何だって言うんだ!」

 

「相手はテロリストだからだ。それに赤い結晶はただの結晶じゃない。

あの結晶は膨大な力が秘めていてその力を欲するテロリストが現れているんだ」

 

「な、何だって・・・・・」

 

「そういうことだ、情報をありがとうな。お前の親父さんは必ず助ける」

 

その場で跳躍して金色の翼を生やして一気に飛翔した。

 

「ナヴィ、風間翼の現在位置を教えてくれ」

 

『りょーかい。でも、急いだ方がいいわよ』

 

「なに?」

 

『―――そこから百キロ以上先の空域に黒いドラゴンたちが飛行機を

襲いかかろうとしているから』

 

―――○●○―――

 

ナヴィの言う通り、とある飛行機は遠くから黒いドラゴンたちに囲まれていた。

そのドラゴンたちの一匹の頭部には銀髪の中年男性がいた。

 

「うひゃひゃひゃっ!まーさか、異世界の結晶がもう一つあるなんてなー。

こいつは驚いたぜ☆さてさて、これをぶっ壊して探すのは流石に骨が折れるかーら。

翼を破壊して全員拉致るとしましょっかね!」

 

リゼヴィム・リヴァン・ルシファーが指を動かすと呼応してドラゴンたちが

雄叫びを上げながら飛行機に襲いかかった。

 

「見つけたら人間共には用がないからなー。餌にしちゃいましょうかな!」

 

高みの見物とこれから破壊される飛行機を眺めるリゼヴィムの視界に突如、

真紅の光が横切った。黒いドラゴンたちはその光に呑みこまれ消滅した。

 

「うそんっ!?」

 

いくらなんでも気付かれるのは早過ぎると、予想外なことにリゼヴィムが驚愕する。

その光が現れた場所へ視線を向ければ、さらに目を見張った。

 

「なんでここにいんの!?」

 

「お前と同じ目的だろう?」

 

真紅の髪を靡かせる少年。兵藤一誠がリゼヴィムの前に立ちはだかった。

 

―――一誠side―――

 

あっぶねっ!全力で来てようやく間にあった!

 

「吸血鬼の根城以来だな。リゼヴィムおじさん」

 

「えー、いくらなんでも気付くのが早過ぎだぜ?一体誰から聞いたんだ?」

 

「情報収集が得意な家族がいるんでね。大いに助かっている」

 

「なーるなる、坊ちゃんところもなんだか凄くなって来ているねー。

もう、一つの勢力と化になっているんじゃない?」

 

勢力ね。まだまだ若輩もんだろうがな。

 

「あの異世界の物、赤い結晶を求めているんだろう?それは俺も同じ事だけどな」

 

「うひゃひゃひゃっ、そんじゃどっちが早いか競争すっか?」

 

口の端を吊り上げるリゼヴィムおじさんに問うた。

 

「知ってたか?あの結晶は七つもあるんだって」

 

「七つ?へぇ、そうなんだ?そいつは知らなかったなぁー」

 

「その内の五つが俺の手中にあると言ったらどうする?」

 

「マジで!?こっちが知らない内にもうそんなに集まってんの!?」

 

目が飛び出んばかりに驚愕するおじさんだが、

 

「嘘だけどな」

 

意地の悪い笑みを浮かべてそう言ってやった。

 

「どっちだよ!?・・・・・でも、坊ちゃんが持っていそうなのは確かだねぇ?」

 

「まあ、本当は持っているけどな」

 

魔方陣を展開してユーミルと蒼崎青子から借りた結晶も含め、

五つの赤い結晶が魔方陣の光と共に発現する。

 

「うっはっ!マジじゃん!本当に異世界の物が複数ある!チョー欲しいな!」

 

リゼヴィムおじさんも赤い結晶を懐から取り出した。

この場に六つ。残りの一つは―――あの飛行機の中だ。

 

「ぼーっちゃん。それ、おじさんにくれない?」

 

「嫌だと言ったら?」

 

「んじゃ、無理やりにでも奪っちゃう!あの飛行機の中にある結晶も含めてな!」

 

その言葉に黒いドラゴン、邪龍たちが襲い掛かって来た―――その時だった。

この場が急に暗くなった。暗くなった空を見上げれば―――太陽が月に隠れていた。

日食・・・・・?

 

―――カッ!

 

「なんだ?」

 

カッ!

 

「はっ?」

 

俺とリゼヴィムおじさんが持つ赤い結晶がここで反応し始めた。

赤い光を放っている。なんだ、あの日食と呼応している・・・・・?

 

「・・・・・もしかすーるとだ、坊ちゃん」

 

「なにがだ」

 

「この異世界の物が七つ揃い、あの日食と反応しているんじゃないかな?」

 

七つ―――ということは。飛行機の方へ向ければ、なんか赤く光っていた。

そんな光景を見ていると、飛行機から赤い光が飛んできた。

 

「うひゃひゃひゃっ!ここで全ての結晶が揃った!

さーて、俺たちにその力を見せてもらおうじゃん!」

 

リゼヴィムおじさんが喜ぶ最中、七つの赤い結晶が動き始め、

輪っかになりながら空高く飛んで行く。日食の輪っかと重なり合うように浮かんだかと思えば、

結晶の光がさらに強まると―――輪っかの中の空間が煌めき始める。

 

「おおっ!」

 

刹那。この辺りの空間が一気に歪み始め、空にどこかの町の光景を映し出した。

 

「なんだ・・・・・この現象は・・・・・!?」

 

「坊ちゃん、どーやらあの輪っかが入口のようだぜ?」

 

リゼヴィムおじさんが赤い結晶でできた輪っかに指さす。その輪っかは未だに光を発していて、

空の光景と全く同じ光景を映していた。そこだけはまるで膜のように張られている。

 

「うひゃひゃひゃっ!まさか、まだ準備もできていない内に異世界と繋がっちゃうとはね!

―――一足早く行ってみようじゃん!」

 

おじさんが輪っかに向かって飛翔する。父さんたちとリリスは姿を見せていないが、

いずれこっちに来そうだ。その前にリゼヴィムおじさんを連れ戻さないと!

 

―――○●○―――

 

輪っかを潜ると―――そこは別の世界だった。って・・・・・!

 

「どこだよ!?」

 

眼下には建物に人々。でも、肝心のリゼヴィムおじさんの姿が見当たらない!

 

「やべぇ・・・・・」

 

今頃、この世界の町を好き勝手に破壊し始めているわけじゃないよな?

そう思うと焦心に駆られそうになる。

 

「そもそも、元の世界に戻れるのか?」

 

あの赤い結晶の輪っかが見当たらない。空を見上げれば・・・・・あっ、見えた。

 

「俺がいた世界・・・・・」

 

水中を覗くような感じで海や空、建物が見える。

取り敢えず、帰れそうなのは確かだった。

取り敢えず動こう。この辺りにリゼヴィムおじさんはいないようだし・・・・・。

だが、探すのも大変だ。

 

「路地裏に入るか」

 

―――すると、俺の顔の近くに小型の魔方陣が出現した。魔方陣が立体映像を映し出す。

 

『一誠っ!』

 

「和樹!」

 

焦った表情を浮かべている和樹からの通信だった。

 

『キミはどこにいるんだ!?皆、キミを探し回っているけど見つからないんだけど!?』

 

「だろうな。というかしょうがないかもしれない。

そっちの空に映し出されている光景は見えるか?」

 

『うん、空になんか海や街が映っているんだけど・・・・・あれはなんだい?』

 

「お前と連絡ができるという事なら、

この世界、異世界とそっちの世界とまだ繋がっているからだろう」

 

そう言うと和樹が驚愕した表情を浮かべる。路地裏に入って壁に背中を預けて空を

見上げながら言った。

 

「しかも、最悪なことにリゼヴィムおじさんが異世界に侵入してしまった」

 

『なんだって!?』

 

「おじさんを追って俺も異世界に侵入したのは良いんだけど、はぐれてしまった」

 

『ちょっ!君は僕たちが知らないところで何とんでもないことをしているんだ!?』

 

いや、不可抗力化と思うんだが?

 

「この世界に入ったのは七つの赤い結晶が日食に反応して異世界との道を開いたからだ」

 

『日食が原因?―――って、その日食はあと数分で終わってしまうんですけど!?』

 

「なんだと!?」

 

思わず足を停めて驚愕した。元の世界に帰るにはおじさんを連れ戻さないといけなくなる。

おじさんをこのまま異世界に閉じ込めたら―――とんでもない事になるに違いない。

 

『一誠!早くその世界から戻ってきて!』

 

「リゼヴィムおじさんが見つかっていない。

あのヒトをこの世界に閉じ込めておけないだろう」

 

『あーもう!なんでよりによってリゼヴィムがいるんだい!それにキミもだよ!』

 

なんか怒られているし!?

 

「お前の魔法で異世界に繋げる魔法はないのか?」

 

『僕が知る限りないよ。でも、式森家の現当主、僕の両親に聞けばあるいは・・・・・』

 

「それでもなかったら、別の魔法を調べてくれ。

そうだな・・・・・虚無魔法とかありそうだな」

 

『虚無って、一誠が言っていたハルケギニアの魔法?』

 

「そうだ」と首肯する。

 

「方法が見つからなかった場合、カリンに頼んでルイズに協力してもらおう。

その時に『お前の姉の病を治したお礼として別の世界に繋がる虚無魔法を探せ』と

ルイズに言ってくれ」

 

『虚無魔法にそんな凄い魔法があるのか分からないけど・・・・・一先ずは分かったよ』

 

「頼んだ」

 

『リゼヴィムを早く連れ戻してきてね』

 

「了解だ。それと赤い結晶が浮いている場所はナヴィに聞いてくれ。

途中までナヴィと連絡し合っていたから」

 

和樹は『分かった』と通信を切った。さて、こっちは一先ず・・・・・。

 

「地下水路かな?なんかいるな」

 

リゼヴィムおじさんを探すため、気の探知を広範囲に広げていると、下から微弱な気を感じた。

すぐ傍にマンホールがあった。マンホールを開けて落ちれば直ぐに地下水路。

 

「・・・・・あの子か」

 

まるで囚人服と思しきボロボロな服を身に包み、

左腕に二つの箱を巻き付けている鎖を引っ張っている幼女がいた。

これ、井上準が目の当たりにしたら真っ先に駆けつけそうな光景だな。

幼女に近づき問いかける。

 

「おい、ここで何をしているんだ?」

 

「・・・・・?」

 

幼女が俺の声に反応して顔を上げてくる。赤と緑のオッドアイの幼女だった。

だが、俺を見た途端に倒れた。

 

「なんだ・・・・・?」

 

取り敢えず、保護するか。跪いて幼女を抱き抱える。

鎖も外して二つの箱を脇に抱える。地下水路から出て溜息を吐く。

 

「まったく、おじさんを連れ戻さないといけないのに妙なことに関わってしまった―――」

 

「そこのあなた!何をしているんですか!」

 

ほんと、関わってしまったな。背後に振り返ると赤髪の子供と桃色の髪の子供がいた。

 

「子供?そう言うお前たち子供もここで何をしている?」

 

「子供じゃありません!僕たちは機動六課の者です!」

 

「機動・・・・・六課?」

 

聞いたことがない単語に首を傾げる。と、赤髪の子供が目を丸くしだした。

 

「キャロ、あのケースは・・・・・」

 

「まさか・・・・・。――――そのケースをこちらに渡してください!

その中身はとても危ないものなんです!」

 

・・・・・でもなぁ・・・・・。

 

「子供にこんな危険な物を渡す訳にはいかないと思うんだけど?」

 

「だから、僕たちは子供じゃありません!

確かに子供だけど僕たちは時空管理局、古代遺物管理部 機動六課という部隊の者です!」

 

「こんな子供を働かせるなんて、この世界の機関はどうなっているんだ?」

 

「この世界・・・・・?」

 

頷いて空に視線を送った。

 

「あの空に見えるもう一つの世界だ。俺はあの世界から来た」

 

「「っ!?」」

 

「この世界に来た理由は、とある人物がこの世界に入ってしまってな。

そのヒトを追って来たわけだ」

 

説明すると、二人の子供が顔を見合わせて頷きだした。

 

「申し訳ありませんが、僕達と一緒に御同行してください」

 

「嫌だ」

 

「即答!?」

 

赤髪の子供が突っ込んできた。

 

「子供と遊んでいる暇はないんだよ。さっさと知り合いを連れ戻さないと帰れなくなるからな」

 

「その知り合いを僕たちも協力して探します」

 

「お前らみたいな子供が、あの人をどうこうできるとは思えないから拒否させてもらう」

 

そう言い残して空高く跳躍する。

 

―――???―――

 

「申し訳ございません。この騒乱とあの次元世界の原因と思しき少年を逃がしてしまいました」

 

『そう、どんな少年だったか分かった?』

 

「はい、映像に残しました。それにレリックらしきケースを二つと幼い子供を連れ去って」

 

『その少年の目的はレリックだったの?』

 

「いえ、そうとは思えません。・・・・・なのはさん、そっちはどうなっているんですか?」

 

『うん、あの次元世界を管理するか管理外するか、お偉いさんが会議を開いているそうだよ』

 

「次元世界に調査はするのですか?」

 

『するだろうね。現に調査部隊が編成されているし、編成が完了次第行くかもしれない』

 

―――○●○―――

 

―――和樹side―――

 

天を仰いで空一面に移る別世界を僕たちは見ている。

僕の周囲には大勢の悪魔と天使、堕天使たちが警戒して待機している。

 

「一誠、大丈夫だろうか?」

 

「あいつの事は心配しなくても問題ない。あいつは強いしクロウ・クルワッハ共がいる」

 

「・・・・・そうですよね」

 

隣にいるアザゼル先生がそう言う。

 

「しっかし、あの赤い結晶がこんな現象を起こすなんてな。驚かせてくれるじゃねぇか」

 

「しかもリゼヴィムが異世界に入ってしまったことが問題だ」

 

「だが、日食と関係しているならば、こちらからおいそれと派遣を送るわけにはいかねぇな。

繋がりが途切れたら二度と帰ってこれなくなるからよ」

 

魔王フォーベシイと神王ユーストマがアザゼル先生の言葉に真剣な面持ちでいる。

 

「あの日食は持って一分で終わる・・・・・イッセー、リゼヴィムの野郎を連れて来られるか・・・・・?」

 

「多分、その可能性は低いですよ。

だからこそ、一誠は異世界に行ける魔法を探せと僕に言ったのですから」

 

―――あと30秒で日食が終わる。ナヴィから聞いた七つの赤い結晶が日食と重なり合うように

輪っかとなって赤い光を放ち続けている。しばらくすると、その時がやってきた。

―――日食が終わったんだ。なのに―――。

 

「変わっていない・・・・・?」

 

空が別の世界を映す光景が消えないでいる。日食が関わっているんじゃなかったの?

 

「あの赤い結晶はまだ空に浮いているところを見れば・・・・・結晶に秘めている膨大な魔力が

尽きない限り、異世界の光景は消えないのかもしれねぇな」

 

「それでも、いつか魔力は無くなるんですよね」

 

「オーフィスやプリムラみたいな無限の魔力じゃないならそうだろうさ」

 

それでも、不安は続く。一誠がリゼヴィムを連れて帰らない限りは、

この現象は続き、一誠とリゼヴィムがあの世界に閉じ込められる可能性だって大きいんだから。

 

「総督!邪龍たちが攻め込んできました!」

 

「んだとっ!?」

 

刹那、この場に緊張が走った。向こうから蠢く黒いのが迫ってきている。―――何て数だ!

 

「あの野郎!ユーグリットたちに通信して邪龍を引き連れて来いって言いやがったか!」

 

「ちょっと待って。どうやってあの数を異世界に突入する気なんだ?

入口は人が入れそうな大きさなのによ」

 

「とにかく、あの邪龍たちを迎撃しないと!関わりのない世界まで被害が出てしまうからね!」

 

「全力で止める!」

 

地上で待機している皆も気付いているだろうし、それまで頑張らないとね!

 

ヒュンッ!

 

と、何かが通ったような音が聞こえてきた。振り返ると―――。

 

「懐かしいなっ!一香、あの世界だぞ!」

 

「あの赤い結晶は異世界に繋げる力を秘めていたようね!」

 

―――っ!?

 

邪龍より最も危険な存在が異世界に繋がる輪っかへ飛翔していく!

 

「誠と一香!?やべぇ、いくら一誠でも手に負えないだろうが!」

 

アザゼル先生が驚愕していた。それもそうだろう。

一誠並みの実力者が二人揃ってリゼヴィムと行動しているんだから。

 

「アザゼルちゃん!一誠ちゃん並みの実力者をあの世界に行かせるべきだよ!」

 

「分かっている!グレートレッドを行かせたいところだが、あいつは無理だ。

だとすればオーフィス辺りが妥当か。後は・・・・・!」

 

刹那、銀色と蒼い光が現れた。

その光は真っ直ぐ異世界に繋がる輪っかの方へと向かって行った。

 

「今のは・・・・・?」

 

「まさか・・・・・あいつらか!?」

 

―――○●○―――

 

機動六課とか言う奴らから離れて、とある場所で幼女と共にいる。

未だに眠り続ける幼女の体力を回復させ、それからケースの中身に怪訝した。

 

「あの赤い結晶と似ているな。これがレリックというやつか」

 

英語で数字が刻まれている。ⅥとⅨ。

 

「これが危険な物か。俺からすればただの魔力が籠った宝石にしか見えないんだけど」

 

ケースの中に仕舞って傍に置く。

 

「さて・・・・・こいつをどうするかな」

 

「ん・・・・・」

 

胡坐掻く俺の足の上で寝ている幼女。

どうしてこのケースを引きずっていたのか未だに疑問なところだ。

リゼヴィムおじさんも見つからないし、こいつの面倒も見ないといけなさそうだし、

まいったな。そう思っていると、カプセルに似た円錐型の機械が複数現れた。

 

「・・・・・なんだ?」

 

すると、触手みたいなものを生やしだした。というか、コード?

 

「俺、そんな特殊なプレイは嫌いなんだけど・・・・・・」

 

次の瞬間、機械が襲ってきた。敵として認識されている?

 

「襲い掛かってくるなら容赦はしないけどな」

 

口から業火の火炎を吐きだして機械を燃やしつくした。

 

「俺に襲うなら、もっとマシな奴をよこしてこいよ。―――そこで指を出している奴」

 

コンクリートから指が出ている。ビクッと指が震え、水の中に沈んだように指は消えた。

 

「・・・・・」

 

ジィーと眼前を見つめていると一向に姿を見せない。帰ったか?―――いや、

 

ガシッ!

 

「ケースが目的だったか?」

 

隣に置いているケースに手が出て来たところを掴んだ。

引っ張り上げれば、困惑した水色の髪の少女が出てきた(上半身だけ)。

 

「なっ!?」

 

「さーて、俺の質問に答えてもらおうか?」

 

「え、えっと・・・・・NOと言ったら?」

 

「生と死。どっちがいい?」

 

右手にバチッ!と電気を迸らせ見せた。捕まえた少女は青ざめてコクコクと頷く。

 

「で、できれば・・・・・話せるレベルでなら・・・・・」

 

「じゃあ、それでいい」

 

パッと手を話す。少女は地面から完全に出て来て口を開いた。

 

「・・・・・何を話せばいい?」

 

「名前とこの世界の事、

それとどうして俺に襲いかかったのかとこのケースを狙ったのかをだな」

 

「名前はナンバーズ六番、セイン。

この世界はミットチルダ・・・・・の説明も含まれている?」

 

「そうだな。世界の名前だけ知っても根本的なことは分からないし、教えてくれ」

 

セインと名乗った少女にそう付け加える。

 

「ミットチルダは多数存在する次元世界を管理・保護・維持する機関が存在しているんだ。

その期間の名前は時空管理局。ほら、あの空に映っている世界が見えるだろう?

あれのことを次元の世界の一つなんだ」

 

「ふーん、そうなんだ?」

 

「って、キミはこの世界の人間なんだろう?なんでこんなことを聞くんだ?」

 

「悪いが、俺はその次元世界からやって来た人間だ」

 

ぶっちゃけるとセインが目を丸くし「マジで?」と呟いた。

 

「ああ、マジだ」

 

「うわー、よく来られたね」

 

「実際、あの世界とこの世界が繋がっているからな。

お前が狙っているレリックとかいう赤い結晶でな」

 

「はっ?そんな情報知らないんだけど?」

 

「そりゃ、そうだろうな。さっきこっちの世界でそうなったばっかりだし、

この世界の管理局だって今頃は調査しているんじゃないか?」

 

「こっちの世界って・・・・・まさか、君の世界にレリックがあるのかい?」

 

その質問は首を横に振った。

 

「いや、どうやらこの世界から持ち込んだ物らしい。七つが揃った瞬間にこの世界と

俺の世界が繋がったんだ」

 

「なっ、そんな力のあるレリックは聞いたことないし!」

 

「それはこっちの台詞だ。で、俺の質問に答えろ」

 

促せば慌ててセインは説明しだす。

 

「えっと、君を襲いかかったのはそのケースと女の子を奪取するため」

 

「その目的は?」

 

「それは・・・・・私も詳しく分からない。ドクターやウーノ姉なら知っていそうだけど」

 

どうやら、仲間がいるそうだな。それにセインが言う言葉に嘘を感じない。

 

「これで全部話したよ。今度はこっちが訊きたいんだけど」

 

「それは構わないが生憎、忙しい身なんだよ。この世界にとんでもない奴が

入りこんでしまったからな」

 

「どんなの?」

 

「・・・・・言わない。信じないだろうし」

 

幼女と二つのケースを抱えて足を動かそうとする。

 

「ちょっ、ちょっと待て!その子とケースをこっちに渡してもらわないと困るんだけど!」

 

「じゃあ、俺から力づくで奪ってみせろ。―――できたらな?」

 

六対十二枚の金色の翼を背中から広げ出して戦闘態勢に入る。

 

「・・・・・マ、マジで・・・・・?」

 

「おう、マジだ」

 

朗らかに笑う。セインは頭を抱え、「どうしよう・・・・・」と悩み出す始末。

―――すると、セインの目の前に立体映像が浮かび始めた。

その映像に白衣を身に包む紫の髪に金色の瞳の男性が映り出す。

 

『やあ、こんにちは』

 

「誰だ?」

 

『私はジェイル・スカリエッティだ。君の目の前にいるセインの生みの親の存在だ』

 

白衣を身に包んでいるから科学者の人なのだろう。ジェイル・スカリエッティは。

 

『私と取引をしないかい?君が求むものを私が全力で応じる。

代わりにその子供とエリックを私に与える』

 

「・・・・・」

 

取引、か。・・・・・少し話を聞くぐらいは良いだろう。

 

「お前は科学者だと認識するつもりで問う。俺の要求を一科学者のお前が叶えてもらえるとは

思えないんだが?俺は金銭でも女でも権力を欲しているわけじゃないぞ」

 

『では何かな?君が来たという次元世界に帰るための手段かな?』

 

「へぇ、そんなことが可能なのか?」

 

『君が協力してくれれば、必ず応えよう』

 

ジェイル・スカリエッティは不敵に笑む。だが、それだけじゃ足りないな。

 

「俺が求むものは二つだ。一つはあの次元世界に帰ること。

もう一つはとある人物を捕まえることだ」

 

『誰だい?』

 

「俺と同じくこの世界に侵入した悪魔だ。名はリゼヴィム・リヴァン・ルシファー。

そいつを見つけだし尚且つ捕まえてくれる協力するならば、お前の願いに応えよう」

 

この二つの要求にジェイル・スカリエッティは口の端を吊り上げた。

 

『なるほど、悪魔を捕まえるとは中々興味深い。いいだろう。君の要求を叶えようじゃないか』

 

「んじゃ、取引成立―――と言いたいところだが」

 

『なんだね?』

 

幼女を一瞥して目の前の立体映像を見据えた。

 

「この子は俺が保護している立場だ。常に俺はこの子と一緒にいるつもりだ。

お前がこの子を利用して何をするのか見定めさせてもらう。互いに利用しながらな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわー、ここって違う世界なのかしら?」

 

「そうみたいだな。そして、あの男の野望がここで行われるはずだ」

 

「一誠くん、どこにいるのかしら」

 

「一誠さまならあちらです」

 

「えっ、どうして分かるんですか?」

 

「一誠さまの服や携帯に発信機を備えさせてもらっていますので」

 

「・・・・・それ、一誠くんは絶対に知らないよね」

 

「全ては一誠さまのためです」

 

「我も、イッセーのために頑張る」

 

「そうね、私も一誠くんのために頑張らないと!」

 

「勿論、私もだ。さあ、行こう。一誠のもとへ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「うひゃひゃひゃっ!呼んでもいないのによく来たねぇ?」

 

「そんな水臭い事を。俺たちは元々トレジャーハンターみたいな事をしていたんだぞ?

こんな大規模な展開を何もしないわけ無いじゃないか」

 

「それにここにいればあの赤い結晶は手に入るわよ?」

 

「おお、そうなんだ?でーも、今の俺はこの町で大暴れをしたい気分だよね!」

 

「そのためにあの世界にユーグリットくんを置いてきたんだ。―――邪龍を召喚するためにね」

 

「でも、その前にこの世界の町を出歩きましょう?どこが大切で重要な場所なのか。

それを知りつくしてからでも遅くはないわ。そう、人がとても大切にしている物を

目の前で破壊された時に表れる絶望感を拝めるために」

 

「おーおー、おばあちゃん、お主は悪よのぉ」

 

「ふふっ、お代官様ほどではないわ。それと・・・・・」

 

「ん?」

 

ゲシッ!

 

「誰がおばちゃんなのよ!?これでも私はまだ十分若いの!」

 

「いだっ!?ごめんなさーい!」

 

「やれやれ、締まらないものだな。(でも、俺と同じ歳だから、十分な歳だと思うけど)」

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