セインについていくと、とある人工的に掘られた洞窟に入った。
進んでいくと洞窟には無いはずの建造物が見える。
「あっ、ケースの中身を確認したいんだけど」
「ⅥとⅨって書かれたケースだったが?」
「そ、そうなんだ」
頬を引き攣らせて苦笑を浮かべ出す。
「それにしてもお前は妙だな」
「なんで?」
「ただの人間じゃないんだろ?」
率直な疑問をセインに言った。セインは俺の疑問に感嘆を漏らした。
「へぇ、分かるんだ?」
「それだけだよ、分かるとしたら」
「ふーん。ま、私らは確かにただの人間じゃないね。機械と人間が融合した人間って」
「機械と人間が融合した?」
それはまるでサイボーグみたいだな。そんな技術は今のところ聞いたことがない。
「お前らを生んだジェイル・スカリエッティの技術の結晶が目の前にいるということか」
「そ、凄いでしょ?」
「驚いたことは確かだな。その腕があれば天才の部類に入るだろうに」
「ドクターはそんなこと興味ないだろうけどね」
雑談をしていれば、セインはとある部屋の中へ入っていく。続いて入れば俺の目の前に
ジェイル・スカリエッティと紫色に金色の瞳、スーツを身に包む秘書みたいな女性がいた。
「やあ、待っていたよ。改めて名乗ろう。私はジェイル・スカリエッティだ」
「イッセー・D・スカーレットだ」
互いに握手を交わし、二つのケースを改めてセインに渡す。
「俺には不要な物だったからな。手に余っていた」
「すまないね。まさか、君のような人間の手に渡すとは思いもしなかった。
訊けば、あの次元世界から来たと聞く。その経由はレリック。中々興味深い事を聞いた。
次元世界と次元世界を繋げるレリックは聞いたことがない。
それに未だにあの世界とつながっているのだからね」
「繋がっている?・・・・・あっ、そう言えば時間が過ぎていたな」
日食はとっくの昔に過ぎている。
でも、まだ繋がっていると言われたからどうやら帰る可能性はまだあるようだ。
「それにしても、ここはどこなんだ?洞窟の中にいるのにまるで船の中にいるようだ」
「良い線だ。確かにここは船体の中だよ。
そして、この船を動かす鍵となるのが―――その少女なのだ」
ジェイル・スカリエッティの視線は抱えている幼女に向けられる。
「この子が?」
「そうだとも、次元世界から来た君には分からないだろうが、
この世界は色々と絡んでいるのだ」
「で、この子を利用して船を起動させたいと?何のためだ?」
「私の
戦闘機人を創らせるために私を生ました時空管理局の最高評議会にね」
・・・・・なんだか、王道的な展開になりがちじゃないか?
「戦闘機人って?」
「私の隣にいる彼女とそこにいる私の娘の存在を意味する。
私の技術で創り上げた最高傑作であり私の愛しき娘たちの一人だ」
「他にもいるのか?どのぐらい?」
「調整段階の娘たちも含めて12人だ。いずれ会わせてやろう。私の協力者となるのだからね」
「俺の目的にも協力してくれよ」
「無論だよ。勿論、君自身の事も調べさせてほしいものだ。
次元世界から来た人間は興味深いからね」
これで話が終わった。と自己完結をしたら。けたたましい警報みたいな音が鳴り出した。
「侵入者?この中に直接?」
秘書の女性が手を動かした。宙に立体映像が発現して侵入者を映しだした。
「・・・・・へ?」
「おや、どうしたんだい?」
唖然と漏らした俺にジェイル・スカリエッティが訊ねてきた。
でも、その問いには答えれなかった。―――なんで、あいつらがここにいんの?
「あー、悪い。今侵入してきた奴ら・・・・・俺の家族だわ」
「家族・・・・・つまり次元世界から来た者たちだと?」
「うん、どうやってここに来たのかは分からないけど。
多分、俺を追って来たんだろう。手を出さないでくれ。勝手にここまで来るから」
「分かった。待機している娘たちに伝えておこう」
ジェイル・スカリエッティは了承してくれた。
その間にも物凄い速さで移動し続ける俺の家族たち。そして―――この部屋に侵入してきた。
「お前ら・・・・・」
「ようやく見つけたぞ、一誠」
侵入者もとい俺の家族―――リーラ、オーフィス、イリナ、ヴァーリ。四人が俺の前に現れた。
「なんでここに?」
「だって、一誠くんが異世界に行ってしまったからいてもたってもいられなくて・・・・・」
「話は聞いた。あの男がこの世界にいるのだろう?私も手伝う」
「我、イッセーの傍にいる」
「私もですよ」
公私混合・・・・・というより、俺のために元の世界に戻れないことを
覚悟の上でこの世界に来たようだ。
「一誠さま。その方々は?」
「ああ、今しがたこいつらと協力関係になった」
「協力関係・・・・・?」とリーラが不思議そうに小首を傾げた。
「一人じゃあいつを探しだすのは困難だし、こいつらの力を利用させてもらうんだ。
で、こいつらも俺の力を利用する。ギブアンドテイクだ」
「そう言うことだ。彼の願いを叶えるために私の手伝いをしてもらう予定だ」
「・・・・・一誠さまに悪事をさせるようなことはしませんか?」
「それは約束はできないだろう。が、無理矢理に私の手で従わせている事にすれば、
仮に管理局に捕まっても彼はすぐに釈放されるはずだ」
ジェイル・スカリエッティの言葉にリーラは厳しい目をする。
「リーラ、俺でも限界がある。それにこの世界に詳しい人物の協力は必要不可欠だと思う。
俺も正体を明かさないように気を付けて手伝うつもりだ」
「一誠さま・・・・・」
「俺のために思っていることは重々承知している。
でも、この世界をあいつの好きにさせちゃいけない。
だから、行動しづらい正義よりも動きやすい悪と一緒にいたいんだ。
それに、この科学者は絶対に悪い奴じゃないみたいだしな」
さっきの愛しき娘たちという言葉に、この科学者は本当に愛情を注いでいるんだと思った。
自分が創り上げた最高傑作の
自分の手で創り上げた
「・・・・・分かりました」
リーラが渋々と折れてくれた。ほんと、ごめんな。
「話は終わったかい?」
「終わったところだ」
「なら、これから君たちの寝る場所を案内しよう。その後は食事を兼ね、
私の娘たちの紹介を済ませよう」
「この子に用がある時は俺も一緒だからな」
「分かった。ではセイン。彼らの専用の寝室へ案内してくれ」
「りょーかい。それじゃついてきな」
この場から去るセインに続いて足を運ぶ俺たち。
尻目でジェイル・スカリエッティを一瞥して部屋から出た。
「ドクター。本当によろしいので?」
「構わんさ。お互い利用し合い、私の夢が叶った時は彼の願いも達成した頃だろう。
それにあの少年から生えた十二枚の翼・・・・・中々興味深いし娘たちの稼働データと
戦闘データの糧となってくれるはずだ」
「本当にあの少年を利用するのですね。抜け目のないお方・・・・・」
「ふふっ、私は根っからの科学者なのだよ?それに娘たちのためならば、
何だってするつもりさ」
「・・・・・しかし、あの少年を任務中のドゥーエが見たら気に入りそうですね」
「ほう、それはまたどうしてだい?」
「さあ、そんな感じがします。理由は分かりませんが」
「なるほどね。ならば、彼女と近日中に会わせてみるか。
意外と面白い反応を見れるかもしれないからな」
―――○●○―――
セインに案内された部屋は四人部屋。俺とオーフィスが寝れば何とかなれる範囲。
「一誠、その子はどうしたんだ?」
「地下水道で見つけたんだ。名前はまだ知らない」
「なんでまた、そんなところにその子が?」
「さあ、あの科学者が言うには、この子がこの船を起動させる鍵だとか」
「船?この中って船だったの?」
イリナが辺りを見渡しながら信じられない面持ちでいる。俺もそうだったように。
「そうみたいだ」
「それで一誠。これからどうするつもりなんだ?リゼヴィムを探さないといけないのだろう」
「どこにいるのか分からないし、見当違いな場所で探しまわったら時間の無駄だ。
結局俺たちは後手に回らわせるんだよ。
あのおじさんが事を起こさない限り俺は探しようもなかった」
「だから・・・・・あの者たちと協力を?」
リーラが訊ねる。肯定と頷いて他の理由も述べる。
「それもあるし、この子を安定して落ち着いた場所にいさせたい気持ちもあった。
まあ、そこは悪の科学結社みたいな場所だけど、俺がこの子の常に傍にいれば、
非道なことはしないだろう」
「それで、その子の名前は?」
「分からない。急に倒れたからな」
「お腹、空いているんじゃないかな?」
そう言うイリナだったが、その直後。イリナの腹から音が聞こえた。
「っ!」
「ははっ、お腹が空いているのはイリナのようだな」
「うう、私、食いしん坊じゃないんだからね!」
顔を赤くしてヴァーリに抗議するもう一人の幼馴染。
「ん・・・・・」
幼女がゆっくりと身を起こしだした。目をこすって辺りを見渡す。
「起きたか」
「・・・・・」
そう訊いたら幼女はビクリと体を震わせた。
「大丈夫、ここにいる女の子や女性は優しいから」
俺の膝にいるオーフィスを幼女の前に置いた。
「自己紹介だ」
「我、オーフィス。お前は?」
「・・・・・ヴィヴィオ」
ヴィヴィオか。ジェイル・スカリエッティが名付けたのかな?
「ん、ヴィヴィオ、よろしく」
オーフィスは手を前に出した。ヴィヴィオは何度かオーフィスと差し出された手を見たら、
恐る恐るとその手を握った。
「おー、オーフィス。凄いじゃないの」
「龍神が自らコミュニケーションをする光景は何だか微笑ましいな」
「そうですね」
よし、取り敢えず触れ合いは成功かな。オーフィスとヴィヴィオは同じ背丈だし、
オーフィスの今の姿は子供だ。同じ子供同士だと警戒心は少しずつ緩まるだろう。
「我、お腹空いた。ヴィヴィオは?」
「・・・・・」
ヴィヴィオは自分の腹に手を当てると、小さな音が鳴った。
「どうやら、ヴィヴィオも空いているようだな」
「じゃあ、ご飯にしましょう!」
「イリナがお腹を空かせているしな」
「もう!ヴァーリはいつまでもそれを引っ張らないでよ!」
はいはい、そこで喧嘩しない。
「それじゃ、ジェイル・スカリエッティに頼んで飯でも食べるか」
ちょっと行ってくると、部屋から出た。
それから真っ直ぐジェイル・スカリエッティのもとへ歩んでいく。壁に穴を広げ、潜ってだ。
「ジェイル・スカリエッティ」
「おや、どうしたんだい?」
「ヴィヴィオが腹を空かせているから何か食べ物をくれないか?ああ、六人分だ」
ジェイル・スカリエッティの首が縦に振った。
「分かったすぐに弁当を用意しよう」
「・・・・・弁当?」
「そうだが?」
不思議そうに小首を傾げられる。・・・・・今思えば、
こいつらの食生活は一体どうなっているんだろうか?
「質問だけど、お前らは料理して食べているんだよな?今日はたまたま弁当ってことか?」
「いや?私たちは最低限の栄養と空腹を満たせて稼働できればそれで十分だよ」
「つまり、弁当だけで済ませているってやつ?」
「その通りだ・・・・・どうして頭を抱えるんだね?」
―――抱えたくもなるわ!
あの堕天使も弁当を食べている光景しか浮かばないぞ・・・・・?
「・・・・・この船に厨房はあるのか?」
「ああ、あるよ?」
「・・・・・風呂はあるのか?」
「勿論あるとも。だが、入ることは滅多にないから使ってないよ。私は」
生粋の科学者ここに極まる・・・・・か。
「その弁当はどうやって手にしている?」
「密かに任務中の娘に頼んであるが、それがどうしたかね?」
なら、その人に弁当じゃなく食材を送ってもらうとしよう。
「数日は弁当で我慢するが、
その人に色んな食材を弁当の代わりに送ってもらうように頼んでくれ」
「それはどうしてだい?」
「―――俺が料理を作るからだ」
―――○●○―――
六人分の弁当を貰い、リーラたちに渡して雑談しながら食べ終わると、
部屋にセインが入ってきた。
「意外と大人しいんだね」
「なんだ、開口一番に」
「いや、様子を見に来たんだけど、次元世界の人ってどんな人なんだろうなーって」
まるで珍獣扱いされている気分だ。
「一誠、こいつは誰だ?」
「ジェイル・スカリエッティの娘のセインだ。機械と融合したサイボーグみたいな人間らしいぞ。
戦闘機人だって」
「なるほど、アザゼルが好奇心を抱きそうな存在だな」
「ああ、有り得るな」
総督であり研究者でもあるからな。あの独身堕天使は。
「ところで、そっちの世界は一体どんな世界?興味があるんだよねー」
セインの好奇心に俺たちは顔を見合わせる。
「うーん、どんな世界って・・・・・一言で言えばファンタジー?」
「ファンタジー?」
「人間以外の種族が生存している世界だろうな。砕いて言えば」
「あと、不思議な力を宿していたり強力な能力を持っている存在もいるわね」
「ほほう」とセインは顎に手をやって俺たちの話に耳を傾けてくれる。
「んじゃ、魔法とか
「魔法は存在するぞ。
「へぇ、魔法は存在するんだ。セイクリッド・ギアとロンギヌスってなに?」
それは教えるより見せた方が良いかな。百聞は一見に如かずって言うし、
「神からのプレゼントって言った方がロマンチックかな?
セインには見せたこの翼が
神を滅ぼす可能性を秘めた不思議な力だ。
―――そう言えばセイン。地面から出てきたよな?アレはお前の能力か?」
「うん。インヒューレントスキル・・・・・通称『IS』って言うんだけど、
私の
「へぇ、初めて聞く能力だ。しかし・・・・・透過か・・・・・セイン。
ちょっと模擬戦をしてくれないか?」
「・・・・・本気で?」
唖然と問われた。俺は当然とばかり首肯する。
「閉じこもってばかりだと暇なんだよ。それにジェイル・スカリエッティの娘の戦闘能力を
把握しておくのも悪くはないだろう?大丈夫、腕の一本が折れるか折れないかの程度で戦う」
「それ、訊いても安心できないから!」
「まあいいだろう?ジェイル・スカリエッティも俺の力を知りたがっているんじゃないか?」
「そりゃあ・・・・・そうだろうけど、手加減してよな?」
「善処しよう」
こうしてセインと模擬戦をする事となった。
セインが訓練室まで案内してくれると、俺と対峙する。
「さて、始めようか」
「何だか不安だなぁ・・・・・」
「お前を破壊するようなことはしないって。ただの模擬戦だぞ?」
「うわっ!?」
一瞬でセインの前に現れると、軽く腕を突き出してみたら、セインはかわした。
「あ、あぶなっ!模擬戦とはいえ、合図ぐらい出してくれたって―――!」
「問答無用」
セインに跳びかかり回し蹴りをする。
二度、三度と回りながら蹴りを突き出すが、セインは辛うじて避け続ける。
逆に拳を突き出してくるが手で弾き、懐に潜り込んでセインの腹部に軽く拳を突きつけた。
「ぐっ!」
「もういっちょ」
左手を握ってセインに突き出せば、俺の拳をセインは後方に跳んで避けて床に沈んだ。
セインの能力で無機物に潜行したようだ。
「―――ステルス。俺のに力を貸してくれるか?」
内にいるドラゴンに問いかける。ステルスは透明なドラゴンだ。
ならば、透過の能力が秘められているはず。
だから、その力を貸してほしいと家族に願った。右手の甲に無色の宝玉が浮かんだ。
『私の力が役に立つなら、お貸ししましょう』
―――ありがとうな。力強く「
俺を中心に無色のオーラが迸った。オーラが無くなると俺の頭にとある情報が浮かびあがる。
やはり、予想通り!
「無機物の中に入るの初めてだから、楽しみだな!」
跳躍して頭から床に突っ込んだ瞬間。
水の中に入ったような感覚と同時に無機物の中へと潜行ができた。
「―――っ!?」
そんな時、セインの姿を捉えた。
目を見張って無機物の中に入った俺を開いた口が塞がらないでいる。
ふふふ、同じ対等の場にいられるようになったぞ?
無機物の中はまるで水の中にいるような感じだった。
そして、金色の翼を展開し、十二の帯状の光を放った―――。
その後―――。
「いくらなんでも、有り得ないって!どうして人間が私と同じ無機物の中に入れるのさ!?」
「できるもんはできちゃうんだからしょうがないだろう。
それと、俺は人間じゃないし、ドラゴンだし」
「ドラゴンっ!?」
セインとの模擬戦を終えて、一休み。戦った結果、俺の勝利だ。
「ただ無機物に潜行できるしか能がないんだな」
「そう言う能力なんだし、しょうがないじゃないか」
俺の発言にセインは不貞腐れて言う。偵察とか潜入向きな能力だろうけど、
戦闘になったら不利になる。
「無機物から攻撃とかできないのか?銃とか荷電粒子砲とかで」
「いやいや、無理だから。いくら無機物を透過して潜行できても、
地中から砲撃すれば、物理的攻撃の銃弾は撃った瞬間に停まったり、
エネルギー的な砲撃は水中と違って穴を作っちゃうんだぞ」
「それでも使えるんじゃないか?エネルギー的な砲撃は」
「カノンみたいな大きな銃は潜行速度を遅くなるからダメだって」
色々と欠点というか、不具合なことがあるんだな。
「んじゃ、セインの腕にエネルギー砲として改造―――」
「いくらなんでもそれは鬼畜だって!?」
「日常生活に支障がないよう、ジェイル・スカリエッティに改造してもらえば良いじゃん。
変形できるようにしてもらってさ」
不意に、セインがジト目で言葉を発した。
「・・・・・もしかして、他人事だからって楽しがっている?」
「おう、楽しいな」
ニヤリと口の端を吊り上げた時だった。この空間に見知らぬセインと同じ体のラインが
浮き彫りになるほどのスーツを身に包んだ女性が現れた。
「あっ、トーレ姉」
「ここにいたか」
長身で紫色の髪、鋭い金の眼光をセインや俺に向けてくる女性が、口を開いた。
「ドクターの協力者というのはお前たちだな?」
「ああ、そうだ」
「ドクターが呼んでいる。私について来い」
それだけ言って踵返して歩を進め出した。
セインや他の皆と顔を見合わせた後にトーレという女性に続く。
「トーレ姉、帰っていたんだね」
「お前たちがレリックの回収をしているところを監視していただけだからな。
さっさと戻ってきた」
「んじゃ、クア姉たちも戻って来たってことか」
セインとトーレが雑談する。他にも姉妹がいるという話しは聞いたから疑問は湧かない。
「お前、どうしてあの部屋にいた?」
「イッセーが私の能力を知りたいって言うからちょっと教えていたんだ。
・・・・・負けちゃったけど」
「負けた?お前がか?」
トーレが俺に尻目で向けてくる。俺はただ視線を送って目を合わすだけ。
「協力者と名乗るからにはただ者ではないと少なからず思っていたが・・・・・。
まあ、愚昧が弱かっただけだろう」
「ちょっ、そんな言い方ないって・・・・・」
手厳しいトーレの発言にげんなりと言い返すセインであった。
さほど仲の良い姉妹とは言えない様子だった。
それ以上トーレは何も言わず、視線を前に向けて足を運び続ける。
ついていけば、見知らぬ通路へと進み、
「やあ、来たね」
数人の少女、女性と一緒にいるジェイル・スカリエッティのもとに辿り着いた。
「紹介しよう。彼らは私たちの新たな協力者だ。仲良くしてくれたまえ」
ジェイル・スカリエッティはそう言う。
「さて、早速なのだが、キミたちにやってもらいたいことがある」
やってもらいたいことねぇ・・・・・・まあ、できる限り穏便に済ませて終わらせよう。
「その内容は?」
私、高町なのは。空域に別の次元世界と繋がる現象が起きて数時間が経過しています。
あれから変わった異変もなく、上空に次元世界の姿を水面から覗くように未だ、
存在し続けている。この現象はなにで発生したのか、テレビ局や地上本部、
他諸々な人たちが検討、推測をしている。だけど、これといった確実で決定的なことは分からず、
結局は曖昧な自分なりの考えを理論する話ばかりしか私の耳に届くばかり―――って、
ちょっと休憩の時間で共同の食堂ルームに設けられているテレビを見ている
私があの次元世界のことを考えている暇はないかも。謎の少女とレリックのケース、
そして赤い髪の少年の謎が包まれているままだからね。
「うーん、話を聞く限り・・・・・悪い子でもなさそうかな?」
子供だから、とエリオとキャロに言って姿を暗ました。でも、レリックのケースを何も
知らないまま持ち出してしまった少年の身柄を確保しなきゃ。
でも、どこにいるのか全然わからないんだよね。
それに今の私たちは宙吊りな状況。次元世界への視察、
派遣はされそうにないし、かといって目立った事件はないので
私たち機動六課は動くこともできない。
「あの次元世界、地球に似ているねぇー」
「うん、そうだね」
ふぇ・・・・・?私の独り言を返してくる男の人の声。
「というより、あの次元世界は地球なんだよ。―――久し振りだね。なのはちゃん?」
「っ!?」
この声は――――!?声がした方に目を張ったまま振り向いたら、
「今日から機動六課に配属されました兵藤誠と兵藤一香一等陸佐と一等空佐でございます!」
「よろしくお願いします!」
「ま、誠さん・・・・・一香さん・・・・・!?」
十年前、お世話になった人達があの頃の姿と変わらないまま制服を身に包んで立っていた。
しかも綺麗に敬礼をして私に挨拶をする二人はど、どういうことなのー!?
―――Devil―――
「ぶーぶー!坊ちゃんのパパンとママンだけズルイ!
ねえ、そう思わないかいユーグリットくん!」
『通信をしてきたと思えば、いきなり愚痴を言われましてもねぇ・・・・・』
「だってだって!
『リゼヴィムさまは何もせずに合図が出るまで良い子で待っていてください』と言っては
自分たちだけでなんか、面白いことを企んだ顔で置いて行ったんだぜぇ?
あれ、絶対に波乱万丈な事をしようとしているって絶対に!」
『あのお二人ですし、仕方がないかと。それにこちら側の世界で残っている私とリリスは今忙しいんですからね?』
「あー。そういえばそっち順調?」
『ええ、オーフィスの力から生まれたリリスは完璧にしてくれましたよ。
―――冥界に存在する空中都市アグレアスを丸ごと奪取しました』
「うひゃひゃひゃっ!そーかいそーかい!リリスちゃんには感謝しないとねー!」
『そちらで思う存分遊び終えたらこちらに帰ってきてくださいよ?
まだ、あの封印を解いていないのに、そこで満足されたら困惑しまいますから』
「えー、なんだか異世界に来れたし、
ここで邪龍の軍団を解き放てればこれはこれである意味達成なんだけどなぁー」
『はぁ・・・・・あの二人に指示を出させますよ?
あなたを異世界から連れて帰ってくるようにと』
「ちょっ!それはいくらなんでも横暴だい!
いくら僕ちゃんでもあの二人に勝てる自信はないぜ!」
『だったら戻ってきてくださいね。そこの世界であなたの願望である異世界の侵略の
イメージの練習として、後に本格的にすればあなたは悪魔らしく
異世界を蹂躙する事ができるのですから』
「ちぇっ、ユーグリットくん。まだまだ反抗期だね!」
『それなりにそちらの世界に邪龍を送りますので一先ず我慢してください。
その世界には兵藤一誠もいるんですから油断はできないでしょう』
「うひゃひゃひゃ、まーね。坊ちゃんもどこかで身を潜んでいるだろうし、
いずれどこかで会うっしょ」
『因みにですが、そちらの世界とこちらの世界に繋がる道に堕天使の総督を始めとする
各勢力のトップたちが集まっていますから帰る時はお気をつけてください』
「はいはーい。どーせ、逃げちゃうから関係ないんだけどねー」