レリックを奪取した後、俺はジェイル・スカリエッティから貰った十二人の戦闘機人の
『
自分や自分のいる施設をレーダーなどの探知から隠す「ステルス能力」と、知能の加速による
「情報処理・統括力の向上」という二つの能力の総称。
『
自身の姿形を変える偽装能力。管理局と主要世界の身体検査を欺けられるように調整されている。
『ライドインパルス』 ナンバーズ3、トーレが持つIS。
機動力の強化に重点を置き、高速移動に特化した身体強化系の能力。
両の太ももと踝の部分に備えられた装甲から伸びる、虫状の羽として発現する。
『シルバーカーテン』 ナンバーズ4、クアットロが持つIS。
電子を操る能力で、効果範囲が非常に広い。レーダーや通信系統の混乱、
コンピュータへのクラッキングは勿論、幻影や姿を隠す光学迷彩を起こすことも出来る。
手の甲に備えられた逆三角形の部品を介して発動する。
『ランブルデトネイター』 ナンバーズ5、チンクが持つIS。
金属を爆発物に変化させる能力で、平時は投げナイフ型の固有武装「スティンガー」を用いて
発動させる。「スティンガー」は投げて用いるため射程が広く、
また転送によって唐突に出現させる事も出来る。
『ディープダイバー』 ナンバーズ6、セインが持つIS。
無機物を透過し自在に潜行できる能力。
人差し指に小型カメラ型の固有武装「ペリスコープ・アイ」が付いており、
潜行時はそれを潜望鏡の様に突き出して地表の様子を伺う。
基本的に使用者であるセインのみに効果があるが、
密着状態ならばセイン以外にも透過効果を与えることが出来る。
また連れ込む対象がバリアジャケットなどの防護系能力が強く展開していると
連れ込むことが出来ない。
『スローターアームズ』 ナンバーズ7、セッテが持つIS。
ブーメラン型の固有武装「ブーメランブレード」の扱いや投擲時の軌道制御などを為す能力。
『レイストーム』 ナンバーズ8、オットーが持つIS。 手の平より無数の光線を放つ。
その性質は攻撃には勿論、対象を束縛するバインドや結界としても用いることができ、
「レイストーム」はそれらの総称。
『ブレイクライナー 』ナンバーズ9、ノーヴェが持つIS。
固有武装であるガンナックルとジェットエッジ、
そしてウィングロードに酷似した能力「エアライナー」の三種を統合した、
蹴りを主体とする格闘技術の総称。ちなみにガンナックルには射撃機能があり、
それは牽制程度に使われる。
『ヘヴィバレル』ナンバーズ10、ディエチが持つIS。
ディエチの体内で生成されるエネルギーを大型の砲身、
イノーメスカノンで砲撃として出力する能力。砲撃の性質は変更することが可能で、
スコープ機能を持つ左目と連携させることで長距離狙撃を可能としている。
『エリアルレイヴ』ナンバーズ11、ウェンディが持つIS。
巨大な盾型の固有武装を飛行させる能力。速度と運搬性に優れ、発動者であるウェンディに
加えて、人一人を詰めた大型スーツケースを楽々と運搬することが出来る。
『ツインブレイズ』ナンバーズ12、ディードが持つIS。
赤い光を刃とする双剣型の固有武装を用いる能力。
「どうだい?何か指摘する事はあるかな?」
隣からジェイル・スカリエッティが声を掛けてくる。
俺が立っている場所は上を見上げれば数多のカプセルに入っている女性たちがいる通路。
そこでジェイル・スカリエッティとウーノが魔法で構築したピアノを演奏するかのように
手鍵盤を押していく。その光景を好奇心と興味深々で見詰めていると、
ウーノが声を掛けてきた。
「どうしました?」
「いや、異世界の魔法は面白いなって。手鍵盤のようなもので操作しているんだからな。
こっちの世界とは大違いだ」
「では、そちらの魔法はどういったものか私に見せてくれるかい?」
ジェイル・スカリエッティにそう言われ、魔方陣を展開した。
「これが俺の世界の魔方陣。その一つだ」
「ふむ・・・・・魔方陣の外側に見たこともない文字が記されているね。
それに真ん中の紋様はまるでドラゴンを模しているようだ」
「これ以外にも俺の世界には様々な種族が存在して色んな魔法や魔方陣があるんだ。
その種族を象徴する紋章の魔方陣とか、摩訶不思議な現象を起こす魔方陣、魔法とかさ」
「なるほど。だったら魔力変換資質もできるかな?」
訊ねられて、魔力で炎、水、氷、雷、風、光、闇の自然属性を含めた全ての属性魔法を
宙に発現した。
「これは・・・・・」
「こんなこと、俺みたいな逸脱した魔法使いだったらできる」
「キミもその魔法使いなのかね?」
首を横に振って否定する。
「生憎、俺は魔力を持っていないんだ」
「おや、いま見せているのは魔力で変換したものではないのかね?」
「確かにこれはそうだ。でも、この体に流れるドラゴンの力でできているんだ」
ジェイル・スカリエッティとウーノは理解ができないと怪訝に訊いてくる。
「どういうことだい?」
「俺はその昔、一度死んだ形になったことがあるんだ。
その時、俺の肉体をベースにした新たな肉体に俺の魂を定着してこの体を手に入れたんだ。
でも、死ぬ前の体だった頃は魔力なんてなかったし魔法を使えなかった。
魔法を使えるようになったのはこの体にドラゴンを宿した瞬間だ」
「「・・・・・」」
「だから、俺自身の魔力でやったわけじゃない。全部、ドラゴンの力でしている」
それでも俺の力だ。俺自身の魔力であろうが無かろうがもうそんなこと関係ない。
ふいに顎に手をやってジェイル・スカリエッティが口にする。
「あの二人の子供だから魔法を使えるのは当然だと思うが、
キミが魔法を使えなかったことには気になるね」
「というか、俺の家系や両親が物凄かったなんて数ヵ月まで知らなかったんだけどな」
その時の記憶が脳裏に浮かび苦笑を浮かべる。
「と―――話が反れたな。セインたちの
「ああ、それでどう思ったかい?」
「実際にセインのように戦ってみないことには分からないな」
そう言うとジェイル・スカリエッティが
「ウーノとクワットロは非戦闘機人だが?」と指摘してくる。
「二人には魔力無効化の効果か、魔力を反射する効果がある物で補えば十分だと思うぞ。
この世界は主に魔法で戦うらしいしな」
「なるほど、AMFか。面白い発想だ」
「AMF・・・・・?」
聞いたことがない単語だとばかり首を傾げるとウーノが説明してくれた。
正式名称は『アンチマギリンクフィールド』。
効果範囲内の魔力結合を解いて魔法を無効化するAAAランクの高位防御魔法で、
フィールド系に分類される。その効果範囲内では攻撃魔法どころか移動系魔法も妨害される。
しかし無効化するのはあくまで魔力の結合であり、魔力によって加速された物体や
魔力以外のエネルギーは防御出来ず、強化が成された物体に対しても充分な防御はできない。
上級者はこの空間内でも魔法を使って戦うことが出来るが、
それでも激しい消耗を強いられるそうだ。
「へえ、面白い魔法だな。・・・・・あっ、面白いことを考えた」
「なにかね?」
「そのAMFの塊を作ってできるだけ広範囲に発生させれば相手の魔導士たちを
一網打尽にできるんじゃないか?」
「「・・・・・」」
ジェイル・スカリエッティとウーノが顔を見合わせた。
「なるほど・・・・・そんな考えは思い付かなかったね」
「もしそれが現実となれば、管理局の魔導士たちは魔法を使えなくなり、
妹たちは自由に事を起こせますね」
「ガジェットドローンも同様ということだ。・・・・・くくくっ、実に面白くなりそうだよ」
あらら、嫌な笑みを浮かべているこの科学者は。
「イッセー・D・スカーレット。また何か閃いたら私かウーノに教えてくれたまえ。
キミの考える発想は実に興味深いからね」
「了解」
踵返してジェイル・スカリエッティとウーノから遠ざかる。さて、皆のところに戻ろう。
リーラたちがいる場所へと足を運び、通路を進む。
それにしても、ここを秘密基地にするなんてジェイル・スカリエッティは
よくこんな場所をしたもんだな。
辺りを見渡しながら進んでいくと、目的地に辿り着き中に入る。
中にはリーラたち(ヴァーリとイリナ)が―――戦闘機人たちと模擬戦をしていた。
うん、圧勝だな。
「お帰りなさいませ」
「ただいま・・・・・って、ここは俺たちの家じゃないんだけどな。で、どうだ?」
「ええ、ヴァーリとイリナのコンビネーションで圧勝しております」
だろうなー。二人とも
負けるわけがないと思うぞ。二人は翼を展開しているだけで戦っているが、
未だに倒されていないトーレを相手にしているが・・・・・あっ、負けたか。
「お疲れー」
「あっ、イッセーくん」
「どうだった?」
「サイボーグと戦って興味深かったが、色々と物足りないな」
ヴァーリがそう指摘する。
「どんな風にだ?」
「具体的に言えば、攻撃の威力も私にとっては不足がちだ」
あっ、そっちのほうなのね。というか、それは仕方がないことだと思うぞ。
「えーと、お前ら大丈夫か?」
「ああ、なんとかな」
トーレが答えてくれる。目立った外傷はないようだ。
「異世界の人間は翼を生やすのが多いのか?」
「あー、そうじゃないさ。あれはそっちでいうとレアスキルみたいなもんだよ」
「そうか。ああ、そういえばドクターに私たちの食料の代わりに食材を要求したそうだな」
首を縦に振って肯定と態度をしたら、
「厨房でその食材を運んである。お前が作ると言ったらしいからな。さっさと作ってもらおうか」
おっ、そういうことか。今日頼んだって言うのに早いな。んじゃ、早速調理を始めようかな。
現在の時刻は夜だし、夕食をする時間だ。
「セイン、厨房を案内してくれ」
「私かよ。あー、分かった分かった。案内するよ」
溜息を吐きながらも俺たちを厨房へ案内してくれる。
「食器類とか調理器具も何故かあるから使ってくれよ?」
「って、それらすらもなかったのかよ?お前ら、弁当と箸で食べてばっかりだったのか」
「だって、私たちは戦うために作られた戦闘機人だし、ドクターやウーノ姉は私たちの調整やら
ガジェットドローンの生産やらで忙しいし、誰も料理を作ろうなんて考えもしないんだ」
「なんというか・・・・・悪役って何気に食生活にだらしがないと言うか・・・・・思いもしない一面を見聞するとはな・・・・・」
セインに案内してくれた厨房は完全な設備だった。オーブンや台所は勿論、
蛇口を捻れば水が出るし、コンロの方も中華の店並みに火力が強かった。
「皆はどこで食べているんだ?」
「適当だよ。自分の部屋だったり、皆で集まって食べたりとかね」
「じゃあ、皆で集まる場所で料理を運ぼう。料理ができるまでセインはここで待機」
「マジで?物凄く暇そうなんだけど」
「だったら一緒に作るか?戦闘機人以前にセインは女だし、
それぐらいのスキルを覚えないとダメだからな」
「えー」と嫌そうに反応する。働かざる者は食うべからずという言葉は知らないのかなー?
「因みにセイン。好きな料理はなんだ?」
「ハンバーグ」
「ん、了解。リーラ、食材ある?」
俺とセインが話し合っている余所に、
リーラたちが複数の段ボールを開けて確認していたので訊ねてみると、
「食材を送ってくれた者が私たちの分も考慮してくれたおかげでしょう、
一ヶ月分の食材がございます」
「それでも足りなかったら買出しに行かないとダメだろうな」
さて、調理を始めようか。
―――○●○―――
―――セインside―――
次元世界から来たイッセーと接触して数時間が経過した。
まだあいつと付き合いは浅いのに何だか長く感じる。それに異性とこうして会話するのは
ドクター以外いなかった。意外と男って話しやすいんだなぁと感じる自分がいることに気がつく。
「はうう・・・・・目が、目がぁ・・・・・」
「こんなことなら、ルフェイからもっと色々と調理の仕方を教えてもらえば良かったな」
「リーラさん。お野菜洗ったよー」
「はい、ありがとうございます」
「我、野菜の皮を剥いた」
「おー、あっという間だな。魔力を使ったんだろうがな」
そして、イッセーたちが料理を作っている光景は家族みたいだ。
ドクターが狙っていた子供も違和感なく溶け込んでいるしね。
「(あー、良い匂いがしてきなぁ・・・・・)」
今日の昼はカレーハンバーグ。食欲がそそる匂いと私の好きなハンバーグを作ってくれている。
私もレタスやトマト、野菜類を盛り付けをさせられているけどこれは簡単でいいや。
これもデータとして蓄積されるだろうけどねぇ。
「―――よし、完成っと」
イッセーがそう言った。うん、確かにできたみたいだ。
山積みにされているハンバーグと大きな鍋の中はカレーがたんまり入っている。
人数分のサラダもあるしこれで完成だろう。
「ご飯も炊けたわ!」
「我、お腹空いた」
「だな、それじゃ。これを皆が集まる場所へ持って行こう」
イッセーが複数魔方陣を展開したと思えば、その魔方陣の上に鍋や食器類など乗せて
厨房から出ようとする。って、場所も分からないのに勝手に動かないでってば!
宙に浮いている今晩の夕食を引き連れているイッセーたちを私が先導する。
姉や妹たちが今頃いるであろう場所へ向かう。背後にいるイッセーたちの話に耳を傾ければ
他愛のない内容だった。別に私が気にするようなことでもないし、ドクターや私たちに
危害を加えるような人たちでもなさそうだ。
まあ、犯罪者の私たちに何らかの理由で加担しているようだけど。
「(悪くない人が悪いことをしようとする心情は分からないねぇ・・・・・)」
私には関係ないけどね、と思いながら目的地に辿り着いたわけだよ。
中に入るとドクターやウーノ姉以外の姉や妹たちが長いテーブルを囲んで椅子に座っていた。
ここがいつもご飯を食べる場所でもある。
「腹減ったっスよ~」
「不味かったら承知しねぇぞ」
皆、良い感じでお腹空かせているね。イッセーたちに振り向けば、各々と動き出していた。
開いているテーブルに食器類やカレーが入った鍋や山盛りのハンバーグを盛られている
皿を置きだしてご飯が入っている機械の蓋を開けては皿に盛ってご飯にハンバーグとカレーを、
と繰り返して姉や妹たちの前に置いたところでイッセーが口を開いた。
「ジェイル・スカリエッティとウーノは?」
「武装の調整をしているっスよ」
「ふーん、分かった。ちょっと待ってくれ」
すると、一誠が無機物へ潜行して行った。ドクターとウーノ姉のところに行ったのかな?
そう思った次の瞬間。この部屋の扉が開いたかと思えば―――。
ドクターやウーノ姉を両脇で抱えているイッセーが入ってきた!?
「キミ・・・・・私たちは忙しいんだがね?」
「互いが利用する立場とは言え、飯の時間ぐらいは揃って食わすからな」
「拒否権は?」
「ある、と思うか?」
威圧を二人に放つイッセー。私たちを創ったドクター、
私の姉というべきウーノ姉が沈黙する。
あ、あんな二人は見たこともない!流石に非力な科学者や秘書でも武力には
勝てないってことだろう。空いている席にドクターとウーノ姉を強引に座らせた後で
カレーハンバーグを盛った皿とサラダ、水、スプーンを置いた。
それからイッセーたちも座りだせば、「いただきます」と合掌した。
それが合図となり皆が今晩のご飯を食べ始めた。
「う、美味いっス!」
「真空パックで送られてきた弁当より、確かに美味いな」
「美味しい・・・・・温かさを感じる」
うん、本当に美味しいね。弁当にもこんな料理は食べたことあるけど、
段違いの美味しさを感じるよ。もう、この美味しさを感じたら今まで食べてきた弁当より
イッセーたちの料理が食べたくなるじゃんか。
「おかわりっス!」
「セルフサービスだ。自分でやって来い。ハンバーグは一つだからな?」
「おおう、手厳しいっスね」
苦笑を浮かべながらも赤い髪をまとめた戦闘機人、ナンバーズ11のウェンディ、
私の妹は立ち上がってご飯をお代わりをしに行った。
「・・・・・」
おっ、トーレ姉もお代わりしに行ったよ。いつも二つか三つぐらい弁当を食べるから一杯だけじゃ
足りなかったんだろうねぇ。
「私もおかわりしよっと」
かく言う私も大好きなハンバーグにカレーだから美味しさが二倍も三倍なってあっという間に
食べてまた食べたいと言う食欲が湧きあがり、
「(これからの食事が一気に楽しくなったなぁ。こんな感じ、生まれて初めてだ)」
おかわりをしに行くのだった。