ハイスクールD×D×SHUFFLE!   作:ダーク・シリウス

132 / 157
Episode10

管理局機動六課にギンガ・ナカジマと過ごしてそこそこ日が経った頃。

公開意見陳述会の日が訪れた。俺は関係ないと思ってギンガ・ナカジマに問うと。

 

「ごめんね。イッセーくんを一人にできないから私と一緒にいてもらわないといけないの」

 

「・・・・・分かった」

 

共に行動しないといけないらしい。

だから―――時空管理局中央本部グラナガンに行くこととなった。

管理局の制服を身に纏い、ギンガ・ナカジマと高いビルの周辺で彼女と警護。

とは言っても、会議が始まって既に数時間・・・・・四時間も過ぎたが騒ぎも事件も起きない。

 

「イッセーくん、疲れていない?」

 

「大丈夫」

 

「うん、疲れたなら遠慮なく言ってね?」

 

肯定と首を縦に振って頷く。辺りを見渡すと、

デバイスを持っている警備が見掛けただけで数十人はいた。

 

「あ・・・・・」

 

ギンガ・ナカジマが声を上げ、申し訳なさそうに声を掛けてきた。

 

「ごめん、ここでちょっと待っててくれない?北エントラスに報告をしないといけないから」

 

「ん、分かった」

 

「それじゃ」

 

駆け足でギンガ・ナカジマが俺から離れて行った。

―――その直後。俺の脳裏に直接話しかけてくる声が聞こえてきた。

 

『はぁ~い、イッセーちゃん』

 

クアットロか。その声を訊くのは久し振りだ。

 

『うふふ、お姉さまと離れて寂しくてしょうがなかったかしらぁ?』

 

想像に任せる。

 

『あらぁ、釣れないわねぇ~?それと、タイプゼロ・ファーストはどうかしら?』

 

俺を弟のように接してくる。

 

『うふふ、チンクちゃんが訊いたら嫉妬したいそうね♪さぁーて、ウーノお姉さまがねぇ?

速やかにタイプゼロ・ファーストを捕獲してほしいって言うのよ。

それと、私たち姉妹が攻撃をするから気を付けてねぇ?ガジェットドローンもそっちに

送っちゃうからぁ』

 

・・・・・あのガジェットドローンを使うか?

 

『勿論♪イッセーちゃんが考えたガジェットドローンⅥ型のシリーズも含めてね』

 

そうか―――管理局が怖がる顔が目に浮かぶ。

 

『うふふ・・・・・イッセーちゃん、良い感じで私好みの性格をしているわねぇ?』

 

なら、今度二人きりで話をするために夜を過ごすか?

 

『あら、それはとても楽しみ♪それじゃ―――ミッションスタートッ!』

 

クアットロの作戦開始宣言が告げられたその刹那だった。、周囲に紫の魔方陣が出現し、

ガジェットドローンが魔方陣から出てきた。管理局の局員、

警備員がガジェットドローンの出現に混乱、困惑する。

―――中には百や二百と数えきれないほど、

黒光りで小さい膨大な数の小型のガジェットドローンが続々と四方八方、移動し、

 

「ひぃっ!?」

 

「ゴ、ゴキ―――!」

 

「いやああああああああああああああああああああああああああっ!」

 

警備の奴らに群がって襲い始める。あれは肉体的損傷を与えるんじゃなくて、

精神的な意味でダメージを与える。

そんで、魔力を奪いその魔力で攻撃に回すというガジェットドローンだ。

 

「(あれ、本物ではないといは言え、物凄く本物と酷似しているぞ)」

 

他のガジェットドローンとは違い、カラーが塗装されている。

あれを機械だと思うのに少し時間が掛かりそうだ。

 

ドドドドォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン・・・・・ッ。

 

どこかで激しい轟音が聞こえてきた。砲撃ぽかったな。そんな他人事のように思っていると。

黒い斬撃が、辺りのガジェットドローンを一掃した。

 

「こんなところでなにしているんだ?」

 

「・・・・・」

 

黒い剣を持ったお父さんが現れ、俺に訊ねてきた。

 

「ギン姉がここに待っていろって言われていたから待っていたらこんな状況になった」

 

「おや、そうだったのか。―――なら、好都合かな?」

 

・・・・・どういうことだ?目を細めて警戒の色を浮かべる。

父さんが朗らかに笑みを浮かべ出して俺に言った。

 

「さっき、リゼヴィムさまに言ったんだ。―――派手に動いてもいいよって」

 

「っ・・・・・!?」

 

その意味が直ぐに理解した。

 

『グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!』

 

どこからか獣のような咆哮が聞こえてくる。この禍々しい感じは・・・・・!

 

「おっ、どうやらおっぱじめたようだな」

 

「まさか・・・・・・邪龍をここに!?」

 

「ああ、そうだ。この世界にリゼヴィムさまは大量の量産型邪龍を解き放ったんだ。

ほら、丁度―――」

 

父さんは上に指した。顔をその指した方へ上げれば巨大な魔方陣が出現していて、

そこから―――黒いドラゴンたちが大量に出て来ている!

 

「一香が俺たちの世界にいるユーグリットくんと共同で量産型の邪龍ドラゴンを召喚している。

当然、この世界を滅茶苦茶にするためにね」

 

「おじさんはどこにいるんだ?」

 

「うーん、どっかで会うんじゃないか?高らかに笑いながらさ」

 

・・・・・有り得る・・・・・。

 

「さて、一誠。ドラゴンたちを相手にしながら俺と一香を相手になってもらおうか」

 

「いいのかよ。管理局の局員として働いていたのにさ」

 

「働いた理由はちょっとしたスパイだよ。重要拠点を探すためにね」

 

眼前にドラゴンたちが街を襲い始めた。―――この世界の魔導士じゃあ、

どうにかなるような生物じゃない。

 

「さて、一誠。俺に付き合ってもらおうか」

 

「悪いけど、街に暴れているドラゴンを殺してからにしてもらうよ。

父さんはこいつらと相手になってくれ」

 

俺の言葉に呼応するかのように生物型のガジェットドローンが父さんを囲んだ。

 

「おや、もしかして・・・・・このロボットたちは一誠が作ったのか?」

 

「厳密に言えば、考案しただけだ」

 

それだけ言い残して、無機物の中へ潜行した。いくら父さんでも無機物の中に入ってこれない。

その中で俺は通信式の魔方陣を展開してヴァーリに繋げた。

 

『イッセー』

 

『悪い、皆とこっちに来てくれ。邪龍が暴れ出した』

 

『ああ、分かっている。こちらでも確認していたところだったからな』

 

ん、そうだったのか。

 

『セインたちを退かせるようにジェイル・スカリエッティに言ってくれ。

ドラゴンの相手なんて、この世界の魔法じゃ歯が立たないからな』

 

『分かった。それまで頑張ってくれ』

 

了解と、魔方陣を消してある程度先行したら無機物から浮上した。

 

「・・・・・」

 

『・・・・・』

 

その丁度目の前に浅黒い肌の巨人・・・・・ドラゴンと目が合った。

 

『ふむ、これは懐かしいドラゴンと出会ったな』

 

知っているのか?

 

『ああ、―――「大罪の暴龍(クライム・フォース・ドラゴン)」グレンデルだ』

 

―――そう言えば、どんなドラゴンと戦ったって和樹たちから訊いたな。

巨人型のドラゴン、グレンデルが口角を吊り上げ、銀の双眸が愉快そうに目を細めた。

 

『グハハハハハッ!こいつはぁ驚いた!あの邪龍の筆頭格のドラゴンどもと

ここで出会うなんてよぉ!つーことは、てめえがグレートレッドとオーフィスが

認めているって言うガキで間違いないなぁ?』

 

「ああ、そうだ。お前こそグレンデルって言う名前で合っているな?」

 

『そうだ。俺がグレンデルさまだ。今からお前を踏みつぶすドラゴンの名だぁっ!』

 

そう言って巨大な拳を振り下ろしてきた。その迫力は凄まじく、

常人だったら呆然としていただろうが―――。

 

「ふん!」

 

ドッゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!

 

俺は―――ドラゴンだ!グレンデルの拳を龍化した拳で突き刺して受け止めた。

 

「龍化」

 

全身に一瞬の閃光を迸らせて、五十メートルぐらいの真紅のドラゴンへとなり、

 

『俺を踏み潰すって?―――踏み潰してみろよ』

 

『グハハハハハッ!おう、上等だぁっ!』

 

嬉々としてグレンデルが突っ込んできた。

この街をできるだけ破壊させないように気を配らないとな。

善処しないと・・・・・。

 

―――ディエチside―――

 

「なんだろう・・・・・この状況は・・・・・」

 

ドクターの指示で私たち十一人の戦闘機人は地上本部の制圧、タイプゼロ・ファーストの捕獲、

可能ならばタイプゼロ・セカンドの捕獲をしに来たというのに・・・・・黒いドラゴンたちが

街を襲い、滅茶苦茶にしている。

 

『ディエチちゃん、ドクターから引き返せって』

 

「作戦は?」

 

『作戦は中止。それにイッセーちゃんがドクターに言ったらしいわ。退き返らせてやれって』

 

イッセーが・・・・・。宙に浮くモニターに映るクアットロに訊ねた。

 

「他の皆は?」

 

『すでに退き始めているわ。私も今その最中』

 

「イッセーはどうするの?」

 

『イッセーちゃんの友達が迎えに行ったわ。流石にあそこに行くとしたら、

私たちじゃ無謀だわぁ。セインちゃんだったら別だけど』

 

だろうね。セインのディープダイバーは無機物に潜行して移動するから、

人と接触することはまずない。

 

「分かった。私もガジェットドローンで退くよ」

 

『はいはーい。それじゃあね』

 

モニターは閉じられた。私は傍に待機させてあるガジェットドローンに騎乗する。

 

「・・・・・イッセー」

 

どうか、無事で帰ってきてね。

 

―――○●○―――

 

拳と拳が互いの体、顔に突き刺さり、足や尾で体勢を崩そうとしたり、

時にはドラゴンらしく火炎球を吐き戦い続ける。俺が空に飛翔するとグレンデルも

翼を広げて俺のところまで飛んで来て火炎球を吐く。

真っ直ぐ火炎球に突っ込んでグレンデルの顔にサマーソルト(尾)で攻撃。

グレンデルも負けじと俺の尾を掴んでは引き寄せて、俺を振り回して下に放り投げたかと思えば

真っ直ぐ突っ込んできて地面と挟んで俺を足で突き刺した。

 

『この野郎・・・・・!』

 

口内から真紅の砲撃を放った。グレンデルはそれを避けた隙に尾でグレンデルの足を絡めては

体勢を崩して俺が起き上がった。

 

『グハハハハハッ!やるじゃねーの!今のはちょーっと危なかったぜ!』

 

チッ、見掛けに寄らず素早い上に、硬いな。

 

『あいつは滅んだ邪龍の中では最硬の鱗を誇っていた。並みの攻撃じゃ通用しない』

 

んじゃ、クロウ・クルワッハでも勝てないか?

 

『私を誰だと思っている?グレンデル相手に私が負けるはずがないだろう』

 

『因みに俺もだぜ』

 

アジ・ダハーカまでもが話に参加してきた。この間にもグレンデルが飛び蹴りをしてきて、

横に体を動かし、足を掴んで俺が落ちた場所が廃棄都市だったため、街の住人たちがいないから

思いっきり振り回した後に放り投げて真紅のレーザー状の一撃を放った。

 

『イッセー、私たちを現世に出してはくれないか?』

 

そうしたいけど、父さんが持っているあの剣、サマエルの毒と呪いの剣があるし、

おいそれとお前らを出せることはできない人化をしても父さんと接触したら戦わずを得れないし、

もしもお前らがアレを食らったら流石に俺は嫌だ・・・・・。

 

『・・・・・優しいな、お前は』

 

ただの臆病なだけだ。お前らが失うなんてごめんだ。

 

『いってぇなぁっ!こんちくしょうがぁっ!だが、それが良いんだよなぁぁぁぁぁっ!』

 

と、グレンデルが街を破壊しながら突貫してきた。

 

ドッゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!

 

『ウゴォッ!?』

 

『・・・・・・は?』

 

グレンデルが何か知らないけど吹っ飛んだ。

 

「イッセーくん!」

 

「久し振りだね、イッセー」

 

俺の横にイリナとヴァーリが現れた。

そして、頭の上にちょこんと乗っかるオーフィスに―――リーラまでもが現れた。

 

『今のはお前らか?』

 

「ああ、オーフィスだ」

 

ヴァーリがそう言った。なるほど、納得。

 

「ん、イッセーの温もり・・・・・」

 

本人は本人で、俺の頭の上で寝転がってなんか堪能しちゃっている。

で、グレンデルとは言うと、

 

『アルビオンにオーフィスか!こいつはぁ豪華な相手が揃ったもんだなぁっ!』

 

俺と対峙しながら訊きとして笑みを浮かべていた。が―――、

 

「おや、ヴァーリちゃんとイリナちゃん。それにリーラとオーフィス」

 

「皆、久し振りね」

 

父さんと母さんがグレンデル側へと姿を現した。

 

「誠さま・・・・・一香さま・・・・・」

 

「おじさま、おばさま・・・・・・!」

 

「「・・・・・」」

 

リーラたちはなんとも言えない面持ちで気持ちとなっている。

こうして皆と父さんたちと対峙したのは学園祭以来だな。

 

「グレンデル、どうだい?俺たちの息子と戦って」

 

『グハハハハ、悪くねぇな。殺し合いの甲斐がある!てめぇらのガキとやらはなぁっ!』

 

「当然じゃない。私たちの息子なんだから」

 

そこ・・・・・自慢するところか?

 

「おじさま!おばさま!どうしてこんなことをするの?

それに操られていないならどうしてイッセーくんの敵になっちゃうの!?」

 

「イリナちゃん、相変わらず純粋だな。だからこそ息子の一誠に心から惹かれたんだろう。

だが、敢えて言うなら大人の事情って奴だ。子供がどうにかなるようなもんじゃない」

 

「誠さま、一香さま。本当にあのお方と共にいらっしゃるおつもりなのですか?

あの時のように四人で・・・・・」

 

「リーラ、もう今と昔は違うわ。あの時のような生活は

もう二度とできない・・・・・ちょっと寂しいけれどね」

 

母さんが自嘲染みた笑みを浮かべる。

 

「―――だから、新しい子と共に生きることにしたの」

 

・・・・・・。・・・・・え?

 

「新しい・・・・・子供・・・・・?」

 

「ええ・・・・・今の私のお腹に新しい子供を宿しているの。勿論、誠の子供よ?」

 

「「「『―――――っ!?』」」」

 

その衝撃な言葉に俺たちは硬直した。母さんが愛おしそうに自分の腹を撫でる。

 

「あなたは兵藤一誠じゃなく、イッセー・D・スカーレットとして生きるならば、

この子は兵藤一誠と言う名前にしようと思うの。

私たちの息子はもうこの世にいないことになっちゃっているしね」

 

『・・・・・』

 

思わず、俺は後退りしてしまった。背後にある建物が崩壊したような音が聞こえてきたが、

その音こそがまるで俺の心のようだった。

 

「そ、んな・・・・・」

 

「おじさま・・・・・おばさまの・・・・・新しい子供・・・・・?」

 

「それでは、それではイッセーが、イッセーが可哀想ではないか・・・・・っ!」

 

リーラやイリナ、ヴァーリが愕然となっていた。俺は思考すら停止していた。

だけど、無情にもあの二人は言い続けた。

 

「もう、あの頃のような生活ができない。

なら、もう一度最初から、零から始めようと思ったことだ」

 

「やっぱり、大勢で人生を送る方が楽しいからね」

 

「「だから一誠・・・・・・あなた(お前は)は息子として接することはできない」」

 

『・・・・・っ』

 

直接、真正面から、本人たちから生きた屍とはいえ、実の両親に

そう言われ・・・・・俺はとても悲しかった。親子の縁がここで

絶対的な意味で切られたんだから。

 

「だから、私たちから最後のプレゼントをあなたに授けるつもりよ」

 

「受け取れ、きっと今後に役立つだろう。が、兵藤家の皆が煩くなるだろうけどな」

 

「・・・・・まさか、お二人は・・・・・!?」

 

リーラが何かに察したようで目を丸くしていた。何のことだろうと思った瞬間。

二人が俺に向かって飛び出してきた。

 

「酷い・・・・・あまりにも酷いわ!」

 

「二人には恩があるとはいえ、イッセーに対するその物言い方に私は・・・・・!」

 

「「二人を許さない!」」

 

イリナとヴァーリが父さんと母さんに向かって行った。

でも、呆気なく弾き返させられてあの二人は真っ直ぐこっちに来る。

 

「誠・・・・・一香・・・・・それ、本気?」

 

「ああ、オーフィス。本気だよ。もしよかったらオーフィスも一緒に来るか?

家族として、俺たち四人と一緒に暮らすんだ」

 

「・・・・・」

 

オーフィスは無言で沈黙を貫いた。オーフィスなりに答えを出そうとしているんだ。

しばらくして、オーフィスは言った。

 

「我、誠と一香、イッセーとだったらいい。でも、イッセーじゃないイッセーは嫌」

 

オーフィス・・・・・ッ!

 

「そうか・・・・・残念だよ。昔のあの約束、お互い破っちゃったね」

 

「我も、悲しい」

 

彼女の小さな体から膨大な魔力が感じた。

 

「誠、一香・・・・・イッセーの敵、だから・・・・・我の敵。

あの時の誠と一香じゃない。あの時の誠と一香はもういない」

 

手元を光らせた直後―――。

 

「さようなら」

 

父さんと母さんが爆発した。これで終わった―――とは一瞬も思わなかった。

 

「うひゃひゃひゃひゃっ!いいねいいねぇ!さいっこう!

親子の縁が切れた瞬間って物凄くワクワクドキドキものだったぜいっ!」

 

この声は・・・・・あのヒトか!本当に高笑いながら出てきたな・・・・・。爆発の際に生じた

煙が風で流された頃には父さんと母さん以外にも、リゼヴィムおじさん、リリスまでもがいた。

 

「リゼヴィム・・・・・ッ!」

 

戻ってきたヴァーリが今にでも殺したいと言う気持ちが伝わるほど、顔を歪ませた。

 

「ちゃおー♪ヴァーリちゃん、おっひさー」

 

『最悪な展開となったな・・・・・』

 

「俺っちにとっては最高の展開だぜ?ほら、あっちにいる量産型の邪龍軍団はもう、

好き勝手に派手に暴れちゃってもらっているから八割ぐらい、破壊したんじゃないかなぁ?」

 

両腕をバッ!と空へ上げて嬉々として発した。

 

「―――これこそが俺がしようとしたかった異世界の侵略っ!その練習をするためにまずは

この異世界に存在するありとあらゆる人間と街を蹂躙にしてやるんだぁっ!」

 

おじさんはグレンデルに言う。

 

「だから、グレンデルくんは街の方に行ってくれないかなぁ?」

 

『おいおい、ふざけんなよ!俺は今そこのガキと戦っていたいんだよ!

それをしながらでもいいだろうが!』

 

「うーん、それもそうだねぇ。でも、あっちに行かないと、

楽しみが減っちゃうのは事実だよ?それでもいいのかなぁ?」

 

『・・・・・』

 

ギリッ!と奥歯を噛みしめて、グレンデルは体の向きを街へと変えた。

 

『後でここに戻ってくる。俺がここに戻ってくるまでそのガキをとっておけよ!いいな!』

 

それだけ言い残してグレンデルは街の方へと飛んで行った。

 

「さて、続きをしようか。リリスちゃん、オーフィスの相手をしてくれるかな?」

 

「パフェを馳走してくれるならいい」

 

「なら、決まりね。たくさん作ってあげるから」

 

食べ物で釣られた!なんだか、そーいうところもオーフィスに影響されているんだろうか。

元はオーフィスの力からも生まれたって言うし。

リリスを含め、あの二人はまたしてもこっちにきた。

 

「邪魔」

 

ドッガアァアアアアアアアアアアアアアアンッ!

 

オーフィスが攻撃する。だが、傷一つなく飛び出してきた三人。

 

「お前は私が相手になろう。母上?」

 

「・・・・・」

 

リリスとオーフィスが直撃した。二人は違う場所で戦い始め、残る父さんと母さんは俺とイリナ、

ヴァーリで戦うことになった。龍化を解いて、人間に戻れば二人と構える。

 

「おっ、人型になったか。丁度良い、あの大きさだと足りなかったからどうしようか考えたよ」

 

「・・・・・なんのことだ?」

 

「そうだなぁ・・・・・これからやることをするまえに少しだけ話をしようか。

一香、準備してくれるか?」

 

「分かったわ」

 

母さんは魔方陣から二つ赤い液体が入った大きな瓶を取り出した。

・・・・・あの液体、血なのか?

 

「一誠、どうして俺と母さんが兵藤家に住んでいなかったと思う?」

 

それは・・・・・と喉の奥から出ようとしたが敢えて呑んだ。

理由は分からないからが大きな理由だからだ。

 

「分からないだろう?今の今まで気にもしないで生きていたんだからな。

でも、今は少し違うはずだ。だから教えよう。俺と一香はとある掟を破り兵藤家から、

式森家から追放されたんだ」

 

掟・・・・・?

 

「兵藤家と式森家の間に子供を作ってはならない。当主でもその一族でもだ」

 

「なんでだ・・・・・?」

 

「兵藤家は体術、式森家は魔力あるいは魔法にそれぞれ長けているだろう?

だけど、兵藤家と式森家はもともと仲が悪かった。魔法が使えない兵藤家を蔑んだりすれば、

体力がない頭でっかちな式森家と蔑んでいたほどだ。関係が悪化するまでではないけれど、

それでも小競り合いはあった。そこで、その状況に憂いた者たちも存在していたのも事実。

その者たちとは兵藤家と式森家の男女の当主だった。その当時の当主は幼馴染であり、

密かに愛し合ってもいた。だからこそ、今の境遇、状況を打破しようと考えていたようだ。

そして、決行した。兵藤家と式森家を一つにしようと」

 

その意味は理解した。その幼馴染が結婚して二つの一族を纏め上げようとしたんだろう。

 

「二人の当主は周囲の反対を押し切ってまでも結婚した。

同時に兵藤家と式森家は一つとなったわけだけど、やはりうまく事を進めなかった。

一つになったとは言え、対立が目立っていたからな。

しかし、二人の当主は時間を掛けてようやく二つの一族を

一つに纏め上げた直後に事件が起きた」

 

「事件・・・・・?」

 

「兵藤家と式森家の当主だった二人の間に子供ができたことだ」

 

それがどうして・・・・・事件となるんだ?理解ができないと父さんの話に耳を傾け続けると、

 

「最初こそ、理由は分からなかったけど・・・・・子供が生まれて成長し続けるにつれ、

気と魔力が増え続けたんだ。―――最後はその増え続ける気と魔力に耐えきれず、

その子供は周囲を巻きこみながら消滅した」

 

「「「なっ・・・・・!」」」

 

ヴァーリたちと絶句した。リーラが驚いていないのは教えられたからだろうか?

 

「幸い、その場にいた当主がいたからこそ、被害はなかったが、失ったものが大きかった。

後に当主以外の者たち、兵藤家と式森家の者たちも子を作り、子ができたが・・・・・結果は、

二人の当主の子供と同じ増え続ける気と魔力に耐えきれず、周囲を巻きこんで消滅した。

その原因が分からないまま、兵藤家と式森家が必然的か自然と子を作らなくなり、

それぞれの一族同士と子を作るようになった」

 

「ちょっと待って・・・・・じゃあ、俺は一体どうなっているんだ?

俺は父さんと母さんの子供だろう?」

 

「ああ、そうだったな。自分がどうしてその道に歩まないでいるのか不思議だろう?

その理由はこれから話す」

 

父さんは視線を母さんの方へ向けた。母さんは、宙に筆で赤い液体を何か、

儀式の際に媒体として使う摩訶不思議な円と紋様を描いていた。それを一回だけじゃなく、

二回もなぞってだ。

 

「あの液体は兵藤家と式森家の者の血だ。つまり俺と一香の血だ」

 

「あれでなにを・・・・・?」

 

「話の続きだ。最初に子供を失った当主は、どうして気と魔力が増え続けるのかその理由を

長い時間を掛けて探ったところ、とある理由が判明した。気と魔力は相反していたからだ」

 

相反って・・・・・。相容れない力ってことだろう?

 

「相反し合う力が自己主張を始め、結果。器たる子供の肉体が耐えきれず、

相反する力が爆発するのが大きな理由だった」

 

ますます分からなくなった・・・・・。だったらどうして今の俺がいるんだ?

人間では無くなったっとはいえ、この十年間・・・・・俺は確かに生きていた。

俺の疑問はイリナが変わりに訊ねてくれた。

 

「あ、あの・・・・・じゃあどうしてイッセーくんは大丈夫なんですか?」

 

「相反するならば、相反しないようにすればいいだけの話だ。

だから、相反する力の片方を何らかの方法で抑えて、片方の力のみをそのままにしたんだ。

その実証は千年前で確認された。そう、俺の父である兵藤源治がその方法を編み出したんだよ」

 

「あの人が・・・・・?でも、だったらどうして追放されたんだよ?」

 

それを訊くと父さんは肩を竦めた。

 

「もう兵藤家と式森家の一族の間で子を成すことは禁忌としてされていたからだ。

また子供が力に耐えきれず、周りを巻きこんで消滅をしてしまうからな」

 

「じゃあ・・・・・その方法で俺は生きているのか?」

 

「ああ、一香の力、魔法を封じてな」

 

母さんに振り向く。

 

「一香とは本当に偶然的に出会った。俺と一香は一目惚れですぐに交際を始めた。

兵藤家と式森家は交際するだけなら目を瞑ってくれたけど、

子供を作る事だけは許してはくれなかった。その理由は後日知ったけど、俺はその掟を

破ってまでも彼女を愛したかった。

だから、俺と彼女は自ら当主という地位を捨てて野に降ったんだ」

 

「「「「・・・・・」」」」

 

「そして、一誠。お前が生まれたんだ。

俺と一香の子供。俺の誠と一香の一を合わせて俺たちの子供だと証として一誠と名づけた」

 

それが俺の名前の由来だったんだ・・・・・。

 

「生まれた直後。すぐに一香の魔法の力を封印した。

でも、片方の力を封印した子供がその後どうなるのかその時の俺たちは知らなかった」

 

「・・・・・それは一体」

 

「一誠、それはお前が一番知っている。その身で感じているはずだ」

 

「・・・・・」

 

俺は父さんと母さんの子供。小さい頃は楽しい思いもいっぱいした。

でも、理由も分からず俺は兵藤家の、同年代の子供、兵藤照たちと稽古をした。

でも、その中で俺は一番弱かった。

 

「・・・・・まさか」

 

「気付いたようだな。そうだ、兵藤家と式森家の力の片方を封印した子供は―――かなり弱体化に

なるんだ。兵藤家の気の力を封印しても、式森家の魔法の力を封印しても、

結果はその子供が弱体化になる」

 

だから・・・・・だから・・・・・俺は弱かったのか?

でも・・・・・俺はガイアのもとで強くなった。それだけは間違いない。

 

「一誠、お前は俺と一香の自慢の子供だった。

めげずに頑張るお前に申し訳ないと気持ちも感じていた。だけど、俺と一香が死んだ後、

お前は強くなった。お前は努力と目標のために強くなったんだ。お前が唯一兵藤家と式森家の間に

生まれ、強くなれるんだと言う証明した存在だ」

 

「・・・・・」

 

「だからこそ、お前はもう一人前の子供で男だ。もう、俺と一香がお前に教えることはない。

だからこそ親子の縁を切らせてもらう。俺と一香は死んだ身だ。お前はお前で自由に生きろ。

そして、幸せになれ」

 

「―――完成、したわよ」

 

今まで筆で何かを描いていた母さんが声を掛けてきた。

母さんの目の前に怪しく煌めく魔方陣みたいなものが宙に浮いていた。

 

ガシッ!

 

「っ!?」

 

「今からお前を封じていた一香の、式森家の魔法の力を解除する」

 

何時の間にか父さんに捕まれていて抵抗も虚しく、赤い血のような魔方陣に押し付けられた。

そして、懐からナイフを取り出して―――一瞬で俺の身体を切り刻んだ。

 

「ぐっ・・・・・!」

 

「一香」

 

「了解」

 

父さんから膨大な闘気、母さんから膨大な魔力を感じた。すると、魔方陣に変化が起きた。

二人の血で作られた魔方陣が意思を持っていたかのように蠢き始めた。

 

「ドラゴンの肉体なら、お前は堪え切れるはずだ。

人間の肉体じゃ、消滅してしまう恐れがあるしな。だからこそ―――封印を解く」

 

血で描かれた魔方陣は切り刻まれた俺の身体の傷口に入り込んできた。

 

ドクン・・・・・ッ!

 

「うぐ・・・・・っ!?」

 

なんだ・・・・・これは・・・・・っ!血がどんどん俺の中に入ってくる度に

激しい痛みを全身で感じる・・・・・っ。意識が途切れそうだ・・・・・・っ。

そう思っていると、視界の端に青い道が宙に出来上がった。

その道に滑るように駆け上がってくる誰かが―――。

 

「イッセーくん!」

 

俺の名前を呼んだ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。