三日後、それがリゼヴィムおじさんたちが現れる予告。
翌日の朝、俺は新たに出会った戦闘機人たちを見ていた。桃色の長髪、
頭にバンド状の装甲を付けている少女がナンバーズ7、セッテ。
散切りで中性的な外見をしている。体型や男が着るような服装ゆえに性別が分かりにくいが、
れっきとした女性だ。
栗色のストレートヘアの容姿が大人びいているナンバーズ12、ディード。
「昨日はありがとうな」
リーラたちを捕まえようとした管理局を阻んでくれた話を訊いて。
改めて今日お礼をと三人に声を掛けた訳だ。
「ええ、問題ないです」
「僕たちの武装を考えてくれてありがとう」
「ドクターの協力者なのですから当然のことです」
「ん、そうか」
スゥーと魔方陣の上に乗っている俺は宙に浮いている。
ちょっとでも動くと全身に痛みが生じて満足に歩けもしないからなぁ。
軽く雑談してそれから三人と別れ、秘密基地内を移動する。
しばらく移動していると、大勢の女性が入っているカプセルが並んでいる場所へと辿りついたら
見覚えのある少女がカプセルの中にいる女性を見上げていた。
「久し振りだな」
「・・・・・」
少女はこっちを剥いた。紫色の髪に赤い瞳、黒と紫を基調としたゴスロリの服を着ている。
「誰を見ていたんだ?」
「お母さん・・・・・」
「お母さん?お前の母親か?」
「らしいよ・・・・・」
らしい・・・・・?不思議になる俺に彼女は言い続ける。
「この人のこと覚えていないから・・・・・」
・・・・・そう言うことか。彼女の頭を優しく撫でる。
「お母さん、目を覚ますと良いな」
「うん・・・・・目を覚まして、お母さんになってくれれば私には心が生まれるんだって」
「きっと、心が生まれるさ」
それだけ言い残し、彼女から離れて―――ジェイル・スカリエッティのもとへ、訪れた。
「やあ、ジェイルくん」
「わ、私は何もしていないぞ!?」
「あれ、どうしてそんなに怖がっているんだ?」
ビクゥッ!とジェイル・スカリエッティが体を跳ね上がらしていた。
そこへクアットロが指摘した。
「イッセーちゃん、顔笑っているけど目が笑っていないわよ?」
「・・・・・ああ、そういうことか?相手を話すときは笑顔でと、
母さんに教わったからそうしたんだけどな」
「イッセーちゃん、絶対に怒ってドクターに声を掛けていたわよ。
ドクターが何かしたのかしら?」
「ちょっと待ってくれないか。私が既に何かしたような前提で言わないでもらおうか」
自分の胸に手を当ててみろと言いたいところだが、気になることを言うのが先決だ。
「さっき、母親を眺めていた少女と見掛けたんだけど。どうすれば母親が目覚めるんだ?」
「母親を眺めていた少女・・・・・?ああ、ルーテシアのことだね?」
ルーテシア・・・・・それがあの少女の名前か。その通りだと肯定すれば、
ジェイル・スカリエッティは言った。
「彼女には11番のレリックを見つければ、母親は目覚めると言ったんだよ」
「11番のレリック・・・・・どうしてレリックが必要なんだ?」
「おや、疑うのかね?」
「レリックに人の病を治すような力はないと踏んでいる。
主な理由は、レリックは魔力の結晶だからだ」
そう言うとジェイル・スカリエッティが肩を竦めた。
「やれやれ、キミには参るよ。ああ、今のところレリックにそんな力を秘めた実例は
確認されていない。私自身もそんなレリックは存在しないと思っているよ」
「お前が否定するのか。じゃあ、どうして彼女にそう言ったんだ?」
「ルーテシアの能力が魅力的でね。彼女の母親を利用して我々に協力してもらっているのだよ。
無論、全てが終わったら彼女の母親を目覚めさせるつもりだったがね。
ルーテシアの働きに感謝の印としてでね」
・・・・・ほう・・・・・つまり、あれか?いたいけな少女に、純粋無垢な子供に、
この科学者は騙していたと・・・・・そういうことだな?自分の野望のために母親を捕まえて
娘の力を利用するために。
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・。
「あー・・・・・ドクター?私、お手洗いに行ってくるわぁ・・・・・」
クアットロが何かに察知したようであからさまにこの場から去ろうとする。
「うん?分かった・・・・・いや、クアットロ。ここにいてくれないか?
物凄く寒く感じてきたからね」
ジェイル・スカリエッティが俺の様子に気付き、
いなくなろうとしたクアットロの肩を掴んで制止するが、クアットロはギョッと異議を唱えた。
「ちょっ、ドクターのとばっちりは勘弁してほしいですわ!私には一切関係ないんですもの!」
「頼む!このまま私一人でいたら彼に殺されてしまう!」
おいおい、協力者に殺すようなことはしないさ。さーて、どんな方法でこらしめようかなー?
笑みを深めてゆっくりと二人に寄ったのであった。
―――ジェイル・スカリエッティを処刑し、ルーテシアの母親を目覚めさせることにお願いした後、
リーラと共に昼食作りを始めた。全身が筋肉痛で筋肉が引き締まった状態の今の俺の身体は、
あんまり動かすことができず翼で調理を始めているところを、
セインとチンクが現れて手伝ってくれた。
夕食後はトレーニングルームでヴァーリに付き合ってもらい、模擬戦をした。
「っ・・・・・!」
いざ、魔力を放てば身体中に激痛が生じる。でも、放った魔力は―――ヴァーリが目を張るほどの
一撃だったようだ。白龍皇の能力『半減』で、俺の一撃を半分し続け、相殺した。
「イッセー、今のは本気か?」
「いや・・・・・体に激痛が生じていたから本気を出せないでいたよ」
「本気でもないのにさっきの魔力は魔王並みのほどだと思ったぞ」
「マジで?」
信じられないと俺は漏らした。ここで本気を出せないから軽く撃ったはずなんだが。
『彼女の言う通り、魔王の力は知らないが今の魔力数値で言えばキミの魔力はSSSを
上回っていたよ』
突然現れた立体型のモニターに映るジェイル・スカリエッティ。
『だが、あんまりそれ以上の魔力を放たないでくれたまえよ?ここが保たないからね』
「あー、了解」
疲れた顔で挙手する。
すると、その挙手した手が―――俺の意思と関係なくドラゴンの鱗が浮かんだ。
「ん?」
「きっと相反する力の余波で、ドラゴンの力までもが反応してしまったのかもしれないな」
「うわー・・・・・これ、本格的にコントロールしないといけないな」
龍化になった腕を見て溜息を吐くところで、
「イッセー、こんなところに―――って、なにその腕は!?」
セインが現れ、俺の腕を見て驚愕していた。
「ああ、大丈夫だ。腕がドラゴンになっただけだから」
「それ・・・・・本当に大丈夫なのか分からないんだけど」
「それで俺に何か用があるみたいだけどどうした?」
問うと、セインの指先に五つの光が伸びて、五つの光が合わさると、剣のように具現化した。
「イッセーが考えてくれた武装が完成したから見せに来たんだよ」
「おお、そういう事だったのか」
「うん、しかもこれは伸縮自在だから最大二十五メートルまで伸ばすことができるよ」
そこまで考えていないんだけど・・・・・あいつが付け加えたんだろうか。
光を消失して、セインは口を開いた。
「それよりイッセー。体の調子は大丈夫?」
「んー、まだ本調子ってわけじゃないけど、今のところは大丈夫だ」
「そっか。あんまり無茶しないでくれよ?皆、イッセーのことを心配するんだからさ」
「分かっているさ。心配してくれてありがとうな」
水色の髪を撫でて感謝の言葉を述べる。そうすると、セインは嬉しそうに微笑む。
「そうだ、イッセー。久し振りに一緒に風呂に入ろうよ」
突然のセインの申し出に、反応しない訳がない奴がいた。
「一緒に・・・・風呂だと?」
必然的にヴァーリだった。セインは「うん」と首肯する。
「二回ぐらいだけど、イッセーと一緒に入ったよ」
「・・・・・」
セインの言葉を訊き、ヴァーリは無言で俺の肩を掴んだ。
「イッセー、私も今日からイリナと一緒に今夜、お前と一緒に風呂を入りに行く。
これは決定事項だ、異論は認めない」
「お、おう・・・・・分かったから肩を離してくれないか?
いま、肩が痛くてしょうがないんだけど」
掴む力が強く、筋肉痛みたいな痛みを感じ続けている俺にさらに痛みが強まって、
顔が引き攣ってしまう。
その後、俺はセインたちと風呂に入ったのだが、何故かクアットロ、ディエチ、ウェンディ、
セッテ、オットー、ディードまでもが入ってきて色々と遭って疲れたのは別の話しだ。
―――○●○―――
「やあ、来てくれてありがとう」
「どう致しまして。だが珍しいな。お前が外に来いと言うなんて」
「今日は月が満月だからね。なんとなく月を見ながらキミと話しがしたくなった」
白衣を身に包みジェイル・スカリエッティは本当に珍しく、
俺が作った団子と用意した酒に手を出した。この状況は月見に等しい。
「残り二日。激戦が始まるようだね」
「ああ、そうだな。できれば決着をつけたいが簡単にはいかないだろう」
団子を摘まんで口にする。この月を見たら狼になるなんて狼男は不思議だよなぁ・・・・・。
「イッセー、キミに頼みたいことがある」
「・・・・・初めて呼んだな。頼み事とは?」
「私は二日後にゆりかごを起動させる」
ゆりかご・・・・・。それが、ヴィヴィオを求めていた理由でヴィヴィオがゆりかごを
起動させる鍵。
「ゆりかごを起動させれば、あの黒いドラゴンたちと対抗できるはずだ。
多分だが、兵藤誠と兵藤一香も二つの月の魔力を得たゆりかごには手も足も出ないだろう」
「・・・・・そう思いたいもんだな」
常識外れなあの二人に常識が通用しないとは思えないから。
俺はそんな二人の子供だったけどさ。
「ヴィヴィオでゆりかごを起動させることは分かった。
彼女を利用させてほしいと言う願いなのか?」
「それもあるが、キミたちはいつか次元世界に帰るのだろう?だからその際に―――」
ジェイル・スカリエッティは真っ直ぐ俺に視線を向けてくる。
「娘たちをキミたちと一緒に次元世界へ連れて行ってくれ」
「・・・・・」
「それが最後の願いだ。ルーテシアの母親もその頃に目が覚ますはずだ。
ここに乗り込んでくる管理局に保護されるだろう」
ジィエル・・・・・。
「頼んだよ、最初で最後の―――私の友よ」
俺にそう言ったこいつの顔はどこまでも清々しい笑顔だった。
そう言われては断われないだろうが・・・・・。
「・・・・・憎まれ役になりそうだな」
「ふふっ、キミと娘たちはとても仲が良い。特にセインがね。私から娘たちに伝えておくよ」
「お前はどうする気だ?」
「さて、夢が叶った時はやることもないからね。大人しく捕まるかな?
それとも別の次元世界で新たな研究と開発でもしているかな?悩みどころだよ」
そうか・・・・・。
「ま、お前の人生だ。お前が決めることだろうさ」
「その通りだ。私は自由に生きるさ。誰かに指図を受けずにね」
ジェイル・スカリエッティは満月を眩しい物を見る目でそう言うのだった。
―――リーラside―――
あのお二人が一誠さまの魔法を解放した。今のところ、生活に支障はなく、生命に危険はない。
それだけが幸いと言えましょう・・・・・。
なにより、ドラゴンの身体だからこそか・・・・・。
一誠さまは一誠さまですが、あのお方に降りかかる火の粉はこれから必ず降りかかってくる。
「私もただのメイドとしてじゃなく、戦いでも一誠さまを支える時が来たかもしれません」
両手を何か持つように構えれば、虚空から一冊の本が発現した。
「―――あなたの力、私に貸してくれますか?」
そっと本を胸に抱えると・・・・・本は水の中に沈むかのような感じで
私の身体の中に入っていく。
『―――ああ、私の力をお前に貸そう。主に対するその忠誠心に、
主に対するその愛に応えよう』
どこからか声が聞こえる。その言葉に私は頭を下げた。
「感謝します。これからは共に一誠さまと生きましょう」
これで、私は本当の意味で一誠さまのお傍にいられます。誠さま、一香さま・・・・・。
「このリーラ、一誠さまと共にあなた方を倒しましょう。
それが長年、共に暮らした者のとしてそうするべきことのはずですから・・・・・」
一香さまに言われるまでもありませんよ・・・・・。私は既に決めていましたから。
あのお方と、一誠さまとどこまでもお傍にいると、
そう心から命の次に大事なことと決めたのです。
―――ギンガside―――
深夜、皆が眠りについている頃に私は起きた。
このまま静かに脱走・・・・・と思ったけどジェイル・スカリエッティの秘密基地故に
私の行動を見張っているだろうと考えを切り替えて断念。辺りを見渡すとイッセーくんは
まだいなかった。「外に行ってくる」と言ってあれからまだ戻ってきていないみたい。
部屋を出るぐらいは警報なんてなりはしないだろうと思ってイッセーくんを探そうと静かに
部屋から出た。
「どこにいるんだろう・・・・・」
敵なのに、トイレ、厨房、トレーニングルームの場所を教えられた。
最初に厨房の方へ行ったけど、がらんとしていてイッセーくんの姿は見当たらず、
次にトレーニングルームへと足を運んだ。
「あ・・・・・」
いた・・・・・。寝転がっている・・・・・。ここで何かしていたのかしら・・・・・。
静かにイッセーくんに近寄る。顔を覗き込むと遠い目で何かを見据えているように
天井を見ていた。その視線が私に向けられた。
「どうしたんだ?」
「それはこっちの台詞。どうしてここに寝転がっているの?」
「・・・・・少し、一人になりたくなってな」
「風邪、引いちゃうよ?」
やんわりと部屋に戻ろうと窘めるも、彼は動こうとはしなかった。
「ギンガ」
ギン姉じゃなく、呼び捨て。これが彼の本性なのだろう。
お父さん以外の異性に呼び捨てなどされたのは生まれて初めてだ。
「自分の両親は好きか?」
「え?うん、好きだよ」
「俺もだった。小さい頃は本当に幸せだったよ。色んな場所に連れて行ってくれたり、
色んな人と会わせてくれたり、暇だと思った時は一度もなかった。
こんな幸せな日が続くんだろうなぁーって思ったこともあった。でも・・・・・」
その両親に絶縁された―――。と訊かされた私の心は悲しんだ。
イッセーくんは私のことを知らない。私と妹はお父さんの実の娘じゃないことを。
でも、それでも幸せにお父さんと死んだお母さんと暮らしていた。
死ぬことよりも辛い切られた親子の縁。
「好きだった。大好きだった。でも、もうそんな感情を父さんと母さんに向けることはできない」
すると、イッセーくんは腕で目を覆ったかと思えば、
「こんな辛い気持ちは家族を悲しませた以上だ・・・・・」
無色の液体が目を覆う腕の下から流れ出した。
彼は、イッセーくんは泣いているんだと私は気付いた。
「・・・・・」
体が勝手に動いた。イッセーくんの上半身を半ば強引に起き上がらせて、
私の胸に顔を抱き抱えながら押し付けた。それ以上はしない。声を掛ける言葉も見つからない。
ただ、こうしないといけないと思ったから。
「・・・・・ありがとう」
「うん・・・・・」
私の行動の意図に察し、感謝の言葉を言ってくれた。ゴメン・・・・・スバル。
私・・・・・この子を放っておけない。
この子は誰かが支えないと直ぐに崩れてしまいそうだから・・・・・。
「(私は皆を裏切るつもりはない。でも、この子を守りたい)」
例え、それでも戦うことになるとしても、私はこの子の傍にいる。
―――○●○―――
―――セインside―――
明日が作戦の実行の日となった。今日は久し振りに再会したドゥーエ姉と一緒に朝食を
食べてから姿を見せないイッセーのもとへと歩んでいるところを珍しい光景が目の当たりした。
なんか知らないけど、ウーノ姉以外の姉妹が全員とイッセーの友達たちが
扉の前に立っていたんだ。
「皆、どうしてそんなところを立っているんだ?」
「あっ、セイン。それにドゥーエ姉!」
「久し振りね。感動の再会と会話の花を咲かせたいところだけれど、
なにをしているのかしら?」
ウェンディが代表として説明してくれた。
「イッセーがこの中で籠りっきりになっているからって聞いたっスから気になって。
それで、中に入ろうとしたら扉が閉まってて中に入れないっスよ」
「壊そうとしたが・・・・・こんな感じだ」
トーレ姉が思いっきり扉に拳を突き立てたら、
扉を守るようにして魔方陣がトーレ姉の拳を防いだ。
「ドクターやウーノお姉さまは放っておいて構わないと仰ったけれど、
やっぱり気になっちゃうわねぇー」
あの二人は知っているということかな?でも、皆の話からすると、
教えてもらっていなさそうだなぁ。
「ここはセイン、お前がディープダイバーで中に入って行け。
無機物に潜行できるお前なら扉を超えることはできる」
「そうっスね。セイン、お願いしまっス」
んー、まあ、イッセーに用事があったし、断わる理由もないね。
そう思い、無機物の中に潜行して進んで、扉を潜れば直ぐに浮上したところで―――。
ガシッ!
「へっ?」
「セイン獲ったどぉぉぉおおおおおおおおおおおっ!」
頭を掴まれたかと思ったら思いっきり無機物から引っ張られた!―――私は魚かぁっ!?
「って、こんなふざけた場合をしているんじゃなかった」
私を放っておいて、イッセーは私に背を向けて、床に腰を下ろしたかと思うと、
何やら忙しそうに手を動かした。気になり、イッセーの前に移動すると・・・・・。
綺麗な宝石を削っていた。
「イッセー、なにしているの?」
「秘密だ。集中していたかったから誰も入れないようにしていたけど、
やっぱりセインが予想通りに来たな」
あっ、そうなんだ?
「ドゥーエが来たそうだな。ジェイル・スカリエッティから聞いたぞ」
「うん、だからイッセーに会わせようと思ったんだけどね」
「もうちょい待ってくれ。これで完成できるからさ」
だったら眺める。邪魔しないようにね。イッセーの前に跪いて様子を見守る。
削っている宝石の他にも色んな花々があって、
宝石と花が一つになっている完成したものと思しき宝石があった。
「よし、後は―――」
何時の間にか金色の錫杖を持っていて、イッセーは12個の宝石に金色の錫杖を向けた途端に、
宝石が光に包まれた。光はやがて消失すると・・・・・宝石が嵌った腕輪となっていた。
「これで完成だ」
十二の腕輪を一纏めにして立ち上がった。完成したようだけど、それどうするんだろう?
「さて、ウーノのところへ行こうか」
「ウーノ姉のところに?」
「それとナンバーズ全員だ」
もしかして、その腕輪は―――。と思っているとイッセーが扉に向かって歩きだしていた。
「それで、イッセーちゃん、私たちを集めてどーしたいのぉー?」
「その前に・・・・・見たことがない顔の女性がいるんだけどドゥーエなのか?」
イッセーがウーノ姉を含め、私たち十二人の姉妹を集めた。
って、ドゥーエ姉の顔を知らないんだっけ?
ドゥーエ姉を見れば、
「ええ、この顔が本来の私の顔よ」
と、答えていた。イッセーは納得した顔で頷いた。
「なるほど、ジェイル・スカリエッティに影響された顔だな。
ウーノもそうだったし、ほんと姉妹だな」
それ、褒めているの?って思う。
まあ、クア姉以下、チンク姉から下の私たち妹はドクターの影響ってあんまりないんだよね。
「集まってもらったのは他でもない。俺から皆へプレゼントを渡したい」
「プレゼント?」
「ん、そうだ。今日まで・・・・ドゥーエは一度しか会っていないけど、皆とは過ごしたんだ。
形に残る物を皆に渡したい」
そう言って、ウーノ姉から順にドゥーエ姉、トーレ姉、クア姉、
チンク姉・・・・・と渡していった。
「はい、セイン」
「ありがとう・・・・・」
渡された腕輪にある宝石は三つもあった。でも、何だか綺麗だと思った。
イッセーを見れば、ディードに宝石を渡していたところでウェンディが声を掛けた。
「イッセー、この腕輪にある綺麗な石はなんなんっスか?」
「それぞれの名前に関わる石だ」
私たちの名前に・・・・・?
トーレ姉も「どういうことだ?」と口にしてイッセーに問いかけていた。
「皆、自分の誕生日とかなさそうだし、
皆の名前は数字だと言うこともジェイル・スカリエッティから聞いている。
だから、皆の名前を誕生日として誕生日石の腕輪を作ったんだ」
あー、そう言うことか。私は六番だから六月の石を渡されたんだね。
「皆は知っているかどうか分からないけど、その石には名前と石言葉って言葉があるんだ。
例を挙げれば、ウーノの誕生日石はガーネット、または柘榴石。一月の誕生日石で、
石言葉は『真実・友愛』だ」
「真実・・・・・友愛・・・・・」
「ウーノに友愛なんてあったかしら?」
ちょ、ドゥーエ姉ぇっ!そこは突っ込まなくてもいいんじゃないかな!
「ドゥーエの腕輪の石はアメジスト、または紫水晶。二月の誕生石で石言葉は
『誠実・心の平和・高貴・覚醒・愛情』」
「・・・・・ドゥーエに似合わない言葉が殆どあったわね」
ウーノ姉が冷笑を浮かべる!ドゥーエ姉に心の平和ってあったかなぁ・・・・・って思ったのは
秘密。
「トーレの腕輪の石はアクアマリン。色々と名前はあるけど、
敢えて言うなら、藍玉もしくは水宝玉。三月の誕生日石で石言葉は『勇敢』」
「「納得だわ」」
「なるほど、確かに私にピッタリな石だな」
満更でもなかったトーレ姉だった。次はクア姉だね。
「クアットロの腕輪の石は
四月の誕生日石で石言葉は『完璧・冷静沈着・神秘的』」
「あら、完璧、冷静沈着ってのは私に合っているわ言葉だわぁー。でもイッセーちゃん、
他にももう一つの石があるんだけど、これも石言葉って言葉があるのかしら?」
「ああ、他にも同じ誕生日石があったから嵌めこんだ。それはダイヤモンド、
またの名を金剛石だ。石言葉は
『永遠の絆・純潔・不屈』」
『ぶはっ!』
何人かが噴いた。ク、クア姉に似合わなさ過ぎる石言葉が出てきたよ・・・・・っ!
「・・・・・さっきの石言葉のほうが私に似合っているわよ」
クア姉が拗ねた!
「まあまあ、そう拗ねるなよ。そんで、チンクにも誕生石が二つだ。一つはエメラルド、
他にも翆玉や緑玉と呼ばれている石で、石言葉は『幸運・幸福・希望・安定』。
深緑な半透明な石は翡翠、エメラルドと同じ誕生石で石言葉は『長寿・健康・徳』だ」
「なんだか、良い言葉しか出て来ない石だな」
それも、チンク姉には合っているのかどうかすらも分からないね。で、次は私なんだけど・・・・・。なんか、三つも石があるんだよね。これ、石言葉って言葉が三つもあるんだよね?
「六番のセインは、六月の誕生石が三つもあるから嵌めた。
一つは真珠、またの名をパールと呼んで石言葉は『健康・富・長寿・純潔』。
二つ目は月長石、またの名をムーンストーン。石言葉は『恋の予感・純粋な恋』。
三つ目はアレキサンドライト、石言葉は『秘めた思い』」
ドクン・・・・・。
私の心臓が高鳴った。戦うために作られた私に似合わない言葉なのに、
何故だか嬉しいを思った。
「セッテの石はルビー、別名は紅玉で七月の誕生日石の
石言葉は『熱情・情熱・純愛・仁愛・勇気・仁徳』。
もう一つはカーネリアン、紅玉髄とも言う石で、
石言葉は『勇気・友情・連帯・喜び・落ち着き・精神バランス』」
「・・・・・連帯、落ち着き、勇気は合っていますね」
「オットーの八月の誕生石はペリドット。石言葉は『夫婦の幸福』」
「僕・・・・・イッセーと結婚するの?」
『んなっ!?』
オットー!?なにを言っているんだ!?って、なにオットーは顔を赤らめているんだよ!
「や、石言葉だからな?その言葉通りになるわけじゃないし、なるもんじゃない」
やんわりとイッセーが言った。だ、だよね・・・・・。って、何で私は安心したんだ?
「ノーヴェの九月の誕生日石はサファイア、
石言葉は『慈愛・誠実・貞操・高潔・徳望・心の成長』。もう一つの誕生石はアオライト。
誕生石は『初めての愛・徳望・誠実・心の安定・癒し・不安の解消』。
最後の一つはラピスラズリ、『尊厳・崇高』の石言葉がある」
「初めての愛って何なんだよ・・・・・そんな言葉がある石をどーして私にしたんだよ」
「俺に言うな。この石言葉を創った本人に言え」
その本人って一体どんな人だろうねー。
「んで、ディエチの十月の誕生日石、オパールの石言葉は『希望、無邪気、潔白』、
トルマリンは『希望』だ」
「私、無邪気じゃないんだけどな・・・・・」
笑った顔を見たことないぐらいだしね。
「楽しいことをすれば自ずと無邪気になるんじゃないか?次はウェンディ」
「はいっス!」
「ウェンディは十一月の誕生石、トパーズとシリトンだ。
トパーズの石言葉は『誠実・友情・潔白』で、
黄水晶―――シリトンの石言葉は『社交性・人間関係・自信・生きる意欲』だぞ」
「おお、悪くない石言葉っスね」
ウェンディは笑みを浮かべる。うん、確かにウェンディのためにありそうな石言葉だ。
「最後にディード。十二月の誕生日石はタンザナイト、
石言葉は『誇り高き人(高貴)・冷静・空想』。
そしてノーヴェと同じラピスラズリ、石言葉は『尊厳・崇高』。
―――以上、一から十二の誕生日石だ。他にも誕生日石が合ったけど、これだけにした」
イッセーが私たちの腕輪にある石の石言葉を説明し終えた。
私たちの手の中にある腕輪はそれなりに凝ってあって一つの石(宝石)があれば複数もある。
「いらなかったら捨ててもいいから」
って、なに言っているんだよ。
「いや、そこまで説明されて今さらいらないなんて言えるわけ無いっスよ」
「初めてプレゼントされた物に対して、そんなことできない」
「大切に付けさせてもらいます」
そうそう、そう言うことだよ。私も腕に差し込んで嵌めた。おお、ピッタリだ。
腕にある腕輪を眺めていると、イッセーはドゥーエ姉に声を掛けていた。
「ドゥーエはどうしてここに?任務中だったんだろう?」
「ええ、そうだったけどドクターに新たな武装と調整とクローンの除去をするために
呼ばれたのよ」
「クローン?」
ああ、イッセーは知らなかったんだっけ。っと、クア姉が説明してくれた。
「もしものためにドクターが捕縛もしくは殺されちゃったら、
逃走、生き残った私たち十二人の戦闘機人の誰か一人でもいれば子宮に植え付けた
ドクターの遺伝子、クローンが生まれる仕組みになっているのよねぇー」
「・・・・・ほう?」
あっ・・・・・イッセーが纏う雰囲気がガラリと変わった。これは―――アレだね。
「だけど、ドクターはドゥーエお姉さま以外の私たちの子宮にあるドクターのクローンを
処分するようになったのよ。もう必要ないって―――イッセーちゃん、
どうしてドゥーエお姉さまをお姫様抱っこしてどこへ行こうとするの?」
「ああ、ちょっとあの変態科学者のところに行ってくる」
―――怒っている!もう、顔は笑っているけど目が全然笑っていない!
仕舞いには頭から赤い角が出ているよ!?
「そ、そう・・・・・いってらっしゃい」
「おう、行ってくる。ドゥーエ、俺と一緒に来てもらうぞ」
「は、はい・・・・・」
あのドゥーエ姉がイッセーに怖がっているぅ!?
でも、頬がちょっと赤いけど?どうしたんだろうと思っている私を余所に、
イッセーとドゥーエ姉はいなくなり―――しばらくした時に聞こえた。
ドクターの叫び、絶叫がさ。
私たちは徐に顔を見合わせた。
「イッセーって怖いっスね」
「怒らしてはいけないのと、逆らっちゃいけないベストワン確定ね」
クア姉の言葉に私たち十一人の姉妹は頷いた。
その後、ドクターが私たちの前に現れたら全身包帯だらけだった。
ドクター、イッセーを怒らしちゃダメだって。