ハイスクールD×D×SHUFFLE!   作:ダーク・シリウス

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Episode2

「あー、取り調べた結果。あの襲撃者たちは俺を生死問わず、

どこかへ連れて行こうとしていたらしい。その理由は告げられていないため詳細は不明。

あいつらを動かしていたのは兵藤白良。兵藤家の幹部の一人だ」

 

翌日の朝、あの二人から聞きだした情報を皆に告げる。

地下の牢屋に放り込んでいるため脱走は不可能。

 

「あの人が・・・・・」

 

「薄気味の悪い人がね・・・・・」

 

悠璃と楼羅が呟く。どうやら知っているようだな。

 

「どんな人物だ?」

 

「詳しくは・・・・・ただ、幹部の中で発言力は高いと聞いております」

 

「私も、そのぐらいしか知らない」

 

その言葉を聞いて、場に静寂が訪れ、それを挟んで各々と思案をぶつけあった。

 

「でも、どうしてそんな人があの二人をイッセーに襲わせたのかしらね・・・・・」

 

「前に魔人のことでイッセーくんは襲われましたので・・・・・今回もそのことででは?」

 

「生死問わず指定された場所に連れて来いなんて気になる」

 

「ええ、その場所に何があって、何をするのかもですが」

 

「次もまた刺客が送られてくる可能性が高いわね・・・・・」

 

・・・・・。

 

「―――――皆」

 

皆に声を掛ける。

 

「これは虎穴に入らずんば虎児を得ず・・・・・危険を冒さないと

分からないことだと思う。だから俺は指定された場所へ行ってみる」

 

『ッ!?』

 

「もちろん、何人か引き連れる。姿を隠して貰ってな」

 

「それで・・・・・誰を連れていく気なの?」

 

リアス・グレモリーの問いかけに皆を見渡す。脳裏に他の皆も浮かべて―――。

そうだな・・・・・あのヒトの力を借りるとしようかな。

 

―――京都―――

 

十六夜咲夜とアカツキと共に京都へ。彼女たちに案内させてもらうと嵐山の奥深い森の中。

 

「こんな場所に指定された場所のなにがあるんだ?」

 

「私たちも詳しくは・・・・・ただ、兵藤家の者しか入れない場所とか」

 

「俺、人型ドラゴンなんですけどねー。未だに俺は兵藤として扱われているのは

不思議でしょうがないんだが」

 

「血肉はそうでじゃなくても、魂は兵藤家だと思うぞ」

 

魂は兵藤家・・・・・だから命の蝋燭が燃えているんだな。

 

「こんな形で京都に来たくなかったな。・・・・・寒いし」

 

嵐山の木々が冬の冷たさに枯れ葉ばかり・・・・・。帰ったら焚火をしたくなった。

それか炬燵でぬくぬくと・・・・・。

 

「二人みたいな存在は兵藤家にいるのか?」

 

「ええ、人それぞれですが私たちみたいな者を侍従や駒として扱っております。

兵藤家の皆さんは優秀な人材を探し出して、

見つけたらその人材を傍に置かせる交渉をし、兵藤家の者の配下として付き従わせるのです」

 

「そんな風習みたいなもんがあったんだな」

 

「ええ」

 

枯れ葉ばかりの山を歩き続けること一時間。寺院が見えてきた。

こんな場所に寺院が・・・・・?

 

「にしても二人って思っていたより悪い奴じゃないんだな」

 

「まあ、私たちは引き取られる前に別々で生きていましたし」

 

「例えば?」

 

二人は一度だけ顔を見合わせて口を開く。

 

「私はヴァンパイアハンターを生業として生きていました。

アカツキは忍びの集落で依頼をこなし生きていました」

 

「おー、ヴァンパイアハンターか。生で見るのは初めてだ。吸血鬼を倒せたのか?」

 

「不死とはいえ、吸血鬼にも弱点があります。そこを突いて狩っていました」

 

寺院の閉った門に触れるアカツキを余所に雑談する俺たち。

門はアカツキの手により開け放たれ、俺たちは潜り、寺院の中へと侵入。

 

 

 

 

「ようやく来たようですねぇ・・・・・?さあ、今度はあなたの番ですよ。

昨日の指示通り、行動して戦ってください」

 

「・・・・・それで、人王となれるのかよ」

 

「ええ、彼を倒せた暁に、私から当主に進言しましょう」

 

「・・・・・行くぞ、名無」

 

 

 

 

白い壁に囲まれた空間に俺たちは侵入。床は道場みたいに木の板で設けられている。

特に変わった物はなく、神聖、聖域とような感じはしない。

この場所に俺を来させて何がしたいんだ?

 

「二人もここに来るのは初めてか?」

 

「はい、そうです」

 

「そうか・・・・・」

 

佇んで目の前を見据えていると―――壁が回転してとある二人が出てきた。

隠し部屋!?ここは忍者の屋敷かよって―――あいつらは・・・・・!?

 

「なんで、お前らがここにいるんだよ・・・・・?」

 

「「・・・・・」」

 

兵藤照と兵藤名無・・・・・。次期人王決定戦を思い出すな。

いや、そんな事を思っている場合じゃないって。どうしてあいつらがこの場にいるんだ。

それが疑問過ぎる―――。

 

「名無、やれ」

 

「・・・・・」

 

照が名無に命令した時。名無の姿は消え―――。

 

「っ!」

 

十六夜咲夜とアカツキの背後から襲う名無の一撃を防いだ。

 

「「え―――?」」

 

「どういう、ことだよ・・・・・お前ら」

 

「―――どうもこうもないんだよ」

 

今度は真正面から照が飛び掛かってきた。狙いは俺じゃなく、

二人に襲いかかっている!?

 

「のこのことお前に負けた使えねぇ駒をこの場で処刑するんだよ!」

 

「「っ!?」」

 

なんだと!?

 

「お前っ!」

 

掴んだまま名無を照に向けて放り投げて当てた。照が名無を無造作にどかして立ち上がる。

 

「お前は知らないがな。ここは罪を犯した兵藤家を処刑する場所なんだよ」

 

「処刑場・・・・・!?」

 

「兵藤家を処罰する者は兵藤家―――そう言う掟としきたりがあるんだよ。兵藤家にはよ!」

 

またしても飛び掛かってくる。

 

「ましてや、使えない兵藤家の侍従、駒も含まれる!

つまりてめぇーら三人は罪人なんだよっ!」

 

ふざけんな!俺が、俺たちが罪人なんて勝手に決め付けるな!

 

「覚悟、しやがれぇっ!」

 

「また返り打ちにしてやるっ!」

 

二対一、守るべき二人が背後にいる。負けるわけにはいかない。

いや、負けちゃならないんだ!

理不尽なルールに俺たちは抗うべきなんだ!それが―――いまだ!

 

―――○●○―――

 

「ぜぇ・・・・・ぜぇ・・・・・」

 

名無に無効化の縄で縛り、照には文字通り張り倒した。

壁に埋まって全身で息する照を睨む。

 

「以前よりかなり強くなっているじゃん。驚いたぞ」

 

「あの時以上、強くなっているお前に言われたくない・・・・・っ」

 

ふふん、それはそうだろう。あれから俺は強くなっているんだからな!

 

「兵藤白良の差し金か?」

 

「―――っ!」

 

「どうやら図星のようだな。あいつはどこにいる?」

 

答えてもらおうかとあいつに近づいた時だった。床一面に光が走ったのだった。

突然の光景に目を丸くしていると、鎖が飛び出してきて全身に巻きついてきた。

 

「こんなもの―――!」

 

だが、ドラゴンの力を持ってしても鎖は千切ることはできなかった。なんでだ!?

 

「わ、私たちまでも・・・・・!?」

 

「そんな、何故ですか・・・・・!?」

 

後ろから悲鳴が聞こえる。尻目で見ると十六夜咲夜とアカツキの身体にも縛られていた。

 

「―――ご苦労さまです」

 

―――っ!?

 

壁から一人の男が現れた顔中、厚化粧でもしているのか、白かった。

 

「白良さまっ!」

 

「お二人もご苦労さまです。形はどうであれ、

彼をこの場に招いたことに深く感謝します。そのお礼としてお二人を解放しましょう」

 

「「なっ!?」」

 

解放・・・・・?でも、二人の様子がおかしいな。

 

「おい、解放ってどういうことだ」

 

「そのままの意味ですよ?ああ、あなたは知りませんよね。

兵藤家が侍従を解放する意味を」

 

白良は薄気味の悪い笑みを浮かべる。

 

「死ですよ」

 

「・・・・・死だと?」

 

「ええ、配下となる者は兵藤家の者ではない。それに仕える者に離反、

または暗殺されては元も子もないので私たち兵藤家は配下となる者の魂に細工をするのです」

 

手を徐に上げた。それに呼応して鎖が俺引きずり込もうとし始める。

十六夜咲夜たちも引きずり込まれていく・・・・・!

 

「仕える者に反逆をした瞬間、魂に施した術式が発動し、

永遠の牢獄に投獄するようになっているのですよね。

そこは―――冥界に近い、地獄と言われている場所に」

 

「なんだと!?」

 

「配下となった者は、死ぬまでその仕える者から施された術式を消すことはできない。

逆に配下にした者を自分が施した術式が消えない限り、

新たな配下を加えることはできない。―――そう言う意味で私は解放するといったのですよ」

 

この野郎・・・・・っ!彼女たちをもう必要ないと殺すことをためらいが無い!

 

「白良さま!どうして、どうして私たちを・・・・・!?」

 

「新しい配下をしたい人が見つけましてね。

あなたたちの代わりにその人を配下に加えようと思ったのです。

だから―――邪魔なんですよ」

 

「そんな・・・・・っ!」

 

「最低だな・・・・・!」

 

彼女たちの心を、傷つけたこいつは―――絶対に許してはならない!

 

「お前、ぜってぇー覚えていろ」

 

「死人に口無しです。さらば、忌み嫌われるであろう魔人」

 

 

 

 

 

「ふふふ、これで疫病神が去りました。晴れて兵藤家は次期人王を決めることができる」

 

「・・・・・こんなことして、あんたに何の利益があるんだ?」

 

「利益などないですよ?」

 

「なに?」

 

「私は兵藤家のために動いているだけです。

間違っても人間ではない者が人王になるとはおこがましい。

その上、我々が魔人の血を流しているという事実と証拠を闇に葬るべきなのです」

 

「―――それが、お前の目的だとはな」

 

「っ!?」

 

「ふふ、ええそうですよ。―――当主」

 

「話は一切無用だ。独断で行動をしたお前を捕縛し、洗いざらい吐いてもらう」

 

「ご自由に、私の目的は全て達成しましたからね。あの魔人を地獄に送れたので」

 

「・・・・・ふん、案外。地獄から生還してくるかもしれんぞ。

なんせ―――あの禁忌を犯したバカ息子と式森家の元当主の子供だからな」

 

 

―――○●○―――

 

 

ビュオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!

 

「熱ッ!臭ッ!?」

 

暴風の熱風とこの世のものとは思えない悪臭が暗い空間に

岩肌だらけの場所にいる俺たちにぶつかる。

 

「ここが・・・・・地獄・・・・・」

 

「・・・・・」

 

彼女たちの顔に絶望の色で塗りかえられていた。俺もこの場所に来るのは初めてだ。

さて・・・・・どうやって地上に戻ろうか。

そう思っていると風に乗ってくる悲鳴を聞こえた。

俺は気になり二人を引き連れてその場所に足を運ぶと―――そこは地獄絵図、

阿鼻叫喚と化となっていた。

 

「ひっ!」

 

「・・・・・っ」

 

「うわぁ・・・・・」

 

俺たちがいる場所は高いところだったようで、眼下の惨状がハッキリと分かる。

人が拷問を受け、苦痛に満ちた表情を浮かべている。地獄に落とされた人たちは何かしらの

罪を犯したものだろう。そんな罪人に苦痛を与えているのは―――鬼や生物。

 

「まさに、現世で犯した罪の度を裁かれているな」

 

「わ、私たちも・・・・・あんな風になるというのか・・・・・?」

 

「俺たちは地獄に送られたわけで・・・・・死んだことになっているのか?」

 

「分かりません・・・・・」

 

だよな・・・・・。こんな感じ、原始龍に呼び寄せられた感じと似ているが・・・・・。

 

『今回は死んでいないぜ?』

 

っ!アジ・ダハーカ―――。

 

『くくく、龍の世界の次は天国、その次は異世界、

そして地獄とかお前は異世界旅行を満喫しているじゃないか?』

 

そう言うお前とお前らもな。それで、地獄から地上に脱出なんて―――。

 

『さぁな。俺や他の奴らも地獄に来るのは生まれて初めてだ。

地獄のことは地獄にいるう奴らに聞いた方が早い。神器(セイクリッド・ギア)もお前の中にあるから

戦いになっても問題ない』

 

戦うことになる要素があるのかな・・・・・。まあそうするよ。

 

「二人とも。俺の傍から離れるなよ」

 

「ど、どうするのだ?」

 

「聞くしかないだろう。戻る方法さ」

 

二人の腰に腕を回して抱き寄せると、背中にドラゴンの翼を生やして宙を飛翔する。

罪人に苦痛を与えている一人の鬼にの傍に降り立った。

 

「すいません、聞きたいことがあるんだけど」

 

「・・・・・?」

 

なんだ?とそんな面持ちでこっちに振り向いた鬼。こうして改めて鬼と対峙すると、

鬼の身長は軽く三メートルは超えている。

ファンタジーなモンスターで言えばオークみたいな体躯だ。

 

「人間・・・・・?お前ら死んじゃいねぇな。

どうやってこの八大地獄の一つ、焦熱地獄にきた?」

 

「俺たちもさっぱり・・・・・八大地獄とは?」

 

「んだよ、んなことすら知らねぇのか今の人間は。

地獄にはな、人間共が犯した罪をそれ相応に対応する八つの地獄が存在しているんだ。

それで、そのそれぞれの地獄に十六の小地獄、

十六小地獄っつう地獄に落ちた亡者の中でもそれぞれ設定された

細かい条件(生前の悪事)に合致した者が苦しみを受ける場所もあるわけだ。

 

「こいつみてえにな」と鬼は熱く熱した鉄板の上にいる罪人を串刺しした。

 

「お前らは罪を犯して死んだわけでもねぇから見逃すが、

あの御方たちに見つからねぇ内にどっか行きやがれ。仕事の邪魔だ」

 

「あの御方たち・・・・・?」

 

疑問を浮かべ、誰のことか訊ねるも、鬼はさっさと行けとばかり背を向ける。

 

「んー、帰り方分からないからな・・・・・地獄といえば閻魔大王ってのが定番だ。

閻魔大王、会いに行くか」

 

「ちょっと待てぇっ!?」

 

いきなり鬼に突っ込まれた。なんだよ?

 

「ば、バカかテメェは!?あ、あの閻魔さまに会いに行くなんて

魂が何百個合っても足りやしねぇよ!」

 

「いる場所、知っているの?」

 

「うぐっ・・・・・!」

 

鬼の顔に脂汗が絶え間なく出てきた。

そうだ、地獄にいるんだから知っていて当然だよな。

 

「ねぇ、鬼さん」

 

「な、なんだよ・・・・・言っておくが、閻魔さまに会いに行かせてほしいと言われてもな」

 

「素直に道案内してくれるか、ドラゴンに食われるの、どっちがいい?」

 

背後に展開する魔方陣から迫力満点のアジ・ダハーカくんが現れた。

俺の背後を見て開いた口と目が塞がらない鬼。

 

「な、なんでここにドラゴンがいるんだよぉっ!?」

 

「何でって、俺自身がドラゴンなんだし」

 

「はぁあああああああああああああああああああああああああああっっっ!?」

 

そろそろ教えてほしいかな?

 

「驚く暇あると思うか?ほら、鬼さん早く決めてくれないと―――」

 

『食っちまうぞぉ~?』

 

大口を開けるアジ・ダハーカ。こいつもノリが良いな。

 

「わ、分かった!分かったから俺を食べないでくれ!」

 

鬼は両腕を挙げながら懇願した。もう涙目だ。

あの鬼が怖がる様子を見るなんて俺たちが初めてに違いない。

 

「・・・・・この人、鬼より怖い」

 

「同感だ・・・・・」

 

 

 

 

「ふむふむ、地獄の知識も得れた。ありがとうな」

 

「いえいえ、滅相もございませんよ旦那!」

 

アジ・ダハーカの背で閻魔が住む閻魔宮に辿り着くまで鬼から地獄の知識を教わっている。

 

「鬼ってお前みたいな姿形をしたやつらだけなのか?」

 

「へ、へいそうですぜ」

 

「・・・・・別に敬語しなくてもいいぞ?食いはしねぇからさ」

 

「と、とんでもございません!お、俺が好きで言っているもんですので

気にしないでください!」

 

こいつ、完全に恐縮しちゃっているよ・・・・・。

 

「んじゃ、別の質問。鬼にも家族がいるのか?」

 

「一応いますが・・・・・鬼の女ってのは強い奴しか認めてくれねぇんですよ」

 

「おー、じゃあお前は強い奴だから認めてくれたんだ。凄いな」

 

「お、恐れ入りやす」

 

そう言えば、お兄ちゃんって呼ばれた鬼がいたな。

 

「なあ、兄妹の鬼っているか?」

 

「存在していますが・・・・・どんな兄妹で?」

 

「うーんと、銀髪の赤い鬼がお兄ちゃんって

呼ばれていたんだけど・・・・・どうして身体を震わすんだよ?」

 

鬼が分身してしまうんじゃないか?って程に身体を震わせた。

 

「だ、旦那・・・・・あんた、と、とんでもねぇ

御方とお会いしていたんですか・・・・・!?」

 

「正確に言うと見掛けたんだけど・・・・・どんな御方なんだ?」

 

「どんなって、そりゃあ最強の鬼っすよ!」

 

・・・・・九尾のお姉ちゃんも言っていたな。鬼は口を震わせながら説明してくれた。

 

「旦那が言う鬼の名前は『覇鬼』。破壊の権化で最強の戦鬼。

二男の名前は『絶鬼』。力の覇鬼ならば、弟の絶鬼は知。最後に妹の『眠鬼』。

その御方は兄二人より潜在力が高いです。

こ、この三人の鬼に俺たちは『地獄の三大鬼』と称しておるんです」

 

「へぇーそうなんだ。四凶の一人に倒されていたんだけどな」

 

「ああ、妖怪大運動会のことでしょうか?そう言えば、噂に聞いたんですがね。

なんでも覇鬼さまを倒した四凶を赤い髪の奴が倒したって・・・・・」

 

「それ、俺だ」

 

肯定と自分で指せば静寂が訪れ、

 

「「・・・・・え?」」

 

「・・・・・・へ?」

 

十六夜咲夜とアカツキ、鬼が呆然とした。

 

『おい』

 

「ん?」

 

アジ・ダハーカに声を掛けられた。歩みも止まっていてどうしたんだ?

 

『さっきの話の鬼があいつか?』

 

そう問われて俺はアジ・ダハーカの頭の上に移動して見下ろす。

眼下に大きな赤い鬼と白い服を身に包むイケメンの青年、水着みたいな物を身に付けている

桃色のツインテールの少女がいた。それを確認して、

鬼に「あいつらか?」と連れて確認させると、首が千切れんばかりに肯定と振った。

 

「か、帰っても・・・・・いいですかね?」

 

「ん、そうだな。お前も仕事があるし、悪かったな。ここまで連れて来ちゃって」

 

「え、閻魔さまがいる場所はずっとこの先におりますんで!」

 

逃げ去るようにアジ・ダハーカから降りて、去ってしまう鬼。

それを見送った後、俺は三兄弟の前に降り立った。

 

「こうして会うのは初めましてかな?」

 

「・・・・・あ、お前は・・・・・」

 

少女の方が口を開いた。どうやら覚えていてくれたようだ。

 

「俺の名前はイッセー・D・スカーレットだ。よろしく、地獄の三大鬼」

 

朗らかに挨拶すると、白い服を身に包んだ鬼が口を開く。

 

「人間・・・・・いや、キミは人間じゃないね?とても異質な力を感じるよ」

 

「俺自身、ドラゴンだ」

 

「ドラゴン・・・・・なるほど、納得のいく力だよ。

兄さんを倒した四凶を倒したのも頷けれる。僕の名前は絶鬼。

さっきの下っ端の鬼から聞いたようだね?」

 

「この地獄の事とお前たち三兄妹のことをな。親切な鬼だよ」

 

もういない鬼に笑みを浮かべる。

 

「この先にいる閻魔さまに会いたいんだけど、お前たちも知っているか?

地上に戻る方法をさ」

 

「地上に?キミたちは死んでここにいるんじゃ?」

 

「落とされたんだよ。生きたまま」

 

「ああ・・・・・そう言うこと。まあ、知っているけどね。地上に出れる扉の場所も」

 

おっ、それはいいことを聞いた。その扉に案内してもらえば閻魔さまに会わずに済むかも。

 

「だけど、タダで教えるほど鬼は甘くないよ」

 

「・・・・・命を寄こせって言われても、渡さないぞ?」

 

「ふふっ。ここにいる人間は罪人だらけだ。そんな人間から魂を食らっても

不味いに決まっている。

僕が要求するのは―――キミの力を貰うことだよ」

 

刹那、絶鬼の手が鬼の手と成り、五指が伸びる刃と化となって俺に迫る。

 

「どういうことだ?」

 

片手を龍化に、巨大化させて絶鬼の五指を纏めて握りしめた。

それでもあいつは表情を一つも変えない。

 

「僕たちは鬼はねより強い霊力を持つ人間を糧に強くなるんだ。

かと言って霊力じゃなくてもいいんだよね。

そう、キミみたいな強大な力を持つ存在でもいいんだよ」

 

ズドッ!

 

握りしめていた手が貫かれ俺に襲いかかる。

 

「チェックメイトだ」

 

「その言葉、そのまま返してやる」

 

俺の龍化の手を破るほどの威力。ならば、久々にこの鎧を纏おう。―――禁手(バランス・ブレイカー)

 

「なにっ?」

 

黒いオーラが俺から迸り、絶鬼の攻撃を消滅させた。

手を貫いていたものも消滅し、俺は『幻想喰龍之鎧(イリュージョン・イーター・スケイルメイル)』を纏った。

 

「こいよ。消えるけどな?」

 

「それがキミの本気か・・・・・」

 

頭から幾つものの角を生やした。絶鬼から妖力を感じる。

あいつも本気を出そうとしているようだ。

 

「じゃあ、僕も本気を―――――!」

 

「いい加減にしてよ、絶鬼お兄ちゃん!」

 

ドゴンッ!

 

「ぐえっ!」

 

「「「『・・・・・』」」」

 

・・・・・え?絶鬼、ふっ飛ばされたぞ。実の妹に。

 

「もう、さっきから話すタイミングを待っていたのに

絶鬼お兄ちゃんのせいで話せないじゃない!」

 

「い、いや眠鬼?だからって僕を殴り飛ばすのはないじゃないかな・・・・・?」

 

「問答無用!あたしはこいつに借りがあるんだから!」

 

借り・・・・・?俺、借りなんて作ったっけ?小首を傾げていると

眠鬼と呼ばれた少女がこっちに近づいてきた。

 

「あんた、イッセー・D・スカーレットって言うんだね?」

 

「ああ、そうだけど」

 

「・・・・・四凶、倒してくれてありがとう。覇鬼お兄ちゃん、

毎回毎回あいつらに負けちゃうから妹として悔しくてしょうがなかったのよ」

 

「ウ、ウガ・・・・・」

 

あ、覇鬼が初めて喋った。というか、ちょっとショックを受けている?

 

「あんたに感謝の言葉を考える前に、あんたに近づくタイミングも

分からなかったから有耶無耶になって、次の運動会で会えるかもしれないと

思っていたけど・・・・・まさか、こんなに早く会えるとは思いもしなかったわ」

 

「ははは・・・・・地獄に落とされるとは思いもしなかったがな」

 

「地上に戻りたいんでしょ?いいわよ。案内する」

 

「本当か?」

 

「ムカつく四凶を倒してくれたお礼よ。べ、別に大意はないんだからね!」

 

顔を薔薇色に染める眠鬼。所謂―――。

 

「ツンデレだね、眠鬼」

 

「ふんっ!」

 

余計なことを言う絶鬼の顔面に肘で殴った・・・・・。

 

「・・・・・」

 

不意に影ができた。その正体は覇鬼が俺に顔を近づけていたからだ。

 

「えーと、なに?」

 

「ウガ、お前、狐の妖力を感じる」

 

「ああ、玉藻のこと?」

 

「ドラゴンに妖怪・・・・・他に魔の力も感じる」

 

そりゃそうだろう。でも、何が言いたい?

 

「その魔、不安定だ。コントロールできていない」

 

そこを突かれるとはな。

 

「そのままこの先、生き続けるとお前自身が危険だ。なんとかしろ」

 

「なんとかって・・・・・どうすればいいんだよ?」

 

「ウガ、地獄で修行すればいい。あいつらも、そうしている」

 

「あいつら・・・・・?」

 

誰のことだ?そもそも、地獄と地上を行き来できるものか?そう思っていると、

眠鬼が教えてくれた。

 

「あんたと同じ魔を持つ者よ。どうやってだか知らないけど、

地獄の門を開いて入ってくるのよ。とても人間じゃないわね」

 

「―――――」

 

魔人、あいつらのことか!

 

「お前には四凶を倒してくれた借りがある。それを返す。その魔だけ使い、俺と戦え」

 

「コントロールできるまで帰らせないってことかよ?」

 

「ふん、それでもいいなら案内するウガ。だが、妹がしょっちゅう言うお前の力を改めて―――」

 

「ミンキーパーンツッ!」

 

太股を大きく広げて、覇鬼の後頭部に尻で打撃した。な、何て攻撃だよ・・・・・。

 

「い、今の忘れなさい!いいわね!?じゃないとぶっ倒すわよ!」

 

「・・・・・」

 

触れる神もとい触れる鬼になんとやら・・・・・。一先ず頷いて「分かった」と言う。

 

「んじゃ、始めるわよ。大体のやり方はこっそり見ていたから分かっているわ。

せいぜい、不安定な力を完全にコントロールできるまで頑張ることね」

 

そう言われて俺はちょっとカチンと来た。

 

「んじゃ、一日でコントロールできるようになったら、

何でも言う事を聞いてもらうからな。逆にできなかったら何でも言う事を聞いてやる」

 

「へぇ、そんなこと言っていいんだ?あたし、結構我欲が強いわよ?」

 

「上等だ。こっちは地獄より、死ぬ寸前の体験を何度もした修行をしていたんだ。

本場の地獄で修業なんて滅多にないことだ。

思う存分に堪能させながらコントロールできるようにする」

 

「言い切ったわね?ふふっ!久し振りに楽しめそうだわ」

 

眠鬼は新しい玩具を手にした子供のように笑みを浮かべた。

 

「お前、笑うと可愛いんだな」

 

「っ――――!?」

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