ハイスクールD×D×SHUFFLE!   作:ダーク・シリウス

38 / 157
Episode8

四種のトップ会談が行う当日の日となった。俺とイリナ、ゼノヴィア、和樹と龍牙の五人は

会場となる駒王学園の新校舎にある職員会議室に赴く。今日は休日で時間帯は深夜。

すでに各陣営のトップたちは新校舎の休憩室で待機しているらしい。

 

そして、なによりもこの学園全体が強力な結界に囲まれ、誰も中へ入れなくなっていた。

どうやら会談が終わるまで外に出られないようだ。(俺たちは出られるけどな)

結界の外には天使、悪魔と堕天使の軍勢が囲んでいる。ただ、人間が一人もいない。

 

「とある人間の一族・・・・・式森家と兵藤家の者は一人でも十分対処できるんだよ」

 

「和樹、人の心を読まないでくれよ」

 

「顔に出ていたよ」

 

「・・・・・今後の課題だな。それにイリナとヴァーリとトランプをやってた時なんて

一度も勝ったことが無い時期があったな」

 

「ははは、そうだったわね。イッセーくんがババを引いた時とか物凄く

ショックを受けるんだもの。もしかして、今もそうなの?」

 

イリナにそう問われ首を傾げる。どうだろうか、トランプなんてここ数年やっていないから

分からない。

 

「分からないな。明日、やってみるか?」

 

「うん、絶対に買ってやろうね」

 

「あ、トランプなら僕が持ってるよ」

 

「買う手間が省けたなイリナ」

 

と、そんなこんな雑談をしていると新校舎の会議室に到着した。イリナが扉をノックする。

 

「失礼します」

 

イリナが扉を開くと、そこには―――。特別に用意させたという豪華絢爛そうなテーブル。

それを囲むように見知った存在たちが座っていた。

空気は静寂に包まれており、全員真剣な面持ちだった。

 

悪魔側、サーゼクスとシルヴィア、フォーベシイ、レヴィアタン、グレモリー眷属。

天使側、ヤハウェ、ユーストマ、六対十に枚金色の翼を展開している男と白い翼の天使の女。

堕天使側、堕天使の総督アザゼルと『白い龍(バニシング・ドラゴン)』ヴァーリ。

・・・・・そして、人間側、

 

「「「「・・・・・」」」」

 

四人の人間がテーブルを囲む椅子に座っていた。その内の二人は知っている。

和樹の父親と母親、式森和馬と式森七海だ。残りの二人は・・・・・知らない。

厳格な面持ちの顔の中年男性と大和撫子と思わせるほど、着物を身に包む黒髪の女性。

 

「・・・・・っ!?」

 

すると、アザゼルが目を丸くした。

その理由は―――きっと俺の肩に乗っている小さい存在だろうな。

 

「そこの席に座りなさい」

 

サーゼクスの指示を受け、シルヴィアが俺たちを壁側に設置された椅子に促す。

その席にはグレモリー眷属が座っていた。ギャスパー・ヴラディの奴は・・・・・いない?

いや、小猫もいないな。どういうことだ?リアス・グレモリーの隣に座って声を殺して問う。

 

「(ギャスパーと小猫がいないのはどういうことだ?)」

 

「(あの子は時間停止の神器(セイクリッドギア)を使いこなしていないの。

ちょっとした刺激に能力を発動してしまっては―――って、イッセー。

どうして頭を抱えるの?)」

 

マジかよ・・・・・そんな話、聞いていないぞ・・・・・!?くそ、ぬかった!

 

「(小猫一人で護衛が務まるわけがないだろう。相手は数が多いんだ。―――やばいな)」

 

「(え、どういうこと・・・・・?)」

 

「(言ったはずだ、相手はテロリストみたいな奴らだと。

だから、集団で襲ってこないなんてないんだよ。

それなのに神器(セイクリッド・ギア)を使いこなせていないギャスパーと接近戦の小猫が多勢無勢によって

捕まるのがオチだぞ)」

 

「(っ・・・・・!?)」

 

俺もリアス・グレモリーも判断ミスをした。

まさか力を制御できていないなんて思いもしなかった。

成神一成みたいに弱いだけならまだマシだった。

 

「(そんな・・・・・!)」

 

「では、会談を始めよう」

 

フォーベシイのその一言で四種のトップ会談が始まった―――。

 

 

 

会談は順調に進んでいた。

 

「というように我々天使は―――」

 

天使が喋り、

 

「そうだね、その方が良いかもしれない。このままでは確実に三勢力とも滅びの道を―――」

 

レヴィアタンも発言して、

 

「ま、俺らは特にこだわる必要もないけどな」

 

偶にアザゼルの一言でこの場が凍りつく事もあった。

俺はこの堕天使の総督が、わざとその空気を作って楽しんでいるように見える。

 

「私たちも異論はないですよ。平和に過ごせればそれでいいんで」

 

式森和馬が笑みを浮かべながら言葉を発する。

 

「・・・・・」

 

厳格な面持ちの中年男性は何も言わず、ただ静かに・・・・・俺を見詰めてくる。

さっきから見詰められて物凄く居心地が悪いんだけど・・・・・。

 

「(和樹、さっきから俺を見るあの人は誰なんだ?)」

 

隣に座っている和樹に声を殺して問う。和樹も緊張した面持ちで俺の耳に語りかけてくる。

 

「(現兵藤家の当主、兵藤源氏。隣にいる人は当主の妻、兵藤羅輝だよ)」

 

「(・・・・・兵藤家当主と妻)」

 

「(キミのこと、どうやら気付いているようだね。会ったことは?)」

 

無いと首を横に振る。当主なんて上の人と出会ったことすらない。一度もだ。殆ど修行とイジメ、

二人の幼馴染と一緒にいたからな。

 

「さて、そろそろ先日の事件について私と神王ユーストマが依頼した彼、兵藤一誠くんと

教会から派遣した二人の聖剣使い、イリナとゼノヴィアから話してもらおうかな」

 

フォーベシイが俺と二人に視線を送ってくる。俺たち三人は立ち上がり、

この間のコカビエル戦での一部始終を話し始めた。これに聞き入る四種のトップの面々。

俺たちの報告を受ける各陣営トップは溜息を吐く者、顔を顰める者、笑う者、

無表情の者―――と反応はここに違った。

 

「―――以上が、自分、兵藤一誠が関与した事件の報告です」

 

「私、紫藤イリナも彼の報告に偽りないことを証言します」

 

「同じく私、ゼノヴィアも同意見でございます」

 

「報告御苦労、座ってくれたまえ」

 

「ありがとう」

 

フォーベシイに促され、レヴィアタンに感謝される。

 

「さて、アザゼル。この報告を受けて、堕天使総督の意見を聞きたい」

 

サーゼクスの問いに全員の視線がアザゼルへ集中するが、アザゼルは不敵の笑みを浮かべて

話し始めた。

 

「先日の事件は我が堕天使中枢組織『神の子を見張る者(グリゴリ)』の幹部コカビエルが、

他の幹部及び総督の俺に黙って、単独行動を起こしたものだ。兵藤一誠があいつを倒し、

『白龍皇』が引き取ったその後、組織の軍事法会議でコカビエルの処刑は執行された。

地獄の最下層(コキュートス)』で、永久冷凍の刑だ。もう出てこられぇよ。

その辺りの説明はこの間転送した資料に全て書いてあっただろう?それが全部だ」

 

天使が嘆息しながら言う。

 

「説明としては最低の部類ですが、あなた個人が我々と大きな事を起こしたくないという話は

知っています。それに関しては本当なのでしょう?」

 

「ああ、俺は、戦争に興味なんて無いさ」

 

今度はサーゼクスがアザゼルに問う。

 

「アザゼル一つ訊きたいのだが、どうしてここ数十年、神器(セイクリッド・ギア)の所有者を

かき集めている?最初は人間たちを集めて戦力増強を図っているのかと思っていた。

天界か我々に戦争をけしかけるのではないかとも予想していたのだが・・・・・」

 

「そう、何時まで経っても貴方は戦争しかけてはこなかった。『白い龍(バニシング・ドラゴン)』を

手に入れたと聞いた時には、強い警戒心を抱いた物です」

 

二人の意見にアザゼルは苦笑いする

 

神器(セイクリッド・ギア)の研究の為さ、なんなら、一部研究資料もお前達に送ろうか?

って、研究していたとしても、それで戦争何ざしかけねぇよ。俺は今の世界に

十分満足している。部下に『人間界の政治まで手を出すな』と強く言い渡している

ぐらいだぜ?宗教にも介入するつもりはねぇし、悪魔の業界にも影響を

及ぼせるつもりもねぇ。―――ったく、俺の信用はこんなかじゃ最低なのかよ」

 

「「それはそうだ」」

 

「「そうですね」」

 

「「その通り」」

 

「ははは・・・・・」

 

と一部苦笑を浮かべる者意外の意見が一致した。あいつどんだけ信用されていないんだよ?

アザゼルは面白くなさそうに耳をかっぽじった。

 

「チッ!四種交流を果たしてもお前らは面倒くさい奴らだ。

こそこそ研究するのもこれ以上性に合わねぇか。あー、分かったよ。

―――なら、和平を結ぼうぜ。もともとそのつもりもあったんだろう?」

 

・・・・・これで三勢力は和平を結んだのか?グレモリーたちの方を見ると・・・・・

驚愕の色を染めていた。アザゼルの平和発言がそんなに驚くものだったのか?

 

 

「ええ。私も悪魔側と『神の子を見張る者(グリゴリ)』に和平を持ちかける予定でした。

このままこれ以上、三すくみの関係を続けていても、今の世界の害となる。

いくら天使、堕天使、悪魔、そして人間と交流を果たしても小競り合いはなくなりませんですし、

本格的に和平を結ぼうかと思っていました」

 

ヤハウェの言葉に続いてサーゼクスが言う。

 

「四種の種族の交流と象徴するこの学校、町を暮らしている一般の四種の種族の間でも

小競り合いや問題が生じている」

 

「ああ、この町は良い町だな。たまに俺も来ているぜ」

 

笑みを浮かべるアザゼル。堕天使の総督も来ているんだな。

 

「それに次の戦争をすれば俺たち、悪魔・天使・堕天使は今度こそ共倒れだ。そして、

人間界にも影響を大きく及ぼし、世界は終わる。俺たちはもう戦争をもう起こせない」

 

それを決定打にしたのは兵藤家と式森家・・・・・というわけだ。

 

「―――と、こんな所だろうか?」

サーゼクスの一言で、トップたちは大きく息を吐いていた。一通りの重要話が終わった

ようだな。シルヴィアがお茶の給仕をしている中、ミカエルが成神と俺の方に視線を向ける。

 

「さて、話し合いもだいぶ良い方向へ片付いてきました。そろそろ赤龍帝殿のお話を聞いても

よろしいかな。それと、彼から色々と聞きたいこともあります」

 

「俺の場合。赤龍帝なんかの話より、どうしてオーフィスがここにいるのかよっぽどの重要だ」

 

俺の膝に座るオーフィスに怪訝な顔で向けてくるアザゼル。

成神一成はアーシア・アルジェントに顔を向けて口を開いた。

 

「アーシア。アーシアのことをミカエルさんに訊いても良いかな?」

 

「イッセーさんがお聞きしたいのでしたら、構いません。私はイッセーさんを

信じてますから」

 

最初は驚いた様子だが、承知して微笑みながら許したアーシア・アルジェント。

成神一誠はそんな彼女に感謝の言葉を言い、金髪の男性、ミカエルに顔を向けて口を開く。

 

「アーシアをどうして追放したんですか?」

 

・・・・・なんでいまその話を?成神はなにを聞きだしたい?ユーストマとヤハウェ、

ミカエルは互いの顔を見合わせて首を縦に振った。そして、ヤハウェが言いだす。

 

「それに関しては申し訳ないとしか言えません。

私が作った加護と慈悲と奇跡を司る『システム』。

これを用いて地上に奇跡をもたらしていました。悪魔祓い、十字架などの聖具へもたらす効果、

これらの『システム』を動かすためにも苦渋の決断と判断し、追放したのです」

 

なるほど、悪魔が十字架に触れるとダメージ受けるのも『システム』の影響なのか。

 

「どうして、その『システム』のためにアーシアが追放されないといけないのですか?」

 

「『システム』は万能なものではないのです。

そのため、『システム』に影響を及ぼす可能性のあるものを教会に関するところから

遠ざける必要があったのです。影響を及ぼすものの例としては、

一部の神器(セイクリッド・ギア)―――これは

アーシア・アルジェントの持つ『聖母の微笑み(トワイライト・ヒーリング)』も含まれます。

あなたの『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』、そして、『白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)』なども」

 

「アーシアの神器(セイクリッド・ギア)がダメなのは、悪魔や堕天使も回復できるからですか?」

 

成神一成の問いにミカエルが頷く。

 

「はい。信徒のなかに『悪魔と堕天使を回復できる神器(セイクリッド・ギア)』を持つ者がいれば、

周囲の信仰に影響が出ます。信者の信仰は我らが天界に住む者の源。そのため、

聖母の微笑み(トワイライト・ヒーリング)』は『システム』に影響を及ぼす禁止神器(セイクリッド・ギア)としています」

 

「ですので、信仰の障害となる者をどうしても『システム』に影響を与えないためにも

教会から追放せなばならなかった。―――申し訳ありません。アーシア・アルジェント、

あなたを異端とするしかなかった。」

 

ヤハウェがアーシアへ頭を下げる。とうの彼女も目を丸くしていた。

天界のトップのヤハウェが自分たちに頭を下げるなんて反応は困るのも当然か。

しかし、アーシア・アルジェントは直ぐに首を横に振り、微笑む。

 

「いえ、謝らないでください。これでもこの歳になるまで教会に育てられた身です。

悪魔に転生しても私はいま幸せを感じております。大切なヒトたちがたくさんできましたから。

それに憧れのヤハウェさまやミカエルさまユーストマさまにお会いして光栄です」

 

天使側の三人はアーシア・アルジェントの言葉に安堵の表情を見せていた。

 

「すみません。あなたの寛大な心に感謝します」

 

「ありがとうございます」

 

「ありがとうな、嬢ちゃん」

 

神と神王、天使長に感謝され、またアーシア・アルジェントが恐縮と両手と首を振って応対した。

 

「―――話は終わったか?」

 

アザゼルがタイミングを見計らって俺を見て呟いた。

 

「話が終わったんなら今度は俺の番だ。オーフィス答えてもらおうか」

 

問い詰める感じでアザゼルは真っ直ぐオーフィスを見据える。

オーフィスは何時も通り無表情でいる。

 

「俺たち『神の子を見張る者(グリゴリ)』はお前が

とある組織のトップとして君臨していることを知っている。

―――なのに、どうしてお前がここにいるんだ」

 

アザゼルが視線に敵意乗せてオーフィスに問い詰めるように話しかける。とある組織?

ああ・・・・・アザゼルも掴んでいたのか。オーフィスがいた変な集団のことを。

 

「我、抜けた。約束を守るために」

 

「―――抜けただと?」

 

怪訝な表情でアザゼルはオーフィスを見る。オーフィスはコクリと頷いて俺の顔を見上げる。

 

「誠と一香と約束した。我、イッセーと家族になる約束を守るため抜けた」

 

「・・・・・」

 

俺の顔を見詰めてくるアザゼル。サーゼクスもミカエルもセラフォルーも俺の顔を

見詰めてくる。・・・・・なんだよ。

 

「・・・・・それは本当なんだな?」

 

「我はイッセーの家族になる。これ、昔の約束。我、ずっと待っていた。

その約束を果たせて嬉しい」

 

俺と対面になるように身体を動かして俺の瞳を据えてくるオーフィス。頭を撫でると

目を細めて気持ちよさそうな表情になる。

 

「・・・・・まったく、お前ら親子にはお手上げだ。お前らの行動は予想外なことが

起きたり起こしたりする」

 

嘆息するアザゼルだが、顔をアーシア・アルジェントを見詰め出した。

 

「俺のところの部下が、そこの娘を騙して殺したらしいな。その報告も受けている」

 

ん?あいつは殺されて悪魔に転生したのか・・・・・。

 

「そう、アーシアは一度死んだ。お、俺も堕天使に殺されかけたけど、

それ以上にアーシアだ!あんたの知らないところで起きたことかもしれないが、

あんたに憧れていた堕天使の女があんたのために、アーシアを一度殺したんだ」

 

「落ち着きなさい」

 

リアス・グレモリーが成神一成に諌める。

 

「俺たち堕天使は、害悪になるかもしれない神器(セイクリッド・ギア)所有者を始末しているのは確かだ。

組織としては当然だろう?将来、外敵になるかも知れないものを事前に察知できれば

始末したくなる。それでお前は死んだ。理由は何の才能もない人間のお前では赤龍帝の力を

使いこなすことができずに暴走させて俺たちや世界へ悪影響を与えかねないからだ」

 

「おかげで俺は悪魔だ」

 

「嫌か?少なくとも周囲の者たちはお前が悪魔になったことを喜んでいると思うぜ」

 

俺としては悪魔が嫌いだ。だから、死んでも悪魔に転生させられたら俺はもう一度死んでやる。

 

『その時は俺が喰らってやるぜ』

 

了解、頼むぞ。

 

「い、嫌じゃない!皆がいいヒトで、優遇してもらっているのも分かる。けど!」

 

「今さら俺が謝ってもあとの祭りだ。

だから、俺は俺しかできないことでお前たちを満足させようと思う」

 

なんだ・・・・・アザゼル、お前は何をしようとするんだ?

 

「さて、そろそろ俺たち以外に、世界に影響及ぼしそうな奴らへ意見を訊こうか。

無敵のドラゴンさまにな。まずはヴァーリ、お前は世界をどうしたい?」

 

アザゼルの問いかけにヴァーリは俺を見て笑む。

 

「私は強い奴と戦えればいいさ。特に彼、一誠とね。

―――愛しい男と戦えると思うとゾクゾクする」

 

うわ・・・・・。ヴァーリの奴、瞳がギラギラと怪しく煌めいて輝いているよ。

 

「じゃあ、赤龍帝、おまえはどうだ?」

 

アザゼルの視線は成神一成に向いた。こいつのことだ・・・・・きっとアレかもしれないや。

 

「えっ、えーと、いきなりそんな小難しい話しを振られても・・・・・」

 

「では怖ろしいほど噛み砕いて説明してやろう。俺らが戦争したら、

リアス・グレモリーを抱けないぞ?」

 

「・・・・・え」

 

「なっ・・・・」

 

・・・・・何言ってんの?この堕天使は、成神一成もリアス・グレモリーも唖然となっているし。

 

「だが、和平を結べばその後大事になるのは種の存続と繁栄だ」

 

「種と・・・・・繁栄!?」

 

いやらしい顔つきになった赤龍帝・・・・・こいつら、殺していいかな。

 

「おおよ。毎日リアス・グレモリーと子作りに励むことができるかもしれない」

 

「な、何てことを・・・・・っ!」

 

アザゼルの発言にリアス・グレモリーは頬を朱に染めて非難する。

シルヴィアも呆れたとばかり、溜息を吐いた。

 

「―――――アザゼル、訂正してもらおうか」

 

「あ?訂正だと?」

 

サーゼクスがいきなりそう言いだした。あ、何かやな予感・・・・・。

 

「リアスは兵藤一誠くんと婚約を結んでいる。悪いが赤龍帝と

子作りは兄として許すことができない」

 

「なっ―――――」

 

今度こそ、リアス・グレモリーの顔が最大に真っ赤になった。

 

「・・・・・」

 

さらに、兵藤源氏が俺を鋭く睨んできた!な、なんで!?

 

「(か、和樹・・・・・・!)」

 

「(ごめん、僕でもどうすることもできないよ)」

 

申し訳なさそうに言わないでくれ!あの人、めっちゃ俺を睨んでいるって!

 

「おいおい、サーゼクス。俺んとこのシアだって一誠殿と婚約を結んでいるんだぜ?

忘れちゃあ困るってもんよ」

 

「やだね神ちゃん。家のネリネちゃんとリコリスちゃんも一誠ちゃんの婚約者だよ?」

 

「(―――あんたら、火に油を注ぐようなことをしないでくれよ!?)」

 

もう、冷や汗がダラダラ流れてしょうがないって!

 

「へぇ・・・モテモテなんだね。兵藤一誠くん♪」

 

「・・・・・あんた、面白がっているだろう」

 

「うふふ♪ルシファーたちにも教えよっと♪」

 

クスクスと可愛く笑うレヴィアタン。

くそ、他人事だからってこんなことが遭っていいのか・・・!?

 

「ミカエル、天界の未来は安泰のようですね」

 

「そうですね、ヤハウェさま」

 

「ちょっと待とうか、そこの二人。俺とシアと結ばれてほしいのか?」

 

「「ええ、是非」」

 

・・・・・マジかよ。ガクリと頭を垂らした時―――変な感覚が襲ってくる。

―――体の機能が一瞬停止する。

 

―――○●○―――

 

「あー、結局こうなるのか」

 

頭をポリポリと掻く俺。職員会議実の室内は少しだけ変わっていた。

動ける者と停まっている者に別れている。

当然、ヴァーリは動ける方だ。俺と和樹、龍牙、イリナとゼノヴィアも当然として、

グレモリー眷属のアーシア・アルジェントと姫島朱乃が停まっており、

ソーナ・シトリーと眼鏡を掛けている女子生徒も停まっている。ついでに天使の女もだ。

 

「で、アザゼル。どうなってる?」

 

「はっ、簡単だ。―――テロだよ。外見てみろ?」

 

アザゼルが顎で窓の方を示す。俺は会議室のガラス窓に近づき―――。カッ!突然、

閃光が眼前で広がる。同時にこの新校舎が揺れる。

 

「何時の時代も勢力と和平が結ぼうとすると、

それをどこぞの集まりが嫌がって邪魔をしようとするもんだ。さて、兵藤一誠」

 

「なんだ?」

 

「『結局こうなるのか』とお前は言ったな?お前、こんなことになることを知っていたな?」

 

『っ!?』

 

アザゼルの問いかけに動ける者たちが目を見開いて、視線を俺に向ける。

 

「ああ、知っていた」

 

当然とばかり告げた。すると、サーゼクスが口を開いた。

 

「なるほど・・・だからリアスの眷属であるギャスパーくんを護衛に当たらせるべきだと

警告したんだね?」

 

「そういうことだ。でも、俺とリアス・グレモリーはミスをした。

俺の場合、ギャスパー・ヴラディが神器(セイクリッド・ギア)を使いこなせないなんて思いもしなかった。

そしてリアス・グレモリーは警告したにも拘わらず、護衛を一人だけにしてしまったことだ」

 

「・・・・・」

 

申し訳なさそうにリアス・グレモリーは顔を曇らせる。まあ、俺もミスしたんだ。お互い様だぞ。

 

「一誠殿、どうしてそのことを俺たちに教えてくれなかった?」

 

「そうだね。事前に告げてくれたら対処できたよ」

 

ユーストマとフォーベシイが厳しい目つきで俺に問いかけてくる。はいはい、説明するって。

 

「言ったら言ったで、思いっきり厳重な警備にするだろう?そしたら、

襲撃してくる奴らが自分たちの作戦に気付いていると判断して、作戦を変えてくるかもしれない。

こっちも対処することが難しくなるってことだよ」

 

「それで、この襲撃の黒幕は誰なのか知っているんだね?」

 

「知っているけど、俺もそうだがアザゼルも知ってるんじゃないか?」

 

レヴィアタンの質問に俺はアザゼルに視線を向けた。当のアザゼルは肩を竦める。

 

「俺はこのテロの組織の名前と背景ぐらいだよ。

つい最近だが、それ以前からうちの副総督シェムハザが不審な行為をする集団に

目を付けていたのさ。そいつらは三大勢力の危険分子を集めているそうだ。

なかには禁手(バランス・ブレイカー)に至った神器(セイクリッド・ギア)持ちの人間も

含まれている。『神滅具(ロンギヌス)』持ちも数人確認してるぜ」

 

「その者たちの目的は?」

 

ミカエルがそう訊く。アザゼルは溜息を一つ吐いて口を開く。

 

「破壊と混乱。単純だろう?この世界の平和が気にいらないのさ。―――テロリストだ。

しかも最大級に性質が悪い」

 

ああ、だが、それは昔の話しだがな。

 

「組織の頭は『赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)』と『白い龍(バニシング・ドラゴン)』の他に強大で

凶悪なドラゴン。お前のことだ。『禍の団(カオス・ブリゲード)』のトップに君臨しているオーフィス」

 

『―――ッ!』

 

アザゼルの告白に俺とオーフィス、イリナとゼノヴィア以外の全員が絶句していた。

 

「テロリストの親玉が堂々とこの会談に参加しているんだ。最大限に警戒して何の目的で

この場にいるのかと思えば・・・・・あいつらとの約束を果たすためにテロリストから抜けて

あいつらの子供の家族として一緒に来た。・・・・・と聞いて心底呆れたぞ。

今度はお前さんの番だ兵藤一誠。知っていることを全て話してもらうぜ?」

 

「はいはい、分かってるよ。んじゃ、簡単に説明する。外にいるのは魔術師たちだが、

今回の襲撃の黒幕は―――魔王レヴィアタンと関係している奴だ」

 

「・・・・・え?」

 

私・・・・・?と信じられないと呟く彼女に肯定と示して頷く。

 

「アザゼルが言ったテロリストの組織、禍の団(カオス・ブリゲード)に危険分子が三つも分かれている」

 

「その三つとはなにかね?」

 

「一つ、戦争が中途半端に終わってしまった事に不満を抱く悪魔たちの集まり、

その集団の名は『真魔王派』、

二つ、英雄の魂を引き継ぐ者、英雄の末裔、英雄の子孫ばかりの人間の上に

神器(セイクリッド・ギア)神滅具(ロンギヌス)の所有者ばかりの集団、『英雄派』。

そして、最後の一つは―――」

 

真っ直ぐ視線をあいつに向ける。―――すでにあいつは青い翼を展開している。

 

「『ヴァーリチーム』。チームには先代孫悟空の力を受け継いだ猿の妖怪の美猴、

SSランクのはぐれ悪魔、元猫魈の妖怪の黒歌、

英雄アーサー・ペンドラゴンの子孫、アーサー・ペンドラゴンとルフェイ・ペンドラゴン。

それらを束ねるチームリーダは・・・・・お前だよな、ヴァーリ」

 

苦笑を浮かべて白龍皇ヴァーリにそう言った。あいつは、ヴァーリは笑みを浮かべて口を開いた。

 

「ああ、そうだよ。一誠」

 

『―――っ!?』

 

動ける者たちは目を丸くして臨戦態勢になった瞬間。俺の耳に聞き慣れない声が飛び込んでくる。

 

『見つけましたよ。オーフィス』

 

カッ!声と同時に会議実の床に魔方陣が浮かび上がる。これは・・・・この魔方陣は―――!?

 

「そうか。そう来るわけか!今回の黒幕は―――」

 

舌打ちするサーゼクス。あいつも魔方陣を見て誰が来るのか理解した様子だ。

会議室の床に現れた魔方陣。それを見て、トップの面々は驚愕していた。アザゼルは笑い、

サーゼクスは苦虫を噛み潰したような表情をしていた。

 

「・・・・・レヴィアタンの魔方陣」

 

ポツリとレヴィアタンが呟く。魔方陣から現れたのは、一人の女性。胸元が大きく開いていて、

深いスリットも入ったドレスに身を包んでいる。

 

「ごきげんよう、現魔王のフォーベシイ殿」

 

不敵な物言いで、女はフォーベシイに挨拶をする。

 

「先代レヴィアタンの血を引く者。カテレア・レヴィアタン。これはどういうことだ?」

 

「真魔王派の者たちはほとんどが『禍の団(カオス・ブリゲード)』に協力することに決めました」

 

今回の襲撃の首謀者、カテレア・レヴィアタンの登場だ。

 

「魔王の兄弟姉妹の確執が本格的になったわけか。悪魔も大変だな」

 

「本当だな。問題を解決しないままで放置していたからこんな事に成ったんだろう」

 

俺とアザゼルは他人事のように笑うだけだ。

 

「カテレア、それは言葉通りと受け取っていいのだな?」

 

「サーゼクス、その通りです。今回のこの攻撃も我々が受け持っております」

 

「―――クーデターか」

 

だな、これはクーデターに間違いない。現魔王派に対する真魔王派の反乱だ。

 

「・・・・・カテレア、なぜ?なぜこんなことを・・・・・」

 

体を震わせてレヴィアタンが漏らす。

 

「リヴァ、あなたの考えは真の魔王ではないの。なぜ、他の勢力と交流する必要があるの?

なぜ、他の勢力と和平を結ぼうとするの?

―――悪魔は、私たち悪魔はそんな弱い存在ではないハズ!」

 

リヴァ・・・?レヴィアタンの別の名なのか・・・・・?怪訝に思っていると、

コツコツと俺=オーフィスに近づくカテレア・レヴィアタン。

 

「オーフィス。あなたの願いを叶えるために我々が集結したのです。そのためにも我々に力を

与えてもらえねばグレートレッドを次元の狭間から追いだすことはできません」

 

「我の願いは叶った。あの場所には戻らない」

 

「何を言っているのです?まだ何もしていないというのにどうして願いは叶ったと言うのですか」

 

眉根を寄せて理解できないとカテレア・レヴィアタンが尋ねた。

オーフィスは首を横に振り言った。

 

「我の願い、イッセーと家族になること。次元の狭間で静寂を得る、この願いよりも大切」

 

「イッセー・・・・・?」

 

彼女は俺の顔を見据えた。その瞬間、目が丸くなった。

 

「お前は・・・・・ヴァーリの仲間の・・・・・」

 

「あー、訂正させてもらうぞ。俺はヴァーリの仲間じゃない。

オーフィスに拉致られて仕方無くあの場にいただけだ」

 

「なっ・・・・・!?」

 

「―――さてと、現れて早々だけど拘束させてもらうぜ?」

 

シュバッ!

 

カテレア・レヴィアタンの全身に縄で縛った。

ライザー・フェニックスの眷属悪魔、ユーベルーナと同じ縛り方、亀甲縛りだ。

 

「くくく、良い眺めだなぁ?」

 

「お、おのれ・・・・・こんなもの―――!」

 

「よっと」

 

縄を引っ張れば、カテレア・レヴィアタンの全身に巻きつく縄が痛感を与える。

 

「うっ・・・・・!」

 

「ふふふふふ・・・・・悪魔の歪む顔は見ていて飽きないなぁー♪」

 

ほれほれ、と至るところに縛った縄を引っ張って、

痛覚を感じるカテレア・レヴィアタンの顔を見て楽しむ。

 

「・・・・・あんな可愛かったあの子が、怖い子になっちゃっているよ・・・・・」

 

「悪魔を虐めることが愉しんでいますね・・・・・」

 

「あの二人を殺された悪魔と堕天使に抱く心が、あいつをああまで変えてしまったようだな」

 

「い、一誠くん・・・・・」

 

後ろで何か言ってるな・・・・・まあ、いいか。

 

「ほら、これで終わりっと」

 

グイッ!

 

「あっ、あああああああああああああああああああああああああああ!」

 

カテレア・レヴィアタンが目を大きく開いて、口から大声を発した。

目から涙を流し、いやいやと首を横に振る。

 

「やだ、やだ!これ以上止めて・・・!堕ちちゃう、クルゼレイじゃない人間の男に堕ちちゃぅ!」

 

「―――いいぜ、堕ちろよ。この淫乱の雌豚が」

 

「ひっ、やだ、ほ、本当に、やだ、い、イク、私、イックゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!」

 

下半身から盛大に液体を迸らせて鳴き叫ぶカテレア・レヴィアタン。

ガクガクと縛られた体が痙攣を起こして―――気絶した。そんな彼女を見下ろして頷く。

 

「うん、朱乃と考えた調教の仕方がここまで効くとは凄いな」

 

一仕事終えたとばかり、額に腕で拭う。

 

「・・・・・あれ、どうして俺から遠ざかってんだ?」

 

気付けば、サーゼクスたちが窓際に集まっていた。まるで何かに恐れているようで、

体を激しく震わせていた。

 

「い、一誠くん・・・・・少し、やり過ぎじゃないかな。敵とはいえ相手は女性だよ?」

 

式森和馬が引き攣った顔で俺に言う。そうか?

 

「悪魔と堕天使限定なんで問題ないよ。例え、男でも女でもこんな感じで・・・・・ね」

 

「お、俺までもそうなっちまうのかよ・・・・・・」

 

アザゼルが顔を青ざめる。お前の言動によってだがな。

 

「さてと、表の魔術師たちを片付けるとしようか」

 

スタスタと壁に向かって歩き、蹴り壊した。軽やかに外へ出て地面に着地する。

 

「―――さあ、宴の始まりだ」

 

カッ!

 

「こんなに相手がいるんだ。お前も遊びたいだろう?―――行って来い」

 

銀色に輝く魔方陣、その魔方陣が一瞬の閃光を放つ!

 

ギェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!

 

光と共に三本の首を持つ四肢のドラゴンが現れる。全身が濁った銀色を輝かせて久々の現世と、

歓喜で盛大に咆哮をする三頭龍の名前は―――。

 

 

千の魔法を駆使するドラゴン。『魔源の禁龍(ディアボリズム・サウザンド・ドラゴン)』アジ・ダハーカ

 

―――○●○―――

 

『ふははは!久々の現世!貴様ら、一人残らず喰らってやる!』

 

哄笑を上げながらあいつは学校に現れる魔術師たちに襲う。あー、もう一方的な虐殺だな。

 

「―――で、お前は俺と戦うんだろう?ヴァーリ」

 

空に見上げれば、白い全身鎧を纏う俺の幼馴染がいた。

 

「ああ、勿論だよ一誠。ふふっ、まさか・・・邪龍まで抱えていただなんて私は驚いたよ。

他にもドラゴンがいるのかな?」

 

「ああ、俺の中に数匹、ドラゴンを宿している」

 

「―――ハハハ!凄いや、一誠!やっぱり、すごい!」

 

両腕を広げて笑い始めるヴァーリ。

 

「やっぱりキミは私にとって越えられない存在だ。

だからこそ、それを乗り越えて私は強くなりたい!さあ、一誠。

あの深紅の鎧をもう一度見せてくれ!白龍皇である私はどこまでキミに届くのか試したい!」

 

青い翼を最大に広げて臨戦態勢に入る幼馴染。・・・・・だとよ、ガイア?

 

『お前の幼馴染とやらは、熱烈な求愛をするものだな。物凄く、腹立たしいぞ』

 

そう言うなって。―――俺たちの愛の力をヴァーリに見せると思って力を貸してくれ。

 

『ふふ・・・・・愛の力か。―――いいだろう。いくぞ、一誠!』

 

 

カッ!

 

突然の真紅の光。真紅の光は俺の全身から発したのだった。

 

『我、夢幻を司る真龍なり』

 

内にガイアから声が聞こえた。その声に続くように俺も発する。

 

「我、夢幻を司る真龍に認められし者」

 

『我は認めし者と共に生き』

 

「我は真龍と共に歩み」

 

「『我らの道に阻むものは夢幻の悠久に誘おう』」

 

真なる深紅龍神帝(アポカリュプス・クリムゾン・ドライブ)ッ!!!!!

 

最後は力強く言葉を発した次の瞬間。深紅の光が、より一層に輝きを増した。

深紅の光は鎧と化と成り、俺の全身を包む。

 

「さあ―――戦おうか、白龍皇!」

 

「ああ―――戦おう、一誠!」

 

背中に深紅の翼を生やしてヴァーリに接近する。

 

「「はぁっ!」」

 

お互い手の平から魔力を具現化させて撃ち合う。

俺たちの魔力の塊がぶつかり合うと爆発が生じる。

それでも俺たちは気にせず、次々と魔力を放って攻撃する。しばらく魔力合戦をしていると、

ヴァーリがこっちに光速で近づいてきた。

 

「ヴァーリ、尻尾でも攻撃できるんだけど知ってたか?」

 

深紅の尾が一気に巨木のように膨れ上がり、ヴァーリを薙ぎ払った。

 

『Divide!』

 

「ん?」

 

いきなり俺の力が半分に減った。どうなってる?

 

「ははは・・・飾りだと思っていたのが攻撃にも使えるんだね。教えてくれてありがとう。

代わりに白龍皇の能力を教えるよ」

 

粉砕したと思っていたヴァーリの鎧が修復していく光景をマスク越しで見て、

ヴァーリの話しを聞く。

 

「『白龍皇の鎧《ディバイ・ディバイディング・スケイルメイル》』の能力は触れた相手の力を半減し、その力を私の糧とする。それが白龍皇の力だよ」

 

「説明ありがとう。なら、半減した力を倍にして増やそうか」

 

左籠手を違う籠手に変え、装着し、能力を発動する。

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!』

 

「―――そうだ、その能力を奪おうとしよう。その能力はとても便利そうだからな」

 

「なに・・・・・?」

 

半減された力を元に戻した上に何倍にも増加して、ヴァーリに接近した。

 

ガシッ!

 

「貰うぞ、お前の能力を!―――『強奪』!」

 

Seizure(シィージャ)!』

 

―――バッ!

 

俺の背中にヴァーリと同じ青い翼が展開した。

 

「っ!私の『白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)』が奪われただと!?」

 

「正確には能力をコピーした。だから、お前の白龍皇の能力を―――」

 

『Divide!』

 

「使えるわけだ」

 

「な・・・・・っ!」

 

「はっ!」

 

思い切りヴァーリの腹を抉るように突き刺した。一拍して、

 

―――ドッゴオオオオオオオオオンッ!

 

グラウンドに向かってあいつは落ちた。俺も下に降りて様子を見守と、

 

「・・・・・はははっ」

 

笑い声が聞こえた。

 

「一誠の拳は効くなぁ・・・・・それに私と同じ能力を使えるなんて、アザゼルが驚くよ」

 

「どうでもいいな」

 

右手に幻想殺しの籠手(イマジンブレイカー)を装着して構える。足に力を籠めて

一気にヴァーリに向かったら、あいつは無限に等しい魔弾を放って来る。

 

Invalid!(インバリッド)

 

右手の籠手を前に突きだして能力を発動するとヴァーリの魔弾を全て消失した。

そのままヴァーリの腹部に突き刺すと『白龍皇の鎧(ディバイン・ディバイング・スケイルメイル)』が

一瞬で消えて生身のヴァーリが俺の視界に飛び込んで俺の拳は生身の身体の腹部に直撃した。

 

「ごはっ!?」

 

口から鮮血を吐きだす。拳を引くと身体を曲げて後ろに数歩下がり口の端から

血を流しながらヴァーリは楽しそうに笑う。

 

「ハハハ、スゴイな!流石は新種の神滅具(ロンギヌス)!俺の神器(セイクリッド・ギア)を消した!」

 

「まあ、それだけじゃないんだけどな」

 

白い鎧を再び纏うヴァーリに詰め寄る。しかし、ヴァーリは俺の右手に触れられないように

翼を羽ばたかせて空へ飛翔して俺から遠ざかった。

 

「しかし、無効化はその右手に触れないと発動できないようだな!

その右手で触れられなければあらゆる力を―――」

 

Invalid!(インバリッド)

 

パキィィィィンッ!

 

「―――はっ?」

 

空中に浮かぶヴァーリの鎧が音声と共に消失した。

俺は不敵の笑みを浮かべてヴァーリに説明する。

 

「その考えは外れだ、ヴァーリ。何も触れないと効果が発動しない訳じゃないんだ。

相手を無効化にする方法なんて他にもある。例えば触れた相手が力を使う度に

無効化の効果が発動したり」

 

校庭に着地したヴァーリの傍に一瞬で近づき腕を掴む。あいつは俺の顔に

手を突き出して魔力を放とうとするが。

 

「っ!魔力が出ない・・・・・!?」

 

「この籠手に掴まれた対象は力を使うことができなくなる」

 

「・・・・・おもしろい。本当に面白い・・・・・それでこそ私が好意を抱く男だよ」

 

「・・・・・追い詰められているのにも拘らずこの状況を楽しむとか戦闘狂の

名に恥じない奴だな・・・・・」

 

深く溜息を吐く。右手に真紅のオーラを纏ってヴァーリにトドメとばかりの一撃を放とうと

したとき―――。夜空に浮かぶ月をバックに人影が一つ、俺のもとへ舞い降りた。

神速で俺とヴァーリの間に入り込んでくる。・・・・・三国志の武将がきているような

鎧を身に纏った男だ。―――って、こいつは、美猴じゃん!

 

「ヴァーリ、迎えに来たぜぃ」

 

爽やかに美猴は気軽にヴァーリへ話しかける。

 

「美猴か。何をしに来た?」

 

ヴァーリは口元の血を拭いながら美猴に問いかけた。心外とばかりに美猴は呆れた顔をする。

 

「それは酷いんだぜい?相方がピンチだっつーから遠路はるばるこの島国まで来て

やったのによぅ?他の奴等が本部で騒いでいるぜぃ?北の田舎神族と一戦交えるから任務に

失敗したのなら、さっさと逃げ帰って来いってよ?

カテレアは神と堕天使の総督と魔王たちの暗殺に失敗したんだろう?

なら観察役のお前の役目も終わりだ。俺っちと一緒に帰ろうや」

 

「・・・・・そうか、もう時間か」

 

「なんだ、帰るのか?」

 

鎧を解いてヴァーリに問う。彼女は頷く。

 

「ああ、残念ながらな。なんなら一誠も来るか?」

 

その誘いに俺は苦笑して首を横に振る。

 

「いや、俺はお前の帰る場所で待っているよ。

いつか、組織から抜け出したお前を出迎えるためにさ」

 

「一誠・・・・・」

 

「また会おう、ヴァーリ」

 

別れの挨拶をすませ、アジ・ダハーカのところにでも行こうかと、思って足を運ぼうとした。

だが、ヴァーリに呼ばれ、振り向くと―――、

 

「「・・・・・」」

 

俺はヴァーリに唇を奪われた。首に腕を回され隙間なく密着して、彼女の口から侵入してくる舌に

口内が蹂躙される。俺の舌を激しく絡めてしばらくの間、俺はヴァーリの成すがままにされる。

 

「・・・・・はぁ」

 

彼女と銀色の糸ができるほどキスを終え、蕩けた瞳を覗かせ、

顔は紅潮して熱っぽい息を吐く彼女。

 

「一誠・・・・・私はお前を愛している」

 

「ヴァーリ・・・・・」

 

「待っててくれ。いつか私はお前のもとに帰る。そしたら・・・・・私と結婚してくれ。

私の愛しい一誠」

 

ゆっくりと俺から離れ後ろに下がり、美猴の隣に佇んだ。

 

「戻ろう、美猴」

 

「あいよ。んじゃあな、兵藤一誠!またいつか会おうぜぃ!」

 

ケタケタと笑いながら美猴は、棍を手元に出現させるとクルクルと器用に回し、

地面に突き立てた。刹那、地面に黒い闇が広がる。

それはヴァーリと美猴を捉えるとズブズブと沈ませていく。

 

「ヴァーリ」

 

「なんだい?」

 

「―――――」

 

別れの挨拶と俺はヴァーリに言った。そしたらヴァーリは目を丸くした途端に、

ほんのりと顔を赤くし、嬉しそうな顔をして、美猴と共にこの場からいなくなった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。