ハイスクールD×D×SHUFFLE!   作:ダーク・シリウス

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旧校舎のディアボロス
Episode1


 

 

「・・・・・」

 

部屋に飾ってある二人の男女の写真。

俺、兵藤一誠は学生服を身に包んだ状態で見詰めている。

 

「行ってきます。父さん、母さん」

 

俺はそう言い残し、部屋から出た。廊下を歩き下に降りる階段に歩を進める。

階段の先はすぐ玄関ホール。その場所に二人の女性が佇んでいた。

 

「それじゃ、行こうか」

 

「うむ」

 

腰まで伸びた真紅の長髪に金色で垂直のスリット状の女性が頷いた。

女性は全身を真紅に輝かせて、光の奔流と化した。俺はその光の奔流を触れる。

すると、光が俺の全身を包みだす。俺の体は真紅に光るが、しばらくして治まった。

 

「行こう。リーラ」

 

「はい、一誠」

 

柔和に笑む俺のメイド、リーラ・シャルンホルスト。

俺が来ている学生服とは違い、女子生徒の制服を身に包み、

頭にはカチューシャを付けている。リーラと学校から支給された鞄を持ったまま外へと赴く。

 

「ん、良い天気だな」

 

「はい、桜の花も満開に咲いているかと」

 

「桜か・・・・・今度、花見でもしよう」

 

「そうですね」

 

快晴な天気の中、俺たちは歩を進める。

 

「・・・・・俺が学校に行くことになるなんてな・・・・・」

 

「一誠は学校に行くべきです。ずっと修行ばかりでは、他の者との交流が疎かになります。

そして、学ぶべきものを学んでもっと世界を見るべきだと思います」

 

「世界・・・・・」

 

「あなたより強い者は世界中にごまんといます。相手を知り己を知る。

今の一誠が欠けているのはそれなのですよ」

 

リーラにそう言われ、俺は青い空を見上げた。俺より強い存在・・・・・。

 

「ああ・・・・・俺より強い奴と会ってみたいな」

 

「一誠さま・・・・・」

 

「あっ、また『さま』を付けたな?」

 

人差し指を彼女の唇に軽く押しつけた。リーラは恥ずかしそうに俺から顔を逸らした。

 

「・・・未だに慣れません。主であるあなたを呼び捨てなど・・・・・」

 

「これから学校に行くんだよ?俺を『さま』付けで呼んだら、

どこかの偉い人なんだと思われる」

 

「はい・・・気をつけます。

(ですが、一誠さま。あなたはその偉い人の間に生まれた人なんです)」

 

「さて、俺たちが通う三種族が共に通う国立の学園。

駒王学園・・・・・どんな学校なんだろう」

 

ドドドドドドドドドドッ!

 

「「・・・・・?」」

 

地震か?地面が若干揺れ出した。

 

『まぁてぇえええええええええええええええええええええっ!』

 

「ん?」

 

怒涛の如く何かが迫るような・・・・・後ろに振り返ると。

一人の男子生徒が、オレンジ色の髪の少女を横に抱きかかえて、必死の形相で駆けてくる。

 

「なんでしょうか?」

 

「追いかけられているのは分かるな」

 

そう言っていると、女生徒を抱きかかえている男子生徒が俺たちの横を通り過ぎた。

一拍して、大勢の人も通り過ぎて行った。

 

「さっきの奴ら・・・・・俺たちが行く学校の制服を着ていたな」

 

「ええ、そうでした」

 

「・・・・・やな予感がする」

 

通り過ぎていた奴ら、個性的過ぎる。絶対、平穏な学園生活が送れなさそうだ。

 

―――駒王学園

 

人間と悪魔、天使、堕天使(もしくは堕天使に属する人間)が共同で通う学園。

その昔、魔王と悪魔、神と天使、堕天使、三大勢力が世界の覇権を巡って

永い戦争をしていた。だが、その戦争に介入した種族がいた。

 

それも神の力と称する不思議な能力を持つ種族だ。

しかし、その種族は三大勢力にとって必要不可欠な種族だった。

―――人間。人間が三大勢力の戦争に介入し、甚大な被害をだしながらも戦争を終結した。

 

戦争は終わり、魔王と神、堕天使は種の存続が危ういと危機感を抱き、人間と話し合い、

後に魔王と悪魔、堕天使が住む『冥界』と神と天使が住む『天界』と人間が住む『人間界』。

この三世界との交流を経て最終的に『四種族共存』の道を歩むことになり、

やがて天界と冥界の住人たちが人間界へと移り住むようになった。

 

それから今から数年前、

この四種族が共に通う学園、駒王学園が誕生した。

現在駒王学園に通う四種族の割合は人間10:悪魔5:天使2:堕天使2:ハーフ1。

 

 

「この町、光陽町は元は別の町だったけど新しく作りかえられたんだよな?」

 

「四種族が共に通う学園を設立する際、同時にゼロから作り変え、

新しく整備されたようです」

 

「そうなんだ。それじゃ、俺たちにとっても知らない場所だな」

 

「ええ、土地勘がないですね。今度、散歩でもしましょう」

 

彼女の言葉に俺は同意と頷く。リーラとのんびりと歩くこと数分、

俺たちが通う学園が肉眼で捉えた。

 

「ここが駒王学園・・・・・」

 

「立派な学園ですね」

 

そうだな、と同感する。それから来客専用の玄関から入り、

上履きに履き替えて職員室へと趣く。

 

職員室に辿りつけば、ノックをして「失礼します」と尋ねた。

 

「編入生の兵藤一誠とリーラ・シャルンホルストです」

 

そう告げると、一人の中年の男性が近づいてきた。

 

「おー、お前らだな?よく来た。俺はお前らの担当教師だ。よろしくな」

 

「「よろしくお願いします」」

 

「早速だが、お前らを身体検査をしなくてはならない。今から保健室へ行くぞ」

 

歩を進め出す担当教師。保健室・・・・・?それに身体検査って・・・・・。

疑問を浮かべながら俺とリーラは付いていく。

 

「疑問になるのは分かる。だが、これは簡単な検査だ。この学校は特殊なのは知っているだろう?」

 

「悪魔と天使、堕天使が人間と共同に学校に通うことですか?」

 

「ああ、そうだ。だけど、それだけじゃない。神のシステムで俺たち人間、

また人の血を流す異種族は神器(セイクリッド・ギア)が宿っているだろう?

この学校に通う人間やハーフは神器(セイクリッド・ギア)の所有者であるかどうか、

それを検査して確認しないといけない決まりなんだ」

 

なるほど・・・・・この学校に神器(セイクリッド・ギア)の所有者がいるということか。

 

「因みに、この学校で一番強い神器(セイクリッド・ギア)を持つ所有者は?」

 

「悪いが、他人の情報を教えることはできない。神器(セイクリッド・ギア)の所有者を狙う存在は

世界中にいるからな。奪われないように俺たち教師側が監視兼護衛をしているんだ」

 

なにそれ、怖いな。・・・・・いや、その狙う存在を俺は知っている。

―――あの悪魔と堕天使の三人組だ。

 

「しかし、今年は珍しいことが起き続けているな」

 

「と、言うと?」

 

「二日前ぐらいだ。天界と冥界から三人の転校生がきたんだよ」

 

三人の転校生ね・・・・・まっ、どうでもいいな。

 

「さて、保健室に着いた事だし、パパッと検査を終えて教室に行こう」

 

ガラッ、と扉を横にスライドして開け放った。そして、俺たちは中に入り、検査をした。

だけど、検査した直後。担当教師の顔が驚愕の色を染めた。

まるで信じられないものを見る目で、

何度も何かと比べるように交互に見たのが印象的だった。

 

―――○●○―――

 

「えー、今日からこの二人が新しくこのクラスに入ることになった編入生だ」

 

検査を終えた俺たちは真っ直ぐ教室へと連れて行かれた。教卓の傍に佇む俺たちは口を開く。

 

「兵藤一誠だ。趣味は読書と料理と運動。残りの学校生活、

楽しく平穏で過ごしたいと思っている。よろしく頼む」

 

「リーラ・シャルンホルストです。趣味は人のお世話をすることです。

皆さんと歳は違いますが、同年代のように話しかけてください」

 

自己紹介を終えた俺たち。このクラスの生徒たちの反応は特になかった。―――いや、一変した。

 

「お前等!一限目は質問会だ!お前ら、根掘り葉掘り質問攻めしろぉ!」

 

『いっやっほぉおおおおおおおおおおおっ!』

 

担当の教師のその言葉に、このクラスの生徒全員が歓喜に湧きあがった。

 

「先生!太っ腹ぁ!」

 

「愛しているぜー!」

 

「男に言われても嬉しくない!」

 

「そんなぁ~・・・」

 

『あはははっ!!!』

 

「(・・・・・楽しい学校生活になりそうだ)」

 

「(ええ、そうかもしれませんね)」

 

皆からその後、質問会が終わり休憩時間になっても質問攻めが続いた。授業の予鈴が鳴ると、

それぞれ自分の席に着き、それから授業が始まり、先生からの解答の呼び出しでも解けた。

そして現在の時間は昼休み=昼食の時間だ。

リーラに作って貰った弁当を出して彼女と食べようとしたが、そこに二人の男子生徒が来た。

 

「ねぇ、一緒にいいかな?」

 

「別に良いけど・・・・・えっと名前は・・・・・」

 

名前を知らない二人にどう呼べばいいか当惑する俺に二人が自己紹介をしてくる。

 

「僕の名前は式森和樹。こっちは僕の友達の―――」

 

「僕の名前は神城龍牙です。よろしくお願いしますね」

 

と二人の男子生徒が名乗ったが・・・・・かなり強いな。

力と力が引き寄せられたって感じがする。警戒をしても・・・・・問題はないか。

 

「よろしくな二人とも。俺のことは一誠と呼んでいいぞ。そっちの方が呼びやすいだろ」

 

「解った。じゃあ、一誠と呼ぶよ、僕の事は和樹って呼んでくれるかな?」

 

「僕の事も龍牙と呼んでください」

 

「了解だ。そんじゃ、一緒に食うか」

 

会話しながら和樹と四人で一緒に昼食をする。

 

「それにしても、このクラスの奴らは元気過ぎるんじゃないか?」

 

「ははは、それがこのクラスの特徴的だからね。象徴と言っても良いぐらいだよ」

 

「ノリがいいと?」

 

「うん、そんなところ。

それにしても珍しい時期で編入して来たね?なにか事情でもあったの?」

 

そう言われ、俺は苦笑する。事情があると言っちゃあ事情かもしれないな。

突然、学校に行くべきだと隣にいる彼女に言われたんだし。

 

「まあ、色々と・・・・・な」

 

「ふーん?」

 

不思議そうに首を傾げる和樹。と、今度は龍牙が話しかけてくる。

 

「しかし、大変な時期に来てしまいましたね」

 

大変な時期・・・・・?どういうことだ?

と、視線に乗せて和樹を見詰めると説明してくれた。

 

「えっと、一誠とリーラさんは知らないから説明するね?

春の時期では、この学校に通う悪魔と天使、堕天使たちが自分たちの種族に転生しないか?

と勧誘と言う名の交渉をしてくるんだよ。

まあ、主にそれは上級生である三年生からオファーをしてくるんだけどね」

 

「・・・・・マジで?その話、断われないのか?」

 

「大丈夫、自分たちの意志で決めてもいい事になっているから断わっても良いんだ」

 

「そっか。それは良かった。だけど、それだけで大変な時期って別に何とない感じだが?」

 

そう言うと龍牙が話に加わる。

 

RG(レーティングゲーム)って知ってますか?」

 

「いや・・・・聞いた事がないな」

 

「冥界にいるアジュカ・アスタロトが永い戦争をしてきたせいで、種の存続が危うさを感じ、

悪魔に転生できるチェスの特性を取り入れた『悪魔の駒(イーヴィルピース)』を開発したのです。

上級悪魔たちが自身を『(キング)』として下僕を駒として相手の駒と戦うゲーム。

それがRG(レーティング・ゲーム)なのです」

 

長々と御説明ありがとう龍牙。中々分かりやすくて良かった。

教師の素質があるんじゃないか?

 

「先程、和樹さんが大変な時期に来たというのは。

僕たち二年生と三年生がそのゲームをするからなんです。

クラスから十六人まで選抜してゲームを行います」

 

「それっていつやるんだ?」

 

「体育の授業の時です。ですが、一年生と僕たち二年生の中で、すでに三年生の下僕、眷属が

いると、その一年と二年生は三年生の眷属として加勢しないといけないんです。ですので、

必然的に戦い慣れている人がいなくなった上に、戦いに興味がない生徒が残ってしまいます。

しかも、この学校は実力主義なので、期末テスト終了時、実力と成績が良かった人は、相応の

結果によって別のクラスへと移動します」

 

・・・・・そうなると必然的に弱い奴が残されてしまうのか・・・・・。

 

「あっ、でも、無理にゲームを参加しなくても良いらしいよ?

棄権したらその時の授業は早く終えて、自習になるんだ。

無理に戦って怪我でもしたら嫌だからねー」

 

「なるほど・・・・・お互いの同意のもとでゲームをしているんだ?」

 

「そう言う事。このクラスも何度かゲームをしたけど、殆ど棄権したよ。

このクラスメートたちは、ゲームより楽しく学校生活を満喫するのが好きみたいだからね」

 

「うん、このクラスの奴らを見て何となく分かった」

 

和樹と龍牙が苦笑する。

 

「でも・・・・・そろそろ一回ぐらいゲームしないと、よくないと思いますね」

 

「うーん、実力主義な学校だからね。これ以上下がることはないけど、

バカにされるのも嫌になってくるし」

 

「なんだ?棄権し続けたら、デメリットがあるのか?」

 

弁当の中身を空っぽにまで食べた俺は、リーラから受け取った茶を飲んで一息する。

 

「僕たちは気にしないけど、世間的に問題が起こるかな?就職の時とかさ」

 

「あー・・・・・そういうこと?」

 

「はい。さらに言えば、この学校のS~Fまでクラスが存在します。

僕たちのクラス、このFクラスは最低で最も弱いクラスだと他のクラスに認識されています。

成績だけ良くても実力がダメだとEかFになってしまいます。逆でも同じです」

 

うーん・・・・・中々厳しい社会だな。流石は実力主義の学校と言うことか。

 

「でも、実力や成績がよくても一誠さんのような転校生や編入生が来ると、

このクラスに所属されます」

 

「そうなのか?」

 

「ええ、ですが・・・・・例外もありますけどね」

 

例外だと・・・・・?どんなことなのか気になり、聞こうと口を開いた瞬間。

 

キーンコーンカーンコーン。

 

「あっ、鳴ったね」

 

「それじゃ」

 

「ああ、色々と勉強になった。また教えてくれ」

 

二人が自分の席へと戻っていった。そして、リーラに振り向く。

 

「リーラの言う通りだな。ありがとう」

 

「いえ・・・・・勿体ないお言葉です」

 

嬉しそうに口元緩ます彼女だった。えっと、次の授業は・・・・・って!

 

「次の授業はその体育じゃん!?」

 

席に座って直ぐに俺は、このクラスのスケジュール表を見て叫んだ。

和樹と龍牙のやつ、次はこの授業だから昼休みに説明をしたのか。

と、考えていると教卓に一人の女子生徒が近づいて俺たちを見渡してから口を開いた。

 

「えっと、皆。次はゲームだけど、相手は三年のD組の先輩たちです」

 

清楚な少女だと、俺は一目見てそう思った。とても戦いに向いていなさそうな人だ。

 

「ですが、悪い知らせです。これ以上ゲームを棄権し続けると、

授業を怠慢と認識されてしまい、夏休みの殆どが補習で潰れます」

 

彼女の話しを聞き教室は静寂に包まれた。―――一拍して

 

『な、なんだってぇぇぇぇえええええええええええええええええ!?』

 

怒号が教室中に轟く。とっても驚いていると嫌でも分かる。

 

「ですので、今回ばかりは棄権はできません。ゲームをしないといけないので誰か、

私と一緒に出てください」

 

・・・・・え?あの女子も出るのか?不思議に思って挙手する。

 

「・・・・・あの、質問良いか?」

 

「え?あっ、はい。良いよ?」

 

「失礼だけど、あなたも出るのか?」

 

「はい、クラスの委員長はゲームで言えば『(キング)』と同じなの。

つまり、このクラスの『(キング)』は私なので、皆と相談をして、

最後に私が決めるという形で皆を引っ張っているの」

 

なるほど・・・・・すでに『(キング)』が決まっていたのか。

 

「はい」

 

「なにかな?」

 

「ゲーム、参加する」

 

「・・・・・へ?」

 

目をパチクリとする彼女。だけど、更に彼女が驚くことが起きた。

 

「私も、そのゲームに参加しましょう」

 

「うーん、そろそろゲームをしないと思っていたからね。僕も参加させてもらうよ」

 

「僕もです」

 

リーラや和樹、龍牙が挙手する。そしたら彼女が恐る恐ると尋ねた。

 

「えっと・・・・・いいの?

最悪、私だけでゲームに参加しようと思ったんだけど・・・・・」

 

「早く皆と仲良くしたいからな。俺のことを知ってもらうには丁度良い」

 

「私も同じ考えです」

 

「いい加減に僕たちをバカにする他のクラスに一泡吹かせたい気分だよ」

 

「それに相手は相手です。あの『凶児』には何かと迷惑が掛かっているので・・・・・」

 

やる気はあると伝える。彼女はしばらく俺たちを見詰め、頷いた。

 

「ありがとう。皆の気持ちを応えるために、戦いはあまり得意じゃないけど、私も頑張るよ」

 

彼女はニッコリとほほ笑んだ、本当に清楚な笑みを浮かべるな。

 

「あっ、もう一つ質問良いか?」

 

「なにかな?」

 

「委員長の名前って何?」

 

それが聞きたかった質問だった。彼女は少しの間、唖然としたが名を教えてくれた。

―――葉桜清楚と。

 

―――体育館

 

次の授業は体育と言う事で、俺たち五人は体育館に集まった。

俺たちの相手である上級生は全部で一六人。フルで授業をしようとしていた。

 

「へぇ?あのザコクラスがゲームをするってか?いいぜいいぜ?

俺に逆らえないぐらい可愛がってやるぜ。当然、あの二年の委員長を俺が直々にな!」

 

ギャハハハッ!と嫌な笑い方をする委員長と思しき男子生徒が葉桜を見詰めた。

彼女はブルリと体を震わせ、学園から支給されたレプリカの武器、方天画戟を強く握った。

 

「ま、負けない・・・・・!」

 

「ん、そうだな。―――殺すつもりで倒すからよろしく」

 

「ああ?弱っちぃ人間風情が何ほざいているんだぁ?」

 

「せんせーい、こっちの準備は良いですよー?」

 

「人の会話を聞けよゴラァッ!」

 

ツッコミが鋭いな。きっと漫才に向いている。

俺たちと相手のチームを交互で見ていた教師が口を開く。

 

「・・・・・では、バトルフィールドである異空間に到着したら、

その時点で授業を始めます。相手の『(キング)』を倒したクラスが勝利となります。

なお、戦闘不能の状態に陥った場合は教師側で強制退場をします。

そして、相手がもし授業で死んだ場合・・・・・事故死として扱います。よろしいですね?」

 

「はい」

 

「ああ」

 

葉桜と上級生の委員長が同意する。その直後、俺たちの足元に魔方陣が展開した。

 

「それでは」

 

と腕をビシッと振り上げた。

 

「ゼファードル・グラシャボラスが率いる三年D組VS葉桜清楚が率いる二年F組の

体育の授業を開始します!時間は三十分。―――授業開始!」

 

教師の宣言と共に魔方陣の光はより一層強くなった。

俺たちはその光に視界が奪われ、何も見えなくなった。

 

―――○●○―――

 

視界を遮る光がなくなり、目をゆっくりと開ける。

最初に視界に飛び込んできたのは・・・・・駒王学園の校門前だった。

辺りを見渡せば、俺たちは外にいることが分かった。

 

「それじゃ葉桜さん。これからどうします?」

 

「相手は十六人いるから、何人か一ヶ所に集めて、

そこに強力な一撃を放って戦闘不能にしようかなって・・・・・どうかな?」

 

「ふふっ、清楚な人が考えるような作戦じゃないですね」

 

「ふぇっ!?」

 

うん、俺もそう思うな。だけど、そんな簡単にいくとは思えない。

 

「そう言えば和樹と龍牙はどんな戦い方をするんだ?因みに俺は格闘」

 

「ん?僕は魔法使いだからね。魔法で相手を吹っ飛ばすよ」

 

「僕は格闘と剣術、それと神器(セイクリッド・ギア)の能力で戦います」

 

おっ、ここに所有者がいたぞ。身近にいるもんなんだなぁー。

 

「実際にゲームをするのは初めてなんだよね」

 

「そうですね。ちょっと、楽しくなってきました」

 

「皆、頑張ろうね」

 

「ん、頑張るとしよう」

 

「はい」

 

一致団結する。と、その時だった。

 

「んじゃ、見渡せるように綺麗に破壊しようかなっと」

 

和樹が徐に学校へ腕を突き出した。

手の先に魔方陣が出現して魔力の塊を撃ち出した。刹那―――。

 

ドッゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!

 

目も前の学校がまるで、核兵器を使ったかのような大爆発を起こした。

 

「「・・・・・」」

 

俺だけじゃなく、リーラも唖然となった。

あれ・・・・・絶対に本気を出していない一撃だろう。

爆発が治まると、学校は8割を消失してなくなっていた。

 

「和樹・・・・・お前は一体・・・・・」

 

「ん?僕は式森和樹。無限に近いの魔力を持つ魔法使いさ」

 

朗らかに言う和樹だった。む、無限って・・・・・凄い魔法使いがいるんだな・・・・・。

 

『ゼファードル・グラシャボラスの「兵士(ポーン)」八名、リタイア』

 

「あっ、結構減らしたね」

 

「こっちに来ようとしていたのでしょう」

 

「式森くん・・・・・凄いんだね」

 

葉桜がポツリと呟く。知らなかったのか?まあ、それは俺も同じ事だけど・・・・・。

 

「それじゃ、残りの相手を倒しに行くとしよう」

 

和樹の言葉に俺たちは頷く。殆ど焼け野原となった学校に向かって俺たちは歩く。

 

―――???

 

「二年Fクラスの式森和樹・・・・・・軽くあれであの威力、ということなのだろう」

 

「この授業が終われば、早速あの生徒を勧誘してくる上級生がいるでしょう」

 

「そうね。でも、あの生徒の価値はきっと『変異の駒(ミューテーション・ピース)』を

使用しないとダメかもしれない」

 

「今年の後輩は頼もしい者ばかりね」

 

「ええ・・・・・そして、ようやく会えたわ」

 

「なに?」

 

「はい、そうですね・・・・・」

 

「なんなの・・・・・?」

 

 

―――○●○―――

 

 

授業が開始して10分ぐらい経ったかな?

上級生たちを見つけては倒す、と言う事を繰り返し続けて。

 

「上級生と言うだけあって、苦戦するかと思ったんですが・・・・・。

神器(セイクリッド・ギア)の能力を使うまでもないようですね」

 

龍牙が大剣を振って、こびり付いた血を払い落した。

今さっき『騎士(ナイト)』二人を倒したところだった。

 

「悪魔ってこんなに弱いのか?」

 

俺も『戦車(ルーク)』の二人を倒した。呆気なく、俺に一撃も与えず。

 

「相手が相手だと思うよ?」

 

そう言いながら和樹がどこかに向かって魔力の塊を放った。

しばらくして、ドンッ!と鈍い音が聞こえた。

 

『ゼファードル・グラシャボラスの『僧侶(ビショップ)』二名、リタイア』

 

「・・・・・なにをしたんだ?」

 

「さっきの魔法は相手の魔力に反応して追尾するものなんだ。

だから、上級生の『僧侶(ビショップ)』の魔力を探知した僕の魔力は、

追尾ミサイルのように向かって直撃するんだよ」

 

「便利な魔法だなー」

 

「そうでもないよ。対処できるから、相手が熟練のヒトだったら無効化されるよ」

 

うーん。和樹が言う熟練のヒトってどんなヒトなんだろうか。

まあ、この学園に和樹の魔法と対抗できる存在がいるかどうか怪しいもんだけど。

 

「―――おい!」

 

ヤンキーみたいな顔に魔術的なタトゥー入れた緑色の髪を逆立てる上級生が現れた。

 

「俺とサシで勝負をしろ!」

 

と、人差し指を葉桜に突き付ける。彼女は緊張で顔を引き攣らせて、

ギュッと得物を握る力を籠めた。

 

「いくぞ!」

 

返事も聞かず、上級生は葉桜に飛び掛かった。突然の行動に彼女は目を瞑った。

 

―――ガシッ!

 

「・・・・・え?」

 

「俺が相手をする。いいよな?」

 

彼女の前に移動して上級生の拳を受け止めた。

 

「テメェ・・・・・ッ!しゃしゃり出てくるんじゃねぇよ!?」

 

「返事も待たず攻撃してくる奴が何を言う。と、綺麗事は言わないが・・・・・」

 

上級生を掴んだまま、上に放り投げた。上級生は背中に蝙蝠のような翼を生やして、

空中で態勢を整えた。

 

「俺は悪魔が嫌いでな。ギブアップ宣言しても容赦なくお前を攻撃してやるよ」

 

両手が光に包まれる。

光がなくなると、紫の宝玉が埋め込まれている黒い籠手を装着していた。

 

「来いよ木端悪魔の先輩」

 

「調子に乗ってんじゃねぇえ!」

 

挑発に乗った上級生が最初にしたのは、巨大な魔力の塊を放った事だった。

黒い籠手を装着した手を前に突き出す。

 

Invalid!(インバリッド)

 

と、宝玉から音声が聞こえたと思えば、迫りくる巨大な魔力の塊が一瞬で消失した。

 

「・・・・・はっ?」

 

直撃したわけでも、弾かれたわけでも、

防がれたわけでも、相殺されたわけでもなく、―――消失した。

 

「魔力に頼って戦うのなら、お前は俺に勝ち目なんてない」

 

―――バサッ!

 

「精々、後悔するんだな」

 

背中に生やした金色の六対十二枚の翼を羽ばたかせ、

宙に浮き―――一瞬で上級生の懐に移動した。

 

「っ!?」

 

「くたばれよ!」

 

遠心力を利用して回し蹴りで、上級生の腹部に深く突き付けた。

 

「がっ・・・・・はぁっ・・・・・・!?」

 

くの字形になり、口から血と胃液を吐きだす上級生。足を振り払って、吹き飛ばす。

が、それで終わらす俺じゃなく、吹っ飛んだ上級生を追い、背後に回って肘を突き刺した。

 

「・・・・・っ!?」

 

ゴキンッ!と鈍い音がしたが、その場で駒のように回転をして踵落としを食らわせる。

地上に向かって落下する。

 

「じゃあな」

 

金色の翼から帯状の光を放った。向かう先は上級生。俺の攻撃は―――上級生に直撃した。

 

ドッ!オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!

 

「・・・・・」

 

しばらく宙に浮いていると、アナウンスが流れた。

 

『ゼファードル・グラシャボラス。戦闘不能を確認。勝者、二年F組』

 

俺たちの勝利宣言が流れた。

 

『少し、やり過ぎだ』

 

「・・・・・相手は悪魔だ。遠慮なしで挑まないと勝てない」

 

『・・・・・』

 

「容赦なく俺は倒すよ。相手が誰であろうとな」

 

そう、俺はそう決めている。こんな相手に手子摺るようじゃ、俺は勝てない。―――あの三人に!

 

 

 

 

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