ハイスクールD×D×SHUFFLE!   作:ダーク・シリウス

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Episode7

「大丈夫か?」

 

「ああ、もう大丈夫だ」

 

あの試合の後、医療室に運ばれた川神百代の様子を見に行った。

入って話しかけてみれば、思っていた以上に元気そうだった。

 

「あー、お前に二度も破られるなんてな」

 

「何度も破ってやるよ。なんだったら、武神の異名を俺がもらおうかな?」

 

「この、調子に乗るなー!」

 

首に腕を回されて締めつけられる。

 

「うおっ、川神百代。ギブギブ!」

 

「ははは!弟のような反応して面白いな!」

 

「ん?弟いるの?」

 

「正確には私の舎弟だ」

 

舎弟ね。実の弟じゃないか。

 

「私のことを『姉さん』って呼ぶ可愛い弟なんだ。なんなら、お前も私のことを

『姉さん』と呼んでみるか?ふふっ、仮にそうなったら私は二人の弟ができるな」

 

・・・・・なんでだろう、良いように扱き使われるビジョンが脳裏に浮かんだぞ・・・・・。

 

「そう言えばお前は歳いくつなんだ?私は高校三年生だけど」

 

「俺は高二だ」

 

「―――よし、お前は私の弟にしてやる」

 

「却下!」と川神百代の発言に拒んだ。俺には姉のような存在がいるんだ。

もう間に合っている!

 

「えー、いいじゃんか。お前みたいな強い弟が欲しいんだー。

私の舎弟は頭が回るのに戦いなんて全然ダメなんだ。精々、弄ぶぐらいしかできないんだぞー」

 

その弟は物凄く可愛そうと思えるのは何でだろうか・・・・・。

 

「というか、何時まで私のことをフルネームで呼ぶんだ?」

 

「嫌か?」

 

「どうせ呼ぶんなら特別に私のことを『百代』と呼べ。私もお前のことを一誠と呼ぶからな」

 

「ん?いいのか?」

 

「ああ、お前を認めている。唯一、私を倒した男だからな」

 

笑みを浮かべて俺の肩に腕を回して引き寄せられた。

 

「じゃあ、百代」

 

「ああ、一誠」

 

手を差し出せば彼女も手を差し出してきて握手をしてくれた。

 

「じゃあ、私の事も燕って呼んでもらおうかな」

 

「はい?」

 

ベッドの上で俺が書いた松永納豆のレシピを見ていた松永燕。

彼女が自分もそう呼んで欲しいと言われた。

 

「なぜ?」

 

「んー、キミと仲良くしたいからね。この大会を優勝するって信じているし」

 

「ふむ・・・ならば我の事も名前で呼んでもらおうか」

 

九鬼揚羽まで言いだした。

 

「次期人王となる男と交流を持ちたいからな。ということで、

我とアドレス交換をしようではないか」

 

「あっ、私もね。そういう話だったしいいでしょ?」

 

「むっ、一誠。私もだ」

 

三人のお姉さま方に携帯を突き出された。俺は心の中で苦笑いを浮かべて

自身の携帯を取り出して、三人とのアドレスを交換を果たした。

 

「そうだ、燕。松永納豆一ヶ月分頼める?」

 

「もっちろん。ありがとうございまーす!」

 

「松永納豆好きなんだ?」

 

「それも含めて納豆の料理を研究しているんだ。今度は鍋に挑戦するつもりだから」

 

「納豆に鍋・・・・・想像がつかないな」

 

はははっ、と笑みを浮かべる。それが面白いから新しいことに挑戦するんだよ。

 

「できたら試食してくれるか?」

 

「うん、いいよ。私も松永納豆が大好きだからねん。おとんと一緒に食べさせてもらうよ」

 

「よろしく」

 

と、俺の耳元に小型の魔方陣が出現した。・・・・・ん、分かった。三人に顔を向けて

「仲間に呼ばれた。帰るよ」と告げた。

 

「分かった。決勝戦、我らはお前を応援しているぞ」

 

「私たちの分まで頑張ってね!」

 

「負けたら私と付き合ってもらうぞ。思う存分に私と決闘だ」

 

三人に応援されながら医療室からいなくなった。

 

「ふふっ、一誠くんって見ていると可愛いねん♪」

 

「イジメ甲斐があるやつだしな」

 

「ふむ・・・・・九鬼家従者部隊に入れたいな・・・・・」

 

「「いや、それは無理でしょう揚羽さん」」

 

―――○●○―――

 

「おう一誠殿!来たか!」

 

「どこに行っていたんだね?」

 

「川神百代たちのところ。まあ、軽く挨拶しに行っただけだ」

 

待機室じゃなく、とある一室に入れば、皆が集結していた。だが、皆だけじゃなかった。

 

「ほっほっほ。久しいの孫よ」

 

「―――――」

 

古ぼけた帽子を被った隻眼の老人。白いヒゲを生やして、床につきそうなぐらい長い。

服装は豪華絢爛と言うよりは質素なローブを着込んで杖をしているけど、

見る限り背筋がピンと直立しているか腰を痛めているわけではない。

そんな老人に俺は懐かしさが胸の奥から込み上がった。

 

「オー爺ちゃん!」

 

パァッ!と俺は嬉しくて久しく会ったお爺ちゃんの名前を言った。凄く懐かしい!

というより、全然変わっていない!オー爺ちゃんに抱きつくと

 

ポンポン・・・。

 

と背中を優しく叩いてくれた。

 

「ワシのことを覚えていたとは、うむ、嬉しいのぉ」

 

「一日だって忘れたことないよ。・・・・・あれ、オー爺ちゃん。

昔、オー爺ちゃんと一緒にいた人じゃないね?」

 

「あやつはもう現役を引退しておる。ワシの今の付き人はこの二人じゃ」

 

そう言いながら視線をオー爺ちゃんの背後にいる二人の女性に向けた。

二人とも銀髪だけど、瞳だけは違う。一人は青で、一人は赤だ。

 

「二人とも孫に挨拶をせい」

 

二人は一歩前に出てお辞儀をした。

 

「初めまして兵藤一誠くん。私はオーディンさまの付き人、ロスヴァイセです。

以後、お見知りおきを」

 

「同じくセルベリア・ブレス。ロスヴァイセとは同期の戦乙女、ヴァルキリーだ」

 

今度は二人なんだなー、と思いながら俺もお辞儀をして挨拶する。

 

「初めまして、兵藤一誠と言います。昔、オー爺ちゃんのお世話になっていました」

 

「ええ、あなたの話しはよく聞かされました。可愛い孫だと。

それと兵藤一誠くんの話を聞いた途端にオーディンさまったら、手続きもしないで

日本に行こうとしましたよ。よほど、あなたにお会いしたかったのですね」

 

「子供のように駄々をこねられた時には本当に苦労した」

 

あはは・・・・・そうだったんだ。

そんなことしたオー爺ちゃんを脳裏に浮かべても想像ができない。苦笑を浮かべていると、

トントンと俺の体が叩かれる感覚が覚えて、俺を叩く人に振り向くと、

幼稚園児と背丈の変わらない身長の老人。金色に輝く体毛に法衣を纏う黒い肌で

手には長い棍のような得物を持っていた。首には珠の一つ一つが大きい数珠。

サイバーなサングラスをして口に煙管を銜える肌が皺くちゃなヒト―――。

 

「お猿のお爺ちゃん!」

 

このヒトも変わってないな!お猿のお爺ちゃんに抱きつくとお猿のお爺ちゃんも短い腕で

抱きしめ返してくれた。

 

「元気そうで何よりじゃな。あんなちっこかった坊主が見ない間に随分と成長した」

 

「かなりきつい生活だったけどね」

 

苦笑を浮かべる。と、今度は―――。

 

《ファファファ・・・・・本当に生きていたとはな》

 

不穏な雰囲気とどこか懐かしさを感じる冷たいオーラを放つ人物が話しかけてきた。

そっちに顔を向けると、顔が見えないぐらいにフードを深く被り、足元すら見えないほど

長いローブを、司祭の服らしきものを着込んだ―――骸骨がいた。

頭部には司祭がかぶる帽子、ミトラって名称の帽子に手には杖も携えている。

俺を見詰める目玉のない眼光の奥を光らせている。

 

「ははっ、骸骨のお爺ちゃん!」

 

またまた久し振りに会った人に抱きついた。おお・・・・・懐かしい。ひんやりとしている。

冷たくて気持ちいなぁ・・・・・。と思っていると豪快な笑い声が室内に響き渡った。

 

「デハハハハハ!久し振りだなぁ、坊主ぅっ!」

 

「元気にしていたか!坊主!ガハハハハハ!」

 

体格の良いヒゲ面のおじさん二人が俺に駆け寄ってきて俺に纏わりついた!

突然のことで少し驚いたが同時に懐かしさを感じて言葉を発した。

 

「天空の神のおじさんと海の神のおじさん。久し振り!元気にしていた?」

 

上半身の裸のヒゲを生やしたおじさんと王冠にトーガという出で立ちの

ヒゲを生やしたおじさん。俺はその二人に言うと豪快に笑って話しかけてきた。

 

「元気にしていたとも!坊主も元気にしているようでなによりだ!」

 

「坊主、久し振りに海に来い!盛大に歓迎してやるぞ!ガハハハハハハハ!」

 

「うん、そうさせてもらうよ。海の神のおじさんのところにいる人魚の人たちも

面白い人ばかりで楽しかったしね」

 

ニッコリと笑む。うわー、懐かしい人たちが集合しているよ!俺、今ものすごく幸せで嬉しい!

 

『・・・・・』

 

喜んでいる俺に何故か皆が静かになっている。どうしたんだ?

 

「・・・・・お前、本当にそいつらと会っていたんだな」

 

アザゼルが珍しく緊張した面持ちでいる。ユーストマとフォーベシイですら、

有り得ないほど静かだ。

 

「・・・・・私、こんなに驚いたのは生まれて初めてです」

 

「目の前で親しく神々と話している光景を見ても・・・・・信じられません」

 

「お前・・・・・どんだけ凄いんだよ・・・・・」

 

いや、だから父さんと母さん経由で知ったんだって。・・・・・あれ、一人足りない。

 

「お猿のお爺ちゃん。インドラのおじさんは?」

 

「儂にビデオカメラを押し付けてのんびりしておるよ。

まあ、そのおかげでバカ者の仕置きができたからよしとするぜぃ」

 

バカ者・・・・・?首を傾げているとヴァーリがとある方へ指した。

そっちに視線を向ければ―――、

 

「・・・・・」

 

全身真っ白な美猴がいた。レオナルドがツンツンと突いても、

屍のように何の反応もしなかった。

 

「凄かった、の一言でしたよ。闘戦勝仏のお仕置きは」

 

「見るにも堪えませんでした」

 

「そうなんだ?見てみたかったな。お猿のお爺ちゃん、もう一回やってくれない?」

 

俺もみたいと言ったら、お猿のお爺ちゃんは苦笑を浮かべた。えっ、もうダメだって?

そっか、残念だ。

 

「いよいよ決勝戦じゃな」

 

「うん、オー爺ちゃん。絶対に負けられない戦いだよ」

 

《すでに戦いの勝敗は決まっている》

 

「ありがとうね。骸骨のお爺ちゃん」

 

「坊主!ここまで来たからには何がなんでも勝つんだぞ!」

 

「そうだとも!坊主の底力をみせつけてやれぃっ!」

 

「当然だよ、天空の神のおじさんと海の神のおじさん」

 

皆から応援と励ましの言葉を送られる。これじゃ、もっと負けられなくなったじゃないか。

それから皆と雑談して数十分が経過した頃になって―――。

 

『皆さま、決勝戦の時間となりました!「ロンギヌス」チームと「兵藤家」チームの皆さんは

選手入場口に集合してください!繰り返します。決勝戦の時間となり―――』

 

デイジーのアナウンス。『ロンギヌス』のメンバーが集結する。

 

「勝とう、一誠」

 

「勿論だ。相手は強敵。だが、俺たちは最強のメンバーで集った集団。負けるはずがない。

例え俺たちの誰かが負けたとしてもだ」

 

拳を前に突き出す。

 

「勝つぞ、『ロンギヌス』!」

 

『おう!』

 

バッ!と皆が俺と同じように拳を突き出した。一時の絆。

それでもいい、心が一つになっているこの瞬間を無駄にしないためにも戦おう。優勝しよう。

 

―――○●○―――

 

『観客の皆さま、いよいよ決勝戦でございます。

次期人王が決まる瞬間が直ぐ目の前で歴史的瞬間を観客の皆さまの前で

いま―――始まろうとしています』

 

沈黙する京都ドーム。デイジーのアナウンスだけが響き渡る。

 

『決勝戦を行う前にこの方たちの紹介をしましょう。現兵藤家当主であり現人王の兵藤源氏さまの

ご息女、全人類を象徴とする姫、兵藤悠璃さまと兵藤楼羅さまです!』

 

カッ!

 

ステージ中央に魔方陣が出現した。

魔方陣の光と共に現れたのは白と黒の豪華絢爛なウェディングドレスを身に纏った少女たち。

 

『二チームのどちらかが優勝したその瞬間。

チームの中で次期人王となる一人の選手とその場で結婚式を行います』

 

「「・・・・・」」

 

兵藤悠璃と兵藤楼羅は無表情のまま。二人の胸の中ではどんな気持ちなのか心情定かではない。

 

『それでは、決勝戦に残った二チームのご紹介へと移ります。まずは、こちらのチームです』

 

プシュー!と選手入場出入り口にスモークが噴き出した。

モクモクと立ち籠る煙を見詰めデイジーが口を開く。

 

『人族の王の維持をするが為に兵藤家の中から選り抜きされた強者たち。

そのチームの名は「兵藤家」!』

 

煙の中から威風堂々と姿を現す『兵藤家』チームメンバー。

総勢十六人。ステージに悠然と上がって、二人の姫の前に対峙した。

 

『続いて最後の一チームは』

 

そこでデイジーは一息ついた。胸元に下げている青白い羽を優しく掴んで、クスリと笑んだ。

 

『十七種の内の十二種の神滅具(ロンギヌス)所有者ばかりのチーム。人族の王者ともいえる

兵藤家を妥当として集ったそのチームの名は―――「ロンギヌス」チームです!」

 

観客が湧いた。そんな最中、選手入場口から立ち籠るスモークに人影のシルエットが

浮かび上がった。

 

ザッザッザッ!

 

『ロンギヌス』チームが観客たちの前に姿を現し、ステージに上がる。

 

「へぇ・・・・・ようやくこの時が来たじゃないか?」

 

兵藤照が不敵の笑みを浮かべて発言した。

しかし、『ロンギヌス』チームはその発言に耳を傾けず『兵藤家』の隣に立ち、

二人の姫の前に佇んだ。その時、兵藤悠璃の表情が変わった。

 

「久し振り。悠璃」

 

「・・・・・いっくん・・・・・?」

 

「ああ、実に十年振りかな?」

 

「―――――っ!?」

 

兵藤悠璃が目尻に涙を溜めたどころか、ダムが決壊したかのように涙が溢れ頬を濡らした。

 

「待っててくれ、あの時の約束を今ここで果たす」

 

「いっくん・・・・・うん・・・・・!うん・・・・・!」

 

『ロンギヌス』の『(キング)』兵藤一誠の言葉に兵藤悠理は何度も首を縦に振った。

 

「楼羅、ごめんな。今まで会いに行けなくて」

 

「・・・・・本当です。ですが、条件をクリアしてくれば許します」

 

「なんだ?」

 

「―――優勝してください。それだけです」

 

兵藤楼羅がそれだけ言い残し、魔方陣の光と共に姿を消した。二人はVIP席で姿を現し、

席についた。

 

「・・・・・お前、ずいぶんと親しそうじゃねぇか」

 

「まあな。昔、あの二人と遊んだことがあるんだ。兵藤家の実家でな」

 

一誠の言葉に目元を細めた兵藤照。

 

「・・・・・あ?・・・・・お前・・・・・まさか、弱虫のやつか?」

 

「なに・・・・・?」

 

「―――ああ、そうか。そういうことかよ。ははは、こいつは凄い偶然じゃねぇか!」

 

突然笑い出す兵藤照に怪訝な面持でいると、自分の仲間に告げた。

 

「おいお前ら!こいつ、昔俺たちと一緒に修行していた弱虫の奴だぜ!?

ははは!こいつは受けるな!」

 

「・・・・・ああ、お前か。あの頃、俺を虐めていた奴は」

 

一誠も合点いったようで、不思議と懐かしさを感じていた。

それは『兵藤家』も同じようで懐かしそうに喋り出す。

 

「なるほど・・・・・あなたがあの時の子供でしたか」

 

「ぎゃはははっ!お前かよ!?いっつも俺たちに虐められていた弱虫か!」

 

「久し振りだな。元気そうでなによりだ」

 

「しばらく修行に来ていないから忘れていたが・・・『外』で力を身に付けていたか」

 

「はっ!例え神滅具(ロンギヌス)を所有しても僕たちには敵わないさ!

神器(セイクリッド・ギア)は人間に不思議な能力を与えるだけで結局ものを言うのは、

所有者の体力と精神力だからね!」

 

『兵藤家』チームは一誠に語るが、塔の本人はどうでもよさそうに聞き流していて、

視線を会場に座っている兵藤悠璃と兵藤楼羅を見詰めていた。

 

『人の話しを聞けよゴラァッ!?』

 

「ん?ああ、悪い。訊いていなかった。お前ら、こいつらが何か言ってたか?」

 

一誠はヴァーリたちに話を振った。雰囲気を呼んだようで、ヴァーリたちは首を横に振った。

 

「いや?私は一誠を見るのに夢中でこいつらの存在がいたことを初めて気付いた」

 

「そうか。そいつはしょうがないな」

 

ヴァーリのダークカラーが強い銀髪を撫でた。

撫でられるヴァーリは幸せそうに瞑目して一誠に撫でられ続ける。

 

「てめぇ・・・・・!いい度胸してんじゃねぇかよ・・・・・!?」

 

「別にお前らを見下しているわけじゃないよ。仲間とコミュニケーションを深めているだけだ」

 

「―――っ!」

 

兵藤照が足を上げてステージを思いっきり踏んだ。

次の瞬間、ステージが一瞬で罅が生じて瓦解した

 

「お前だけは俺が叩き潰す。この弱虫が!」

 

「何時の事だよ。ああ、そういえば俺がこんなこと言ったこと覚えているか?」

 

「ああ!?」

 

「『いつか絶対に強くなる!そしたら僕はお前たちに見返してやる!』」

 

一誠が発したその言葉は小さい頃、いじめに遭っていた時、自分をいじめていた集団に向けて

放った言葉であった。それを言った一誠は不敵の笑みを浮かべる。

 

「その言葉、ようやく実現にできそうだ」

 

「―――――っ」

 

不敵の笑みを浮かべたことに苛立ちが達し、一誠の胸倉を掴んで低い声音で言った。

 

「俺に逆らえないようにお前を痛めつけてやるよ。あの時以上にな」

 

「・・・・・なら、俺はあの時のいじめを含めて何倍にも返してやるよ」

 

兵藤照の腕を掴んだ。その腕を掴む力を籠めると。兵藤照の表情が歪む。

今度は一誠が低い声音で言った。

 

「俺は兵藤家に籠って修行していたお前らとは違う。俺は世界を知り、

様々な強者と戦って成長した。―――復讐とあの二人を守るためにな」

 

「てめぇ・・・・・!」

 

胸倉を掴む手が緩み一誠は兵藤照から離れ、腕も放した。

その腕に掴まれた痣がハッキリと浮かんでいた。

 

「―――強いのは俺たちだ!」

 

「―――いや、世界を知っている俺たちが強い」

 

二人はしばらく睨み合った。『あ、あの・・・・・決勝戦を始めます・・・・・』と

頼りないデイジーの声でようやく睨み合いを止めた。

 

『え、えっと・・・決勝戦のルールはそのステージの上で試合をしてもらいます。

その予定でしたが・・・・・ステージが全壊しているのでしばらく除去のためにお待ちください』

 

デイジーの説明に二チーム、兵藤照以外の31人の視線がステージを壊した元凶に集中した。

 

「お前・・・・・面倒なことをしてくれたな。これだから短気は困るんだ」

 

「はぁっ!?俺の所為かよ!」

 

『当然』

 

『当たり前です』

 

二チームに突っ込まれ、兵藤照はいじけた。鬱陶しいほどに・・・・・。

 

―――○●○―――

 

 

しばらくして、壊れたステージはスタッフによって除去された。

ステージが無くなった京都ドームはそれでも広かった。

 

『えー、さっそく試合形式とルールのご説明をします』

 

苦笑いを浮かべているであろうデイジーがアナウンスする。

 

『決勝戦はコンピュータによってランダムで対戦人数が決まる勝負をしてもらいます。

勿論、観客に被害が出ないように強力な結界を張った中でしてもらいます。

勝敗は相手を降参させることです。ですが、試合に出た選手は

どちらが勝敗決しても試合に出ることは

できないですので、「(キング)」の方はよく考えて選手を選んでください』

 

ランダムで対戦人数が決まるのか。これは大変だな。

 

『両チーム。選手専用の席でお待ちになってください』

 

選手専用の席?辺りを見渡して探すと東に『ロンギヌス』、

西に『兵藤家』と書かれた野球選手が座るベンチの空間があった。

俺たちは東の選手専用の席に赴く。

ベンチに座れば、デイジーの真上にある掲示板が一対一と表示した。

 

『では、対戦人数を決めます。―――スタート!』

 

スロットのように表示している文字が回り出す。少しして、止まった。

 

―――一対一―――

 

「サイラオーグ、倒してこい」

 

「分かった」

 

布が巻かれた物を背中に背負って『戦場』へと足を運んで向かった。

 

―――サイラオーグside

 

『「ロンギヌス」チームからはサイラオーグ・バアル選手です!

元七十二柱の大王「バアル」家の次期当主が第一回戦に布が巻かれた何かを背に背負っての

登場です!対する「兵藤家」チームからは』

 

俺の前にいる大柄の男。二メートル以上はある巨躯の男が口を開く。

 

「俺は十二柱の一人、兵藤力也」

 

「・・・・・」

 

兵藤一誠と同じ一族の者。どれほどの実力者なのか知らないがただ倒すだけだ。

 

『両者、準備はよろしいでしょうか?』

 

「「ああ」」

 

『では―――試合開始です!』

 

開始宣言のアナウンスが流れ戦闘態勢になる。

 

「俺の拳は全てを破壊する!」

 

巨大な拳が迫る。横に跳んで回避すれば、兵藤力也の拳は地面に突き刺さり、

地面が波紋のように生じ巨大なクレーターができた。どうやら奴は体術で戦う男のようだ。

 

神滅具(ロンギヌス)を所有していようが、相性によって神滅具(ロンギヌス)を破ることもある。

神を滅ぼすことが可能な神器(セイクリッド・ギア)が最強だと思うなよ」

 

「・・・・・」

 

それは当然のことだ。神器(セイクリッド・ギア)は、神滅具(ロンギヌス)は無敵ではない。

使い手によって強さのバランスが変わる。だが、その前に―――。

 

「お前は何のために拳を振るう?」

 

「なに・・・・・?」

 

「その拳にどんな想いを籠めて相手に振っているのだ?と問うている」

 

真っ直ぐ目の前の男を見据える。俺はとある夢のために振るっている。そして、兵藤一誠は―――、

 

『復讐と誰かを守るために拳を振る』

 

そう俺に言った。復讐なんてものは人の原動力にもなる。が、復讐を果たしたあとに

何が残るのだろうか。しかし、兵藤一誠は他にも拳を振るう理由が存在していた。

 

「俺が拳を振るう理由・・・・・兵藤の敵をただ敵を倒す。それだけだ」

 

「それは皆を守るためか?それともお前自身のためか?」

 

「―――両方だ」

 

真摯に俺の質問に答えた兵藤力也。・・・・・なるほどな。首を縦に振って頷いた。

奴自身の想いを理解して、

 

「わかった」

 

「なにがだ?」

 

「お前の心のことだ」

 

背中に背負っているアレ(・・)を手にして上段に構える。

 

「―――ふん!」

 

刹那―――。

 

ドッバアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!

 

鋭く上から振り下ろした時、大地が左右に割れ、兵藤力也をも斬撃と衝撃を食らわした。

流石に協力な結界が張られているため、ドーム内で収まった。

 

「・・・・・それ・・・・・は」

 

ドームの壁にまで吹っ飛ばされていた兵藤力也は、口の端に血を流して

信じられないものを見る目で声を発した。

俺の手には巻いた布から獅子を模した黄金の戦斧が姿を曝け出していた。

 

「―――『獅子王の戦斧(レグルス・ネメア)』。この夏の期間での修行と、

神ヤハウェによってようやく安定した俺の『神滅具(ロンギヌス)』だ」

 

ドサッ・・・・・。

 

奴は倒れ、それ以上動きを見せなかった。

 

『しょ、勝者は・・・・・「ロンギヌス」チーム!』

 

俺への勝利宣告が流れる。会場は沸くが気にせず兵藤一誠達のもとへ戻る。

 

「どうだった?」

 

「敢えて言うなら、『心が強い』だな」

 

「・・・・・そうか」

 

相手の実力じゃなく、きっと兵藤一誠は別の何かを聞きたかったかもしれん。

だが、俺が感じたあの男は確かに心がどこまでも純粋だった。

 

『では、次の対戦人数を決めます!スタート!』

 

掲示板が動き出す。しばらくして文字が停まった。

 

―――二対二―――

 

「ヴァーリ、成神。二天龍の出撃だ」

 

「げっ、ヴァーリと一緒かよ?」

 

「お前が前より強くなったからといっても、まだ弱いんだ。

ヴァーリの戦闘方法を見て盗んで勉強しろ」

 

くくっ、厳しいな兵藤一誠。さて、お前たちの戦いを見ようじゃないか。

 

―――ヴァーリside

 

愛しい男に指名され、私は赤龍帝の成神一成と出た。

 

『「ロンギヌス」チームからヴァーリ・ルシファー選手と成神一成選手が出ました!

ヴァーリ選手はなんと、現魔王ルシファーさまの血を引く者です!』

 

今はテロリストに加担しているんだけどね。

 

『対する「兵藤家」チームからは兵藤麗蘭選手と兵藤千夏選手です!』

 

二人とも女か。さて、兵藤家の、一誠の一族の者はどれほどの力を有しているのか楽しみだな、

 

「ふーっ、ふーっ、ふーっ」

 

「・・・・・どうした成神一成?」

 

「え?あ、いや・・・なんでもない」

 

そうか、鼻息が荒かったからてっきり怒っているのかと思ったが。

 

「・・・・・お姉さま、あの殿方の顔が気持ち悪い」

 

「外の男の人はあんな顔をした人たちだけなのかしらね・・・・・嫌だわ」

 

成神一成に畏怖の念を抱かせている。

ふむ・・・対戦する前に恐怖を抱かせるとは成神一成は成長したのだな。

 

『それでは、準備はよろしいでしょうか?』

 

と問いかけられ、私は頷いた。

 

『では、第二回戦を始めます。試合開始です!』

 

開始宣言が告げられた。

 

「「禁手(バランス・ブレイカー)!」」

 

カッ!

 

私と成神一成は試合開始早々に鎧を纏った。白い全身鎧と赤い全身鎧。

 

「―――二天龍!」

 

「白龍皇と赤龍帝・・・・・私たちの相手が天龍とはとても光栄だわ」

 

そうか、だが、どうでもいいな。私は一誠の愛の言葉を聞かせてくれれば満足なのだから。

 

「ヴァーリ」

 

「なんだい?」

 

「ここは俺に任せてくれ。ふふっ、ようやくこの力を発揮できる!」

 

・・・・・なにか、新しい技でも得たのかな?

一応、ライバル関係なのだから・・・お手並み拝見とさせてもらおうかな?

 

「分かった。お前に任せよう」

 

「おう!」

 

一歩下がって腕を組んで佇む。さて、どんな力なのだろうか・・・・・。

 

「俺の煩悩が解放する時だっ!―――高まれ、俺の煩悩!―――広がれ、俺の欲望の夢の世界!」

 

あいつがそう言った瞬間に、赤いオーラを全身に包みこんだ。

さらに謎の空間が赤龍帝を中心にして展開していく。

それを感じて『兵藤家』チームの相手は本能的に身を守る格好になった。

 

「あなたの声を聞かせてちょうだいなッ!」

 

・・・・・何を言っている?相手も怪訝な顔で警戒している―――。

 

「いま、俺のことを警戒しているな?俺が攻撃したその瞬間、視界に映った対象を幻術で惑わせて

その隙に攻撃しようと思っていたな?」

 

「―――っ!?」

 

赤龍帝の指摘に相手の一人が目を丸くした。それは肯定とも捉える驚愕の表情だった。

 

「そしてそこのあなたは、この大会が終わったら高級な紫の下着を買おうとしていたな!?

しかも、殆ど紐の下着をだ!」

 

「な―――っ!?」

 

ボンッ!と音が聞こえそうなぐらい相手の一人の顔が真っ赤に染まった。

成神一成、お前は心を読めるようになったのか?

 

「ふっ・・・ヴァーリ、違う。俺は心を読めたんじゃないんだ。

―――否っ!俺が訊いているのは相手の胸の内を、女のおっぱいの声を訊いていたのさ!」

 

恰好を付けたポーズで堂々と叫んだ成神一成。女の胸・・・・・?

 

「神技・・・・・いや、敢えて俺はこう言おう。乳技『乳語翻訳(パイリンガル)』ッッ!

俺の新必殺技は相手が女だったら誰でも女のおっぱいの声を聞けるんだ!

そう、俺が質問すればおっぱいは素直に俺の質問に答えてくれる!

偽りなく全てを俺に曝け出してなぁ!」

 

成神一成の力強い発言によって場が静まり返った。―――一拍して

 

『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!』

 

観客(男)から歓声が湧いた。中には羨望の眼差しや声が聞こえてくる。

そんな中、相手の二人が身を寄せ合って悲しみだした。

 

「お、お姉さま・・・!私、あの殿方に穢されちゃっった・・・・・!」

 

「ああ、千夏・・・・・。私たちはもうどこにも嫁ぐことができない体にされてしまったのね。

女としての幸せが味わうことが叶わなくなったのね・・・・・」

 

・・・・・なんだろうか、あの悲しむ二人を見ると、胸の奥から可哀想な気分が湧き上がる。

 

「ぐへへへ・・・・・まだまだ俺の乳技があるんだ。―――行くぜ、おっぱいぃぃぃぃっ!」

 

赤龍帝が敵に向かって飛び出していた。相手は赤龍帝に襲われるのだと

身を固くしていて逃げようともしなかった。

成神一成はついにその凶手を相手の二人の体に触れた。

すると、小型の魔方陣が二人の触れた個所に出現した。

 

「乳技その2、―――洋服崩壊(ドレス・ブレイク)ッ!」

 

籠手越しで指を弾いた―――次の瞬間。

 

バババババッ!

 

兵藤麗蘭と兵藤千夏の服がはじけ飛んだ。そう、下着までもだ。

 

「「い、いやああああああああああああああああああああっ!」」

 

『おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!?』

 

「・・・・・」

 

私のライバルはこんな奴だったとは・・・・・女として怖ろしくお前を感じるよ。

 

『し、試合終了!勝者「ロンギヌス」チームです!』

 

「よっしゃぁ!勝った―――!」

 

「てめぇは何やってんだこのバカがああああああああああああああああああああああああっ!」

 

勝利に喜ぶ赤龍帝に思いっきり飛び蹴りをした私の愛しい男。

成神一成はドームの壁にまで吹き飛んだ。

そんな彼に一誠はどこから取り出したのか大きなローブを全裸の二人に羽織らせた。

 

「すまない。お前たちの肌を観衆に曝け出させてしまった。

嫁入り前だというのに、お前たちの心に深く傷を負わせてしまった」

 

「あ、あなたは・・・・・」

 

「許してほしいとは思っていない」

 

一誠は二人を強く抱きしめた。

 

「この償いは必ず取る。約束だ」

 

「「・・・・・」」

 

「兵藤麗蘭、兵藤千夏。本当に申し訳ない」

 

真摯に謝罪する一誠。うん、キミは男らしいよ。

 

「い、いえ!あなたがそんな、謝らないでください!」

 

「そ、そうです。試合とはいえ、勝負は勝負なんです。

け、結果がアレでしたが、私たちの負けなのは事実なんですから」

 

「・・・俺を許してくれるのか?」

 

「は、はい。それに、直ぐに私たちをフォローしてくれたあなたに感謝しています」

 

そうだな。試合が終わって直ぐに駆けつけたんだからな。

女の扱いに慣れているというのは些か、複雑だがな・・・・・。

 

「そうか・・・・・そう言ってくれると俺も嬉しいな。ありがとうな」

 

そう言って一誠は微笑んだ。ああ・・・・・その微笑み、美しいよ。一誠・・・・・。

 

「「―――っ」」

 

ほら、あの二人もキミの微笑みに見惚れちゃっているよ。・・・・・見惚れるだと?

 

「お姉さま・・・。私、運命の殿方に出会ったかもしれません」

 

「・・・そうね、千夏。私もそう思うわ」

 

「・・・・・」

 

顔を赤くして、瞳を蕩けさせジッと一誠を見詰める。運命の殿方だと・・・?

それは私の一誠のことを言っているのか。―――許さん。

 

ガシッ!

 

「えっ、ヴァーリ?」

 

「戻るぞ」

 

「お、おう・・・でも、なんで俺を引きずるんだ?」

 

「次の試合の邪魔になる」

 

それは建前だ。本当はあそこに戻って人の視線が届かないところでお前をキスをするんだ!

このモヤモヤの気分を晴らすために!

 

 

「―――って、人を蹴って戻っていくんじゃねぇよ!」

 

―――○●○―――

 

『えー、最低な技によって「兵藤家」チームは破られました。

続いては第三回戦を行いたいと思います。対戦人数は四人です。

両チームからどんな人が出てくるのでしょうか!』

 

「四人か、和樹とジーク、レオナルドと幾瀬さんで」

 

四人を指名し、戦場へと向かわせた。

 

「近距離と遠距離、サポートのメンバーだね」

 

「いや、きっと和樹が一瞬で終わらせるだろうな」

 

「それはどういうことだい?」

 

曹操が訊いてくる。同時に開始宣言のアナウンスが流れ―――。

 

ドッガアアアアンッ!ドッガアアアアアアアアアンッ!ドッガアアアアアアアアアアアンッ!

 

戦場から大爆発が何度も発生した。

 

「和樹の魔法を発動する時間はわずか0.1秒。だから・・・・・」

 

『は、早いです!試合終了、勝者は「ロンギヌス」チームです!』

 

「あんな感じで終わらしちゃうんだよ」

 

「・・・・・なるほどな」

 

苦笑を浮かべる曹操。和樹たちも戻って来て労う。

 

「うん、さっさと終わらしたよ。長く戦って付き合う理由もないしね」

 

「だと思ったよ」

 

曹操のように俺も苦笑を浮かべた。これまでの戦果は三戦三勝0敗。まだまだ油断できない。

 

『―――次の対戦人数は三人です。両チームは三人の選手を選んでください』

 

「ゲオルグ、真羅先輩、カリン。魔法部隊出撃」

 

ニヤリと口の端を吊り上げて、指名した。

 

―――椿姫side

 

兵藤くんに指名された私たちは戦場へと向かった。

 

『「ロンギヌス」チームからゲオルグ選手、真羅椿選手、カリン選手。

対する「兵藤家」からは―――』

 

「これ以上、兵藤家の名を落とさないように」

 

「当然だ」

 

「ええ」

 

三人の男が私たちの前に対峙した。

 

「初めまして、私は兵藤静駿」

 

「俺は兵藤淡河」

 

「兵藤桐です」

 

礼儀正しいですね。兵藤家は教育はとても―――

 

「「「三人揃って!」」」

 

・・・・・え?

 

「「「ヒョウドウレンジャー!」」」

 

・・・・・。

 

「「・・・・・」」

 

『・・・・・』

 

三人がポーズをした瞬間、場が静寂に包まれた。

なんともいえない雰囲気にどう反応すればいいのか分からない時だった。

 

『頑張って、ヒョウドウレンジャー!』

 

観客席の一角から子供のような声が聞こえた。その声をした方へ振り向くと、

大勢の子供たちが『頑張れ!ヒョウドウレンジャー!』と幟を一生懸命持っていた。

 

「うん、周りがどんな反応だろうが、私たちを応援してくれる者たちがいる」

 

「その応援に応えるためにもこれ以上負けるわけにはいかない!」

 

「うふふ・・・・・覚悟してもらいますよ?」

 

えええ・・・・・。なんでしょうか、この人たち。私たちと同い年なんですよね?

 

「・・・・・か」

 

「・・・・・カリン?」

 

「カッコいい!」

 

ええええええええええええええ!?

 

「うん、そのポーズカッコいいなお前たち!」

 

「お?私たちのこのポーズの良さを分かってくれるのかい?」

 

「ああ、私は戦隊シリーズが大好きなんだ!特にあれだな、聖騎士隊セイント・ナイツ!」

 

「あれか!俺も今でも好きだぞ!特にセイントレッドの熱血な生き様に心を打たれた!

だからほら、セイントレッドが使用していた軍杖も見よう見真似で作ったんだ」

 

「おお、凄いじゃないか!でも、私的にセイントホワイトが好きかな。

あの真っ直ぐ突き進む姿が好きだ」

 

「僕としては三銃騎士が好きだね」

 

「三銃騎士?その本、私は持っているぞ?しかも全巻もだ」

 

「―――なんですって?もしかして、幻の最終巻も?」

 

「ふふん。そうだとも!」

 

胸を張って自慢げに言ったカリン。三銃騎士、私も図書館で何度か読んだことがある本ですね。

そんな自慢げに言うカリンに相手は全身を震わせていた。

 

「・・・も、もし、よかったら・・・・・その本を読ませてくれないか?

あれが売れ切れて買えなくてショックだったんだ。

今でも探しているが作者が死んでしまい、絶筆状態だから買えなくなったんだ」

 

「じゃあ、この試合が終わったらでいいかな?」

 

「もちろんだよ!ああ、でも、今すぐ読みたいなぁ・・・・・!」

 

・・・・・ダメですね。もう、ついていきません。

兵藤家の一族の中にはこんな人たちがいるのですか?個性的な人たちの集団なのですか?

 

「・・・・・噂に訊いていた兵藤家とは離れているな」

 

ゲオルグも困惑した表情で呟いていました。

 

『あ、あのー・・・もう試合を始めます。試合、開始です』

 

何気に投げ槍で始めましたねデイジー。気持ちは分からなくはないですが―――。

 

「すいません、やっぱり本が早く読みたいんで棄権します。カリンさんだったね?

本を貸してくれないかな?」

 

「え?あ、うん・・・分かった」

 

まさか、本一つで棄権するなんて思いもしなかったと顔に出しているカリンですけど、

亜空間を開いてそこから分厚い本を一冊取り出した。

 

「はい、これ」

 

「おおお・・・・・っ!まさしくこれだ・・・・・!―――わーい!」

 

子供のように喜んでドームからいなくなった兵藤桐という男。

 

「・・・・・兵藤一誠の一族は変な集まりのようだな」

 

「ええ・・・・・そうみたいですね」

 

私とゲオルグは溜息を吐く。もう、バカバカしくて・・・・・。

 

「さて、あいつがいなくなってしまったが問題ない」

 

「俺たちだけでも勝つとしようか」

 

身に地面から浮き出た大地を纏って鎧と化する兵藤淡河と全身に風を纏う兵藤静駿。

 

「因みにこの風の鎧を触れた瞬間、ミンチになるから気を付けて」

 

「回復役がいないでは即死する可能性もあるからな」

 

兵藤淡河が地面に手を触れた。―――あれは!

 

「突き刺さるがいい!」

 

「っ!」

 

その場から飛ぶように宙へ逃れる。その直後、私がいた場所に地面から岩の槍が飛び出てきた。

 

「ほう、俺の攻撃パターンを知っていたか」

 

「あなたたちの戦闘を見ていたのです。わからないはずもないじゃないですか」

 

「―――だったら、これはかわせるか?」

 

腕を空飛ぶ私に突き出した。カリンとゲオルグは風の纏う兵藤静駿と交戦中、

 

「くらえストーン・パンチ!」

 

破裂したような音と共に拳を模した岩の塊が私に向かってきた。

―――避けれない速度ではない。横に移動して岩の塊を避けた。

 

「当たらなければ、どうとでもないです」

 

「―――そいつはどうかな?」

 

不敵の笑みを浮かべる相手に警戒する。

 

『真羅先輩、上だ!』

 

「っ!?」

 

耳の中に入れてある通信機から聞こえる兵藤くんの声。

空を見上げると―――私の視界に巨大な岩の塊が降ってきた。

 

「なっ・・・!?」

 

「はっはっはっ!強力な結界が張っているからな。多少の無茶はできるってことよ!」

 

笑う兵藤淡河。あなたの行動は無茶の域を越えています!

 

「無茶と言うより非常識です!あなたまで押しつぶされますよ!?」

 

「問題ない。ここで引き分けになっても他の奴らがやってくれよう」

 

この人・・・・・引き分けに持ち込むつもりですか!?

 

「落ちる前にあなたを倒します!禁手(バランス・ブレイカー)!」

 

力強く言ったその時、私の周囲に数多の装飾の巨大な鏡が出現した。

 

「ん?それはカウンター系統の神器(セイクリッド・ギア)だったはずだ。

俺が攻撃しない限り、それはただの鏡に過ぎないぞ」

 

「―――それはどうでしょうか?」

 

数多の鏡は一斉に兵藤淡河の姿を映し出す。さらに兵藤静駿の姿も。

 

「これで準備は整いました」

 

「整った?なにをだ?」

 

「こういうことです」

 

私は持っていた長刀を鏡に向かって振り下ろし、破壊した。

 

「何を考えている?そんなことしたら、自分にカウンターがくらう―――」

 

ドオオオオオオオオオオオオオオオォォンッ!

 

「―――っ!?」

 

兵藤淡河の背後に波動が襲った。

 

「な、なにが・・・・・?その鏡は確かにカウンター系統の・・・・・・」

 

「ええ、確かに私の能力はカウンター系統のものです。

ですが、禁手(バランス・ブレイカー)に至った私の力は新たな能力が追加されたのです」

 

別の鏡を破壊すれば、兵藤淡河の腹部に波動が襲った。

腹部に纏っていた岩の鎧は剥がれ、生身の体が覗けた。

 

「この鏡は相手の姿を記憶し、破壊することで相手にダメージを与えることができるんです」

 

「な、なんだと・・・・・」

 

「あなたの相方もこんな感じです」

 

兵藤静駿を映す鏡を破壊した次の瞬間、彼の横っ腹に波動が襲ってダメージを与えた。

 

「私の前に姿を現せばダメージを負うのは必然です」

 

「だが、俺の鎧はすぐに修復する!」

 

それが証拠とばかり、兵藤淡河に大地が盛り上がって剥がれている個所にくっつき、元に戻った。

 

「それも知っています。ですが―――あなたは百枚以上壊されても修復できますか?」

 

「なに―――!?」

 

私の背後に大量の鏡が出現する。その鏡は全て兵藤淡河の姿を映した。

 

「これだけの数、あなたの鎧が修復に追いつけるとは思えません」

 

「それを言うならお前も鏡を割ることに時間が掛かる!

その時間の間に俺はダメージをくらわないぞ!」

 

「一斉に鏡を割れる()が空にあるじゃないですか」

 

冷笑を浮かべ、大量の鏡を全て空か降ってくる隕石に向けて飛ばした。

私のしようとしていることを理解した彼は絶句した。

 

「なっ、や、やめ―――!?」

 

「終わりです」

 

ドームに降ってくる隕石と百枚の鏡が直撃した。鏡が割れる度に、

兵藤淡河の大地の鎧が絶え間なく波動に襲われて剥がれて、とうとう生身の体が曝け出した。

 

「ぬぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」

 

鎧の修復が追いつけない。生身で何十枚の鏡が割れた時に生じる波動を受け続ける兵藤淡河。

 

「―――チェックメイトです」

 

全身血まみれで倒れた兵藤淡河を見詰め、勝利宣言を言った。兵藤静駿の方も視界に入れれば、

カリンとゲオルグと協力して倒していたところだった。

 

『試合終了、第四回戦の勝者は「ロンギヌス」チーム!

と、言いたいところですけどあの隕石をどうにかしてくださぁーい!一誠くんお願いします!』

 

「―――俺かよ。まあ、やるけどさ」

 

いつの間にか兵藤くんが私の隣にいた。

右手に紫の宝玉が嵌めている黒い籠手を隕石に突き出して。

 

「―――滅べ」

 

黒い籠手から赤黒い魔力が広範囲に広がって隕石を受け止めた。

いえ、それだけじゃない。隕石を包んで彼が手を握ると、隕石が―――一瞬で消失した。

 

「リアスさんの滅びの魔力・・・・・」

 

幻想殺しの籠手(イマジンブレイカー)の能力の一つ、『滅』だ」

 

滅・・・・・消滅ともいえる能力・・・・・。

 

「さて、皆のところに戻るか」

 

「は、はい」

 

―――○●○―――

 

第五回戦。未だに試合に出ていないのは俺と曹操、アーサーとデュリオ、龍牙と清楚のみ。

さて、今度は何人だ?

 

『次の対戦人数は―――二人でございます!

もし、この試合で「ロンギヌス」チームが勝てば「ロンギヌス」の優勝となります!』

 

またか・・・・・じゃあ、ここは・・・・・・。

 

「俺と曹操で行く」

 

「ほう、俺か?」

 

曹操の発言を聞き、俺は頷いた。でも、それだけじゃない。

 

「何となくだけど、この試合に相手の『(キング)』がでそうなんだ」

 

「最後の勝負、ということですか?」

 

アーサーの質問に肯定と頷く。

 

「どっちにしろ、ここでお前たちを出して勝っても負けても俺たちの勝利は揺るがない」

 

「なら、相手チームを確実に勝てる方法はなんだ?」と皆に問うた。

皆、顔を見合わせてから口を開いた。

 

『相手の「(キング)」を倒す』

 

と、皆の口から同じ答えが出てきた。

 

「―――兵藤一誠!」

 

案の定、俺に声が掛かった。

 

「出てこい、兵藤一誠!この試合で俺と決着をつけるぞ!」

 

「なっ?」

 

『・・・・・納得』

 

予想通り、俺と勝負して俺を倒し、勝とうとするその考えは丸解りだった。

 

「―――皆に誓う。負けない。絶対にな」

 

皆に不敵の笑みを浮かべ、最後の勝負へと挑みに行った―――――。

 

 

 

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