ハイスクールD×D×SHUFFLE!   作:ダーク・シリウス

52 / 157
Episode2

 

 

「・・・・・冥界のテレビ番組から取材の話がきているだって?」

 

とある日のこと、この家に住まうことになった一人のメイド、グレイフィア・ルキフグスに

そう言われて怪訝になる。

俺、兵藤一誠はオウム返しで訊いた。なぜに冥界のテレビ番組から取材の話が来るんだ?

冥界に震撼させるような凄いことをした覚えはないぞ。

 

「ええ、一誠さまだけではなく。あの次期人王決定戦で本選まで勝ち残った悪魔である

グレモリー眷属とシトリー眷属も出演のオファーの話が来ています」

 

「あー、そういうこと。でも、なんで人間の俺が冥界のテレビ局から

出演のオファーなんて来るんだ?―――悪魔じゃないぞ、俺」

 

彼女は「重々承知の上です」と述べた。

 

「ですが、お忘れですか?あなたさまは兵藤誠さまと兵藤一香さまのご子息であることを。

冥界全土、あのお二方を知らない悪魔などいません」

 

「・・・・・」

 

そうだった。俺、あの人たちの子供だったんだ。

そんな俺が世界中に名を轟かせるぐらいのことをして、

父さんと母さんを知る悪魔たちが何もしてこないはずがない。

 

「勝手ながら、出演のオファーの話しを受理させてもらいました。

リアスさまと一緒に冥界へ赴いてください」

 

「・・・・・本当、勝手に決めてくれたよ」

 

グレイフィア・ルキフグスに嘆息する。

悪魔じゃない俺が、あの異世界に好き好んで行きたがるわけがない。

ましてや俺は悪魔と堕天使が嫌いなんだ。その二種族が住まう異世界なんて

あんまり行きたくない。

 

「旦那さまと奥さまは喜んでおりましたよ?」

 

そう言われて沈黙してしまう俺であった。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・しょーもない」

 

二度目の嘆息。俺は結局、冥界のテレビ局に行くことになった。

 

 

―――冥界

 

 

収録当日となり、俺はリアス・グレモリーのグレモリー眷属、ソーナ・シトリーのシトリー眷属と

一緒に専用の魔方陣で冥界へ転移。この間行ったばかりなのに、

早くもこの地に足を踏み入れるとは。到着した場所は都市部にある大きなビルの地下。

転移用魔方陣のスペースが設けられた場所で、そこに着くなり、

待機していたスタッフの悪魔たちに温かく迎え入れてもらった。

 

「お待ちしておりました。リアス・グレモリーさまとソーナ・シトリーさまと眷属の皆さま。

そして兵藤一誠さま。さあ、こちらへどうぞ」

 

プロデューサーの悪魔に連れられて、エレベーターを使って上層階へ。

ビル内、人間界とあまり変わらない作りだと思うが、細かい点で差異があったりする。

魔力で動くであろう装置と小道具とかが建物のあちらこちらに存在している。

廊下のポスターは―――ネリネとリコリスだった。

と、廊下の先から見知った奴が二人ほど引き連れて歩いてくる。

 

「サイラオーグ、あなたも来ていたのね」

 

そう、リアス・グレモリーが声を掛けたそいつは

バアル家の次期当主サイラオーグ・バアルだった。

あいつも俺たちと同じ理由でここにいるんだろうか?

 

「リアス、それにソーナと兵藤一誠か。そっちもインタビュー収録か?」

 

「ええ。サイラオーグはもう終わったの?」

 

「これからだ。おそらくリアスたちと一緒のスタジオだろう。―――兵藤一誠」

 

ん?とサイラオーグの呼びかけに反応した。

 

「あの夏休みは俺にとって充実な期間だった。お互い切磋琢磨をして過ごした結果、

俺はより強くなれた」

 

そう言ってポンッとサイラオーグ・バアルが俺の肩を叩く。

 

「だから、また期末試験の時のようにお前とは理屈なしのパワー勝負をしたいものだよ」

 

サイラオーグ・バアルはそれだけ言って去っていく。

 

「・・・イッセー、あなたは色んな意味で人気者ね」

 

「急になんだ」

 

「そんなあなたに相応しい女にならないとダメね、って改めて思っちゃったわ」

 

リアス・グレモリーが苦笑いを浮かべ出す。

 

「自分から婚約者になると言いだして弱音を吐くのか?」

 

「いいえ、違うわ。―――もっと積極的にならないと、女としての自分をもっと磨かないと―――」

 

「あー、すいません。楽屋はどこですか?」

 

「って、人の話を聞きなさいよ!?」

 

何か長くなりそうだからスルーしてみた。尻目で後を見れば、

後ろから苦笑いを浮かべる面々たちがいた。

その後、一度、楽屋に通され、そこに俺たちは荷物を置いた。

そしてすぐにスタジオらしき場所へ案内され、中へ通される。

まだ準備中で、局のスタッフの悪魔たちが色々と作業をしていた。

先に来ていたであろうインタビューの悪魔の女性が俺とリアス・グレモリーとソーナ・シトリーに

挨拶する。

 

「お初にお目にかかります。冥界一放送の局アナをしているものです」

 

と、俺とリアス・グレモリーとソーナ・シトリーとスタッフ、

局アナの悪魔と交えて打ち合わせを始めた。スタジオには観客用の椅子も大量に用意されている。

 

「それと、兵藤一誠さんには別のスタジオで収録もありますので」

 

「・・・なぜに?」

 

いきなりそう言われて首を傾げた。スタッフは嬉々として説明してくれた。

 

「はい、何せ、『乳龍帝』として有名になっている成神一成さんと人気者ですからね」

 

ちち・・・・・龍帝・・・・・?

 

「乳龍帝ぇぇぇぇぇぇぇっ!?」

 

あっ、成神一成も驚いている。―――つーか、やっぱりそんな名前で呼ばれるようになっていたか!

このド変態ドラゴン!

 

「子供には凄く人気になっているんですよ。子供たちからは『おっぱいドラゴン』と呼ばれている

そうですよ。次期人王決勝戦でおっぱいおっぱい叫んでたでしょう?

あれが冥界のお茶の間に流れまして。それを見た子供たちに大ヒットしているんです」

 

スタッフの説明が終わるまで、成神一成は一部始終ずっと驚愕をした顔のままだった。

 

「はははははっ!赤龍帝じゃなくて乳龍帝か!

―――成神、俺の家族とか学校の生徒(女)に百メートルは近づくな。穢れる」

 

「百メートルだと!?てかっ、それじゃ話しかけることもできねぇじゃねぇかよ!

触れることすらできねぇ!」

 

「寧ろ、男が選り取り見取りになって触れ放題だぞ?よかったなー」

 

「ふ・ざ・け・ん・なっ!」

 

憤怒の形相でスタジオの中で叫んだ成神一成。作業中のスタッフたちが

「なんだなんだ?」とこっちに顔を向けるが「ああ、なるほど」と

何か勝手に納得されてすぐに顔を逸らし、作業に再び取りかかった。

 

『はははっ!おい聞いたか!?ドライグの奴が赤龍帝じゃなくて乳龍帝だってよ!』

 

『くはははっ!こいつは面白いではないか。

天龍が、あいつが乳龍帝ドライグと呼ばれるとはな!』

 

『同情が覚えないな。まあ、確かに面白い名だな』

 

俺の中でドラゴンたちが突然笑い始め出した。ドライグ・・・・・心中察するぞ。

 

「では、兵藤さんと成神さんは別のスタジオへ。ご案内します」

 

スタッフに専用の台本を渡された俺は、別のスタジオに移動する。

 

 

―――○●○―――

 

 

「・・・・・」

 

「イッセー、戻ってくるなりどうして落ち込むのよ?」

 

「俺、もう冥界に来たくない」

 

収録後、俺たちは楽屋でぐったりしていた。他の奴らも緊張していたのは確かで楽屋に着くなり

壁にもたれたり、テーブルに突っ伏していたりしていた。

番組は終始リアス・グレモリーやソーナ・シトリーや俺への質問だった。

 

「ソーナ・シトリーの姉までも来ていたとはな」

 

「・・・・・それを言わないでくださいイッセーくん」

 

彼女は最大級に赤くなった顔をテーブルに突っ伏して恥ずかしさに堪えていた。

スタジオの観客席に『ソーナちゃん♡』と書かれた団扇を持って見に来ていたのだ。

そんなこんなで彼女は終始顔を赤くして姉の顔を収録が終わるまで

視界に入れないようにしていた。

 

「ところでイッセー、二人は別のスタジオで何を撮ったの?」

 

リアス・グレモリーが楽屋の菓子をつまみながら訊く。

テーブルに顔を突っ伏したまま返事をする。

 

「・・・・・俺にとって黒歴史だ」

 

「・・・・・いったい、あなたは何をしていたというのよ・・・・・」

 

訝しむリアス・グレモリー。ただ言えることは―――

 

「アザゼルとサーゼクスとセラフォルー。絶対に縛ってやる」

 

「・・・・・あなたにとって不愉快な取材だったことは、

その三人の名前が出た時点でわかったわ」

 

彼女は「はぁ・・・」と溜息を吐いたその時だった。

楽屋のドアがノックされ、入ってくる者がいる。

 

「ん?」

 

「お、お久しぶりでございますわ」

 

金髪を縦ロールにしている少女だ。しかも―――見覚えがある。

 

「えーと、ライザーの眷属にいたな?名前は・・・・・」

 

「―――私はレイヴェル・フェニックスですわ。兵藤一誠さま。以御お見知りおきを」

 

と、礼儀正しくお辞儀をした少女。名はレイヴェル・フェニックス。

 

「ああ、よろしくな。それと、ライザーの奴はどうしている?元気か?」

 

「・・・・・あなたのおかげで未だにドラゴン恐怖症で引き籠もっておりますわ」

 

そう言って嘆息するレイヴェル・フェニックス。ああ、まだなんだ。

 

「あいつの精神が弱いだけだな。今度、合いに行くとしようかな」

 

「ええ、是非ともいらっしゃってください。

一度負けたぐらいで部屋に籠りっきりにダメお兄さまをどうにかしてくださいな」

 

ダメお兄さま・・・・・。何気にえらいことを言うもんだな。

見た目がどこかの姫さま風な感じなのに。

 

「で、どうしてここに?誰かを尋ねに来たのか?」

 

そう尋ねると、レイヴェル・フェニックスは途端に顔を赤くしてこっちに近寄ってくると思えば、

手に持っていたバスケットを俺に突き出す。

 

「さ、ささやかな私なりのお祝いのケーキですわ!

この局に次兄の番組があるものですからついでです!」

 

「次兄?ライザーの他にも兄がいたのか?」

 

俺はバスケットを受け取りながら訊く。

 

「は、はい。そうですわ」

 

彼女の肯定の言葉を耳にしながら中身を確認した。

美味そうなチョコレートケーキが入っていた。

 

「これ、お前が作ったのか?見事、の一言だぞ」

 

「え、ええ!当然ですわ!ケーキだけは自信がありますのよ!」

 

「ほう・・・・・どこかの悪魔にも見習ってほしいもんだな」

 

眼鏡をかけた悪魔の少女に視線を向ければ、少女は珍しく頬を膨らませていた。

「意地悪」と呟いて、

 

「それじゃ、味見といこうか」

 

亜空間からフォークを取り出してスパッとバスケットのケーキを少しだけ切って、

そのまま口に運んだ。

 

「・・・・・」

 

レイヴェル・フェニックスは瞳に不安の色を浮かべて、

チョコレートケーキを食べる俺の様子を伺う。

 

「・・・・・うん」

 

「っ・・・・・」

 

「及第点だ。美味いぞ、レイヴェル・フェニックス。店に出せるぐらいだぞ、

この甘さと美味しさは」

 

そう言ってやると、レイヴェル・フェニックスは目を潤ませ、顔を最大級に紅潮させていた。

 

「・・・・・あ、ありがとうございます。では・・・ごきげんよう」

 

バッ!レイヴェル・フェニックスは俺たちに一礼をした後、踵を返して楽屋からいなくなった。

 

「・・・・・イッセー」

 

「なんだ?」

 

パクリとチョコレートケーキを食べた俺にリアス・グレモリーが話しかけてきた。

 

「彼女と何時の間に親しくなっているの?」

 

「は?あいつ会ったのはとリアス・グレモリーの婚約を懸けた一件以来だぞ?

敵だったし、どうしたら親しくなれる?」

 

「・・・そうだったわね。ごめんなさい」

 

そう言うが、リアス・グレモリーは面白くなさそうな顔をしていた。なんだか、面倒くさいな。

 

「―――リアス」

 

「え?」

 

「あーん」

 

ケーキを刺したフォークをリアス・グレモリーに突き出す。そんな俺にキョトンと呆ける彼女。

 

「美味いぞ。食ってみろ」

 

「え、でも・・・・・」

 

「こんなシチュエーションは二度とできないと思った方がいいと思うぞ?」

 

ニヤリと口の端を吊り上げて意地の悪い笑みを浮かべる。

リアス・グレモリーは、俺とケーキを何度か交互に見て―――、

 

「あ、あーん・・・・・」

 

恥ずかしそうに、でも、嬉しそうに俺に突き出されたケーキを口に含んだ。

 

「どうだ?」

 

俺もパクリとケーキを食べながら問うた。彼女の返事は・・・。

 

「ええ・・・・・とっても、美味しいわ」

 

歓喜とばかり、リアス・グレモリーは嬉しそうな表情を浮かべた。さて、次は―――。

 

「二人ともどうだ?」

 

羨望の眼差しを向けてくるソーナ・シトリー。

さらに真羅椿姫にも問いかけた。この問いかけに―――、

 

「「いただきます」」

 

羨望の眼差しが一変して得物を狙う鷹のような眼差しに変わったのであった。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。