『真魔王派』に襲撃され数時間が経過した。
学校は早めに終わって生徒たちはテロリストに襲撃された恐怖を心に抱いたまま家に帰宅した。
今回の襲撃の首謀者、シャルバ・ベルゼブブとクルゼレイ・アスモデウスだと認識した
理事長サーゼクス・グレモリー及びオカルト研究部の顧問であり堕天使の総督アザゼルは
今回の事件に冥界と天界、魔王と神に報告。
後に学校に駆け付けた神王ユーストマと魔王フォーベシイの助力により、襲撃はすぐに鎮圧。
その後、
今回の襲撃の関係者とオカルト研究部に集った。
『・・・・・』
リアス・グレモリーとグレモリー眷属、ソーナ・シトリーとシトリー眷属、
サイラオーグ・バアルとバアル眷属、シーグヴァイラ・アガレスとアガレス眷属、
俺たち二年S組のメンバーとサーゼクス・グレモリー、アザゼル、
神王ユーストマ、魔王フォーベシイ、兵藤家メンバー十六人。
「この学校が襲撃されるなんて学校を創立して以来の出来事だ」
「まさか、真正面から襲撃してくるなんて思いもしなかったからな。
迎撃の準備ができちゃいなかった。が、幸い被害は軽微、死傷者は零。
上級悪魔、天使、堕天使たち教師や生徒が迎撃してくれたおかげで何とか収まったわけだがな」
「まいったね。あそこまで過激なことをされるとは」
「だな。今後いつまた襲撃してくるか分かったもんじゃねぇ。
狙いは兵藤家と式森家の者の殺害のようだったがな」
「ああ、執拗に俺たちを攻撃してきたぜ。逆に返り討ちしたんだけどよ」
兵藤照が指の関節をゴキリと鳴らし、なんともなかったと風に言い切った。
「・・・・・しばらく体育の授業は中止だな」
アザゼルがポツリと呟く。
「えっ?じゃあ・・・・・」
「これから普通の運動での授業を行う。
ことであの授業は廃業となる結果を生んでしまった。
一学生の授業にテロリストが襲撃してくるとは誰一人として思いもしなかったどころか
考えもしなかった。だから、学生らしく体を動かす運動の授業に変更せざるを得ない」
『・・・・・』
サーゼクス・グレモリーの発言に周りの皆は沈黙した。
「お兄さま。テロリストの目的はもしかしたら体育の授業を潰すためでもないでしょうか?」
「もしかしたらそうかもしれない。だがしかし、それはあくまでついでなのかもしれない。
主な目的は兵藤家の人間である一誠くんたちと式森家の人間である式森和樹くんの命のようだ」
それからサーゼクス・グレモリーは
「葉桜清楚、それに兵藤一誠くんたち。すまなかった。私の責任だ」と、俺たちに頭を下げた。
清楚は慌てて首を横に振って「気にしないでください、大丈夫です」と口にした。
「私たちも目の前にいた敵に警戒しただけで何もしませんでした。
それに、逃げられてしまいましたし」
「・・・・・ディオドラ・アスタロト」
「彼については・・・・・杉並くん。説明してくれるかね?」
「かしこまりました」
一歩前に出た黒髪の男子生徒。
「初めまして、俺は二年B組の杉並という。以御お見知りおきを」
「彼は情報・索敵・収集といった能力が周りと比較的にならないほど逸脱しているていてね、
隠密にも長けている」
こいつが杉並か・・・・・。今まで味わった苦労をいま―――晴らしていいかな。
「一誠、なんとなく考えていることが分かるけど、この場は抑えて」
「・・・・・顔に出てた?」
「うん、完全にね」
・・・・・俺って隠すことが下手なのかな。これからの課題になりそうだ。
「理事長とリアス先輩経由で兵藤一誠から依頼されているディオドラ・アスタロトの情報を
報告します。長い説明になるから省略させてもらいますが」
「構わない」
「では、まずはディオドラ・アスタロトがテロリストに通じた動機は、
―――兵藤一誠が魔王候補というのが気に入らない。そして、自身の趣味のため」
「趣味だ?」
兵藤照が怪訝に呟いた。杉並は説明を続ける。
「ディオドラ・アスタロトの趣味は有名なシスターや聖女を悪魔らしく誘惑し、
言葉巧みに手籠め堕とす。しかも狙う相手は熱心な信者に本部に馴染みが深いシスターや聖女」
杉並はそこで一区切り、アーシア・アルジェントに視線を向けた。
「リアス先輩の眷属のアーシア・アルジェントもまたディオドラ・アスタロトの趣味と
欲望のために狙っていたこと情報も得ました。
彼女が教会に追放された理由はディオドラ・アスタロトの陰謀による」
「そ、そんな・・・・・」
アーシア・アルジェントが目を丸くした。そういや、彼女も元はシスターだったな。
「ディオドラ・アスタロトの本来の眷属と家に囲っている者たちは元教会に
通じていた少女や女性、つまりシスターである情報を得ました。
これは確実な証拠となるでしょう。信じていた教会に追放され、神を信じられなくなって
人生を狂わせられ、絶望しているシスターと聖女に近づいては最底辺りまで堕としたところを
掬い上げて、犯す。心身ともに犯す。それがディオドラ・アスタロトの趣味。
今までもそうして教会の女を犯して自分のものに―――」
「いやっ!もう言わないでください!聞きたくないです!」
耳を抑えてその場で座り込んで体を震わせ始めるアーシア・アルジェント。
成神一成が宥めリアス・グレモリーに一言告げてオカルト研究部から震える彼女といなくなった。
「と、あんな感じでディオドラ・アスタロトはシスターや聖女を堕としていました」
「・・・・・何て野郎だ。ディオドラ・アスタロトの野郎・・・・・!」
神王ユーストマから聖なる光が迸った。あれ、怒りに呼応して出ているんだろう。
「それで、ディオドラ・アスタロトの現在位置は分かっているのかな?」
「家に調査したところもぬけの殻でした。もしかしたら人間界にはいないかと」
「そうか・・・・・ユーストマ殿、何と謝罪すれば良いか言葉が出ませぬ」
それでも、サーゼクス・グレモリーは頭を下げた。
神王ユーストマは腕を組んだまま首を横に振った。
「・・・・・悪魔も悪魔だが、堕ちたシスターや聖女も責がある。
やつらもシスターや聖女である前に女だ。愛の言葉を囁かれて応えてしまっただろう」
「・・・・・教会の者として複雑な気持ちだわ」
「私もだよイリナ」
イリナとゼノヴィアが本当に複雑そうな顔を浮かべていた。
その時、ユーストマが二人に顔を向けた。
「神に反しないなら恋の一つや二つしても構わないぞ。ただし、悪魔と堕天使に恋するな」
「・・・・・え、いいんですか?」
「ああ、俺とヤハウェさまが認めている男なら問題ないだろ。なっ、一誠殿」
「いきなり話を振るな。てか、この話の流れ的にあんたが認めている男って
俺に向けられているようにも聞こえるぞ。できれば自意識過激だと言ってくれ」
「いやいや一誠ちゃん。それは過小評価というものだよ?
だからウチのネリネちゃんとリコリスちゃんを一誠ちゃんのお嫁候補にしたんだからね」
「俺んとこのシアとキキョウもな!」
・・・・・なぜにキキョウまで・・・・・。
「で・・・・・ディオドラの奴はどうすんだよ」
「当然、指名手配する。はぐれ悪魔としてね。懸賞金も懸けよう」
「そうか、悪魔も苦労するな」
「ははは、そうだね」
苦笑いを浮かべるサーゼクス・グレモリーとフォーベシイ。
学校の生徒からもテロリストになった。前代未聞のことだ。
「・・・・・なあ、俺が魔王になったらやはり気に入らないか?」
「急にどうしたんだい?」
「悪魔を統べる者が人間なんて、やっぱりおかしいだろ?
魔王は悪魔じゃないと納得しない悪魔が大勢いるだろ」
「「・・・・・」」
そう指摘すると魔王と理事長が顔を見合わせた。更に俺はリアス・グレモリーたちにも尋ねた。
「お前らもどうだ?俺はネリネとリコリスと結婚したら魔王になるとなっているけど、
俺は次期人王だぞ?人王が魔王の役職に就いて納得できるか?俺個人を抜いて言ってくれ」
「それは・・・・・」
『・・・・・』
この場にいる悪魔たちが沈黙した。その沈黙は確かに不自然だと心のどこかで思っていたからだ。
「魔王だけじゃない。神王もそうだ。俺を認める天使は全員とは限らない。
俺の内に邪龍を宿している限り、天界に足を踏み入れることはできない。
ユーストマ、天界も俺が神王になるのを反対している天使がいるはずだぞ?
いいのか、そいつらを野放しにしていたらきっと俺を狙うぞ。返り討ちにするけど」
「・・・・・」
「仮に俺は四人と結婚しても魔王と神王にはなれないと思う。
魔王は悪魔、神王は天使、人王は人で良いと思うんだ」
俺の発言に場は静寂に包まれる。
「これ以上、問題を起こさない方がいいと思う。俺が転生悪魔か転生天使だったら話は別だけど」
「では、一誠ちゃん。悪魔に転生してみないかな?そうすれば魔王になれるよ?」
「断わる!」
「んじゃ、天使だな?一誠殿は『
「いや、邪龍を手放すつもりないから無理だって。『システム』に絶対影響を及ぼすぞ」
ガクリと残念そうに頭を垂らす神王と魔王であった。
「うん、いっくんは人王が似合っている」
「そうですね」
悠璃と楼羅が頷く。俺は人でありたいから人王だ。うん、人王。
「しかし、襲撃されたからにはこちらも手を打たないとダメだな」
「というと?」
「・・・・・しばらく、学校を休校にする」
『っ!?』
この場にいる殆どが目を丸くした。休校・・・・・夏休み以来じゃないか。
「私たちは少しばかり平和ボケをしていた。
多少の小競り合いがあろうと大規模な戦闘になるとは思ってもいなかった。
だが、今回の襲撃事件で考えを改めないといけなくなった。
二度目の襲撃がないと考えず、次の襲撃に備えて準備をする必要がある。そのための休校だ」
「お兄さま、休校とはどのぐらいの期間なのですか?
それに私たち三先生は就職に備えないといけないのですが・・・・・」
「・・・・・早くて一週間、遅くて一ヶ月間だろう。
その間、全校生徒は違う学校で留学生という形で学ばせるつもりだ」
違う学校・・・・・?俺たちを迎え入れてくれる学校なんてあるのか?
「あの、どこですか?僕たちがしばらく通う学校とは」
「これから探す。だからしばらくはできるだけ家で待機してほしい。
決まり次第、キミたちに伝えるよ」
「・・・分かりました」
龍牙が頷く。その後、話しは終わりだとサーゼクス・グレモリーの言葉によって解散となった。
「兵藤一誠くん」
「なんだ?」
呼ばれて足を停め振りかえる。
「あの三人に会ったそうだね」
「―――――」
「復讐をするなとは言わない。だが、自分を見失わないでほしい。でないと、
キミを想う者たちが悲しむ」
サーゼクス・グレモリーから発せられた言葉を耳にしてしばらく。踵を返した。
「あの三人を殺すまで俺の復讐は終わらない」
「・・・・・」
「だけど、我を忘れて狂う俺じゃない。
でも、怒りと恨み、憎しみは決して忘れない。それだけだ」、
スタスタと歩を進め、オカルト研究部を後にした。
―――BOSS×BOSS
「アザゼル、彼をどう思う?」
「兵藤一誠のことならば危険だな。特に三人の前に立たせたらさらに危険だ。
特に・・・・・あの
「あの
「ああ、
ありゃ、全てを無に帰すぞ。対処方法が分からない上に、攻撃の予兆すら把握できない。
腕を振るっただけで地面が一瞬で無くなっちまったんだ」
「アザゼルでも勝てないのか?」
「無理だ」
「・・・・・そこまで凄まじいのか」
「『
消滅の力を昇華させて鎧に具現化した力だ。これでようやく新種の
だが、世界を破壊できるほどの力を秘めた
「だから彼は、使おうともしなかった訳なのだな」
「青白い
だから敢えて使おうとしなかったんじゃねーの?」
「・・・・・彼もその力の危険性を感じているなら私から何も言う必要はない」
「だな。力に魅了され溺れているんなら、最悪・・・・・死ぬ覚悟で止めなきゃなんねぇ」
「そうならないために彼女たちがいるようなものだ」
「・・・・・やっぱりあいつは愛と復讐だな」
「なんのことだね?」
「―――あいつの特徴みたいなものさ」