―――ガイアside
「お前ら!やっと完成したぞ!」
魔方陣から現れた片手に妙な銃を持ったアザゼル。
「何を完成したんですか?」
「あいつを元に戻すもんをさ。こいつであいつを元に戻すんだ」
「・・・・・ようやくですか」
神城龍牙が息を吐く。
「さて、早速元に戻す。これ以上あのままにしたら後遺症が残ってしまう恐れがあるからな」
そう言って妙な銃をテレビを見ている一誠に突き付けた。
「・・・?」
一誠が振り返り、アザゼルと自分に突き付ける銃を見て―――。
「へ、変なおじさんに殺されるぅぅぅぅぅっ!」
殺されると勘違いした一誠が風を切る音と共に姿を暗ましたのだった。
「って、またこの状況かよ!?」
唖然となる堕天使の総督は急ぎ足で一誠を探そうと、リビングキッチンからいなくなった。
「ぎゃあああああああああああああああああああああああっ!?」
『・・・・・え?』
あの総督の悲鳴が上がった。出てすぐだ。
「アザゼル先生が悲鳴って・・・・・」
「俺が様子を見に行こう」
堕天使の幹部が買って出た。この場からいなくなった後すぐに―――。
ドバンッ!
扉を破壊しながら何故か、真っ二つに成っていた巨大な丸太が我らがいるリビングキッチンに
なだれこんできた。
「・・・・・丸太?」
「この家にこんなものはなかったはずですよ?」
我らの中で疑問が湧く。一体誰の仕業だ?と、思いながら我は玄関ホールへと赴く。
と、我の目に飛び込んできたのは―――、アザゼルが十tと記された鉄の塊に潰されていた。
そして、直立不動の堕天使の幹部の全身に生ゴミが大量に頭から被っていた。
「・・・・・なにが遭ったのだ?」
「その前に、これ、どかしてくれ・・・・・魔力が使えない」
「なに・・・・・?」
魔力が使えないとはどういうことなのだろうか。軽く鉄の塊を蹴り飛ばしてアザゼルを解放する。
「で、何が遭った?」
「いきなりここに出たかと思えば上から降ってきたんだよ。
バラキエルが出てきたかと思ったらどっからか現れた丸太を両断したその瞬間に
真上から大量のごみが降ってきた。まあ、俺と似たようなもんだ」
「この家にそんな仕掛けはしていないぞ」
「俺だって分かっている。ったく、いきなり何なんだよ」
堕天使の総督が愚痴を零しながら数歩歩いた矢先、真上から今度は大量の雪が降って
埋まってしまった。
「・・・・・」
上からか・・・・・視線を上に向ければ、こちらを見下ろす小さな子供と
手には金色の錫杖があった。
「泥棒の人は出ていけ!ここは僕たちの家だぞ!」
「泥棒だと・・・・・?」
一誠の奴、何を勘違いしておるのだ?怪訝に首を傾げていた我の耳に
「まさか・・・」と聞こえた。背後に振り返ると、一誠の幼馴染がいた。
他の者たちも続々と出てくる。
「おい、まさかとはなんだ?知っているのならば答えろ」
「え、えっと・・・十年前に私とヴァーリが一誠くんの家に遊びに来ていた時のことなんだけど、
その時は一誠くんのご両親とリーラさんがいなかった日だったの」
「・・・・・もしや、イリナさま。あの時のことですか?」
今度はリーラが思い出したかのように尋ねてきた。一誠の幼馴染の女は首を縦に振った。
「うん、多分リーラさんが脳裏に浮かんでいる事だと思うわ。
だって、一誠くんを残してご両親やリーラさんが出掛けたのって滅多にないし、
あれ以来のことが遭ってから一度も一誠くんを家に残さなかったでしょ?」
「ええ・・・・・私たちは深く反省したほどです」
「だよね。で、私とヴァーリが一誠くんの家に遊んでいたら銃を持った二人組の泥棒が
入ってきたの。当時の私たちは子供だったから、泥棒を倒すことはできなかった。
だから、子供なりに考えた末、ある方法で泥棒を捕まえることができたの」
「それはなんだ?」と我は問うた。一誠の幼馴染は懐かしそうに言う。
「家にあるもの、それこそ生活用品や家具、調味料、何でも仕掛けに使って泥棒を翻弄しては
挑発して、疲れきったところで縄やらガムテープで縛った捕まえたの」
「キミたちにそんな過去があったなんてね・・・・・」
「ヴァーリも白龍皇に目覚める前のことですよね?」
「うん、そうだよ。だけど・・・今の一誠くんは銃の玩具を持っているアザゼル先生を
見て泥棒だと思っている。多分、バラキエルさんも」
なるほど・・・・・泥棒と出会った時の記憶が思い出したが為に、泥棒を追いだす、
または捕まえようと恐怖心を抱きながらも必死になっているのか。
「自己防衛による行動かよ・・・・・」
「・・・・・」
被害に遭った二人は迷惑そうな顔をする。一人は完全なるとばっちりだがな。
「じゃあ、お二人は待機してもらいましょう。オーディンさまもそうしてください、
彼は僕たちが連れてきますので」
「ああ、そうしてくれ」
式森がそう言い、一歩前に足を運んだ。
ヒュン。
―――が、あいつが突然、開くように空いた穴に落ちたのであった。
「・・・・・どうやら、私たちまで泥棒だと勘違いしちゃっているようだわ」
薄っすらと頬に冷や汗を流す一誠の幼馴染の言葉に、我は溜息を吐いた。
―――○●○―――
イリナside
イッセーくんがあの頃のように泥棒を何とかしようと、暴走しちゃって数分ぐらい経過した。
どうやら、
なっていてイッセーくんが思い描く障害物が具現化となって私たちを阻む。
「イッセー!リアスお姉ちゃんよ!」
「泥棒は出てけーッ!」
「きゃっ!?」
ザッパーンッ!
現に三階へ直接飛行していたリアスさんが大量の水に押し戻されてしまった。
他にも広い空間、宙に蜘蛛の糸のようなものが張り巡らされていて、
その糸には巨大なクモが待ち構えていた。
大量の水に押し戻されたリアスさんは蜘蛛の糸に引っ掛かってしまい、
巨大なクモに糸で拘束される。それから階段を上がってイッセーくんのもとへ進もうと行けば、
「ゴ、ゴキブリィィィィィッ!」
清楚さんのように嫌な虫たちが執拗に追いかけてくる。もう、昔より性質が悪いわ。
「・・・・・一誠の奴、恐怖に心を囚われているな」
「十年前、泥棒が入ったあの頃はまだ、武術を習っていなかった時期でしたから・・・・・」
「それでは、無理もないか・・・・・」
ガイアさんが溜息を吐いた。
「・・・イリナ、キミだったら行けるんじゃないか?」
「へ?私?」
いきなりゼノヴィアが私にそう言ってきた。何故なのかしら?
「ああ、小さい頃のイッセーを知る人物の一人だ。
白龍皇と一緒に遊んでいたキミなら何とかなるんじゃないか?」
「それは昔のことで今は違うわよ。というか、今のイッセーくんは大きく成長した私のことを
覚えていないのよ?だから、イリナお姉ちゃんとして通っているんだからね」
ちょっと寂しいけど、私のことをお姉ちゃんと言ってくれるイッセーくんも悪くないわ!
「―――だったら、お前も小さくなってあいつを説得して来い」
「はい?」
ガチャリと玩具の銃を私に向けてくるのは堕天使の総督アザゼル先生だった。
次の刹那。怪しい光を浴びた私は―――見る見ると縮んでいくのが分かった。
「・・・・・えっと・・・・・・?」
「ほう、小さい頃のイリナはこんな感じか」
「ふふっ、可愛いですね」
うん、ここに鏡があったらきっと私は十年前の子供の頃の姿に成っていると思う。
長かった髪が短くなっているし、髪どころか体も縮んだ。
「では、イリナさま。私と一緒に参りましょう。
―――一誠さまを止められるのは私たちだけなのですから」
「えっと・・・・はい」
正直、小さくなってもイッセーくんの前に辿り着くことができるのか疑問なんですけど・・・。
リーラさんと一緒にイッセーくんがいる三階の回廊に向かうため、足を運んだ。
ピンポーン!
インターホンのベルが鳴った。誰なんだろう、こんな時に。
あっ、グレイフィアさんが応対しに行った。
玄関の扉を開け放ってしばらくすると―――。
「久し振りだな。アザゼル」
―――白龍皇、ヴァーリー・ルシファーとその一行たちが入ってきた―――
「・・・・・お前、何の用だ。仮にも俺たちは敵同士だぞ」
「なに、オーディンがここに来訪していると情報を知ってね。
それにオーディンを付け狙う輩もいる。私はその輩に用があるからどうせなら、
一誠と一緒にいた方がいいと思ったんだ」
そう言ってヴァーリは辺りを見渡した。
探し人であるイッセーくんが見つからないことに彼女は、私に尋ねてきた。
「イリナ、一誠は?」
敢えて口で答えず、人差し指を上に差した。ヴァーリは首を傾げながらも、視線を上に向けた。
私も改めてイッセーくんを見れば、
新たに入ってきたヴァーリたちにもっと警戒しちゃっているイッセーくん。
「・・・・・イリナ、子供の時の一誠がいるんだが・・・・・・私は幻覚でも見ているのか?」
「紛れもなく現実よヴァーリ。ある事情でイッセーくんは子供になっちゃったの。身も心もね」
「・・・・・で、イリナはどうして子供の姿に?」
「ここ数日、私たちと親しく接していたんだけれど、警戒と恐怖心に駆られているのか、
私たちを泥棒だと勘違いしちゃってるの。
ほら、十年ぐらい前、私とイッセーくんとヴァーリでイッセーくんの家に侵入してきた銃を持った
泥棒を捕まえたことがあるでしょ?その時の記憶がフラッシュバックしちゃったようなの」
私の説明にヴァーリは「数日だと・・・・・」と、変なところで反応していた。
「イリナ、あの状態の一誠と数日間も過ごしていたと言うのは本当なのか?
・・・・・幼馴染の私に一言ぐらい言ってくれてもよかったのではないか・・・・・」
あっ、ヴァーリが拗ねた風に不機嫌になっちゃった。でも・・・・・。
「ごめんなさい。でも、あなたはテロリストなのよ?」
「私は一誠の敵になるつもりはない。ライバルとしてならなるけどね。話が反れた。
イリナはどうして子供に成っている?」
「小さい時、私とヴァーリが一緒にイッセーくんと遊んでいた時のことを覚えているなら
小さくなった私だったら近づけれるんじゃないかって提案が浮かんだのよ。
それで、私が小さくなった訳なのよ」
「ふむ・・・・・一誠を知る者の特権というわけか。アザゼル、私も小さくしてくれ」
「・・・・・たくっ、お前から願われるのは久し振りだぜ」
アザゼル先生が玩具の銃をヴァーリに突き付け、怪しい光を浴びさせた。すると、私のようにヴァーリも小さくなって、子供に成った。わぁ、懐かしいわ!
「ふむ・・・十年振りの姿だな。では行こうか」
「うん!」
ヴァーリが青い翼を展開したら、私を抱えてイッセーくんのいる場所へ飛んで行った。
でも、宙には巨大な蜘蛛の巣と蜘蛛がいる。飛来する私たちに認知した蜘蛛は口から大量の糸を
吐きだした。
「てやっ!」
『
迫りくる大量の糸を切断していく。
「やるじゃないか」
「伊達にイッセーくんといるわけじゃないわ!」
「ならば、そのまま続けてくれ。抱えたままでは魔力を放つことも白龍皇の力も使い辛いからな」
「わかったわ!」
蜘蛛は攻撃を無効化されたことに次の攻撃をしてきた。何やら口から白い塊を吐きだした。
なに、あれ。
ズバッ!
その白い塊をあろうことか自分で裂いた。
―――その避け目から、無数の小さな蜘蛛が続々と出てきたわ!
「気持ち悪い!?」
「質より量ということか。戦術の一つだな」
何感心しているのこの幼馴染!って、小さな蜘蛛が降ってきたぁっ!?
「いやぁぁああああああああああああっ!」
聖剣を傘のように形を変えてドリルのように回転させた!
そうすることで振ってくる小さな蜘蛛たちを弾き返しながら進めるもの!
「イリナ、もっと速く回転させてくれ。このまま突っ込む」
「う、うん!」
ギュアアアアアアアアアアアアァアアアアアアァアアアアアアァァアアアアッ!!!!!
激しく回転するドリル。
ドリルが小さな蜘蛛たちを弾く最中、私の手がズンッ!と急に重くなった。
「お、おも・・・・・っ!」
「ふんばれ、イリナ」
ヴァーリからの応援の言葉を耳にしながら、私は聖剣の柄を握る力を籠めて、更に突き上げた。
不意に、軽くなって周りが暗くなる。
少しして、周りが急に明るくなって―――イッセーくんの顔が視界に飛び込んだ。
「・・・・・イリナとヴァーリ・・・・・?」
唖然とした顔で私たちを見るイッセーくん。
金色の錫杖を持っていたけど、ヴァーリはそんなこと構わないとばかり接近して言った。
「久し振りだね一誠」
「ヴァーリ。うん、久し振りだね」
「ほら、それを置いて一緒に遊ぼう?」
「でも、下に泥棒がいるよ?」
「大丈夫だ。わた―――俺が一誠を守るから」
イッセーくんの前に降り立って、手を差し伸べる。私も彼に向かって差し伸べる。
「イッセーくん、あの人たちは泥棒じゃないよ。ほら、リーラさんもいるでしょ?大丈夫だから」
「・・・・・本当?」
「「もちろん」」
まだ警戒していたのね。でも、もう大丈夫よ。
イッセーくんをいじめる人は、私が主に変わってお仕置きするんだから!
「・・・うん、分かった」
コクリと小さく頷いてくれた。よかったわぁ、これでイッセーくんを元に戻せる!
「それにしても・・・・・一誠、お前は可愛いな」
ヴァーリ・・・・・。あなたは何を言い出すのよ。―――当然じゃないの!
「うん?男の子に可愛いなんて言われても嬉しくないよヴァーリ」
「・・・・・そうか、本当にお前は十年前の頃の子供に戻っていたのだな」
そう苦笑を浮かべるヴァーリだった。
でも、ヴァーリは何故かジッとイッセーくんの顔を覗き込んだ。
「一誠、実は私は女の子なんだ」
「・・・・・へ?」
「だから、一誠に対してこんなこともできる」
イッセーくんの頬を両手で添えて―――ヴァーリは私の目の前でイッセーくんの唇を
自分の唇と重ねた。はっ!?
「ちょっ、ヴァーリ!抜け駆けは―――――!」
カッ!
刹那、彼が一瞬の閃光に包まれたのだった。ヴァーリも一緒に。えっ?これ、どういうこと!?
唖然と見ていると二人は見る見るうちに大きくなって―――十年後のイッセーくんとヴァーリに
戻っちゃったわ!
「「・・・・・」」
しばらく静寂に支配されたけど、イッセーくんの目が開いた途端に、瞳に驚愕の色が浮かんだ。
ヴァーリはイッセーくんの口を解放した途端に彼は一気にヴァーリから離れた。
「ヴァ、ヴァーリ!?お前、どうしてここにいるんだ!?」
「むっ?私は何時の間に元に戻ってしまったんだ?」
「って・・・ちょっと待て、俺は確かアザゼルに呼ばれて実験に付き合ってからの
記憶がないぞ・・・・・。
―――イリナ、お前はどうして子供の姿でいるんだ?とても懐かしくて可愛いんだけどさ」
・・・・・まさか、元に戻った?
「・・・イッセーくん、今日が何日だか分かる?」
「は?今日は―――だろ?」
やっぱり・・・・・イッセーくんは元に戻っていた。それも、数日間の記憶が飛んでいる。
「イッセーくん、驚かないで聞いて。イッセーくんは記憶を失ったまま数日間も過ごしていたの」
私の発言に案の定、困惑の色を浮かべたイッセーくん。
「・・・・・記憶を失ったままって・・・・・どういうことだよ」
「とりあえず・・・・・アザゼル先生から聞けば分かるんじゃないかな」
そう言ったら、イッセーくんから怒りのオーラが滲み出てきた。
「ああ、そうさせてもらう。―――アザゼルゥゥゥゥゥゥッ!」
バッ!と三階から躊躇もなく降りて行った彼。
一拍して、アザゼル先生の悲鳴が上がったのは必然的だったかもしれない。
「でも、キスして元に戻るだなんて・・・・・」
「ふふっ、私の愛の力が一誠に掛かった力を覆したのかもな」
ヴァーリが聞き捨てにならない言葉を口にした。私は当然、面白くないと感じ、食って掛かった。
「私の方がイッセーくんに対する思いの方が強いもん!」
「ならば、私はこれから一誠に抱かれよう。そうすれば私の方がイリナより上だと証明できる」
「それだったら私は二回も三回もイッセーくんに抱かれるわ!」
「だったら私は一時間も一誠に抱かれる。
ふふっ、一誠の性行為は一日だけじゃ収まらないと知っているぞ?」
まっ、どこでその情報を入手したのかしら私の幼馴染わ!でも、負けはしないわ!
「なら、最初は料理勝負をしましょうよ!お互い料理を作ったことないなら同じ立場でしょ」
「・・・料理か。確かに私は作ったことがない。
だが、簡単な物ぐらいならルフェイに教わっている」
「こっちだって、リーラさんに教わって簡単な物ぐらいなら作れるわ!」
「ならば、最初のテーマは味噌汁だ。いいな?」
「ええ、勿論よ!」
待っててイッセーくん。ヴァーリより美味しい味噌汁を作ってあげるからね!