―――決戦の時刻。
都内のとある高層高級ホテルの屋上にいる俺たち。すでに日は落ちて、夜となっている。
屋上にいるため、俺の体に激しく風がぶつかる。周囲のとあるビルに和樹がポツンと佇んでいる。
和樹がいない穴はシトリー眷属で埋めるのだろう。匙元士郎は未だに姿を現さない。死んだか。
アザゼルは会談での仲介役を担うためにオー爺ちゃんの傍にいる。
戦闘に参加できないアザゼルの代わりにバラキエルが同じく俺たちの屋上で待機、
ロスヴァイセとセルベリア・ブレスも戦闘に参加ってことで鎧姿のまま待機中なり。
「はっ!神相手にできるなんて嬉しい限りだ!俺たち人間の力を見せ付けてやらぁっ!」
意気揚々、気持ちが高揚している兵藤照。念には念を、兵藤家メンバーも誘っている。
ロキとフェンリルだけとは限らないからな。その上、相手は神だ。
「―――時間か」
腕時計を見ながら呟く。会談が始まった時間だ。ホテルの一室で大切な話し合いが
始まったことだろう。屋上に待機する前、日本の神々と会ってみたら、笑顔で出迎えられた。
「―――キュイイイイイイイイイイイイイッ!」
不意に動物の鳴き声が聞こえた。和樹の方からだ。
そう、一匹だけ連れてきた『コロ』の警報が鳴った。そうか、現れたか・・・・・。
バチッ!バチッ!
ホテル上空の空間が歪み、大きな穴が開いていく。
そこから姿を現したのは―――悪神ロキとフェンリルだった。正面から出てきた。
「目標確認。作戦開始」
バラキエルが耳に付けていた小型通信機からそう言うと、
ホテル一帯を包むように巨大な結界魔方陣が展開し始めた。和樹が俺たちとロキ、フェンリルを
戦場に転移させるため、大型魔方陣を発動させたんだ。ロキがそれを感知するが、
不敵に笑むだけで抵抗は見せなかった。そして、俺たちは光に包まれる―――。
・・・・・・。
次に目を開いた時、そこは大きくひらけた土地だった。岩肌ばかりだ。古い採石場跡地って
この場所だったのか。確かに、ここなら思う存分力をセーブしなくてもいいってことだ。
「―――さて、始めようか」
左手に赤い籠手を装着し。
「
赤いオーラに包まれる最中、オーラが鎧へとなり、俺の全身を包んでいく。
「赤龍帝がもう一人だと・・・・・?」
「正確には偽物だけどな」
『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBOostBoost!!!!!』
力を増幅し、溜める。その力を―――。
「相手に譲渡する他のやり方を、お前に見せてやるよ成神」
カッ!
『Transfer!!!!!』
全身の宝玉が光り輝き、俺を中心に力の波動が生じ、皆に直撃すれば、
全員の力が何倍にも膨れ上がった。
「凄い・・・・・一歩も動かず私たち全員に力を譲渡した・・・・・」
「―――これなら、いける!」
「ちっ!力を譲渡されても俺は強いのによ!まあいい、いくぞ!」
兵藤照が最初に動きだした。物凄い勢いでロキに突っ込んでいく。
「ふははは!浮遊することができない人間なんぞ、これ以上狙いやすいものはない!」
ロキは全身を覆うように広範囲の防御式魔方陣を展開させる。
―――と、思ったら、その魔方陣から魔術の光が幾重もの帯となって、兵藤照に放たれた。
「まったく、あいつは真っ先に行ってしまうんだから。
フォローする俺たちの気持ちも考えろって」
―――不意に、真上から膨大な質量の岩が現れて、ロキの魔術の攻撃を兵藤照から防いでみせた。
表面が削れてもすぐに元に戻るその光景を、
こんなことできる奴は一人しかいないととある人物に振り返る。
「お前か、兵藤淡河」
「ああ、お前の力の譲渡のおかげで数十倍の岩を扱えるようになっているからな。
―――こんなこともできる」
そう言って、兵藤照がロキの魔方陣に拳を突き刺し、
魔方陣を砕いた光景を尻目に兵藤淡河が全身に岩を装着し始めた。
それもぐんぐん大きくなりながら。
全長50メートルはあろう、巨大な人を模した岩の塊が俺の視界に飛び込んできた。
「さぁーて、俺は狼でも倒すとするか!その上、ここは俺の領域だ!周りは岩、土、鉱石!
俺のフィールドだ!大地は俺の味方!故に俺は負けることはない!」
ドスン!ドスン!と怪獣が歩む足音をあいつが地鳴らせ、フェンリルへ赴いた。
「ふははははっ!そんな木偶の坊みたいな者に我が子フェンリルが負けるわけがなかろう!
―――いけ!」
哄笑するロキが兵藤照に攻撃を仕掛けながら指を鳴らすと、
静かに佇んでいたフェンリルが一歩前に進みだした。
「―――よぉ、面白そうなことをしているじゃんか。俺たちも混ぜさせてもらうぜ?」
―――――っ!?
この場に轟く女の声。しかも、この声は―――――ッ!
俺たちとロキとフェンリルの横に巨大な魔方陣が出現した。
―――その魔方陣から、光と共に現れる何千の集団。その先頭に立つ四人の姿。
「はっはっはぁっ!相手は北欧の悪神とフェンリル、グレモリー眷属とシトリー眷属、
それと兵藤家!全員纏めて倒せば名が挙がるぞ!」
・・・・・なんで、お前らがここに現れる・・・・・っ!
「貴様・・・・・ヴァンッ!」
「よぉー、バラキエルじゃないか!はっはー!久し振りだなぁっ!
「よくもおめおめと俺の前に現れたな。アザゼルに変わって俺がお前を捕まえ、
コキュートスに閉じ込めてやる!」
堕天使の女、ヴァン。他にもシャーリや、シャガ・・・・・子供のころ、俺と戦った悪魔までもが
いた。後にいる集団は・・・・・『真魔王派』の悪魔たちか!
「ロキ!あいつらの出現に貴様が関係しているのか!」
「愚かな、誰がテロリストなどと手を組むか。我も狙われている対象になっているがその証拠だ」
バラキエルがそうロキに問うたら、ロキは否定した。
だろうな。だが、三すくみだなんて面倒極まりない!
兵藤家の奴らも引き連れて来て正解だったか!
「―――全員に告ぐ。大変だろうが、ロキとフェンリル、『真魔王派』を両方とも相手にする」
バラキエルの手元が電撃で迸る。グレモリー眷属やシトリー眷属は当惑するが、
相手が増えただけであり、倒す相手が目の前にやってきたことで気を引き締め直す。
「兵藤淡河!お前は他のメンバーと一緒にテロリストと戦ってくれ!」
岩の巨人は首を縦に振って、体を悪魔の集団へと向けて歩みだした。
「一誠さま、私たちも悪魔たちを討伐してまいります!」
「どうか、御武運を!」
兵藤家のメンバーたちも一斉に『真魔王派』に向かって攻撃を仕掛けに行った。
対する『真魔王派』も一斉に俺たちへ襲いかかってくる。
「兵藤一誠、お前はロキの方を頼む。俺はヴァンとする」
「・・・・・復讐の対象者が目の前にいるのに、俺が何もしないとでも思うか?」
「いまはオーディン殿の会談を成功させるためにもロキを撃破することが必要だ。
そのことを貴殿は理解しているはず」
「・・・・・ふん、向こうから来たようだぞ」
「っ!」
そんなこと言われなくても分かっている。だが、そうそう簡単に事を運べれる訳がない。
「はははは、よぉ、ガキ。今回は龍にならないんだな?」
ヴァンが不敵の笑みを浮かべ、声を掛けてくる。
「龍化になるよりも確実に倒せるものがあるからな。そっちを使わせてもらう」
腰に携えていたミョルニルを手にして、巨大化にし構える。
このミョルニルを見てシャガが目元を細めた。
「雷神トールが持つミョルニルか・・・・・厄介な物を持っていたな。
いや、悪神ロキに使うため用意したのだろう?」
「そういうことだ。でも、お前らが現れてくれて俺は感謝感激涙が出るぜ。
―――この場でお前らを殺してやるからよ!」
横殴りでミョルニルを振る。雷を纏ったハンマーは真っ直ぐヴァンたちに襲う。
―――が、容易くかわされた。
「当たらなければどうってこともないな!」
嬉々として笑みを浮かべるヴァンが光の槍を発現して俺に襲ってくるのであった―――。
―――リアスside
まいったわ、まさか・・・『
思いもしなかった。ロキ打倒と為に集まった戦力が必然的に分散してしまい、
対処することになってしまった。ロキの相手は赤龍帝のイッセーと白龍皇のヴァーリ、
兵藤照の三人。フェンリルはヴァーリチーム。
残りのメンバーはテロリストと相手に。数がこっちの方が多いため、
ロキは少人数で任せないといけない。
「消し飛びなさい!」
滅びの魔力で一気に数十人の悪魔たちを蹴散らした後。
今度は、イッセーの見様見真似で魔力を具現化させた二対四枚の翼を巨大化させ、速く、鋭く
振るって敵を切り刻む。
「―――悪滅の翼、と名付けようかしら」
自分の翼を見てそう名付けてみた。彼と共にいると自然と力が増す。
「アーシア、私から離れないようにね」
「は、はい・・・」
と言うものの。なぜか、彼女がミョルニルを持っているのは不思議でならない。
「ねえ、どうしてミョルニルを持っているのかしら?」
「えっと、兵藤さんに渡されまして・・・・・」
「イッセーに?」
「はい、色々言われましたけど、省略すれば、私なら使えて、自分の身は自分で守れ・・・と」
・・・・・イッセー、あなたは何を考えてアーシアに渡したの?
もしかして、こんな状況になるかも知れないと思って渡したのかしら・・・・・。
「―――やぁ、久し振りだねアーシア」
「「っ!?」」
この声は・・・・・っ。アーシアに声を掛ける人物に振り返ると―――そこには、
ディオドラ・アスタロトがいた。
「ディオドラ・・・・・!」
「おっと、リアス・グレモリー。僕はキミじゃなく、アーシアに用があるんだ。
―――邪魔、しないでもらえるよね?」
「っ!?」
何時の間にか私とアーシアの周囲には囲まれていた。しかも、彼の眷属に。
「アーシア、僕と一緒に来てもらうよ?」
「・・・・・」
「ふふ・・・・・ようやく、ようやくこの時が来たよ」
笑みを浮かべるディオドラ。アーシアは体を震わせ、私の後ろに隠れる。
「ディオドラ。あなたの趣味と性格を調べさせてもらったわ」
「へぇ?そうなんだ。じゃあ、僕がアーシアを求める理由は分かるよね?」
「ええ、反吐が出るぐらいあなたは最低だわ。
―――だからこそ、アーシアをあなたには渡さないわ!」
「この状況で良く吠えれるね。キミの眷属悪魔は散り散りになって戦っているじゃないか。
それに比べ、僕は眷属とキミたちを囲んでいる。
さて、どっちが有利なのか知的なキミならすぐ分かることだ。チェックメイト、だよ?」
これがゲームだったら確かに私は詰んでいたかもしれないわ。でも、今は現実。
戦いは決着がつくまで分からないことが多いもの。
―――私の敗北と言うわけじゃないし負けてなんかいないわよ!
ズドォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!
聖なるオーラが奔流と化となって戦場をかき乱していた。あのオーラは・・・・・!
「誰かと思えば貴様か、ディオドラ・アスタロト。丁度良いここで貴様を断罪してくれる」
「ゼノヴィアさん」
「私たちは教会の敵であるあなたを絶対に許さないわ!」
「イリナさん」
ザッ!とどこからともかく現れたゼノヴィアと紫藤イリナ。―――感謝するわ!
「聖剣使いか。でも、数じゃ僕の方が上だよ!さぁ、アーシア。こっちにおいで!
リアス・グレモリーとその仲間たちの命が大事なら尚更だよ」
「・・・・・っ」
私の制服にギュッと掴んで、嫌だと意思表示するアーシア。
ええ、あなたはそれでいいの。あなたは私たちをサポートしてくれれば・・・・・。
「・・・・・ディオドラさん」
「なんだい?」
アーシア―――?
「私を求めている理由は・・・・・私の体だけなのですか?」
「体だけじゃないよ。キミの心も僕は欲しいんだ。アーシアを愛くるしいほどにね」
「・・・・・本部の教会に通じていた有名なシスターや聖女さんたちを騙して、
欲望のまま弄んでいるとお聞きしました」
「あれ、悪魔って自分の欲望に忠実で、悪魔は人間にとっても天使にとっても最悪な敵だと
認知されているよね?僕、悪魔らしく欲望を解放して
思いのまま生きているつもりなんだけど・・・・・同じ悪魔のアーシアになら
分かるんじゃないかな?だって、キミだって欲望はあるよね?」
人間にとって悪魔のイメージは『悪』で『魔』な存在。今はともかく十年以上前では、
人間たちの世界で闊歩する異種族に畏怖の念を、恐れ戦き、恐怖を抱かれた。
―――自分たちとは全く違う種族。
悪を象徴する魔の存在が人間界に堂々と歩かれていたら、
何かのはずみで自分たちの魂を抜き取られるんじゃないかって思う人間は多かった。
「・・・・・確かに、私も欲望と言うものがあります」
「うん、そうじゃなかったら悪魔とは言えないね」
「ですが・・・・・」
真っ直ぐ、アーシアは瞳をディオドラに向けた。
「同じ悪魔でも私はあなたのような悪魔にだけはなりません!」
カッ!
アーシアがそう叫びながらミョルニルを掴んだ時、
ミョルニルが光を発し―――ぐんぐん大きくなった。
「・・・・・え?」
「これ以上・・・あなたの手によって他のシスターや聖女の皆さんの人生を
狂わせるわけにはいきません!」
バチッ!バチッ!バチッ!
「私の手で―――あなたを倒します!」
ミョルニルに雷が迸る。
「ちょっと待ってくれアーシア。僕はキミを幸せに・・・そ、それにほら、僕の眷属は皆、
僕のことを好意を抱いて―――」
「あなたに抱いているその心は本心からではありません!
皆、あなたに騙されて絶望から生んだ偽りの心です!」
『―――っ!?』
「ディオドラ・アスタロトさん・・・・・・私は、あなたを死んでも許しません!」
あの、アーシアが・・・・・。
「てやああああああああああああああああああああああああああああああっ!」
アーシアがミョルニルを真っ直ぐディオドラに振るった。
ディオドラは迫る雷を纏ったミョルニルに防御式魔方陣を展開した。
「ぐっ・・・・・!?」
バリンッ!
「てい!てい!てい!」
一回だけじゃなく、何度も何度もミョルニルを振るった。
その度にディオドラが張った魔方陣が砕け消失していく。
「や、止めてくれアーシア!僕はテロリストになったのだって、
渋々でしょうがなくなっただけなんだよ!?」
「うるさいです!聞く耳なんて持たないです!
あなたなんてイッセーさんの方が何万倍も格好良いんですから!」
・・・・・あなた、何気に惚気たわね。ディオドラも余裕ができなくなったのか―――。
「キミたち!僕を守るんだ!」
と、自分の眷属に指示を下す。でも―――返事がなかった。なぜならば、
「すまないな。貴様とアーシア・アルジェントが話している間に倒させてもらったよ」
「油断大敵ってね!」
ゼノヴィアと紫藤イリナの手によって地面にひれ伏していたからだった。
その光景にディオドラは大きく目を見開いた。
「―――これで」
大きくミョルニルを振り上げたアーシア。
「終わりです!」
ディオドラは苦渋に満ちた顔で足元に魔方陣を展開して。逃げるつもり―――!?
「逃がさないわよ!」
紫藤イリナが聖剣を鞭のように変えて、ディオドラを拘束した。
「なっ、くそ、放せよ!」
「そう言って放すバカはいないわ!―――アーシアさん、今よ!」
「はい!」
力強く頷いたアーシア。彼女は一度ディオドラを真っ直ぐ睨んで、
「さようならです」
ミョルニルを思いっきり振り下ろした。
―――木場side
「やぁやぁっ!お久しぶりでござんすねぇ!」
「・・・・・フリード・セルゼン」
何故彼がここにいるんだ・・・・・。僕、木場祐斗は不思議でしょうがなくいる。
「おんやぁ?もしかして、どうしてここに俺さまがいるって思いましたかぁ?」
「・・・・・」
「あらあら、どうやら図星のようですねぇ?
まっ、僕ちゃんがここにいるってのは至極的超分かりやすく言えば、
俺はテロリストに拾われたのさ!クソアザゼルにリストラ食らっちまってよっ!
行き場を失った俺にテロリストどもが、力をくれるって言うから何だと思えば―――」
彼の体が異様に隆起した。
「ぎゃははははっ!キメラだってよぉっ!」
・・・・・すでに人間を捨てていたのか。いや、元々あの男は狂っていた。
あんなふうになってしまうのはもはや時間の問題だったのかもしれない。
「そんじゃ、あんとき俺を切り刻んだイケメンナイトくんを
今度は俺がチョッパしましょっかねぇぇっ!」
異形へと成り果てたフリード・セルゼンが腕に鋭利状の刃物を生やして突貫してくる。
「・・・・・ふぅ」
溜息を一つ。集中するんだ。
「―――『
ザンッ!
周囲一帯に刃が咲き乱れる。
「はっ!んな技は、今の俺には見切っているってーわけなのですよ!」
フリード・セルゼンは大きく跳躍する。地面から生える僕の魔剣の数々は空高くまで伸びない。
「超絶無敵のフリードさんをよろしくってなぁっ!」
「―――空中に飛んで避けなければ、もっと違った結果だったろうね」
「何ゴチャゴチャと―――っ!?」
苛立ちの顔を見せるフリード・セルゼン。
だが、宙から襲いかかってくる彼の周囲には―――虚空から出現している数多の聖魔剣。
「・・・・・なんですと?」
―――刹那。数多の聖魔剣が光速の速度で真っ直ぐと動き、フリード・セルゼンの全身に
突き刺さっていく。
「うぎゃああああああああああああああっ!?」
「キミはもうこの世からいなくなった方が良い」
真上に巨大な聖魔剣が虚空から出現し―――フリード・セルゼンを貫いた。
周囲にいた『真魔王派』の悪魔たちも巻き込み、巨大な聖魔剣は深々と地面に刺さった。
「彼の力がなければ、できなかった芸道だよ」
体はまだ動く。かなり精神や魔力を使ったが、皆がまだ頑張っているんだ。
僕も頑張らないとね。
―――一誠side
「久し振りだな。一誠」
「お前は・・・・・あの時のはぐれ悪魔か」
「今回で二度目の再会となるが・・・・・あの時の続きをしようじゃないか」
幼い頃、リアス・グレモリーたちを攫おうとしたはぐれ悪魔が俺の前に。
「俺も強くなっているようにお前も強くなっているじゃないか。
これで、お前を心置きなく倒せるということだ」
「ヴァンたちと行動していたとはな。どんな理由で一緒にいるんだ?」
「お前繋がりだ」
・・・・・何となくそう思ったよ。
「そーいうこった。ヴァルヴィは俺たちと一緒にいるわけだ」
シャガが肯定と発する。
「さて、お前と勝負をしようか」
ヴァルヴィと呼ばれた悪魔があの時とは違い、本気で攻撃してきた。
魔方陣を幾重にも展開したその魔方陣から―――巨大な生物たちが現れた。
「文句はないよな?」
「・・・・・」
あれ・・・・・なんだ?全身の筋肉が隆起していて凄い覇気を感じる。
それが―――顔中が傷だらけでキラキラと輝く水色の髪と羽衣を身に纏った女じゃなかったら
目を疑わなかった!いや、あれは女じゃない。漢女だ!
他の魔方陣から出てきた生物も似たような奴らばっかりだ!
「なあ・・・・・その生物って名前は何だ?」
「なんだ、知らないのか?」
―――恍惚とした表情を浮かべ、あろうことか・・・・・あいつは唇を漢女の頬に押し付けた!
「こいつら皆、ウンディーネだぞ?」
「―――――っ!?」
・・・・・全身がブルリと悪寒で震えた。ウ、ウンディーネ・・・・・?
俺が見聞したウンディーネはおしとやかで優しい心の持ち主の精霊だったハズだ・・・・・。
「嘘だっ!」
「いや、あれはまさしくウンディーネだ。
しかも、どれもこれも覇気を感じるウンディーネ。長年戦い続けた歴戦の精霊だろう」
横から肯定の言葉を言われちゃったよ!否定してほしかった!
あんなウンディーネが存在していただなんて俺、知りもしなかったよ!
「名前もあるんだ。水色のこの子はマリン。黄色のこの子はサンナ。緑色のこの子はセリー。
赤い色のこの子はライラ。ピンクのこの子はミルタンだ」
あいつが自分の精霊の名を呼んでいくと、精霊が反応して―――マッスルポーズをする!
「・・・・・・ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん・・・・・・」
無念だと俺は嗚咽を思わず漏らした。違う、違う!世界は広いえど、
あんな精霊がいてたまるか!何よりも―――!
「俺は目の前のウンディーネを女だとは認めない!」
「んだと・・・・・?」
「まだ和樹のウンディーネの方が可愛い!俺は断言する!
それに、そいつらが女だと言うなら、俺の使い魔の方がもっと可愛い!」
魔方陣を展開して、!『
腰まで伸びたロングストレートの青い髪。瞳は金色で、青を基調とした服を身に纏っている女性だ!
「ん?ウンディーネがいるじゃないか。最近、姿を見せないなと思ったら
悪魔の使い魔になっていたのか」
「ああ、俺は力強い女が好きでな。俺の女の趣味は力がある女だ。
それもこんな鍛え上げた筋肉の持ち主だ」
ティアまでもがウンディーネと認識しているし、誰もお前の女の趣味なんて聞いてねぇっ!
「ティア、一緒に戦ってくれ」
「ふふっ、良いだろう。久々に暴れたかったところだ。
相手はウンディーネとは相手にとって不足はない」
嬉々として笑みを浮かべるティア。青い魔力を全身から迸らせたまま、攻撃態勢になった。
「―――お前の力を借りるぞ、羽衣狐」
一人呟く俺。―――隣に虚空から現れた黒を基調としたセーラー服を身に包む黒い長髪の女性が
冷笑を浮かべる。
「勿論じゃ。妾の力はそなたのために・・・・・」
背中から抱きついてきては、俺の頬に唇を押し付けてきた。
「お前・・・・・そうか、あの時感じた魔力の正体は―――お前だったのか」
ヴァンが何か呟いていた。なんだ、何か知っていたのか・・・・・?
まあいい。―――こいつらを倒し、殺す。
「「
―――成神side
テロリストが乱入してどらぐらい経ったのだろうか。
マジで戦争みたいに混沌と化となってロキとフェンリル打倒どころじゃなくなっている。
「ふはははっ!ふははははははっ!」
ロキは壊れたかのように笑い続ける。『真魔王派』の悪魔たちを躊躇もせず、
北欧の魔術で蹴散らしていく。
フェンリルは犬のように「待て」の体勢で、ジッと腰を下ろして佇んでいる。
「愉快、愉快だ!この愉快を感じ続けるためにはこちらも戦力を増やそう!」
両腕を広げたロキの両サイドの空間が激しく歪みだした。・・・・・な、なんだ。何をする気―――。
ヌゥン。
空間の歪みから、何かが新たに出てくる。灰色の毛並み。鋭い爪、感情が籠らない双眸。
そして、大きく裂けた口!
「スコルッ!ハティッ!
ロキの声に呼応するかのようにそれらは天に向かって吠えた。
オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!
オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!
夜空の雲が晴れ、金色に輝く満月が姿を現す。月の光に照らされて、
二匹の大きな獣―――狼が咆哮を上げていた。―――フェンリルッ!ウソだ!
まだ他にもいたのかよ!?
「さあ、スコルとハティよ!我と父の敵であるやつらにその牙と爪で食らい千切るがいいっ!」
ビュッ!風を切る音と共に二匹の狼がテロリストと部長たちのもとへ向かっていく!
「ついでだ。こいつらの相手もしてもらおうか」
ロキの足元の影が広がり、そこから――巨大な蛇!
いや、体が長細いドラゴンが複数も現れる!・・・・・てか、あの姿、見覚えがあるぞ!
かなり小さくなっているけど、間違いない!
―――『
数は・・・・・はっ?十五匹だとっ!?
「ふふっ、三大勢力戦争とはいかないが、この戦いも戦争並みに過酷な戦況になっていくな。
隣にヴァーリが鎧越しで楽しそうに言ったその時だった。
カッ!
宙に巨大な魔方陣が展開した。あれは・・・・・
空に浮かぶ巨大な魔方陣が光り輝く。
その魔方陣から―――嬉々として哄笑を上げる三つ首のドラゴンが現れた。
ギェエエエエエエエエエエエエアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!
『「
まあ、あの邪龍なら量産型のミドガルズオルムなど容易く屠らすだろうな』
ドライグが当然のように言う。あっ、本当にミドガルズオルムの方へ向かって行った。
刹那―――。親のフェンリルがアジ・ダハーカに襲いかかった。あ、あいつ・・・大丈夫なのか?
『寧ろ、逆の方を心配した方が良いだろう。
奴の能力は何も千の魔法や不死だけではないからな』
えっ?それはどういうことだ?
『まあ、見ていれば分かる』
見ていればって・・・・・アジ・ダハーカがフェンリルに翻弄されているぞ。
牙やら爪やらで傷だらけに―――。
『ハハハハハハハハッ!神を噛み砕く牙の威力はその程度かッ!!!!!』
全身を血で濡れているアジ・ダハーカが狂喜の笑みを浮かべている。
ま、マジかよ。フェンリルの攻撃を喜んで受けているのか!?
と、恐れ戦いている俺の目にアジ・ダハーカの血に異変が生じている光景を映した。
まるで生きているかのように血が何かの形になっていく。
『ゆけ、我が分身よ!全てを喰らい尽くすがいい!』
ギャァアアアアアアアアアァッ!
ゴガアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!
ギィィイイイイイイイイイイイィィイッ!
真っ黒な虫、爬虫類、動物、ドラゴン。それらがアジ・ダハーカの血から生まれて、
量産型のミドガルズオルムや親のフェンリルに向かって行った。
あっ、『真魔王派』の方にも向かって行く!
『相棒、あれがアジ・ダハーカの力だ。
奴は自分の血を分身に変えて戦力を増やす能力を有している。その上あいつは不死だ。
アジ・ダハーカを退治するならば、封印するしか方法がない。
奴は邪龍の筆頭格の一匹と数えられるほどの最悪なドラゴンだからな』
マジかよ・・・・・兵藤の奴。どうやってそんなドラゴンを・・・・・。
『さあな。何か惹かれるものがあったからではないか?真龍や龍神ですらあの男の傍にいる。
―――兵藤一誠、面白く変な男だ』
それ、褒めているのか?
『一応な』
サイですか・・・・・。