―――休校後のリトルとラグナロク終了後―――
朱乃の母親を蘇生させた代償として魔力、気力、体の力が失い、
指一本も動かせない状態でアザゼルに担がれ、家に戻った俺は―――。
『・・・・・』
ベッドに横たわっていて、肉食獣の群れに放り込まれた草食動物の状態でいます。
「・・・・・まったく、お前は何をしているのだ」
「突然アザゼルに担がれて帰って来た時はビックリしたよ?」
「にゃー、『気』も殆どないにゃん。カラッカラだねー?」
殆ど呆れ混じった声音で言われる。
「・・・・・ごめん」
「この感じ・・・・・あの力を使ったんですか一誠さま」
リーラが何かに気付いたようで俺に問いかけてきた。
彼女の言葉を当然反応するのはこの場にいる皆だ。
「あの力とはなんですか?」
「『
―――『
「あの力?」
リアス・グレモリーが疑問を浮かべた。リーラは当然のように首を縦に振った。
「ええ、特に『命』の珠の力を使うと全ての力を消費する代償してしまうんです」
「そんなリスクがある力を使ったと、彼を見て分かるものなのですか?」
「はい、何せ私は長年一誠さまに仕えておりますので―――少しの異変すら気付いてしまいます」
『・・・・・』
ある意味、今のリーラの言葉は優越感が籠っている。
それを聞いてリアス・グレモリーたちは一瞬、悔しそうな顔を浮かべたのは
気のせいではないと思う。
「今回は力そのものが消費したようですね。以前では一週間も寝たままでしたからね」
「ああ、今回はこれだけで済んで安心したと同時に皆に心配かけた罪悪感を感じている」
「であれば、あまりあの力を多用しないでください。
今度はあなたの命すら代償してしまう恐れがありますから・・・・・」
リーラの言葉に素直に首を縦に振った。それだけは絶対に勘弁だ。
まだ死ぬわけにはいかないからな。
「では、一誠さまは安静していてお過ごししてください。
幸い、学校は休校状態ですので、回復に集中ができます」
「ん、そうする」と、同意する。本当、不謹慎だが休校状態で助かった。
「ロスヴァイセ、セルベリア。早速、メイドとしての務めが参りました。
一誠さまに健康の良い食事を作りますよ」
「任せてください。ヴァルハラ式の栄養食は作れます」
「私もだ」
俺の戦乙女、ヴァルキリーのロスヴァイセとセルベリアが部屋から退室した。
「んじゃ、白音。私たち姉妹は仙術で少しでも早く回復できるように施すわよ?」
「・・・・・わかりました」
そう言って銀華と塔城小猫が部屋から出て行った。あれ、なぜに?
「僕は兄さんに頼んで元気ドリンクでも用意しますね」
「式森家式の回復術でも施しておくよ。
兵藤家の一誠にどれだけ効果があって効くかどうか分からないけど」
龍牙も部屋からいなくなり、和樹が天井に魔方陣を発現して、魔方陣の光に包まれだす。
―――パキィンッ!
が、魔方陣が割れた音と共に消失した。・・・・・え?
「え?」
和樹も俺と同じように唖然とした面持ちでいた。すると、この原因がすぐに分かった。
『すまない。今の主は我の力を制御できなくなっている。
故に、魔法を使ったり仙術で癒そうとしても我の力で無効化される』
右手の甲に宝玉が浮かんで点滅と共に語り出すのはゾラードだった。和樹は口を開く。
「というと・・・・・自然治癒で治るのを待つしかないと?」
『ああ、その通りだ。薬なら無効化されないから問題ないだろうが、我の力は暴走状態だ。
今はこの部屋の空間自体が無効化の能力が掛かっている。主が回復するまでこの部屋は、
我の力が支配し続けるから注意しろ』
「・・・魔力が使えない状態ですか。この家にいる限り魔力を使う機会はないと思いますが?」
ソーナ・シトリーが首を傾げた。確かにそうだ。俺の部屋で魔力を使う機会はないはずだ。
でも、それでもゾラードは。
『念のためだ』
こう言うのであった。
「んー、魔法が使えないなら、どうすることもできないね」
「悪い」
「気にしないで、しょうがないさ。それじゃ、また後で様子を見に来るからね」
それだけ言い残し、和樹も部屋からいなくなった。―――残りはこいつら、皆か。
「イッセー、何か私にできることがある?」
「何でも言ってください」
「うん、そうだよ」
「そうだな、イッセーには世話になっているしここで少しでも恩返しをしたいかな」
「幼馴染としては放っておけないのよ!」
「楼羅、兵藤家式の栄養料理でも作ろ?」
「ええ、何もしないでいるよりはいいでしょうね」
一方が俺に何かを願い、一方は俺の為に料理を作りに行った。
「イッセー、ありがとうね」
「何だ急に」
「朱乃のお母さまを甦らせてくれたことよ。そのことに感謝の念を抱いているの」
「ああ、そういうことなら気にしないでくれ。
俺がそれをできる力を持っていたからやってみせただけだ。
今頃あの家族は久し振りの家族団欒でもしていると思うし」
明日、お礼をしに来て今の俺の状態に驚くだろうがな。
心の中で思い浮かんだ俺は自然と笑みを浮かべた。
「・・・うん、やっぱり私はイッセーくんの背中を追って良かったわ」
「イリナ?」
「だって、イッセーくんはヴァーリのように救ったじゃない。
今度は自分自身の手で。家族の絆を再び結ばせた」
幼馴染のイリナがニッコリと笑んだ。
「イッセーくん。これからも悲しんでいたり、困っていたり、
辛い思いをしている人がいたら今度は一緒に救おうね。約束だよ?」
俺に小指を立てた。でも、俺はそれに応えることができない。
「あっ、指を動かせない状態だったんだね」
ゴメンゴメンと、俺の手を掴んで小指をイリナの小指と絡ませる。
これだけで約束をしたということになる。
俺とイリナ、ヴァーリの間で決めた指きりだ。
「むっ、イリナと同じ同業者である私を除け者なんて許さないぞ」
不満げに言いながら便乗するゼノヴィア。
「私も付き合うからな。イッセー」
「ゼノヴィアの場合、デュランダルで敵を倒し続けていた方が役立つと思うわ」
「・・・ほう?つまり、私は人を救えないと言いたいのだな?」
眼光を鋭くし、イリナに問えば、
「敵に襲われている人を助けるのがゼノヴィアの方が適任だと言いたいのよ」
呆れ顔でゼノヴィアの長所もとい短所を告げたイリナだった。ゼノヴィアは首を縦に振りだす。
「なるほど、そう言うことなら確かに私の方が合っているな。イリナは攻撃の威力が弱いからな」
「パワータイプのゼノヴィアには言われたくないわ!私だって努力をしているんですもの!」
「よし、ならば私と勝負するか?勝った方は梅屋の牛丼スペシャルを奢ることだ」
「望むところだわ!」
牛丼一杯を懸けて勝負するなんてなんとまあ・・・・・低いな。二人もいなくなった。
段々と数が少なくなるな。
――――ゴソゴソ。
「ん?」
俺が寝る布団に誰かが接近してきた。誰だ?
と思い、視線を送っていれば・・・顔をヒョコリと出す龍神さま。
「オーフィス?」
「ん、我も寝る」
そのままオーフィスは俺の腹の上で寝始めた。んー、そうだな。
「悪い、俺も寝るわ。用があったら起こしてくれ」
「ええ、分かったわ」
目蓋を閉じ、息を吸って―――吐いた途端に意識を半ば強引に落とした。
―――○●○―――
「・・・・・ん・・・・・」
どれぐらい時間が経ったか・・・・・?不意に眠りから覚め、
おぼろげな状態の瞳で辺りを見渡した。
なに、この状況・・・・・?ロスヴァイセとセルベリアが隣で俺の腕を枕代わりにして寝ていて、
リーラが俺の手を握って寝ていたり、何故かグレイフィアまでもが俺の手を握って寝ていた。
腹の上にはオーフィスがいるのは分かる。でもだ、
『・・・・・』
何時の間にかリアス・グレモリーたちが俺を囲むように寝ているのはなぜだろうか?
しかも、この感じ・・・・・翼を展開している?メリア、どういうことだ?
『我の力も制御できなくなっております。
勝手に
で、どうして皆が俺の周りで寝ている?
『主の翼から感じる温もりに心地が好過ぎたのでしょう。
翼に触れた途端に眠気が襲って各々と寝始めたのです』
あー、そういうことか。にしても、やっぱりまだ体が思うように動かせん。
『あと数日ぐらいはこの状態かと。頑張ってください』
おう、分かった。
ガチャ・・・・・。
「・・・・・あら」
「おっ」
俺の部屋に入室した少女―――姫島朱乃。
「・・・・・皆さん、寝ておられますのね」
「騒がれるよりは静かでいい。それよりも、母親の傍にいなくていいのか?」
「ええ、大丈夫ですわ。―――この家に連れてきましたので」
彼女は視線を扉の方へ向けた。朱乃の視線に視線を追えば、
甦らせた朱乃の母親が静かに入ってきた。
「・・・・・兵藤一誠くん、ですね?」
「ああ、そうだけどこの状態で悪い。今現在、指一本すら動かせない状態だからさ」
「構いません。寧ろ、私を甦らせたことに感謝しております。
娘や夫から色々と聞きました。そして、兵藤一誠くん、あなたのことも」
姫島珠璃はゆっくりとこっちに近づく。
「これからどうするんだ?」
「そうですね・・・・・できれば、娘と一緒に住みたいと思っております。
どうか、この家に私を住まわせてもらえないでしょうか?」
「母さまは私の部屋で一緒に寝てもらいますから・・・・・お願い、イッセーくん」
なんだ、そう言うことなら問題ないぞ。
「別に良いぞ。それに空き部屋はまだあるし、あなたが好きな場所で寝ても問題ない」
「寛大な処置に感謝いたしますわ」
「イッセーくん、ありがとう・・・・・」
二人から感謝の念を伝わる。
「俺はしばらくこの状態だ。朱乃、家の中を案内でもしてくれば?それかシンシアに頼んでさ」
「はい、そうさせてもらいますわ」
朱乃は母親を連れ部屋から出て行く―――。
「あっ、イッセーくん」
「なんだ?」
何時ものニコニコスマイル顔で彼女は言った。
「―――今日から、私もあなたを狙いますから♪」
「・・・・・」
「うふふ、それじゃあね、イッセー♪」
バタン・・・・・。と扉が閉まった。俺・・・・・またフラグを、旗を立たせてしまったか。
「・・・・・二度寝しよ」
現実逃避如く、俺は再度意識を落としたのであった。