―――サイラオーグside―――
「ふんっ!」
ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!
俺はサイラオーグ・バアル。眷属と川神学園の生徒たちと北の地域に存在する雪の世界にいる
巨大なモンスターを倒し終えたところだった。
「す、すっげ・・・・・悪魔なのに拳一つで・・・・・」
「悪魔って色々といるんだね」
「というか、装備何一つも付けずにモンスターを倒すって・・・・・。
流石は次期人王決定戦で相手を一撃で倒した悪魔ですね」
仲間から称賛の声が上がる。ありがたいが俺たちはクエストを受けている。
「モンスターから装備の材料をはぎ取れ。その後は町に戻るぞ」
『は、はい!』
指示を下せば川神学園の生徒は我先と倒したモンスターに群がる。俺は何も必要としない。
「(兵藤一誠もきっと装備なぞ必要ないだろうな)」
何時しか真っ向勝負をしてみたい男を思って小さく唇の端を吊り上げた。
今頃、あの男はどうしているのだろうな?
ピピッ!ピピッ!
・・・・・通信だと?このゲームの世界に来て二日目だ。
仲間以外連絡手段を持っていないのだが。
「誰だ?」
『シーグヴァイラ・アガレスの「
アガレスの・・・・・?一体どうやって・・・・・いや、それよりも俺に通信をしてきたのだ。
何か彼女の身に遭ったのか。
「どうした、お前の主に大変なことでも?」
『いえ、兵藤一誠の方で厄介なことが起きております。
丁度、クエストをクリアしたあなたの力をお借りしたく連絡した所存ですよ』
兵藤一誠が・・・・・?「どういうことだ」と説明を求めれば―――。
『今現在、このゲームの世界にテロリストが乱入しました。
目的は川神学園の生徒と戦うことですが・・・・・テロリストは「九十九屋」というなんでも屋に
兵藤一誠を倒してもらうよう雇ったようです。
その者たちは兵藤一誠を苦戦させるほどの実力者です』
なんだと・・・・・あの男が苦戦?
『いまの兵藤一誠は不十分で戦っております。身に宿しているドラゴンはおらず、
真龍と龍神もいない。ですので苦戦に強いられております』
なるほど・・・・・そういうことか。
だが、身の内にいるドラゴンがいないとはどういうことだ?
『サイラオーグ・バアル殿のお考えになられていることは理解できますが、
いまは同士を救ってはくれませんか?こちらですぐに町まで転送いたします』
「ああ、了解した。頼む」
仲間の方もモンスターから装備の材料を剥ぎ取り終わっていた。
これですぐに町まで転送してくれるだろう。
「やってくれ」
『かしこまりました』
カッ!
俺たちの足元に魔方陣が展開した。本来なら、馬車で町まで戻るはずだが今回は違う方法で
町に戻る。仲間が困惑している表情を窺えるが―――。
「すまない。俺は町に戻ったら友人のところに行ってくる。
俺が戻るまで自由に行動していてくれ」
「へっ?それはどういう・・・・・」
「緊急事態だ。すまない。説明をしている暇はない」
魔方陣の光が俺たちを包み、町に直接転送された。説明した通り俺は―――とある場所で力が
異様に膨れ上がっている場所へと駈け出した。―――待っていろ、兵藤一誠。
―――リアスside―――
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!
銅鑼の鐘で大きく船全体に響き渡った。全長百メートルはある巨大なモンスターは
その鐘の音に怯んで、攻撃を中断した。
「バリスタと砲弾を撃ちなさい!」
『はいっ!』
船から発射される数多の巨大な矢。狙いを違わずモンスターの体に突き刺さり、
ダメージを蓄積していく。
「―――部長ッ!後方に船が見えます!」
「船?」
それに今頃?訝しんで可愛い下僕の報告に甲板から上半身だけ出して、
船の後に視線を向ければ―――確かに、私たちが乗っている船と似ている船が近づいてきていた。
「私たちと同じクエストを受けているようね」
もう一つの船が物凄い勢いで近づいてきている。私たちの隣にいる巨大なモンスターを挟む形で。
ドゴォンッ!ドゴォンッ!ドゴォンッ!
向こうから砲弾の音が聞こえてくる。戦闘集団クエスト・・・・・もしかしたらその神髄が
こういうことだったのかもしれない。二倍と成った攻撃は巨大なモンスターを
さらにダメージを与えて体力を減らし続けていった。すると―――巨大なモンスターが一際、
咆哮を上げて泳ぐ速度が遅くなった。どうしたのかしら・・・?
「ハンターの皆さん!ありがとう!これで積み荷が安全に運べれる!」
どうやら、迎撃に成功したようだ。そう、それならこのクエストは完了したということになるね。
それにしても・・・・・あの船に乗っているのは一体誰なのかしら?お礼を言いたいのだけれど・・・・・。
「って・・・・・ソーナ!?」
巨大なモンスターで壁みたいに向こう側の船が見えなくなっていたから誰が乗っているのかも
分からなかった。でも、それがなくなったから向こうの船が覗けれるようになったので、
船に乗っている面々の内の一人を見て私は思わず声を上げてしまった。
カッ!
次の瞬間。私の足元に転移用魔方陣が展開した。なに?このクエストはこの魔方陣で町に
戻るというの?
魔方陣の光は私だけじゃなく、私のギルドのメンバーや清楚たち、
ソーナたちにも包んでいることが分かった。
―――そして、完全に光が私を覆ったと思えば、何時の間にか町の中にいた。
「龍牙!?」
「え?」
ダッ!と、どこかへ駆けていく清楚のギルドメンバー。一瞬だけ顔が見れた。
とても焦心に駆られている顔だった。どうしたのかしら・・・・・。
「待って龍牙くん!どこに行くの!?」
彼だけじゃなく、清楚自身も追っていく。
彼女だけじゃない、彼女のギルドメンバー全員も追いかけていった。
「部長、あいつら一体どうしたんでしょうかね?」
「分からないわ。でも、私たちは身勝手に動けれない」
「―――リアスか!」
不意に私を呼ぶ声が聞こえた。その声がした方へ振り向けば、私のいとこがいた。
「サイラオーグ?」
「ソーナもいるようだな。丁度良い、俺と一緒に来てもらうぞ。緊急事態だ」
ガシッ!×2
「「はい?」」
「お前たち、すまないがお前たちのリーダーを借りる。
今後のクエストの攻略の相談をするために彼女たちが必要だ」
『は、はぁ・・・・・』
気の抜けた返事しかできない仲間たち。
サイラオーグは私たちを荷物のように脇で抱えて―――清楚たちが向かった方へと駈け出した。
「って、ちょっとサイラオーグ!これはどういうことなのよ!?」
「そうです!それよりも、この抱え方は・・・・・!」
「後でいくらでも謝る。だが、本当に緊急事態なんだ。―――兵藤一誠がテロリストと戦っている」
「「な―――!?」」
彼の話を聞いて私とソーナは絶句した。テロリスト・・・・・『
「それはどういうこと!?それにそれをどうやって知ったの!」
「シーグヴァイラ・アガレスの眷属悪魔から聞いた。兵藤一誠が苦戦しているとな」
「彼が・・・・・苦戦・・・・・!?」
有り得ない!あの彼がテロリストに苦戦するなんて・・・・・。
だって複数の
そんな異例中の異例の彼が・・・・・!
「驚く気持ちは分かる。だが、あの男は不十分で戦っているそうだ。
身の内に宿しているドラゴンは皆、いないようだ」
「―――っ!」
その話に私は思い当たることがあった。―――アジ・ダハーカがゲームにいた。
あの邪龍がいるということはイッセーの中はアジ・ダハーカがいないということ。
もしかしたら、他のドラゴンたちも彼から離れてゲームのクエストとして、
モンスターとして・・・・・!
『サイラオーグさま!』
駆けるサイラオーグの横に一つの魔方陣が展開して、巨大な獅子が飛び出してきた。
「レグルス?どうしてここに・・・・・」
『とある悪魔に事情を聞かされ転送されました。あなたの力になってくれと、
本来の力を振るって構わないと』
「・・・・・杉並か?だが、丁度良い!」
巨大な獅子に跨ったサイラオーグ。獅子は主を乗せ、さらにスピードを上げた。
―――清楚たちを追い越して。
「あの壁の向こうだ、レグルス!」
『はっ!』
―――って、どうやって壁の向こうに行けばいいのかしら。
階段なんて見当たらないけど・・・・・。
カッ!
私たちの目の前に一瞬の閃光が。光が止むと壁に巨大な穴が開いていた。これは・・・・・!?
「ふっ、気が利く」
小さく笑みを零したサイラオーグを乗せた獅子は真っ直ぐ壁に空いた穴へと潜った。
そして、私たちは外に出れた。
ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォンッ!
私たちとすれ違うように何かが壁に激突した。
「・・・・・っ」
その激突した何かを見た瞬間・・・・・私は目を丸くした。
「イッセー・・・・・ッ!」
服がボロボロで、至るところに血を流しているイッセーが壁を凹ませていた。
「お前ら・・・・・」
―――一誠side―――
杉並、援軍というのはこいつらのことか。
「イッセーッ!」
俺を介護しようと、巨大な獅子もとい獅子に乗っているサイラオーグの腕から降りて
近づいてくるリアス・グレモリー。
「しっかりして、イッセー!」
「いや、死ぬほど重症じゃないからな?」
「それでも、かなり苦戦している様子だな」
サイラオーグが近づいてくる。ははは、まーな。
「―――あいつら、寄って掛かって攻撃してくるもんだから流石にキツイって」
目の前に睨みながら言う。リアス・グレモリーたちも俺の視線の先に視線を向ければ
『英雄派』を捉えただろう。
「―――いや、それでもキミはとても強い。強過ぎるじゃないか」
全員が全員、服がボロボロで至るところに傷を負っている。
唯一、怪我をしていないのは龍牙の家族だ。
額から血を流し、頬を濡らすその血を舌で舐め取った曹操がそう言った。
「だが、どうして『
それとも使えないのか?」
「まあ、どっちも正解だな」
「そうか、それならそれを知った上でキミを倒させてもらうよ」
槍の先を俺に突き付ける。『英雄派』の構成員が一歩足を踏み込んだ―――その瞬間だった。
二つの影が物凄い勢いで空から降ってきては構成員を纏めて吹っ飛ばした。
「一誠を倒させる訳にはいかない」
「ああ、同感だ」
黒い長髪を靡かせ、赤い瞳を煌めかせる二人の少女。
「さーて、敵はどこのどいつだ?」
「一誠の敵は俺が纏めて薙ぎ払ってやる」
「百代・・・・・項羽・・・・・」
拳と武器を構える。そんな二人の名前を呟いたら、
「一誠さん!無事ですか!?」
龍牙が俺に駆け寄ってきた。
「あら、若じゃない。久し振りじゃのぉ」
「・・・・・よりによって、面倒な・・・・・」
「師匠・・・・・イヅナさん・・・・・っ!」
俺を苦戦に強いる二人を睨んだ。龍牙・・・・・お前の今の心情を理解できない。
「よりにもよってテロリストに雇われた上に僕の大切な友人に手を出すなんて・・・・・」
「すまない。こちらとしても仕事で雇主と依頼の内容は
依頼料を受け取ってからではないと分からない」
「―――そうやって今度は一誠さんを殺そうとするんですか?
それで僕の友達が何人も犠牲に・・・っ!」
「若・・・・・」
バツ悪そうに九尾の女性が顔を曇らす。烏間翔は溜息を吐いて―――小太刀を振るった。
「そこをどいてくれるか?仕事が果たせない」
「・・・・・今度という今度は僕も譲れないモノがあるんですよ師匠・・・・・いえ、翔さん」
龍牙の全身が光に包まれ、金色の全身鎧を纏った。
「僕の家の仕事の生業は、そういうものだって理解していますし、
血を染める仕事だってしなきゃいけないことだって分かってはいます。
でも―――僕の大切なものを奪って何もせずにはいられないですよ!」
「・・・・・」
「今の僕は神城龍牙という一学生だ。『九十九屋』のメンバーじゃない。
だから・・・・・一誠さんを殺そうというのなら、僕を殺してからにしろ!」
激昂し、龍牙は物凄い勢いで烏間翔に飛び掛かった。亜空間から大剣を取り出して斬りかかる。
「・・・・・はぁ・・・・・だからこうなることを予想していたんだぞ。―――総大将」
ガキンッ!
龍牙の斬撃を受け止めたのは烏間翔じゃない。
―――目つきが鋭く棚引く長髪の長身の青年が小太刀で受け止めた。
「ま、しょうがねぇだろう。悲しいことだがな」
「―――っ!?」
「久し振りだな龍牙。翔の言う通り、ちったぁ強くなったじゃないか」
誰だ?かなり親しげに話しているが・・・・・。
「なんで・・・・・あなたがここにいるんですか・・・・・・」
「『兵藤一誠を倒す』という仕事だ。今回の仕事はかなり重要でよ。
オレも出張らなきゃいけないようだし」
「・・・・・あなた自身が一誠さんを・・・・・」
「ああ、そういうこった」
―――刹那。龍牙から殺意が湧きあがった。
「この・・・・・天然女誑し・・・・・!
夜に女の人が持つ刃物で背中に刺されて死んでしまえっ!」
「「同感だ」」
「おい、何えげつねぇことを言いやがるんだこの弟と部下どもは」
お、弟・・・・・?おい、まさか・・・・・龍牙と総大将と呼ばれたあの青年は
兄弟だっていうのかよ。
唖然している俺を余所に、龍牙が総大将と剣戟を始めた。
一方、百代と項羽は―――『英雄派』の構成員を倒していた。
何時の間にか、和樹たちも曹操たちと戦っているし。しかも、本来の力で。
『なんとかなったな』
「杉並か?あいつらを呼んだのは」
『俺は神城龍牙とサイラオーグ・バアル殿しか伝えていない』
なるほどな。でも、正直助かった。一瞬だけ死を覚悟した。
『システムの方も整った。「九十九屋」以外の者たちを転送する』
「了解、任せた。でも、どうしてあいつらは本来の力を使えるんだ?」
『こちらで設定を変えた。でなければ、テロリストを追い返すこともできないだろう?』
お前、良い仕事をするよな。そう思っていると『英雄派』の足元に再び魔方陣が展開した。
今度は魔方陣が無効化されず、一人残らずどこかへと転送された。残るは―――『九十九屋』。
―――Heros.―――
「・・・・・ここはどこだ?」
真っ暗な空間に『英雄派』が転送されていた。
「不意を突かれたな。俺たちだけどこかに転送されたようだ」
「ゲオルグ、転移魔法で元の場所に戻れるか?」
「やってみよう」
曹操の質問にゲオルグは魔方陣を展開しようとしたその時だった。
―――ヌゥ、とゲオルグの背後から野太い腕が現れてガシッ!と羽交い締めしたのだった。
「なっ!?」
「ゲオルグ!?」
『英雄派』の構成員の一人が助けようと体を動かした瞬間、ゲオルグと同じように背後から
野太い腕に拘束された。しかも、他の構成員たちも暗闇から誰かに羽交い締めされていた。
「誰だッ!?クソ、放しやがれ!」
「・・・・・人間なのか?」
唯一、いや、何故か曹操だけ羽交い締めされずにいた。女性構成員も。
「―――あらぁ~ん。ようやく、きたのねぇ~ん?」
「ぐふふ、待ち遠しかったぞい」
「――――――」
曹操の背後から男の声が聞こえた。振り向けばそこにどこからともかくライトが照らされて
二人の人物がライトの光によって姿を現した。スキンヘッドで揉み上げを三つ編みにした髪に
リボンで結び、ピンクのビキニ以外ほぼ全裸の筋肉質の男と白いヒゲに白い髪、
揉み上げを8のように結んで筋肉質の体に燕尾服を身に纏い、褌を穿いた男がいた。
「あなたが曹操ちゃんね~?あなたとのこの出会いに、ご主人様には感謝しないといけないわぁ」
「そうじゃのぉ。それに良き男たちが大勢・・・・・(ジュルリ)」
誰だっ!?と、『英雄派』の心が一つになった瞬間だった。曹操の中で激しく警報が鳴った。
―――今すぐ逃げろ!―――あいつらに捕まったら最後だ!
頬に冷や汗を垂らす曹操は拘束されていない女性構成員と構えて口を開いた。
「お前たちは誰だ?」
「うふふ♡あなたと同じ存在、といえば分かるかしら?」
「・・・・・英雄の子孫の者か?」
「ええ、そうよん。正確に言うと魂を引き継いでいる忘れ形見と言おうかしら?」
「ワシもその一人じゃ。お主と関わりがある英雄の魂を引き継いでおる」
自分と関わりがある?曹操自身には目の前の化け物と関わったことがないどころか、
関わりたくないヒトベスト1に君臨する。
では―――自分ではなければ誰なのだ?と曹操は心の中で訝しむ。
「私も間接的に関わっているわぁ。―――呂布奉先とね?」
「―――呂布、だと・・・・・?」
太古の中国時代に遡る。とある武将が一人いた。その武将は後に飛将と称され
『人中の呂布、馬中の赤兎』とも称された。その実力は数多の武将の中で最強の武を誇っていた。
「(その呂布と関わりある人物は確かに俺の先祖の曹操も含まれている。
だが、他にもいるが一体誰だ?)」
一番深い関わりがある人物は董卓、蝶蝉、張遼・・・他にもいるが有力な人物はこの3人だ。
しかし、曹操の中で真っ先に有り得ないと思ったのが蝶蝉だった。
いくらなんでも三国一の美女の魂を引き継ぐ者ではないと曹操は断言した。
「あらん、この可愛い踊り子を見ても分からないなんて、曹操ちゃんって鈍いのねぇ?」
「・・・・・踊り子?」
「ぐふふっ、そうよん。―――私の名前は蝶蝉。
かの絶世の美女と謳われた蝶蝉の魂を引き継ぐ者よん♪」
「そして、ワシは邪馬台国に存在した女王の魂を引き継いでいる者―――卑弥呼じゃ!」
堂々と、本人の中で華麗にポーズをして名を名乗った二人。
―――その瞬間。曹操の中で何かが壊れた。
「―――ははっ、ははははははは・・・・・・ははははははははははははっ!」
「そ、曹操!?」
「ヤバい、曹操が壊れた!」
「私も色々と受け入れないけれど、あなたが受け入れないでどうするのですか!」
「というか、この状況を何とかしてください!
―――周りが変な格好をした屈強な男たちに囲まれております!」
女性構成員の言う通り、曹操たちの周りにユラユラと現れる屈強な男たち。
顔に化粧が施されて、女の服を身に包んでいる。中には魔法少女の服を纏っている屈強な男も。
「失礼ねん。この場にる皆は私たちと同じ
「さぁ、主役は揃ったのじゃ。お前たちにワシらが披露する演技や歌をとくと見ているがよい!」
どこからともかくマイクを手にしていた蝶蝉と卑弥呼。
途端に真っ暗な空間が様々な色に照らされ音楽が流れ出した。
瞳を潤わせて、二人は恋人繋ぎをし、口を開いた。
―――次の瞬間。
『ギィイイイイイイイイヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッ!!!!!』
この瞬間、『英雄派』の耳が死んだ。目が死んだ。精神が死んだ。
―――○●○―――
―――一誠side―――
さて、今頃あいつらは色々な意味で死んだな。
『九十九屋』は―――今現在でも戦闘を繰り広げている。
「今日こそはアンタを越えてやる!」
「フハハハハッ!やってみろ、我が弟よ!」
「―――速いっ」
「俺から見れば遅く見える」
「この女狐!」
「その言い方は好きじゃないのぉ」
というか・・・・・余裕で俺の家族と渡り合っているんだけど。
どれだけ強いんだよあの人たち。
「まあ、とりあえずはだ」
カッ!
九尾の女性は効かずとも、他の二人なら効く。ギャスパーの能力で体を停止させ、
羽衣狐を表に出して九尾の女性を俺と一緒に翼と尻尾で拘束し、戦闘を中断した。
「邪眼か・・・・・厄介な能力を持っているな坊主」
「このっ、妾を離せ!」
「くくく、あのイヅナという妖弧が無様な姿じゃのぉ・・・・・?写真でも撮るか」
「・・・・・」
依頼主の『英雄派』もいない。俺を倒そうと仕事をするこの三人だけだ。
三人から武器を回収して、和樹が龍牙の兄と烏間翔に拘束魔法を施して、
九尾の女性は―――グレイプニルで縛りあげた。
「く、屈辱じゃ・・・・・妾をこんな変な縛り方で拘束するとは・・・・・!」
「あなたにはそれが一番ですって。何せ、能力無効化なんてチートな力を得ているんですから」
うわ・・・・・『
「さて、兄さん。仕事を反故してもらいますよ」
「いや・・・・・金を受け取ってしまったからには仕事をしなきゃないけないんだがよ」
「・・・・・どーしてでもですか?」
「依頼を全て果たす、それが九十九屋のモットーだとお前だって知っているだろう」
「ええ、知っています。その上でお願いをしているんですからね」
大剣を兄の米神にツンツンと突っつく龍牙だった。
「・・・・・お前、俺が見ない間に随分と性格変わってねぇか?」
「そうですか?普段と変わらないと思うんですが・・・・・まあ、そんな事より今は一誠さんを
狙わないでください。今は大切なことをしているんですから」
「いや、だからな?」
「―――珱姫さん、お義姉さんにあの件を伝えても良いんですね?この天然女誑し」
「―――――」
あの件?なんだろうか。それに龍牙の兄がダラダラと冷や汗を流し始めたぞ。
「お、おい龍牙。あの話は誰にも言うなって兄弟の中で約束したよな・・・・・?」
「ええ、でも兄さんが手を引いてくれないなら僕・・・・・お義姉さんについ、ポロっと、
口を滑って、思わず、変なことを言ってしまいそうです。―――メールや手紙で。
ああ、電話でも言っちゃいそうですね」
「何て悪質な弟なんだ!?」
「あっ、手が勝手にー携帯を取り出してー珱姫さんの連絡をしてしまいましたー」
「ま、待ってくれ!話し合おう!」
あんた・・・・・一体何を仕出かしたんだよ。というか、珱姫ってそんなに怖いのか?
「何をですか?」
「・・・・・今回の依頼を俺が責任を持って、依頼人にできないと言う―――」
「ダメです。二度と一誠さんに関する仕事を受け付けないとここで約束してください」
「それじゃ、守ってくれという依頼だって受けれないぞ?」
「・・・・・訂正です。二度と彼に狙わないでください」
すぐさま訂正した龍牙。龍牙の兄は深く溜息を吐いた。
「口で弟に負かされるとは・・・・・」
「兄に勝てることは他にもいくらでもあります」
二人の話を聞き、話が収束したと思い、邪眼の能力と鎖を解いた。
「それじゃ、さっさと帰ってください。兄さんたちのせいで、皆を待たせているんですから」
「・・・・・龍牙、お前・・・・・本当に性格が変わったな」
傷付いているぞと龍牙の兄が顔を顰めた。
「でも、まあ・・・・・」
不意に俺の顔を見てくる。なんだ?
「―――二度も同じ人間の血をこの手で汚すことがなくて良かった」
「・・・・・え?」
「おっと、そろそろ帰るとしよう。またな、我が弟の友人たちよ」
踵を返して二人を引き連れて去っていく。一風がしたと思えば、三人の姿が消えていた。
「(二度も同じ人間をって・・・・・あのヒト、なんでそんな事を言ったんだ?)」
意味深で気になる発言に俺は姿を消した三人がいた場所に何時までも見据えたのだった。