俺たち駒王が川神学園に在籍して学校生活を送ってしばらく日が経った。
「あ、あの・・・・・これからお世話になります。よ、よろしくお願いしますわ」
俺たちの家に意外な訪問者が現れ、深々とお辞儀をしたのだった。
「よろしくな―――レイヴェル」
そう、訪問者の名はレイヴェル・フェニックス。
元七十二柱の悪魔、フェニックス家のお姫さまだ。
あの、ライザー・フェニックスの妹でもある。
なぜ、彼女が俺たちの家に訪れているのかというと、
「人間界の学校に興味があるなんて、珍しいな」
「き、貴族以外の方と接して、平民の生活から何かを学ぶのも大切だと思っているんです」
彼女、レイヴェル・フェニックスは俺たちが在籍している
川神学園に転入することになったんだよな。
その際、学校を通わせるのに一人暮らしをさせることは色々と心配で、家で住まわせてほしいと
サーゼクス・グレモリーや彼女の両親から頼まれている。
別に断る理由もないから引き受けたが・・・・・。
「そう緊張するなよ。これから俺たちは家族になるんだ」
「は、はい・・・・・」
必要以上、過激に緊張しちゃっている。なぜに?
「んじゃ、早速嬢ちゃんの歓迎パーティーをやろうぜ一誠殿!」
「うんうん、また可愛らしい花が増えて私も嬉しいね。目の保養となるよ」
―――こいつらが原因か?レイヴェル・フェニックスの後ろにいるこいつらがそうなのか?
「ユーストマさま、フォーベシイさま、こちらです」
「ああ、何時も悪いな」
「今日はお土産もあるんだよ。私のお気に入りの一品だ。是非とも一誠ちゃんと飲んでおくれ。
アルコールゼロだから未成年でも大丈夫だ」
「ありがとうございます」
リーラ、ナイス!心の中で二人を引き離してくれたメイドに感謝し、
俺はレイヴェル・フェニックスの部屋を案内した。
「・・・・・緊張しましたわ」
「やっぱ、あの二人が原因か」
「冥界の五大魔王さまのお一人と、天界の神王さまが揃っているので緊張もしますわ」
「基本的、あの二人はあんな感じだから。成れないと身も心も持たないぞ」
「そ、そうなのですか・・・・・?」
意外とばかり目を丸くしていた。普段、あの二人のことをどう思っているんだろうか?
「イッセーさまって・・・・・意外と肝が据わっているのですね」
「いやー、だってな?」
「はい」
「俺、子供の頃・・・あの二人に追いかけられたことがあるし」
そう言うと、レイヴェル・フェニックスが信じられないモノを見る目で俺を見詰めた。
「それに、俺の隣に引っ越してくるもんだから、緊張するどころか、鬱陶しさが増すばかりだ。
その上、親バカだしな」
「お、親バカ・・・・・」
「それに、あの二人が揃うと賑やかになるから楽しくなる」
どこか憎めめないってのはこういうことなのだろうか。苦笑を浮かべそう思った俺は言い続ける。
「俺といると、ああいったお偉いさんと接触するから気をしっかり持てよ」
「わ、分かりましたわ・・・・・」
コクリと首を縦に振って同意するレイヴェル・フェニックスと歩いていれば、
彼女の専用の部屋に辿り着いた。一応、私生活に使う用品は全て用意してある。
それでも何か足りない物や、不満があればすぐに対応する。
彼女にそう伝えて中に入らせれば俺は廊下で待機している。
部屋の中を見渡し、鞄を置くと俺のところに戻ってきた。部屋の案内をするからだ。
「そんじゃ、家の中を案内するぞ」
「はい、お願いしますわ」
彼女を数十分の時間を掛けて家の中を案内した。
「ああ、そうだ。この家に住むからには一つだけ絶対にしないといけないことがある」
「それは?」
俺は笑みを浮かべた。
「鍛練、修行、トレーニング、己を強くすることだ」
ガシッ!
「へ?」
「言っておくけど、楽しい学校生活だけで終わると思ったらダメだぞ?敵が大勢いるんだし、
抵抗するためにも強くならないとダメだ」
ヒョイとレイヴェル・フェニックスを横に抱きかかえてトレーニングルームへと赴く。
「あ、あの、イッセーさま!?」
「レイヴェルはライザーと同じ不死の能力を持っているし、精神面的に鍛えないとなぁー♪」
「何故にそんなに楽しそうに言うのです!?それに、私を一体何をさせようと―――!」
「・・・・・そんなこと、俺の口から言わせないでくれよ」
「そんな乙女みたいなことを仰らないでくださいまし!
反って何させられるのか怖いですわよ!?」
おや、ギャグで言ったつもりなんだがな・・・・・。しょうがない。
「大丈夫だ。ただライブの映像を見てもらうだけだ」
「映像・・・・・ですか」
「ライザーにもやったことだ。レイヴェルもしてもらう」
そう、あの、曹操たちが体験したアレをな―――?
―――○●○―――
―――川神学園―――
トンテンカンッ。トンテンカンッ。
小気味の良い音が教室から鳴り響く。
「おーい、釘が足りなくなった!誰か、持ってきてくれぇー!」
「へい、親方!」
「おう、悪いなって誰が親方だ!」
「あぶなっ!ハンマーを振るうなよ!?」
「光になーれーっ!」
「そのネタは・・・・・っ!?」
まあ、うん、何時もより賑やかだな。学園祭に向けて俺たちは作業をしている。
魔法でしないのか?したら面白くないだろう?教室の半分を作業空間、
もう半分の空間は女子たちが衣装作りに励んでいる。
「いやー、物凄く楽しみだなー」
「一瞬で釘を打ち終えるほど楽しみなんですか?」
「俺、祭りとかそういうのは、修行に夢中で行ったことがないんだよ」
「あー・・・・・なるほど」
和樹が苦笑を浮かべる。
「そういうことなら一誠にとって思い出になるだろうね」
「そうだな。だから楽しみなんだよ」
嬉々と笑みを浮かべ学園祭が待ち遠しい。きっと賑やかで楽しいだろうな。
「一誠くん、一誠くん」
「ん?」
「衣装できたんだけど、試着してくれないかな?」
清楚の手に執事服。言わずとも分かるが、俺たちの催しは喫茶店だ。
メイド&執事喫茶店と普通の。
「分かった。んじゃ、男子更衣室で着替えてくる」
「うん、じゃあ私も一緒に着替えるね」
ん?一緒に着替える?・・・・・彼女の手には執事服とは別の衣服を持っていた。
彼女も試着できる準備をしていたのか。肯定と頷き、清楚と一緒に男女の更衣室へと赴く。
「そうだ、一誠くん。桜ちゃんからメール届いてたよ」
「なんだって?」
「『学園祭、遊びに行きます』だって」
おー、そうか。それは楽しみだな。
「三人で回ろうね」
「ああ、勿論だ」
お互い笑みを浮かべ廊下を歩く。各教室を通るたびに聞こえる釘を打つ音、板を鋸で削り切る音。
学園祭の準備が順調に進んでいるという証拠だ。
「まあ、桜が来る前に清楚と回りたいけどな」
「―――」
清楚が驚いた表情になる。丸くしていた目が嬉しそうに細めて、「うん」と清楚が頷いた。
「私も一誠くんと二人で回りたい」
どちらからでもなく手を恋人繋ぎにして更衣室へと進む。
そして、更衣室に辿り着きそれぞれの更衣室に扉を開けた。
ガチャ。
「やぁ、一誠、久し振り―――」
バタン。
「・・・・・」
「・・・・・一誠くん?」
なんか、いたな・・・・・。ここにいるはずもない人物が、爽やかな笑顔で。
気のせい・・・・・だよな?もう一度、更衣室の扉を開けた。
ガチャ。
「一誠、いきなり閉めるとはどうしたんだ?」
「・・・・・」
いたよ・・・・・。どうしてここにいるんだよ・・・・・。
「あ、あなたは・・・・・」
清楚も男子更衣室にいる存在に驚きを隠せなかった。―――ヴァーリ・ルシファーがいたからだ!
開けっ放しで挙動不審でいれば怪しまれるから男子更衣室に入る。
「って、どうして清楚まで入ってくる?」
「え、あ、ごめんなさい。気になって・・・・・」
「・・・・・人避けの魔方陣でも施すか」
男子更衣室の扉に魔方陣を展開させて、この更衣室に寄せ付けないようにする。
「ご、ごめんなさい。どうしてもヴァーリさまがお伝えしたいと聞かなくて」
「にゃー、久し振りにゃん♪」
ルフェイ・ペンドラゴンに黒歌。男子更衣室に堂々といるなんて・・・・・。
「で、どうしてここにいたんだよ?というか、どうして俺がここに来ることを知った」
「ふっ、愛の力とは先のことを分かるものだよ?」
「・・・・・(今ちょっとお前に恐怖を抱いた事はないよ)」
愛の力については同感だが、ここまでピンポイントで俺と会うんだからな。
「学園祭、私も遊びに来るから」
「・・・・・え?それだけ?」
「いや、これは別件だ。イリナと三人で回ろう。約束だよ?」
まあ・・・・・確かに構わないけどさ。
でも、わざわざ隠れるように俺に伝えることでもあるのか?
「さて、色々と話したいことが山々だが一誠も忙しい身だ。本題に入るよ」
と、ヴァーリの顔が真面目になった。
「私は『
「・・・・・どうしてだ?」
「『
別の力・・・・・ヴァーリが警戒するほどの力が新たに加わったということか。
「・・・・・とても信じられないが、一誠に伝えるべきかどうか悩んだほどだ」
「なんか、遭ったのか?」
「・・・・・遭った。いや、再会したと言った方が良いのか・・・・・」
「・・・・・」
再会・・・・・?誰とだ・・・・・?
「私と一誠に深い関わりがある存在が『
「なに・・・・・?」
「でも、私は信じられない。あの人たちは・・・・・。
いや、アレは本当にあの人たちなのか・・・・・?」
信じられないと苦悩するヴァーリ。本当に悩んでいる様子で中々言ってくれない。
助け舟如く、ルフェイ・ペンドラゴンが口を開いた。
「私は初めてお会いする方々ですが・・・・・ヴァーリさまが仰りたいのは・・・・・」
彼女の口から聞いた言葉。それは―――。
「一誠さまのお父さまとお母さまが『
―――○●○―――
―――清楚side―――
放課後、私たちは使われていない空き教室で集まってヴァーリちゃんから聞いた話のことで
グレモリー眷属やシトリー眷属、バアル眷属、アガレス眷属、
アザゼル先生やロスヴァイセ先生、セルベリア先生と会談をしている。
「あの二人が・・・・・『
一誠くんから聞かされた話にアザゼル先生が絶句した面持ちで一誠くんを見詰めた。
「バカな!あいつ等は、あいつ等は死んでいるはずなんだぞ!?そんな話があるかよ!」
「・・・・・俺だって、そう思っている。
だけど、ヴァーリが嘘を吐く訳がないんだ。吐く理由さえもない」
「・・・・・っ、どうなっていやがる・・・・・!
どうして、どうして今頃になってあいつ等の存在がここで湧くんだよ!?」
あのアザゼルさんが取り乱している。アザゼル先生を知るこの場にいる全員が
信じられないモノを見る目で見つめている。
「あの・・・・・アザゼル先生。兵藤の親が甦ったのってそんなに大変なんですか?」
成神くんが挙手してそう問うと、アザゼル先生が言った。
「兵藤家がテロリストに加担なんて誰が考える?こいつは四大勢力が結んだ同盟に罅を入れるには
十分過ぎる要素だぞ。しかも、そいつらが本物で本人だったら尚更だ。ましてや・・・・・」
一誠くんに視線を向ける。
「こいつを生んだ人間だぞ。その上、あいつらは他の神話体系と交流をしてそのトップたちとは
ダチの関係だ。いざ、甦った奴らと対面してみろ。
そいつが敵だと知らずに接しられてたら―――油断した相手の腹を容易くさせる」
『―――――っ!?』
「これはテロリストのあいつらより性質が悪過ぎる。かなりだ。
ヴァーリが抜けざるを得ない理由ももっともだ」
「・・・・・ヴァーリたちはどうなるんですか?」
「秘密裏にルシファーのところに匿われる。あいつもルシファーの血族だからな。
そうそう扱いを無化にはできんさ」
そうなんだ。でも・・・・・これからどうなるんだろう・・・・・?
「お前ら、仮に一誠の両親と出会ったら―――逃げろ」
「はっ、逃げろって何故ですか?」
「お前らは知らないだろうが、あいつ等の実力はあいつらと戦った奴しか知らない。
あの二人は、元人王だった人間だからな」
元・・・・・人王って・・・・・それじゃ、
「奴らは間違いなく強い。俺や五大魔王、神と神王を同時に相手にして生き残ったほどだ」
「マ、マジッすかッ!?」
「あれでようやく互角。それが個人で戦えば、必ず負けるに違いない。片や体術で片や魔法使い。
絶妙なコンビネーションで戦闘をする」
聞いただけでも想像がつかない。どれだけ強いの過去の目で見ない限り判断がつかないよ。
ロスヴァイセ先生が口を開いた。
「では、急いでオーディンさまに連絡をしなければ」
「というか、他の神話体系の神々たちに連絡をしなければ隙を突かれて倒される。
・・・・・話して信じてもらえるかどうか怪しいもんだが・・・・・・」
アザゼル先生は苦虫を噛み潰したかのような表情になる。
「・・・・・」
一誠くん、ずっと沈黙している。隣にいるリーラさんも静かになっている・・・・・。
「・・・・・式森家と兵藤家は私たちがお伝えします」
「ああ、頼んだ。くそ・・・・・あいつらが甦っただと?
それとも別の力でか・・・・・?
それ以前にどうしてテロリストになるんだよ・・・・・お前ら・・・・・・」
哀愁漂わせる。まるで友人が死んだような感じだった。一誠くんや私たちの戦いが
さらに過激化になることを感じられずにはいられなかった・・・・・。
―――○●○―――
―――一誠side―――
その日の夜、俺は静かに部屋を照らす満月を見上げて見ていた。
「・・・・・父さん、母さん・・・・・」
未だに信じられない。でも、ヴァーリの話しも嘘偽りがない。
あいつは一度も俺に嘘を吐いたことがない。
「・・・・・」
もしも、俺の目の前に現れたら・・・・・敵として戦わなければならないのか・・・・・。
「相手が誰であれ、俺の家族を傷つけるものは許さない・・・・・」
そう誓っていたはずだ俺は。何を躊躇っている?
龍牙だって俺の為に自分の家族に刃を振るったんだぞ・・・・・。
「・・・・・っ」
クソ・・・・・ダメだ・・・・・っ。考えれば考えるほど、決意が鈍るよ・・・・・!
どうして、どうして甦ったんだ。
俺があの三人を殺してから甦らそうと思っていたのに・・・・・っ!
「―――一誠さま」
「っ!?」
背後から呼び掛けられた。振り返れば―――。
「この私がここまで近づけられるなんて・・・・・よほど、ショックを受けておるのですね」
「リーラ・・・・・」
メイド服を身に包む俺の愛しい存在。跪いて俺を抱きしめてくれる。
「一誠さま、誠さまと一香さまは敵の手によって甦った可能性があります」
「・・・・・」
「あのお二方は偽物です。本物ならば、いち早く一誠さまの前に現れて抱きしめてくれるはず」
「それがあのお二方なのですから」とリーラが告げる。
「我が子を手に掛ける親など、それは愛情を子に注いでいない親がすることです」
「でも・・・・・俺・・・・・」
「それでも、目の前の敵を倒せれないというのであれば、このリーラ。
あなたの代わりに倒してみましょう」
「―――っ!?」
リーラ・・・・・お前・・・・・・何を言って・・・・・!
「一誠さまに救われたこの命、一誠さまに捧げるお気持ちは今でも変わりません。
ですから、もしも一誠さまが戦えない場合は、私が―――」
「ダメだ!」
彼女の話を叫んで遮って俺は言った。
「リーラ、お前は俺の大切な家族なんだ。
何時も俺を支えてくれたリーラが俺の目の前で死んだら、俺は・・・・・俺は・・・・!」
涙を流して、堪え切れない想いで一杯になる。彼女が戦って死ぬぐらいなら、俺が変わって―――!
「だから・・・・・生きてくれよ・・・・・リーラ・・・・・ッ!」
「一誠さま・・・・・」
「俺・・・・・戦うからさ・・・・・相手が誰であれ、俺は絶対に守るから・・・・・」
だから―――そんなことを言わないでくれ・・・・・・!
―――ガイアside―――
「・・・・・」
一誠の部屋の扉に佇んでいる我は息を吐く。
「イッセー・・・・・」
隣にはオーフィスがいる。一誠の様子がおかしいと気付いているが、
まさかそんなことが起きていたとはな。
「オーフィス、お前は誠と一香を倒せれるか?」
「・・・・・我、負けない。でも、あの二人に攻撃したくない」
だろうな。こいつの気持ちは我も分かっているつもりだ。
「ならば、お前は一誠を守れ。それぐらいならできるだろう」
「ガイアは?」
「―――無論、倒すつもりだ」
一誠がなんと言おうが、我はあの二人を倒す。死人が敵になるのならば、我は容赦はしない。
愛しい男の敵となるならば尚更だ。