「うひゃひゃひゃ!んじゃ―――喰らっちゃってくださいな!」
ギュンッ!
「ッ!?」
真っ直ぐ俺に何かが向かってくる音がした。防ぐ?いや、未知なる攻撃を真正面から
防いだら危険!上空に飛んでかわせば、黒い鞭のようなものが
上空に逃げた俺を追い掛けてきた。―――何て速さだよ!
「くそっ!」
光を残す程、宙に移動し続ける。対してあの黒い触手も物凄い勢いで俺を追い掛けてくる。
このままじゃ、ジリ貧だ!
「イッセー、あれ、危険」
「分かっている!だが、打つ手が見つからない!」
本体にでも倒すか?そう思った矢先―――。
「「・・・・・」」
黒ずくめの二人が俺が逃げる先に待ち構えていた。あの二人も敵だということか!
「八方ふさがりではないけど、かなり危険だな!」
相手が人間なら勝てれるかもしれない。『
『
「そこを、どけ!」
力を瞬時で何十倍にも倍増し、滅びの魔力を放った。避ける素振りがしない。直撃・・・・・。
バシンッ!
いや、弾かれた!
ドゴンッ!
「ぐぁ・・・・・っ!?」
黒ずくめの男が俺の腹部に拳を突き刺した。
その反動で俺は後方に吹っ飛び、黒い触手に捕まれ―――。
「るかよ!」
空間に穴を広げ、その中に入った俺は、また穴を広げて、グラウンドに現れた。
「おー、よく逃げたねぇ?感心感心♪」
ヴァーリの祖父が拍手する。だが、疑問だ。
「どうして」
「ん?」
「どうして、俺を殺そうとするんだ?アンタとは子供の時だけしか接点がない。
俺がアンタの邪魔な存在となりうるのか?」
そう、俺はあのヒトに何もしていないし、あのヒトが俺を殺す動機なんてないはずだ。
それがどうして・・・・・。
「―――別に?」
「・・・・・は?」
別に・・・・・って、言ったのか?え?俺、何の理由もなく殺されかけているのか?
間抜けな反応をした俺をあのヒトは言った。
「坊ちゃん、俺は坊ちゃんに対する殺意とか、憎悪とか感じてなんてないんだよねぇー?
殺す理由も全くないでござんす!」
「じゃあ・・・・・どうしてだ?」
「んー、気まぐれ♪」
おい!?気まぐれかよ!そんな気持ちで俺は殺されかけているのか!溜まったもんじゃない!
「あっ、逆ならあるかもよ?坊ちゃんが俺に殺意を抱く理由がね?」
「え?」
「ここでクイズ!坊ちゃんのパパンとママンを殺したのは一体誰なんでしょうか!
選択問題で答えてもらいましょう!」
いきなりなんだよ、このヒトは・・・・・。
「一、一人の堕天使と二人の悪魔!二、誰かが依頼して請け負った何でも屋さん!
三、俺ことリゼヴィム・リヴァン・ルシファーくん!」
「・・・・・なに?」
一はともかく、どうして何でも屋と目の前の人物までもが選択に入る?怪訝になっていると、
「―――一だぞ、ガキ」
「・・・・・!」
バサッ!と俺とあの人の間に割って入った堕天使の女、ヴァン。他にも三人の悪魔も現れた。
「屋上から見ていたが、とんでもないもんを召喚しやがったな。てめぇ」
「おやおや?何時ぞやの堕天使ちゃんじゃないかぁ!こんちゃー♪」
二人とも顔見知り・・・・・?
「お前に言ったよな?お前の両親を殺したのは私たちだと」
「・・・・・」
「あんな中二病の話に耳を傾けるな」
・・・・・なんだ、急に違和感を感じる。どうしてこいつが俺を意識させようとしているんだ?
それに、なんでそんな真剣な表情で言う?すると、あのヒトが不満そうな顔で口を開いた。
「えー?まーた、俺の邪魔をしちゃうのー?俺が坊ちゃんの家に帰ってくるまでいたら―――」
あのヒトは深い笑みを浮かべる。
「堕天使と悪魔の団体さんが、現れて俺を坊ちゃんの家から追い出したしねぇー?」
追いだした?三人が?・・・・・なぜ、そんなことをした?
「てめぇ・・・・・っ!それ以上余計なことを言うなよ。言ったら殺すぞ!」
ヴァンが憤怒の形相であのヒトにそう言う。
「え?余計なことって?もしかして、俺がなんでも屋に頼んで坊ちゃんのパパンとママンを
殺させたってことかなぁー?」
―――――っ。
・・・・・・いま、何て言った?あのヒトが何でも屋に依頼して父さんと母さんを
殺させ・・・・・た?
「っ!」
呆然としていた俺にいきなりヴァンが光の剣を俺に振りまわしてきた。
それに対抗して、翼で応戦する。
「おい、どういうことだよ・・・・・」
「うるせっ!お前の親を殺したのは私たちだ!それだけ覚えていりゃそれでいいんだ!」
「待てよ。どうしてお前がそこまで必死になるんだよ・・・・・?
まるで、本当のようなことじゃないか」
今の彼女から殺意がない。あのヒトの話しを聞かせないとばかり、
ただ攻撃しているように感じる。―――俺の耳にあのヒトの軽い口調が聞こえる。
「うひゃひゃひゃっ!実際に本当だぜ坊ちゃん!
えっと?何でも屋の名前って確か―――ああ、そうそう『九十九屋』だったけかな?」
「―――っ!?」
『―――二度も同じ人間の血をこの手で汚すことがなくて良かった』
まさか・・・・・龍牙の兄が言っていたあれは・・・・・。
「父さんと母さんを殺したのは・・・・・『九十九屋』・・・・・?」
「てめぇっ!」
ザンッ!
ヴァンが躊躇もなく、俺を斬った。その衝撃で、皆のところにまで吹っ飛んだ。
「イッセー!」
アザゼルが受け止めてくれた。
アーシア・アルジェントが俺の傷を癒してくれるも呆然と呟いた。
「・・・・・どういう、ことだよ・・・・・」
「まさか・・・・・兄さんが、一誠さんの両親を・・・・・。
そんな・・・・・こんなのって・・・・・」
俺だけじゃない。龍牙までも信じられないと呟いていた。
「なんでだよ・・・・・お前らじゃないのかよ・・・・・。
じゃあ、俺は今まで違う相手に復讐をしようとしていたのかよ・・・・・」
「違う!お前の親を殺したのはこの私だぞ!?十年前の時のことを思い出せ!
お前の両親が血まみれで倒れていた傍で私たちが居ただろうが!」
「いやー、実に凄かったぜ?気を抜いていた坊ちゃんのパパンとママンを瞬殺したんだからさ!
あっ、その時の映像があるけど、見たい?見たいよね?じゃあ、見せちゃいます!」
俺たちの眼前に魔方陣が展開した。立体映像が浮かび―――その映像にはあの人と龍牙の兄、
父さんと母さんがいた。音声はない。映像だけで流れているで父さんが赤い結晶状の宝石を
龍牙の兄に見せていた。笑顔で口を動かしていて何か言っているけど聞こえない。
しばらくして、四人が立ち上がってあのヒトが父さんと母さんと握手したところで―――龍牙の兄が
小太刀で父さんと母さんを斬った。
『ど、どうして・・・・・だい』
『うひゃひゃ、ごめんなちゃいねー?それ、どーしても欲しいからさ?
殺して貰っちゃおうと思っちゃったの♪』
『・・・・・あの子に手を出さないで』
『じゃあ、悪魔らしくこの結晶を代価に坊ちゃんには手を出さないであげるぜ?
うひゃひゃひゃっ!』
―――途中で音声が入った。父さんと母さんが床に倒れて少しした後。
『これでいいんだな?』
『いいよーいいよー。僕ちゃんの望みも叶ったし、ありがとーねー?』
『・・・・・依頼を果たしたまでだ。そんじゃあな』
龍牙の兄が虚空に消えたその直後、ヴァンとシャガ、シャーリが現れた。
『これは・・・!それに、お前は・・・・・!』
『おやぁー?これは珍しいお客だぁ。ごめんね?僕、お茶の出し方を分からないから
ゆっくり寛いでくれるかな?これから坊ちゃんを待たないといけないからさ』
『貴様・・・・・!誠と一香を殺すに足りず、あの子にまで殺そうとするのか!』
『のんのん、違う違うって。その逆。パパンとママンを殺したのは僕だよー?って教えんの。
うひゃひゃ、そーしたらあの坊ちゃんはどんな反応をするんだろうか?
いやー、楽しみだっぜい!』
本当に楽しみだとゲラゲラと笑う。対して三人が―――。
『そんな事・・・・・させるかぁっ!』
あのヒトに向かって飛び掛かったのだった。
ブツンッ!
立体映像が途切れた。あそこまでしか映像が流れないのか・・・・・。
「ふっふっふー!どうだい?中々良い映画鑑賞になったでしょう?うひゃひゃひゃひゃ!
これ、何回見ても飽きやしないんだよ!なんなら―――もっかい見る?」
刹那―――。
『・・・・・っ』
皆から怒りと殺意が感じる。
「てめぇ・・・・・どこまで堕ちれば気が済むんだぁ・・・・・っ!?」
アザゼルが絶対零度のようなどこまでも冷たい声音で言いだす。
「堕ちるってそんな堕天使じゃあるまいし。俺は生粋の悪魔だぜぃ?」
呆れ顔で嘆息するあのヒト。そんなあのヒトに―――。
「許さない。こんなに怒って相手に対して殺したい気持ちを抱いたのは、
生まれて初めてだわ・・・・・!」
「貴様が・・・・・一誠の家族が死んだ元凶が貴様だったとはな・・・・・!」
イリナとヴァーリが怒りに満ちた顔であのヒトを激しく睨んでいた。
「おおう、怖い怖い。ユーグリットくん、あの人たちが怖いよぉう」
「あなたがそうさせるようなことをしたからでしょう?」
「あっ、やっぱり?うっひょっひょっひょーっ!」
俺は・・・・・今まで・・・・・どうして、気付きもしなかったんだよ・・・・・っ!
「俺は・・・・・俺は・・・・・俺は・・・・・っ!」
「一誠さま!」
項垂れ、涙を流す俺にリーラが強く抱きしめてくれるも、それが些細なことだとばかり、
俺は当惑し続ける。
「あんれー?怒ったり、泣いたりするんだと思ったのに、そうなっちゃうの?
なんだかおじいちゃんは拍子抜けだぜ?―――あっ、そうだ。
こうすればもっと変化が起きるかな?坊ちゃん坊ちゃん、よーく見ててちょーだいな」
「な・・・・・に・・・・・?」
あのヒトが俺に促す。一体何を・・・・・と思うと、黒ずくめの二人の頭を掴んだと思えば、
覆っていた覆面を剥いだ。今まで隠されていた素顔が―――表に曝け出した。
「「「「「―――っ!?」」」」」
二人の黒ずくめの素顔を見た途端、俺だけじゃなく、リーラとイリナとヴァーリ、
アザゼルが言葉を失い絶句した。―――何故なら。
「父さん・・・・・?母さん・・・・・?」
十年という時の流れ。俺は最悪の形で俺の両親が目の前に立って再会を果たした。