神様にされたら愛され過ぎてヤバい件について。   作:Am.

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今更ながらGE3買いました。


EP0.0 PROLOGUE
01.再生(リザレクション)


神様転生。ラノベの中だけのものかと思ってたが、僕は半年ほど前にそれを経験したことがある。

 

転生先は元いた世界ではゲームの世界。所謂ゴッドイーターって狩りゲーなんだけども。早い話あれの世界に飛ばされた。

 

 

……そこまではいい。そこまでは良かったんだよ。いや世紀末世界に転生とか良くないけども。どうせこういうのってチート能力で順風満帆ウッハウハライフ出来るんだろって思ってたし。このゲームの女の子は可愛いからウェルカムしてたわ。

 

 

 

まず転生してスポーンしたのがマグノリアコンパス。あのラケル博士が営む孤児院ね。

 

そこに転生した時点でまずん?となった。あれ2スタートなのかなって。

 

あとくそどうでもいいとは思うけどピクニック隊長がまだショタだった。この時点では2の本編始まる前っぽくてね。僕より全然子どもで可愛かったよ。この頃からしっかりしてたけどね。

 

 

そう。ここまでは問題なかった。進行的にも問題ないんだなって勝手に思ってたし、そのうち幼女のシエルとかナナとか来んのかなーって楽しみにしてたんだよ。

 

それでマグノリアコンパスに入って数日。遂にラケル博士によって偏食因子が投与された。あのブラッドアーツ使えるようになるやつ。僕は他に比べれば年長者の類だから因子を入れたらすぐ使えるようにするつもりだったらしい。

 

 

けど冷静に考えてもみて欲しい。僕は元々この世界の人間ではなく、ましてやこの世界で育ったわけでもない。それこそ神様が都合よく僕の身体を改竄でもしてくれない限り、いい意味で特別なんてことはありえない。

 

 

 

結論を言えば、僕の身体に因子は適合しなかった。それどころか投与された偏食因子は僕の体内で増殖。神機使いとかになる以前に僕の身体を人ならざるものに変えた。

 

肌は人間離れした黒いそれとなり、四肢の指先や瞳は赤く変色。おまけに眉の辺りからは角みたいなものが生え、僕の姿はどこからどう見ても化け物のそれに変わった。同じ人型アラガミのソーマの嫁とかが可愛く見えるくらいに。あれ実際可愛いけども。

 

当然アラガミにされた僕は処分されるわけで。殺処分されるのが嫌で僕は大慌てでマグノリアコンパスを逃げた。ていうかあっさり逃げられたから分かる。あのラケルとかいうクソアマ。あいつ僕がこうなるの分かってて投与しやがったな。孤児院に拾われる年齢かっては思ってたけど戸籍不明の便利なモルモットを拾ったって認識だったのだろう。邪悪の化身がよ。

 

 

 

こうして転生特典らしいもの……どころか神機すら持たされずに放り出されて半年。僕は今日までなんとか生きている。

 

アラガミ化したならどうせチート能力持ってんだろとか思ったそこのおまえ。僕も逃げてすぐはそんなこと思ったよ?でもこの身体ヤバいの。人間よりちょっと動けて再生能力あるだけでオウガテイルより弱いの。襲ったら尻尾で吹っ飛ばされて困惑したもの。

 

 

しかもアラガミ化したのに自我あるじゃんとか思ったのも三日くらい。すぐに体内のナニカが僕の意識を乗っ取ろうとしてきた。多分放置してたら今頃はマジで野良のアラガミになってる。いやもう野良のアラガミなんだけど。

 

この自我の侵蝕を止める方法はただひとつ。それはとてもアラガミらしい方法で、この体内の細胞が求めるものを口にすること。

 

この身体になった唯一の利点。それはこの世界の大抵のものが食事として摂取できること。本当ならアラガミとか食いたいところだが、さっき言った通り僕はコクーンメイデンより弱い。あいつのがまだ硬いっていうかあいつめちゃくちゃ硬くて食えなかった。しかも悪戦苦闘してる間に腹の針で反撃して、その直後に地面に潜ってどっか行ったし。逃げるな卑怯者。お前動かないんじゃないのか。

 

草でも食ってろ雑魚とでも言うのか、荒地の僅かな枯れ草を口にする程度で僕の身体は意識を侵蝕する手を緩めてくれた。枯れ草うめぇなんてしてる場合じゃないのに。

 

 

 

でも僕の身体を形成するオラクル細胞は口にしたものの性質を学習する能力を持つ。そのせいか枯れ草ばっか食ってたら頭から草生えた。引っこ抜くと同時、二度と枯れ草は食わねぇと心に決めた。草食のアラガミで済めば人間からしても平和だったんだけどそうはいかないらしい。

 

 

そこで枯れ草の次に妥協案として目をつけたのがアラガミの死骸。大型アラガミや神機使いの餌食になったアラガミを口にする。

 

口にするのがアラガミなら草食った時みたいに変な方向に進化する心配はないはず。むしろこの貧弱ボディが食ったものに合わせて進化したりとか────

 

 

 

 

 

 

────って思ってた時期が僕にもありました。アラガミの死体って霧散するんでしたね。このハイエナ戦法を取るには予めその狩猟現場に居合わせなきゃ間に合わないわけで。

 

 

それで神機使いがアラガミと戦ってるところに向かったら襲われましたよ。腕ぶった切られてお腹と胸に二箇所ずつ穴が空いた。死ぬかと思ったわクソが。

 

 

とにかくそんな狩猟現場に居座ってたら一緒に狩られるので。やっぱりアラガミを口にするにはどうにかして自分で狩るしかないらしい。

 

 

改めてマグノリアコンパスを逃げる時に神機を持って来れなかったのが悔やまれる。せめて神機だけでも持ってれば戦えるかもだし、他の神機使いも話を聞いてくれるかもしれないものを……いっそマグノリアコンパスに侵入しようかとも考えたが、半年も彷徨ううちに方角なんて分からなくなってしまった。つか今世界のどの辺にいるんだろ。

 

 

誰だよ神様転生したら生きるのはeasyとか言ったやつ。こんな人外の化け物にされて世紀末世界に放り出されてって……人生諦めるのはeasyだわ。何が悲しくて屍肉漁るのに必死こいて頭働かせなきゃならないのか。地獄に直葬された気分だよくそったれ。

 

 

まずいな……そろそろなにか食わないとオラクル細胞に意識を侵蝕される。あまりに暮らしが惨め過ぎてもう別に侵蝕されちゃってもいいかなとか思い始めてるのがマジでまずい。しっかりしろ。意識と心を強く保て。意識を蝕まれたら多分元に戻れなくなる。

 

 

 

頭を振って精神の均衡を保ち、少し落ち着いたところで辺りを見渡す。するとふと、こちらにふよふよと近寄ってくる奇形のアラガミの姿が目に止まる。

 

巨大な卵殻から人の女の上半身が生えた浮遊するアラガミ。ザイゴートと呼ばれる小型アラガミだ。そういえばあいつはまだ試してなかったな。コクーンメイデンやオウガテイルはダメだったが奴なら……

 

 

ふよふよとこちらに不用意に近付いてくるザイゴートに右手を伸ばす。弱った餌でも見つけたつもりだろうが、果たして食われるのはどっちだかな。

 

 

ザイゴートの下半身を包む布のような尾を掴み、こちらへと引き寄せる。そしてその黒い卵殻に僕は歯を突き立てた。その姿から既に人間性というものは感じられず。ただただこの身体が訴える飢餓感に従い、僕はその天使を喰らうことだけに意識を注いだ。




鬼滅とかモンハンとか書きたい作品が多すぎるこの頃。

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