神様にされたら愛され過ぎてヤバい件について。 作:Am.
あまりにこれまでと異なるディーヴァの変異。その結果を見届けて今回は幾つかの発見があった。
まず何より大きいのが、人間の性質を完全に模倣すれば限りなく人類のそれに近い姿を模倣できると証明されたこと。今まではその存在自体が推測でしか無かったものの、こうして実例を確認できた以上は【人間に擬態するアラガミ】を戦力として一考できる。これは思いつくだけでもかなりの悪さができる。
そしてこれらの【人間に擬態するアラガミ】は人間だった頃の
【そういう意味ではサリーも人型になれたりするんじゃない?身体に
【なれるけど……何もかも劣る人間の姿になる利点がない。胸も今の姿の方が大きい。】
「サリーの素体にした人間は貧相な身体でしたからね。ご主人様って巨乳派みたいですし。」
素体にした神機使いの死体蹴りやめてあげて。なんで今の話から乳の話に行くんだ。ディーヴァも自分のおっぱいを手で持ち上げてドヤ顔してるし。……うん、改めて見ると人間だった頃のディーヴァも大概すごい身体してるな。
おっぱいや太ももでかいのもそうなんだけど、アラガミの姿の僕とそんなに身長変わらないのを見ると多分身長が二メートル超えてるんだよね。しかも身体付きこそ女性的なものの、身長と相まって並の成人男性よりがっしりしてて強靭な体格してるから。
一見するとむっちりした身体つきだが、お腹周りの筋肉を見るに全身が凶器みたいなモンスターボディなのだろう。……アラガミ化してプリティヴィ・マータになったのが納得できるようだ。マジで肉食獣みたいな身体してる……バスター片手で振り回すだけあるわ。
「もうご主人様……じっくり見過ぎですよ。セクハラですか?」
【全裸で歩き回ってるディーヴァも悪いと思うんだけど。服とかは着れなかったのか……】
「さすがに現物見るか口にしないとですね。……
あー……そっちのがいいかな。目のやり場に困るのもそうだけど、不意に神機使いとエンカウントしても困るから。というのも出来ればだけど、フェンリル側にはディーヴァの擬態能力は知られたくないんだよね。人の姿で色々してもらう場合、事前情報ない方が対策されにくいからさ。アラガミが人間に擬態するって分かったらあっちも警戒するだろうし。
「そうですね。出来れば私とサリーの言語能力も隠したいくらいですけど………」
【それならひとついい手段がある。……サリー、ちょっといい?】
【???】
僕にディーヴァを近づけまいと抱きしめるサリーに意識を向け、目を閉じる。そして頭の中でサリーの名を呼ぶと、サリーはびっくりしたように身体を跳ね上がらせた。……うん。いけるね。
「えっ?どうしたんですか??」
『感応現象の応用だよ。互いに思考や記憶を伝達できる。やり方も今教えるからね。』
「うわっ……なんかすごい変な感じ。」
元神機使いのディーヴァを口にした際に手に入った能力なんだけどね。互いの身体の一部を持つもの同士。つまり血肉を分け合った者の間でなら、いつでも遠隔で感応現象を引き起こせる。僕の固有能力だから能力会得後に血を与えたディーヴァはまだしもサリーは出来ないから。無言でサリーの唇を奪い、口の中に僕の血と共に能力を分け与えた。
『身体分け与える度にイチャつきやがって。バカップルめ。』
【あ。そうそうそんな感じ。……中々に気持ち悪いなこれ。頭に声が響く。】
『すごい……これで離れてもお話できるね………♡♡♡』
そういうこと。サリーやディーヴァが既に言葉を話せるって他に、互いに離れた状態でも意思疎通や情報の伝達ができるから。人間の通信技術に近しい能力とも言えるわけだね。これで万が一神機使いとの戦いで分断される事になっても、互いに状況報告が可能となる。あとディーヴァは獣の姿でも僕らと明確な意思疎通ができる。
『……あ。本当ですね。え、なにこれすごい便利。』
【獣が喋る必要は無い……】
『喧嘩ですか?ねえ喧嘩売ってますよねご主人様??』
いつの間にか普段の姿になったディーヴァが僕へと感応現象を引き起こしてくるが、サリーは聞こえてないらしい。……そういえばサリーはまだディーヴァに自分の身体の一部を与えてないから通信できないのか。あとで血でいいから与えておいてね。こら嫌そうな顔しない。血に毒とか混ぜるのもダメだからね??
……とにかく。この能力なら今後僕が口にし血を分けたアラガミにも指示を与えて使役できるはず。ディーヴァを見るにアラガミが言語を口にするにはある程度人に近い形が必要みたいだけど、これで獣型のアラガミともある程度は意思疎通が取れる。
この感応現象がどの程度離れていても伝達できるのかはまだ知らないけど、理論上アラガミを組織的に運用できるようにもなったというわけだ。こうなれば神機使いとの戦いの準備は殆ど万端と言える。いつでも僕らの戦争は始められる。
【戦争……遂に始めるんだ。】
【本格的な開戦とはまだ行かないけどね。サリー、もしかして緊張してる?】
【……ちょっと怖い。私は戦争ってものが分からないから……どうすれば終わるの?】
サリーが心配そうに尋ねてくる。勝利条件は至って単純で、世界各地に存在するフェンリル支部とフェンリル本部をひとつ残らず制圧すること。人類全てを殲滅しなくてもフェンリルが無くなれば人類は
ただ問題はフェンリル支部の攻略難易度だ。戦力の程までは把握してないものの、各支部の周辺は共通してアラガミ防壁とかいう障壁に囲まれている上に中には尋常ではない数の神機使いが巡回している。おまけに各支部は連絡を取り合っているから一箇所を攻めれば全支部が臨戦態勢に入る。
そうなれば支部に攻め込む度にあちらには僕らとの交戦データが揃い、後の支部になればなるほど向こうの対処方が確立されて攻略は困難となる。そう考えると攻め落とす順番は大事だと思うんだ。具体的には厄介な支部から優先的に落とすべきなんじゃないかって。
………つまり最初の攻撃目標とするべき場所。それは言うまでもなく極東支部だ。現状でもあそこの神機使いは頭一つ抜けて厄介だし、その上に経験を重ねればさらに複数化け物じみた使い手が生まれるおまけ付き。これ以上手がつけられなくなる前に潰しておきたい。僕はそう思うんだけど………
【ディーヴァ。元神機使いとしてはどう思う?】
『んー……確かに極東の連中は頭おかしいですけど、最初に落とす必要はないんじゃないですか?』
【ほう。】
他にもヤバい支部があると。フェンリルの仔細については僕より元神機使いのディーヴァの方が詳しいだろうから意見は尊重するが、極東よりヤバい場所とかあまり考えたくないな。どこだその極東よりヤバい支部って。
『ロシア支部ですよ。前にあそこにいた時小耳に挟んだんですが、あそこでは剣と銃を切り替えられる新しい神機が開発されてるらしいです。』
【!!……そうか。新型神機使い………】
『私がいたのも結構前だから今ではもう完成してるはずです。実戦配備にまで至ってるかはさておき、世界各地の支部にこの新型神機が配備されたらそれこそ最悪ですよ。』
そうだね。完全に失念してたけど、今ってまだ新型神機使いがいないんだよね。多分だけどソーマの年齢を見るにアリサも新型神機使いになってないし、世界中で見ても今はまだ新型神機を扱える人材は存在しないはず。
その使い手になりうるアリサと新型神機の研究を一任するロシア支部をまとめて葬れば、新型神機使いが実戦投入されるのを大幅に遅らせることが出来る。確かに最初にやる価値は十分にある。
『それにロシア支部ってフェンリルの支部の配置を考えるとちょうど真ん中に当たるんですよ。ここを押さえれば支部間での補給路をある程度潰せます。』
【なるほど……立地的にも好都合と。ついでにここを拠点に戦力を展開すれば世界各地の支部に最短で攻撃もできるわけか。】
『そういうことです。そうすれば順番に攻略なんて言わずに全支部への一斉攻撃も可能ですよ。』
全支部とまでは行かないにしても、同時攻撃が選択肢に入るのは大きいな。なんせ隣接した支部の間で派遣されるであろう援軍を事前に阻止できる。あちらからすれば僕がどこの支部を狙うかの撹乱にもなるし、各支部に対応せざるを得ない程度の攻撃をかけ続ければ支部間での連携にも支障が出る。
こう見ると落とした際の損害も旨みも大きい。そのくせして神機使いの質は極東に劣ると来た。戦争の勝手が分からない僕らにとっても初陣の相手としてはこの上なく最適と言える。
『あ。でもロシアは神機使いの数は極東よりずっと多いですからね?支部を直に叩くってなると何部隊も同時に相手することになるはずなのでそこだけは留意してください。』
【さすが畑から兵士が取れる国だね。……分かった。色々教えてくれてありがとうね。】
『んふふ。もっと褒めてください!』
顔を擦り寄せてくるディーヴァの頭を撫で、望み通りに抱きしめてわしわししてやる。……ディーヴァに言葉を与えたのは正解だったな。この戦いにおいて元神機使いの意見は非常に頼りになる。多分だけど戦術や戦略に関しても彼女の方がずっと詳しいし。
神機使いの人数が多いのはあそこが重要な拠点だと向こうも認知してるのか、それとも広大な土地由来の性質か……実際に防衛戦ともなれば必要なのは個々の質より兵士の量だ。「戦いは数だよ兄貴」と偉い人も言ってた通り、ロシアは一見攻略は困難にも見えるかもしれない。
しかし僕にとって質の低い神機使いが大量に存在するというのはこれまた好都合。なんせ極東の連中よりも簡単かつ大量に人間を口にできるんだ。そうすれば僕の身体にも十分なほどの
そうなれば初回で勝てなくてもなんら問題はない。人の姿を模倣し内部に侵入さえ出来るようになれば次からは『破壊工作』って選択肢が出てくる。襲撃に際して人間に擬態し、一般の避難民に混ざってフェンリル支部内に侵入できればその時点でこちらの勝ちだ。数がいくら多かろうが関係ない。
『………それはいい考えかもしれませんね。普通に戦うより安全だと思いますし、中に入れれば私が案内できます。』
【そうか。君はロシア支部出身だっけ。】
『はい。正直ロシアの攻撃を進言したのはそれもありますよ?ご主人様ほかのフェンリル支部の場所分からないでしょう?』
………言われてみればそうですね。すっかり失念してたけどフェンリル支部ってどこにあるか知らなかったね。攻撃目標の場所も知らないのによく戦争がどうこう言ってたなオイ。最初から攻撃先に選択肢なんてなかったんだ。ディーヴァが居なかったら普通に詰んでたな……
『本当ですよ。この分だと道案内から侵入ルートまで私が計画した方が良さそうですね??』
【あー………お願いしていい?】
『しょうがないご主人様ですね。サリーも今回は私の言うこと聞いてもらいますよ。さっきから全然話理解できてないでしょう??』
ちらりと見るとサリーが無言でとても不服そうに頷いた。暗にバカと罵られてるのにこの反応な辺り本当に分かってないらしい。
まぁそもそも本来アラガミは知性すら持たないんだし、本能と能力に任せた戦闘は行っても組織を組んでの行動や計画的な攻撃なんかはしない生き物だから。それが普通の反応なんだよ。元人間の僕らが異常なだけで。
【………戦争って難しい。難しいこと考えるの苦手かも……】
【いいのいいの。本当なら戦争なんて知らない方がいいんだから。】
【ごめんなさい……あんまり役に立てなくて………】
そんな事ないよ。そもそも本当ならサリーやディーヴァを巻き込む気はなかったんだ。前みたいにサリーを失うのが嫌で人類殲滅を決意したんだから、二人には安全なところで人間が滅びるところを見ていて欲しかったのに……人手があまりに足りないのと僕が不甲斐ないせいで二人を戦いに巻き込んでしまうんだから。その点だけは本当に悪いと思っている。
【!!……そんな事ない。私もあなたに牙を剥く人間は許せないのは同じ。人間と戦うのは嫌じゃない。】
【そっか。ありがとうね……やっぱサリーは居てくれるだけで十分だよ。】
【そ……そう?そう言ってくれると嬉しいけど……やっぱちょっともどかしい。なにか私に出来ることない……??】
サリーは地面を何やらガリガリやってるディーヴァに目をやり、僕にそう尋ねてくる。別に無理になにか役に立ってくれる必要なんて全然ないのに……多分ディーヴァに対抗意識を持っているんだろう。ぶっちゃけこうやって抱きしめてるだけで幸せになれるんだから本当にそれで十分なんだけど……そう言っても納得しないよな。
【あ。……じゃあサリー。ひとつお仕事頼まれてくれるかな?ちょっと大変な仕事なんだけど………】
【なに?なんでもする。支部とかいうやつの一つや二つくらい倒してくる。】
【んーん。ちょっと口開いて。】
そう言って口付けを交わすと共に再び僕の細胞を与え、サリーの中に能力を渡す。僕がディーヴァや他の実験体アラガミにやった、『既存のアラガミを僕と同じ
この能力を用いて、サリーには他のアラガミを僕の細胞で汚染してきて欲しい。サリーなら飛べるから機動力もあるし、毒の鱗粉の代わりにこの赤いオラクル細胞を散布すればそれだけで吸引したアラガミを変質させられるはずだから。ロシア攻略の目処が立つまでの間にサリーには『頭数』を用意してもらう。
【………分かった。それならできる。】
【もし神機使いとか見かけたらすぐ教えて。他にも危ないって思ったらすぐ逃げてくるように。】
【うん。……ディーヴァ、私がいない間はその子をよろしく。手を出したら後で殺す。】
腰の翅を拡げ、赤黒く汚染された細胞を撒きながらサリーが飛び立つ。これで兵力の面は解決できるはず。本当なら支部に向かう途中で目に入ったアラガミを片っ端から従えるつもりだったけど、こっちのが効率的に頭数を揃えられる。
あとはある程度白いアラガミが出来上がったら僕の感応現象で意思疎通ができるか試してみるとして……それで問題が無ければひとまず戦略と戦力の面の準備は整う。
そしたらあと必要なのは僕自身の戦闘能力か……サリーが生み出した白いアラガミが従わずに敵対した場合、それらを纏めて処刑するだけの力は準備しておいた方がいい。そうでなくともこれから戦争が始まる以上、戦闘能力はいくらあっても困らない。
幸いにもディーヴァの実験過程で僕は堕天種を除く大半のアラガミは口にした。それらの能力を統合した上で全身に反映し、現在の姿に上乗せする形で身体を再構築する。
後頭部に
右腕の蝕刃は最近口にしたバスターやチャージスピアの能力を使用可能にするだけだからそう変化はないが、左腕の手の甲の邪眼はサリー同様にウロヴォロスのそれを参考にして変質。掌の口の中には可変機構としてクアドリガとグボロの性質を併合した砲門を増設する。
そして腰周りに存在する蝶の翅を模した器官はその表面を軽くも頑強なシユウの装甲で覆い、コンゴウの風力を推進力として噴出する噴出口を設けることで可動式のスラスターに変える。これで単純な機動力の強化だけでなく、今まで比較的脆弱だった腰周りの強度を補強できた。
しかし……左手の甲の邪眼で構築の終わった自分の身体を見るが、流石にキモいな。色調こそ黒と白で統一されているもののその姿はあらゆるアラガミの身体的特徴を継ぎ接ぎのように継ぎ足したもので、ヴィーナスも裸足で逃げ出すレベルのキメラっぷりだ。
この上からシユウやボルグ・カムラン辺りの鎧で全身を覆えば少しは見た目もマシになるだろうが、せっかく上げた機動性を重量で殺しては元も子もない。硬さよりは機動性を取りたいしこれで行こう。
『うわ。ご主人様またキモくなりましたね。イメチェンですか?』
【急に喧嘩売ってくるじゃんディーヴァ。攻撃の算段は立った?】
『大体はですけどね。あとはサリーが連れてくる戦力次第……あ"っ!?チクチクしないでッッッ』
肩から生えた槍付きの触手でディーヴァをつつき回すとディーヴァが前脚で頭を抑えて蹲る。そうだね。サリーから
【………ていうかずっと気になってんだけどさ。サリーって僕のどこが好きなんだろうね?】
『ねぇこいつ一人でも惚気け始めましたよ。なんですか?独り身に対する嫌がらせですか??訴えますよ??』
【どこにだよ。ごめんって。】
グルルルルってあからさまに不機嫌そうにディーヴァが唸り声をあげる。だって不思議じゃない?僕って容姿もグロいし性格もそんな良くないし、はっきり言って好きになる要素なくない?
サリーの愛情を疑うわけじゃないんだけどさ……馴れ初めだって僕が飢え死にしそうになってた時に彼女を食料にしようとしたのが始まりだし。こう文章にすると本当に意味わからないね?なんでこれで僕のこと好きになったんだろうね。
『そんなの知りませんよ。でも注いだ愛情に応えてくれる異性は実際愛しく感じるものですよ。ご主人様とか正にそれですから……正直あの子が羨ましいです。』
【………ディーヴァ。人間だった頃になんかあった?大丈夫??】
『自分のために人類滅ぼすとか言われたらそりゃ好きにもなりますよ。私なんて身体だけで一回も愛されたことないのに……』
待って冷気。冷気漏れてるから。ごめんね抉らなくていい傷抉ったみたいだね??ダメだこの子思ったより闇深いかもしれない。迂闊に触れるとこっちに飛び火するね。今まではサリーに比べれば無害な部類と思ってたけど、多分この子もやべーやつだ。
『ダメだなんか思い出したら腹立ってきました。さっさとロシア支部潰しに行きましょう。』
自分の支部に対してこれだもんな。絶対私怨混じってるって。そうじゃなきゃ自分の故郷を真っ先に優先攻撃対象になんてしないもん。売国奴でももうちょい躊躇するわ。前回のちょっとしんみりした雰囲気返せよなほんと。何があったんだよ怖いんだけど??
なんにしろ侵攻を始めるのはサリーが戻ってからだ。それまでは現状を維持しつつ待機。増員した戦力を連れて帰ってくるのを待とう。あっちは上手くやれてるかな。前は僕のせいとはいえ一人にしたせいで死にかけてたし、どうしても一人にすると心配になる。どうせここに居ても暇なんだ。一回様子を見に────
『ごめんなさい。大変なことになった……』
【サリー!?】『……どうした!?大丈夫!?』
『私は大丈夫だけど……いや大丈夫じゃないかも。とにかくすぐそっち戻る。』
そう唐突にサリーからの感応現象が発生し、言いたいことだけを言い終えるとこれまた一方的に感応現象が切れた。……言ってるそばから非常事態みたいだ。
【ディーヴァ。出撃するよ。】
『あの子なんかやらかしたんですか。』
【僕にもよく分からなかった。】
新たに形成した装甲に覆われた腰の翼を広げ、コンゴウの風力をジェット噴射のように放出することで宙に舞い上がる。更に身体が空中に浮き上がると四枚の翼の噴出口を全て背部に向け、推力を一点方向に集中。サリーが向かった方向に一気に身体を加速させる。
『あっ!こらご主人様!?一人で突出しないで下さい!!』
『サリー連れ戻したらすぐ戻るから。』
空中で弾丸のように身体が射出されると同時、一方向に向けていた翼を改めて全方位に展開。グライダーのように航空形態を取り、姿勢制御を行いつつ右手に蝕刃を形成する。
そして左手の無数の邪眼で地上を見渡し探索を行うと、無事にこちらへと飛翔するサリーが目に入る。しかし同時、サリーの後方にある存在が居るのが目に入った。
(………神機使い??しかもあの赤い神機は……)
【仲間になりそうなアラガミを探してたら見つかって……来てくれてありがとう………その身体は??】
【イメチェン。ディーヴァいるところまで下がるよ。】
サリーの真横に急降下する形で舞い降り、その手を引いて後退する。なんでこんな場所に神機使い……しかも
とにかく一人で戦おうとしなかったのは偉かったねサリー。即座に撤退を選択したのは賢明な判断だ。
【黒い剣を持ったやつがすごい勘が良くて……すぐ逃げたのに追いかけてくるの。】
【ソーマか。……さすがに前とは編成変えてきたか。】
『ちょっとそこのバカップル!?大丈夫ですか!?』
足元を凍てつかせる形で滑走し、すぐさまディーヴァが僕らの元へと追いついてくる。僕らは無事だけど……厄介だな。僕らが侵攻の計画を練ってるところにやって来るとは。これからロシア支部攻撃しようって時にタイミングが悪すぎる。
それにあの赤い神機……リンドウさんがいるって事はほぼ確定でツバキさんも来てるだろう。それに加えてソーマもいるとなると相手は四人編成か。参ったな。前はあの姉弟だけで手に余ったのに。あと一人は誰だ?サクヤさんあたりか?
なんにせよ現状僕らに対する最大の脅威が首を揃えてここに来ている。本来なら撤退を選びたいところではあるけど、今後の攻撃作戦時に横槍入れられて妨害されるのは避けたい。
それにこっちは既に変異を終え進化したサリーとディーヴァがいる。僕もさっき肉体を新調した今、比較的経験の浅いソーマとサクヤさんのどっちか位は殺せると思う。
『それにご主人様。あの連中を撤退に追い込めば恐らくはロシア支部の場所を突き止められます。この辺りで活動してる以上、今はあそこを塒(ねぐら)にしてるはずですから。』
【つまり追いかけてそのまま侵攻作戦を決行すると?戦力はまだ整ってないんだけど。】
『私が追跡しつつご主人様に感応現象で伝達するので、道中のアラガミを引き入れられるようでしたらお願いします。無理なら私も大人しく撤退しますので。』
ふむ……でも確かに撤退せざるを得ないほどの負傷状態に陥れば、ロシア支部に攻撃を仕掛けた際にもそう直ぐ防衛には参加できないか。ほんとなんであの部隊がロシアにいるんだろうね??ロシア支部の全戦力と極東の最高戦力を同時相手とか無謀もいいところだ。
それに今目にした様子だと、サリーをソーマが追跡してその後ろをリンドウさんが追いかけていた。ツバキさんとサクヤさんに至っては居場所すら分からないが、それは逆に第一部隊が分断できているというわけで。直ぐに合流してくるとは思うが一時的でも二対三に持ち込めればこちらの勝率は大きく上がる。
このチャンスを逃す手はないか。攻め込むかどうかはさておきここで第一部隊が消えてくれれば今後の戦いが一気に楽になる。いい加減あの姉弟の顔も見飽きた。彼らの死を以て人類廃滅の戦の狼煙としてくれる。
【サリー。ディーヴァ。行くよ……まず狙うのはあの
【………了解。】
『新人潰しですね。』
ヴォウッとディーヴァが獣声を上げ、サリーが腰の翅を広げる。思えばこちら側から攻撃を仕掛けるのはこれが初めてだったか。しかも初めての三人での同時戦闘。
ただ忘れるわけもない。今日この日、この土地で人類にとって最後の戦争が始まった。後に『
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