神様にされたら愛され過ぎてヤバい件について。   作:Am.

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十八禁版小説チャレンジしたけどムズ過ぎた。

人間、経験のないものは書けない(絶望)

チャレンジは続行します。


そして更新半年ぶりでゴメンナサイ。生きてるうちには完結させてえなあ…


27.暴走(ギガース)

「………………………。」

 

「………………………………♡♡♡」

 

屋上のヘリポートから支部長室へと向かう廊下。当初の予定通り、僕は無事にサリーを人間のサイズに変えることが出来た。

 

まあ人間のサイズと言っても、優に二メートルは超えてるんだけど。身長はディーヴァより大きいし、普通の人間が見れば明らかに人外とバレる。その美貌も体格も、普通の人間のそれとはかけ離れてるから。

 

けど興奮状態に陥るだけで、二階建ての建物サイズの本来の姿に戻ることは無くなった。そして室内に入れるサイズまでは縮めたという意味では、僕の当の目的は達成した。

 

これでサリーは僕の自室に匿えるし、フェンリルの連中をこの支部に招き入れる準備は完全に整ったと言える。あとはジゼルが堕し児を神機使いに仕立て上げてくれれば、もうするべき事は無くなるとも言える。

 

 

その代わりと言っては何だが、新たな問題が発生した。

 

「………………………サリー?」

 

「なに。」

 

「そこさわさわすんの、やめてもらっていいですか……??」

 

僕の頭にずっしりとした乳を乗せ、後ろから腹部に両手を回すサリーにそうお願いする。でもサリーは僕の下腹部に当てた長い指を、まるで何かを煽るようにゆっくりと撫でる。それだけでムズムズした感触に足が止まる辺り、男の煽り方をよく心得ている。

 

そしてその上で、サリーは囁くように僕におねだりする。

 

「やだ……もう一回、ソロモン食べたい………」

 

「絶対一回で済まないからだあめ。」

 

「じゃあおっぱい飲ませたい……抱っこして、ぎゅーってしながら甘えさせたい………」

 

「それ絶対ディーヴァの前で言っちゃダメだからね??」

 

ある種のフェロモンのような湿気を垂れ流し、これでもかと♡‬を飛ばすサリー。ディーヴァが見たらブチギレて暴れかねないその様は、人の姿に封じる前のサリーとはあまりに異なっていた。

 

そう。サリーを人の姿に封じる過程で、体内の余剰オラクル細胞を吐かせるために、僕はサリーと交合(まぐわ)った。けど食欲以外を知らないサリーにとってそれは、あまりに刺激が強すぎた。

 

おかげでサリーは覚えたての快楽の反芻を求め、先程から僕をこうして誘惑してくる。つまり、色を知ってしまった。明確に溺愛する僕に対して、性欲を向けることを覚えてしまったのだ。

 

『それの何か問題でも?』

 

未だ何も知らない神機の成れ果てことレンが僕の脳内で不思議そうに尋ねやがる。まぁ確かに普通だったらむしろ喜ぶことだし、僕だって正直めちゃくちゃ嬉しいけどね?それこそ許されるなら一日中、サリーの相手したいくらいには。

 

けどね。人間同士の愛情表現と性欲を理解したサリーと、元から僕に身も心も依存しまくったディーヴァ。この二人に僕が挟まれたらどうなるか。流石のレンでも分かるだろう。

 

『死ぬ気ですか?』

 

ちなみに追加だが、この後は恐らくディーヴァの相手をする事になる。「お願いなんでも一つ聞いてあげる」って約束しちゃったから。多分こんだけ♡‬飛ばしまくってるサリーの前で、僕はディーヴァに持ち帰られることになる。

 

『もう死んだらどうですか??』

 

分かる。もう全面的な詰みだ。兼ねてから約束して楽しみに部屋で待ってるディーヴァを放置してもう夜中、これだけでも後が怖いのに。今のサリーは絶対、僕を手放すのに抵抗……というか徹底抗戦する。交尾の意味を身をもって知った今、絶対に僕がディーヴァの相手するのは許さないから。

 

最悪ガチの殺し合いに発展したら、僕が文字通りに間に入るしかないが………どうしたものか。

 

なんて考えてるうちに、歩いてたら支部長室の前に着いてしまった訳なんだけど。マジでどうしたものか。

 

 

そして支部長室について、もう一つ問題が発覚したのだけど。

 

「ソロモン?………なんか寒くない……??」

 

「ね。扉凍りついてるね。」

 

人間だったらドアノブ掴んだだけで指がもげるような冷気が、支部長室の中から漏れている。うん、これディーヴァがすでにブチギレてますね。何なら中でバルファに戻っててもおかしくない。現に中でズシン!!ズシン!!ってヤバい足音してるもの。

 

流石に僕も怖気付いて、思わず造書庫(ライブラ)を展開したけどさ。それでディーヴァの思考に感応現象を繋げると………

 

『ふゔぅっ……ゔゔゔゔゔゔっ………!!!ご主人様の嘘つき……嘘つき………!!!』

 

『うっわぁ………』

 

『サリーとエッチしないって言ってたのに……!!ご主人様の相手は私なのに……ご主人様の身体は、私だけのものなのに………!!!』

 

思わず頭の中の同居人がドン引くレベルで、既にディーヴァは怒り狂っていた。そして僕も思わず血の気が引いてたのか。僕の誘惑に夢中になってたサリーが、心配そうに僕の身体を抱きしめ直した。大丈夫だよ。

 

が、未だ接続中の造書庫を通して強制的にディーヴァの激情が僕の脳内に流れ込む。

 

『もう犯す……絶対犯す……!!ブチ犯してやる………ッ!!ご主人様は私のモノだって、ご主人様に思い知らせてやるんだから………!!!ぐお"ぉ……っ、オ"オ"……ッ………!!!』

 

怒りで我を忘れ、明らかにディーヴァの精神状態が人間のそれから逸脱し始める。現に感応現象繋げてるのに、途中から獣みたいな咆哮しか聞こえなくなったもの。

 

 

………これ、放置すんの逆にマズイな?

 

もう僕を巡った争奪戦とか気にしてる場合じゃない。支部を覆うアラガミ防壁ぶち抜けるディーヴァが本気で暴走し始めたら、それこそこのロシア支部そのものが潰れる。

 

これはマジで急いで怒り狂うディーヴァを鎮めないと、僕の人類絶滅計画が根本から瓦解する。嫌だぞ色恋沙汰で計画破綻とか。

 

だから僕は後ろから抱きつき未だ呑気に♡‬を飛ばしまくるサリーを連れたまま、凍りかけてる支部長室の扉を開けた。

 

 

そうすれば、そこには────

 

【グルルルル………ッ!!フー……ッ!!フー………!!】

 

────既に言語能力を失った、怒り狂う猛獣の姿があった。

 

姿は間違いなくディーヴァ……なんだけど、その身体はすでに普段の状態から二回りくらい大きくなってた。そのせいで元から布面積の小さい聖女服は内側から引き裂かれ、膨れ上がった筋肉やデカ乳が丸出しになってしまってる。

 

しかもそうして顕になった肌は、血の気が引いて異様なまでに白かった。尻からは虎の尾のようなものが生えてるし、だいぶアラガミの部分が出ているのだろう。それに腰まである髪の毛も、先がヴァジュラ系のマントみたいになってる。

 

怒りでオラクル細胞が活性化し、人の姿のままアラガミ化を引き起こした結果だろうが……凄いな。氷柱(つらら)が生えた天井に頭をぶつけそうな位身体がデカくなってる。三メートルは身長あるんじゃないか?それに胴体の厚さだって僕の倍以上あるぞ。筋肉膨れ上がって重くなってるのか、足音もめっちゃ重いし。

 

『………今からアレの相手するんですか?潰されますよ?』

 

女の子にアレとか言うんじゃありません。でも後者は否定できないね。サリーが僕のこと守ろうとしてギュッて抱きしめてるもの。めちゃくちゃ嬉しいし可愛いけど今のディーヴァには逆効果だからやめようね。

 

なんて、暴走状態に陥ったディーヴァに各々が戦々恐々としてた時である。

 

 

ディーヴァがこちらに振り向き、僕を視界に捉えた。

 

 

【────グオ"オ"オ"ォ"ォ"ォ"ォ"ッ!!!!!】

 

 

そしてディーヴァが咆哮を上げると同時、音圧で支部長室の窓が見事に全部砕け散った。なんだそのソニックブラスト。神機使い程度なら吹き飛ばせるぞ。

 

一応それがブチギレてか、興奮してのものかは分からない。何しろ精神が混濁してて今のディーヴァには感応現象が効かないから。

 

でもドスン!!ドスン!!と凍り付いた床に足跡を刻み、ディーヴァの巨体が此方に迫り始めた瞬間。何故か僕の脳内にDeo Volente*1が流れ始めた。ラスボスか何かで?

 

ちなみにサリーは、もう完全に僕を抱きしめながら震えてます。この娘が怯えるってだけでどれだけヤバいか分かるね。

 

 

やはりこれ、僕は死ぬんじゃないか?

 

 

【オ"ォ"ォ"オ"ン"ッ!!……フー!!フー!!!】

 

「ダメ……ソロモンは渡さない。ソロモンは私のなの………!!」

 

でもその時である。荒れ狂うディーヴァを前に、サリーが僕を抱きしめて自分のデカ乳の下に隠した。

 

人の姿に封じられてアラガミの能力も使えないのに、身体だって普段より小さくて弱くなってるのに。怒り狂う猛獣のようなディーヴァを前に、サリーは僕を一生懸命庇おうとしてる。

 

仮に力が無くたって、サリーは僕を守ることをやめない。自身の危険や死を顧みない。僕はサリーのそういうところが大好きであると同時に、何よりも危うく思ってる。サリーがこうした性分を有するがため、僕は人類の絶滅を決めた。

 

 

現に今回も、その優しさのせいで悲劇は起こった。

 

 

【グル"ル"ル"ル"ッ!!!………オ"ォ"ッ!!!】

 

「ん"………っ!?」

 

「!!!………………サリー!?大丈夫────」

 

 

突如として上がるサリーのくぐもった声に、僕は彼女の腕を払い除けて慌てて前へと出た。僕を庇うサリーを邪魔に思ったディーヴァが、彼女に手を出したと思ったからだ。

 

実際、僕の予想はある意味当たっていた。今のディーヴァは理性がトんでるし、そのせいで物事の判別が付かない。その上で本能は極限まで強まって剥き出しになっており、それに応えるように身体も大きく発達してる。色んな意味で制御が効かないんだ。

 

 

結果。僕が二人の間に入るように飛び出せば、そこには────

 

【オ"ォ"………ッ、フー………♡♡♡】

 

「ん"ー………!!ん"ー………………!!!」

 

「………………………………………。」

 

暴走したディーヴァに腰を掴まれ、強引に唇を奪われるサリーの姿があった。当然サリーは全力で嫌がって抵抗してるが、ディーヴァは膨れ上がった筋肉に覆われた腕でサリーを思いっきり抱きしめている。

 

そしてがっつりサリーの口内に舌を捩じ込み、可視化されるほどのドス黒い♡‬を飛ばしてる。僕の姿は目に入ってなさそうだ。

 

 

………………………これは。

 

『彼女……完全にサリーを貴方(ソロモン)だと勘違いしてますね。』

 

半ば呆れ尽くしたようなレンの声が頭の中に響く。

 

………まぁ普段の僕とディーヴァの体格差が、今のサリーとディーヴァくらいだし?理性トんでて判別能力無くなってるっぽいし、サリーにあんな♡‬飛ばしてるんだろう。

 

だからこれをNTRと呼ぶべきかは分からない。サリーもディーヴァも互いに嫌いな相手とディープキスしてる状態だし?そもそもディーヴァは女の子だし。そういう意味では百合だし。正気失ってるとはいえ。

 

 

ただね?仮に僕が百合に挟まる男になろうとも。サリーの唇を目の前で奪われて黙って居られるほど人間できてねえんだよ。寧ろかなり堪忍袋が温まってる。ディーヴァ相手に青筋浮くとは思わなかった。だがこいつはめちゃ許せんよなあ???

 

『人類絶滅を計画してる人外がなんか言ってますよ。』

 

よってちょっと荒っぽいやり方だが僕の能力で強制的に無力化してくれる。サリーの唇奪うのは、いくら大事なディーヴァとて実力行使も辞さない。

 

使うのはザイゴート堕天種の氷、雷の能力。細胞減退(リーク)筋力(こうげき)低下のガスを体内で同時に生成し、織り交ぜて化合物にすることで鎮静剤とする。

 

あとはこれをコクーンメイデンの棘をボルグ・カムランの外皮でコーティングした針で、ディーヴァの体内に直にぶち込む。………のが一番早そうなんだけど、今のディーヴァの膨れ上がった筋肉に針が通るか怪しいんだよな。

 

 

だから仕方なく。本当に仕方なく、サリーの目の前ではあるんだけどさ。僕は自分の全長を上回るディーヴァの足に抱きつき、夢中でサリーを貪るディーヴァに呼び掛けた。

 

「おいこらディーヴァ!!僕はこっちだ!!今すぐサリーとレズるのをやめなさい!!!」

 

【!!!!!………………グオ"ォ……ッ♡‬♡‬♡‬フー……!!フー……………!!!グル"ル"ル"ル"………ッ♡♡♡】

 

そうすりゃディーヴァは僕を視界に捉え、興奮状態を思い知らせるように更に身体を大きくする。ついでに呼吸も余計に荒くなって、僕も呼んでおきながら否応なく身の危険を感じてしまう。

 

そしてディーヴァは標的をサリーから僕へと移すと、片手で僕の首根っこを掴んで僕を面前まで持ち上げる。その様には口元を不快そうに抑えたサリーが悲鳴を上げるが、大丈夫。多分大丈夫。

 

「ソロモンだめ………!!殺されちゃう!!!」

 

「ディーヴァはそんな事しないよ。ね?」

 

【ムフー………♡♡♡】

 

あくまで好意や愛情が暴走しちゃって、理性がトんでるだけだから。その根底にあるのは僕への愛情表現に対する衝動だし、基本的には僕には甘えたいだけで害意は無い。

 

まぁそれでもコンゴウより太い腕に思い切り抱きしめられれば、それだけで背骨は粉々に粉砕されるのだが。前は大きく張ったデカ乳がクッションになってくれた代わりで無事だが。

 

けどそうやって抱擁一つで僕を満身創痍にすると、ディーヴァは衝動に任せて僕の唇を奪おうとしてくる。

 

だから本当にサリーの目の前で嫌なんだけど。僕はそれを受け入れ、ディーヴァに口付けを許可した。

 

………そうすれば。

 

【〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ♡♡♡ン"ン"………ッ♡♡♡】

 

ディーヴァは僕に大口を開けさせ、大蛇みたいな舌を僕の喉の奥までぶち込んでくる。そして僕に身体を仰け反らせながら唇を重ねると、さらに太い腕に怪力を入れて抱きしめてくる。

 

おそらく今まで僕が体験した中で一番激しく苛烈な、本能剥き出しのベロチューに意識が持ってかれそうになる。が、確かにディーヴァの唇は奪った。ディーヴァは今、僕の口の中に自分の舌を捩じ込んだ。

 

まさか僕が体内に気化させた即席の鎮静剤を充満させているとも知らずに。ディーヴァはベロチューを経由して、ザイゴートの毒ガス二種類を確かに吸引した。

 

こんだけ巨大化した身体じゃ何処まで効くかは分からないけどさ。少なくともディーヴァは僕を抱きしめたまま、その場に膝から崩れ落ちた。そしてさらにワンテンポ遅れて、上半身をその場で床に横たわらせる。

 

こうして横にさせると既に通常のヴァジュラ並に身体デカくなってたんだなって。この身体に押し倒されたら流石に僕でも死ぬだろう。エロい身体付きとかもそのままに巨大化してるから、ちょっと襲われてみたくはあるけdゲフンゲフン。

 

とはいえ、これでオラクル細胞の活動が減退して筋力が弱まれば直にディーヴァは元に戻るだろう。ディーヴァの身体も痙攣してるし────

 

 

ちょっと待って痙攣???

 

『ソロモン?貴方なんか殺傷用のガスでも混ぜました?彼女、泡吹いてますよ。』

 

「なんで!??」

 

『いくら彼女さんの唇奪ったからって、殺すのは流石にやり過ぎでは???』

 

殺ったの僕じゃないっての!!なんで!?デッドリーヴェノムでも食らったのかな!?ディーヴァが赤紫色の泡吹いて苦しんでるんだけど!!これこのままだと冗談抜きで死ぬやつじゃねえ!?

 

ていうか原因分かった。そういやさっき、ディーヴァはサリーにベロチューしてやがった。だが血液から母乳の一滴に至るまでの体液が、サリーは致死性の猛毒。それは当然、口内の唾液も例外ではない。何なら人の姿に閉じ込めても毒性だけは健在だ。

 

だからディーヴァはきっと、あのキスで毒貰ったんだわ。手を出すだけで相手が毒で死ぬとか、伴侶の僕からすれば防犯機能強すぎて安心するけどさ。

 

ただそうと分かれば、さっさと解毒すればディーヴァは助かるわけだ。幸いにもサリーは、捕喰した神機使いの道具からアラガミを治療する能力を持っている。彼女なら────

 

 

「………サリー!!ちょっとディーヴァの解毒をお願い!!【デトックス錠】ってやつの性質を、鱗粉に付与してディーヴァに────」

 

「………やだ。絶対やだ。そんな害獣、さっさと死ねばいい。ほんと最悪………」

 

「ですよね!!!」

 

 

ディーヴァに唇を奪われたのが余程参ったのか。サリーはサリーで、その場に膝から崩れ落ちてボロ泣きしてた。何なら膝ついたまま僕の方に寄ろうとズリズリやってる。せっかく歩けるようになったばかりなのに可哀想に。

 

こうなってはサリーには頼めないし、僕がどうにかするしかない。が、僕はサリーみたいに他のアラガミを回復する能力は持ってない。

 

ならどうするか?

 

造書庫(ライブラ)展開!!サリー、ちょっと能力を()()()よ!!!」

 

「………………………???いいけど………」

 

そうとだけ告げ、僕は感応現象をサリーに接続。その思考────ではなく肉体情報を僕に共有すると、身体に刻まれた機構や能力を全身のオラクル細胞で解析していく。

 

その上で次に、解析の終わった鱗粉の散布能力……と、記憶に存在する過去に捕喰した内容物を自身に投影。サリーが辿った進化を自分に再現すれば、僕の腰からローブを捲り上げて蝶の翅が生える。

 

『!??えっ……なんですかそれは………』

 

「なんだ。僕の脳内で造書庫の制御してるのに、僕の能力の全容は知らないのか。」

 

『いや知りませんよ!!僕が保管してるのは情報であって、情報の使い方じゃないんですから!!』

 

ならこの機に知っておけ。僕は知っての通り、僕の細胞を分けた神骸種────サリーやディーヴァ、その他堕し児達とあらゆる情報を共有できる。肉体情報に記憶情報、思考情報なんかを纏めてね。

 

そして僕は堕し児に肉体の構成情報を与えることで、彼らに既存の全アラガミの能力を与えた。が、これは僕も逆のことが出来るんだよ。

 

具体的には造書庫の管理下にある神骸種の記憶情報から肉体の構成と使い方、能力の配合とその原理を読み解くんだ。そうすればあとは、自身の身体に全く同じ構造を複製するだけ。僕はこうして、造書庫を経由して他の神骸種の能力を自分のものとして行使できる。

 

まぁあくまで複製できるのは神骸種の能力であって、その能力の使い勝手なんかは後から掴まないとだけどね。その点今回は、複製したのがサリーの能力で助かった。サリエルの能力は僕がアラガミになってから、使い始めて最も長い能力の一つだ。

 

おかげでこの腰に生やした翅の使い方はよく知っている。知らないのは鱗粉の成分の変え方だけだが、こちらもそう難しくはない。

 

結果としてサリーの能力を模倣後、僕は鱗粉にデトックス錠の効果を宿して羽ばたきを起こす。そうすれば鱗粉を帯びた羽ばたき一つで、僕はディーヴァを蝕むデッドリーヴェノムを吹き飛ばすに至った。

 

その効果は抜群で、痙攣しながら泡を吹いてたディーヴァは安らかな寝顔を浮かべてその場に横たわった。同時にオラクル細胞の暴走により巨大化した身体も、本人の鎮静により元の大きさへと縮み始めた。

 

 

が、その時である。

 

 

「ソロモン………ソロモン………っ!!」

 

「うおサリー。どうしたの。」

 

「チュー……!!チューして………!!」

 

いつの間に僕の後ろまで這い寄ったのか。サリーが僕の身体を抱き寄せると、目に涙を浮かべながらキスをせがんできた。

 

当然断る理由もないし、求められるがままに僕は唇を重ねたけども。サリーは僕と唇を重ね舌を絡めるなり、僕の背中に腕を回してきた。

 

しかも僕が息が苦しくなって離すと、サリーは改めて唇を奪ってなっっっがい口付けを行ってくる。普段は僕の方から甘えるのに、サリーの方からこんなにがっついて来るのは珍しい。

 

おかげで大人しい彼女にぐいぐい迫られて、僕もだいぶドキドキしてるんだが………

 

「ぷはっ……ど、どうしたのサリー?ヤキモチ妬いてるの??こんなぐいぐい来るなんて………」

 

「私の口の中……あの害獣じゃなくて、ソロモンで上書きしたい………」

 

「あー。」『あー………』

 

理由が至極真っ当ながらあまりにあまりで、頭の中のレンと共になんとも言えない声が出た。あればかりはほんとに誰も幸せにならない事故だったからね。サリーはトラウマ作るし、僕は脳破壊されるし、ディーヴァは毒もらうしで………そりゃ上書きしたくもなるか。

 

けど少なからず妬いてるのもあるのか。どうにもサリーは、キスだけで終わらせる気がないらしい。なんか僕の腰から生えた蝶の翅の付け根を、両手の指でさわさわしている。続きもしたいって、目でおねだりしてる。

 

「サリー、ここはダメ。ディーヴァが起きて見たら、またブチ切れて暴走しちゃうし………」

 

「じゃあおっぱい吸って……ソロモン怪我しているし、能力使って疲れてるから……回復してあげる………」

 

「んー………」

 

暖簾みたいに乳房を覆う布を捲り、サリーが片乳を僕の顔に押し付けてくる。授乳くらいならディーヴァもキレないかと判断し、促されるがままにサリーの胸に甘えた(※キレます)。

 

栄養価っていうかオラクル細胞の濃度が高いんだろうね。サリーのおかげで、僕がディーヴァに粉砕された骨の数々は割と直ぐに回復しきった。

 

________________________

 

 

そして、待つこと数分。

 

「………ご主人様!!本ッッッ当に申し訳ありませんでした!!!私、ご主人様にすっぽかされたと思い込んで………!!!」

 

そこには文字通りの全裸土下座を行うディーヴァの姿があった。理性トんで暴走してた最中の記憶は無いはずだが、どうにもあの暴走はディーヴァが神兵の頃から引き起こしてたらしい。頭に血が昇ったり命の危機が迫ったりすると、ああやって身体がデカくなって凶暴化しちゃうんだと。

 

そんな厄ネタが完全なアラガミになってなお残ってたのは初耳だけど。その甲斐もあってか、ディーヴァは妙に状況の飲み込みが早かった。目覚めて直ぐにこの土下座だもの。

 

とはいえ………

 

「ディーヴァ?今回は謝る相手が違うよな???」

 

「へ!?謝る相手が違うって……私、暴走してご主人様のこと襲ったのでは!??」

 

「まあ僕も襲われはしたけど。やっぱ記憶ないか。」

 

そう、未だ僕をディーヴァから守るように抱きしめ……ていうか僕の影からディーヴァを警戒するサリーに目配せをする。ぬいぐるみで顔隠す女の子みたいになってるじゃん。怖がっちゃって可哀想に。

 

で、ディーヴァはディーヴァで「僕にやらかした」って絶望とまた別の絶望を覚えたらしい。元々悪かった顔色がさらに悪くなり、縋るような目で僕を見つめてくる。受け入れろ事実だ。

 

「え………?ご主人様、もしかして……私、サリーに手を出したんですか………!?なんで………………!??」

 

「アラガミ化引き起こしてる時、普段の僕と体格差が近かったんじゃないか?エッグいキスしてたぞ。」

 

「嘘でしょう……確かに私、女の子も好きですけど………ご主人様を差し置いて、サリーに手を出すとか………」

 

なんかすんげえ不穏なカミングアウトがあったが。僕の前で我を忘れて暴走した絶望に、僕を強姦同然に襲った絶望。そして好きでも何でもないサリーを間違って襲った絶望により、ディーヴァはもれなくその場にうつ伏せになった。

 

そしてこう一言。

 

「………ご主人様。」

 

「だめ。許可しない。」

 

「まだ何も言ってないんですけど………」

 

口にする前に、僕が強めに拒否した。だってディーヴァ、「一思いに殺してください」って嘆願しようとしたから。もう僕に許されることすら諦めるとは。()()別にディーヴァにされたことを気にしちゃいないのに。

 

「………………………!??」

 

「だってそうだろう。そもそもは、僕がサリーをこの姿に封じるのに手こずったせいで君は暴走したんだ。この件に関しての非は、明らかに僕にある。」

 

ついでに人の器に封じた後に、色々ヤってて遅れたのは内緒だけども。僕がディーヴァを部屋に放置し過ぎたせいで、怒り狂って暴走したのは事実だ。そういう意味では僕が受けた被害は全く気にしてないし、そこを責める権利は僕には無い。し、襲われたことに関しちゃマジで気にしてない。

 

けど僕がそうやって許すとは到底思ってなかったディーヴァは、僕の言葉が咀嚼できてないようだった。呆然と僕の顔を見つめては、どう返事をしたものかと言葉に詰まっていた。

 

 

だからさらにもう一言。

 

「但しディーヴァ。それを抜きにしても、理性トんでた事を考慮しても、君がサリーにしでかした事に関しちゃ僕も許しちゃいない。」

 

「!!!!!………そうですよね!!!」

 

「なあに喜んでんだ。」

 

上げて落とすようそう発言したつもりだったのだが、何故かディーヴァは目を輝かせた。もうこの娘あれなんだ。忠誠心とか依存とか行き過ぎてるせいで、やらかしたら罰されないと落ち着かないんだ。

 

そんな難儀すぎる生態に、サリーはサリーで「何こいつ……」ってドン引きしてるけども。僕はそう罰されて、僕に許されたいと願うディーヴァに告げることにした。

 

「ディーヴァ。僕は君のやらかしに関しちゃ許しているが、他ならぬサリーが君を許していない。よってその懲罰の内容はサリーに任せる。」

 

「ねえご主人様?それ私、間違いなく死にません??」

 

「やっぱそう思う?」

 

自分でも言ってて途中から思ったけど。思うに今回のディーヴァの処遇は、一番の被害者のサリーに決めさせるのが筋だよなって。そう思ったけど、サリーの場合間違いなく「じゃああの害獣ぶち殺して」って言うでしょ。今も僕を抱きしめながらすっごい恨めしそうにディーヴァのこと睨んでるし。

 

そしてディーヴァはディーヴァで、僕に処されるならまだしもサリーに殺されるのは不服らしい。それでも僕の言うことだから無抵抗ではいるけど。なんかいつでも赤晶の防壁を展開できるよう、氷の義手をこっそり床に当ててる。

 

………まぁそのくらいの抵抗は許さないと、ガチで殺されるだろうし。僕も気付かない振りしたけどさ。そうするとサリーは、不意に僕の唇を奪ってきた。

 

 

なんで?

 

 

「!?!!!なっ………!!この女……この………!!」

 

「ちょっ………サリー?急にどうしたの!?ディーヴァが見てるのに………」

 

「ソロモン……あの女の罰なんてどうでもいいから、代わりにお願いがあるの。んっ………」

 

僕の身体を軽々と抱きかかえながら、サリーが再度僕の唇を奪い……ついでにディーヴァに見せつけるよう、僕の口の中に舌を入れてくる。ぎゅ〜〜〜って抱っこされながらねっとり舌を絡められて、スキンシップじゃ済まない口付けをディーヴァに見せつけちゃってる。

 

「サリー、一回ストップ………!!」

 

流石に恥ずいなんてもんじゃないから、一度止めてもらったけどさ。それでもサリーは幸せそうに目を細めながら、続きをしたそうに舌なめずりするものだから。僕も情けないことに強めに断ることが出来ない。

 

そしてそんな僕を見ると、サリーはディーヴァへの処罰としてとんでもない要求を持ち掛けた。

 

「ソロモン。………これからは、ディーヴァの前で好きなの我慢したくない。ソロモンの好きな時に、こうやって甘えて欲しいの………ほら、吸って………」

 

「………………………………ッ!!!!!!」

 

いやこれディーヴァにとっては厳罰も厳罰だわ。それも下手すると死にも勝るレベルの。現にサリーが暖簾状の衣服を捲って乳房を押し付ける様を、ディーヴァは血の涙を流しながら見つめていた。

 

普段だったら飛び掛ってでも止めるところを、血が出るほど唇を噛み締め耐えてるのはある種の自罰か。言っていいんだよ?「ここまでされる謂れは無い」って。僕はサリーのこの提案を断れないから。それやると彼女の愛情を拒絶することになっちゃうから。

 

ていうかディーヴァ、ブチギレ過ぎて白目の部分が真っ赤に充血してるんだけど。瞳孔も変形しかけてるし、これまた暴走してアラガミ化するやつでは?

 

そりゃそうだ。サリーの身体を人の大きさに封じるために放置され、サリーが人型になれたせいで唯一僕と二人きりになれた屋内まで入ってきて、挙句に目の前でこれ見よがしにイチャつかれる。ディーヴァは何かしら僕の役に立たないとキスすら出来ないのに。

 

『………………ソロモン。』

 

『分かってるレン。流石にこれはディーヴァがあまりに可哀想だ。』

 

そもそも今回の発端だって、ディーヴァが「自分のこと放置して僕がサリーとエッチしてる」ってブチギレたのが原因だしね。だからサリーに手え出した件は許さんが、僕に対するやらかしは全然許容する。し、何だったら好きにさせてあげようとすら思ってた。

 

だから僕は♡‬をいっぱい飛ばして甘えるサリーに抱きつき、一回だけおっぱいに顔を押し付ける。それに対してディーヴァは「ガルルルル………!!!」って唸り声を漏らしたけど。ほんとにそれだけだ。耐えてねディーヴァ。

 

そしてそうやって短めに甘えた後、僕はサリーの腕からするりと脱出した。当然サリーは不思議そうにしてたが、僕は次に再び怒りで我を忘れかけてるディーヴァの方へと足を進める。

 

「………………ソロモン?」

 

「ディーヴァ。サリーがああ言ってるから、君への懲罰はこれで決定とするけど。異論はあるかな?」

 

「〜〜〜〜〜〜ッ!!!無い……です………!!ぐゔゔゔぅ………ッ!!!」

 

そして尋ねれば、ディーヴァはサリーの提案を受け入れた。そのせいでストレスが限界に達してるのか、心臓を模したコアがドグン!!ドグンッ!!!て凄い音を立てている。身体もゆっくりだけど大きくなり始めてるし、放っとくとマジでアラガミ化しかねない。

 

そこで僕は、今にも理性が消えて暴走しそうなディーヴァの前に跪く。そしてその頭に両手を伸ばすと、顔を僕の胸元に当たるようにして抱きしめた。

 

「────────………ッ。ご主人様……???」

 

呆然とディーヴァが尋ねてくるけど、気にしないで僕はディーヴァのふわふわの髪を梳くように撫でる。何しろディーヴァはこんなデカくて逞しい身体付きしてるけど、甘える方が好きだからね。こうやって僕の胸に顔を押し付けさせて、抱きしめながら撫で撫ですると直ぐメロメロになっちゃうの。

 

現に今も状況を理解し始めると、ディーヴァは僕が「良し」って言ってないのに僕の腰に腕を回してきた。そして胸に顔を埋めたまま、荒々しく息を吸って僕を抱きしめる。そうすればすっかりその精神状態は安定し……いや、別な意味で不安定にはなったか。けど怒りで暴走する兆候は完全に消える。

 

そこで、だ。

 

「はー……はー……ご主人様、なんで………??なんで、急に私こんな……幸せ過ぎて鼻血出て来ちゃったんですけど………」

 

「いやなに。やらかした事への罰も決まったし、そろそろご褒美の話をしようかなって。」

 

「!!!!!!!!!!!!!」

 

そう切り出せば、ディーヴァはピタリと僕の匂いを吸い込むのをやめた。僕は構わず頭撫で撫するけど。ディーヴァの髪の毛って癖っ毛だし毛量多いしで、モフモフしてて撫でていて幸せなんだよね。身体も大きいしで大型犬とか撫でてるみたいで。

 

「えっ……ご主人様!?ご褒美ってなんで………」

 

「なんでも何も、そもそも僕のご褒美待ちで支部長室にいたでしょ。忘れちゃった?」

 

「だって私……ご主人様がサリーとエッチしたって勝手に思い込んで、カッとなって我を忘れたのに………」

 

『思い込みじゃないんですよね……』

 

さっきも言ったがそれに関しちゃ僕のせいだし、それとディーヴァが僕に貢献してくれた働きは別だ。サリーを人間態の姿に変えられたのはディーヴァのおかげだし、僕はそこからサリーを人の大きさに縮めただけ。サリーを人に変える工程で言えば、七割くらいはディーヴァがやってくれた。

 

おかげで僕はこの支部に人間を招き入れる上での課題をほぼクリア出来た。その貢献は大きいし、そうでなくてもディーヴァの事はちゃんと労ってあげなきゃって思ってたんだ。予想の斜め上の暴走の仕方したから流れかけただけで。

 

なのにディーヴァにとっては余程意外だったみたいで、僕の衣服に顔を押し付けたままディーヴァはぐずり出した。めっちゃ涙とか鼻水とか染み込んでる感触する。

 

「ぐずっ……ご主人様やさしい……大好き……愛してる………私こんなダメな子なのに……感情も処理できないゴミなのに………」

 

「そういう訳だからサリー。ちょっとだけ、この支部長室でお留守番してられる?後でいっぱい甘えさせてもらうから。」

 

「んー………」

 

不服そうに膨れるサリーにお願いすれば、案外サリーはあっさりと承認してくれた。まああれだね。ディーヴァのざまを見て、自分の方が愛されてるって確信してるから余裕があるんだね。それにアラガミの身体じゃないせいで、レーザー撃ったり妨害できないから。すんなり僕がディーヴァの相手をするのに折れてくれた。

 

が、僕がディーヴァを支部長の私室へと運んでくその直前。

 

「………でもソロモン。無理はダメ。その女の相手がキツいと思ったら、直ぐに私のとこ来て。回復くらいなら出来るから。」

 

「この女………ッ!!ご主人様、私そんな大変な女じゃないですよね!!ね!?なんで目え逸らすんですか!??」

 

僕の心配をしているのだろうが、サリーはディーヴァ本人を目の前にド直球に喧嘩を売っていた。ディーヴァに危害加えられる能力も無いのに、言葉で喧嘩売るようになっちゃって。その無自覚煽りは僕もリアクションに困るんだよ。

 

何しろディーヴァはこういうご褒美って形でしか僕に愛情を吐き出せない分、いざ吐き出す時はめちゃくちゃ激しくて容赦が無い。本人は無自覚なんだろうけど、人間に同じことしたら十分くらいで殺してしまうくらいには。

 

 

現にサリーの危惧通り、翌朝までに僕はディーヴァに腰と骨盤を持ってかれた。そのせいでまたディーヴァがションボリしたし、夜通し僕を独占して貪り尽くしたディーヴァにサリーがキレたのはまた別の話。

 

ただボロボロになりながらもサリーに甘やかされ、身体を癒される僕にレンはこう一言。

 

『ソロモン。』

 

『なに。』

 

『………二股って、大変じゃありません?』

 

『そうだぞ。』

 

特に時間が限られたクッソ忙しい状況だと尚の事な。ほんと、さっさと人類絶滅計画を完遂してこの二人の相手に専念したいものだ。そうすればこんな高密度で、交互に奪い合いが起きることもなかろうに。

 

もう今の時点でも最悪なのは間違いないんだが、僕を囲う女の子がサリーとディーヴァの二人だけで良かった。これがもっと大人数のハーレムだったら、僕はもう生きてないと思う。

*1
アルダノーヴァの戦闘BGM。




お前、まだ囲う女が二人で済むとでも思ってるんじゃないかね?(残る女型アラガミの数々)
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