神様にされたら愛され過ぎてヤバい件について。 作:Am.
遅くない?(全ギレ)
僕に【ゼロ】という名を授け、暫くジゼルに独占された後。僕はジゼルに頼み、神機を手にした堕し児達を支部の外の掃除に駆り立てた。
何しろロシア支部の陥落からまだ数日。血と腐臭の漂う解像度の高い地獄と化した民間居住区は、僕が襲撃に用いた神骸種が闊歩している。これから他支部の神機使いを招こうと言うのに、支部周辺がこれでは不味いだろう。
だから神機に適合した堕し児達には、この神骸種の残党を片付けてもらった。これはフェンリルの連中を招き入れるための片付けと同時に、堕し児達に神機使いとしての技量と実戦経験を積ませるって目的があったんだけど。
………結論から言うと、この「大掃除」はたったの一日で終わってしまった。堕し児の基礎能力に加えて「自分達の故郷を滅ぼした連中をブチ殺せる」ってモチベがバカ高かったみたいでね。これは僕にとっても嬉しい誤算だった。
おかげでたった一日で、堕し児達はかつてこのロシア支部にいた神機使い────否。極東の連中ほどとまでは行かなくとも、残存人類の中では上澄みに位置する程度の神機使いとしての能力を獲得した。
堕し児は人型アラガミだから素の神機使いより身体能力高いし、全身がオラクル細胞だから学習速度が早い。その上僕は捕喰した神機使い達の
だからこそ即席で前のロシア支部を上回る腕と数の神機使いを用意できた訳だが。僕の想定以上の戦果を自慢げに報告するジゼルに、僕もかなり素直に感心してしまった。
「どうゼロ!!あの子達すごいでしょ!?一日でキミの引き連れてきたアラガミを片付けちゃったんだよ!??」
「ああ。記憶を植え付けるだけでああも動けるとは。……編成を割り当てたオペレーターの腕も良かったらしい。」
「!!!………もしかして、ジゼルちゃんのこと褒めてくれてる??」
意外そうにジゼルが僕の顔を覗き込んでくるから、無言で頷いて肯定した。そしたらめっちゃ抱きしめられた。僕のこと何だと思ってんだこいつは。僕だって役に立った堕し児はちゃんと褒めるし、褒美だって与えるっての。
僕の制御下に無かったとはいえ、この支部独力で普通の神骸種を打破出来たんだ。これならもう既に他支部の神機使いと混成しても問題は無い。寧ろロシアがそれほどの腕利きを多数抱えると知れば、フェンリルもここの復興を優先するだろう。
そしてその見返りに堕し児を各支部に戦力として派遣すれば、僕は全ての支部の構造と編成を把握できる。そうすれば
流石にこんな具体的な計画はジゼルには教えられないが。それでも僕が堕し児の性能にご満悦なのは、ジゼルにも筒抜けだったらしい。「ゼロの機嫌が良い今なら」と、ジゼルは僕にある要求を口にした。
「でさゼロ。これであの子達は神機使いとしてやっていけるし、フェンリルの連中を招く準備も全部出来たと思うんだよ。だから────」
「────僕の部屋、支部長室に来たいか?そういう約束だったものな。」
「!!!………うん!!その話、覚えててくれたんだ!?」
当然。元々遅かれ早かれ優秀なジゼルは僕の支部長室に招き入れるつもりだったし。だから僕はジゼルの要求を食い気味に受け入れた。
………まあ支部長室に招き入れるってことは、ジゼルをサリーやディーヴァに会わす事になる訳だけど。サリーは今は人の姿に閉じ込めてるし、仮に妬いてもジゼルを殺すのは無理だから良い。だが絶賛罪悪感で対人恐怖症発症中のディーヴァはどうしたものか。
ジゼルとしては僕について色々理解した今、情報収集の目的よりもディーヴァ────否。元々可愛がってた神機使い、フレイ・アイアンハートに会いたいって目的が大きい。日にちを改めてディーヴァを隠した上で、と言うのはジゼルには不本意だろう。
かと言ってディーヴァに「明日ジゼルって娘がここ来る」って言ったら僕の私室に引っ込むのが目に見える。だから急な気はするが────
「よし。じゃあ今から行こうか。」
「……今から!?いいの!??」
「ジゼルに予定が無いなら構わないよ。」
────その場で即断。僕はジゼルの手を引くと、そのままあっさり支部長室にまで招き入れた。
本来通常の堕し児は四階以上への侵入を禁じており、訪れれば問答無用で排除される。これは堕し児との接触を過度に恐れるディーヴァのための取り決めなのだが、ジゼルは初めてその例外となった。
正直ジゼル相手でもディーヴァは接触を拒絶するだろう。しかしジゼルの側に悪意が無いのは造書庫で既に確認してある。
それに縋る相手を僕しか持たないディーヴァに、ジゼルという依存先を増やせば僕も自由に出来る時間が増える。これから僕が忙しくなるのは間違いないから。そういう意味では僕もジゼルをさっさと支部長室に招き入れたかった。
だから僕は焦り、誤ったのかもしれない。戦後の事後処理の大概を片付け、気が緩んだのかもしれない。そう後悔したのは、ジゼルを傍らに支部長室に帰還した数分後の事である。
「ただいまサリー、ディーヴァ。」
「!!!………ソロモン、おかえり────」
「おかえりなさいご主人様────」
支部長室の扉を開け、呼び掛けること数瞬。サリーとディーヴァの言葉が途切れた直後、まず一瞬でディーヴァが僕の背後に回った。
そして僕を脇腹に抱えると同時、これまた一瞬でディーヴァはさっき居た位置────否。先ほど以上に部屋の奥に引っ込むと、僕を盾のように前に構えてその巨体を縮める。
それはまるで僕の影に自分の身体を隠そうとしているようだが、隠れられてないし遅いんだよ。ほら見ろジゼル困惑してるじゃねえか。そんな隠れなくても大丈夫だって。
「ご主人様……!?ねえ、ご主人様……なんで、なんでジゼルちゃんがここに居るんですか………!?私、堕し児に会うの嫌だって言ったのに………!!!」
「彼女が僕に友好的かつ有用なのと、本人の希望もあったから連れてきた。なんでもディーヴァに会いたいってさ。」
「ご主人様のバカあ………!!!」
琥珀色の瞳に涙を溜めてディーヴァが恨み言を吐く。が、その言葉に重ねるようにもう一つ。憎悪と殺意が滲み出る呪詛が、僕の直ぐ後ろから発せられた。
「ねえ、ソロモン……あの女、だあれ………??」
「堕し児の中でいちばん優秀で話が通じる娘だよ。それだけだから。ね?サリー。その手に生成した杖(?)引っ込めて?何それマジで。」
「この姿だとソロモンに群がる女殺せないから作った。ソロモンの真似………」
そう言ってサリーは、鋒に邪眼を有した長杖にも槍にも見える武装をジゼルに向ける。どうにも僕の蝕刃を模倣した能力を今生み出したらしい。進化の速度が凄まじくて何よりだよ。おかげでサリーを人の姿に封じただけでは安心できなくなった。人の姿でも普通に戦えるわこの娘。
「あっはは……ジゼルちゃん、思った以上に歓迎されてないねー?」
こんな塩梅に片や僕の物陰に隠れて怯え、もう片方は剥き出しの敵意と共に臨戦態勢だ。状況に取り残されたジゼルは、困ったように笑みを浮かべるしか無かった。
が、ふと僕は気付いた。何故かジゼルの目が笑ってない事と、その冷たい視線が僕の方に向いてる事に。
いや「何故か」じゃねえ理由は明白か。何しろジゼルから見れば、僕は自室に美女二人を侍らせてるカス野郎だ。その上サリーは乳暖簾に前垂れオンリーで、ディーヴァは水着みたいな露出度の聖女服。そんな趣味全開のエロ
挙句にその片割れが自分がかつて可愛がり、戦死したと思ったら再会できた妹分ともなれば尚のことだ。ジゼルは僕が身の危険を感じる笑顔のまま、サリーの威嚇をものともせずにツカツカと僕に歩み寄ってくる。
「ひっ……!?ご主人様、ご主人様………!!」
「へぇ……
「いや違うんですあの。」
ディーヴァのご主人様呼びもあの頭の悪い格好も、本人が勝手にやってるんです。なんか僕が無理やりエロ衣装着せて、ご主人様呼びさせてるみたいになってるけど。それに関しちゃガチの冤罪です。
「それにこっちの娘も、凄い身体と格好だね?こんな凄い娘達と毎日一緒にいれば、そりゃジゼルちゃんの色仕掛けが効かない訳だ。乳おっっっも………」
「………………ッ!?………………………???」
「おいこらサリーにセクハラすんな。」
そして不意に矛先を変えたジゼルが、サリーのデカ乳をもにもにと揉んでいる。サリーも戦闘態勢の自分が身体を触られるとは思ってなかったようで、困惑したように僕の方を見つめてる。サリーがああやって困るの珍しいな。
いや違うんですよ本当に。サリーのその格好も、サリーが「人間の服やだ」ってするから最低限の布面積になっただけで。僕がエロい格好させて傍に置いておきたいって訳では無いんです。寧ろ本当はもっとちゃんと服着て欲しいんです。サリーが嫌がるから着せれないだけで。
けど久しく忘れてた。こんなスタイル抜群な美女二人に囲まれ、双方から潰れそうなほどの愛情を向けられる環境の異様さを。それを普通の人間が、しかも女性が見ればどんな感情を向けるのか。僕はすっかり失念していた。
おかげで僕の必死の弁明もまるで意味を成さず、ただジゼルは一言。
「………………………変態。」
「ぐっふう!??」
「ご主人様!?」
小さく呟くと、初めて僕に明確な致命傷を入れた。それも言葉の刃で。ほんの僅かな時間にも関わらず、僕への認識は【人類の天敵】から【女の天敵】へとガタ落ちした。
そしてジゼルの暴言(正論)に僕が撃沈する中、ジゼルはディーヴァに近付くとこう諭しにかかった。
「フレイ。この子は止めときな?アラガミになっても男運が最悪なのは相変わらずなんて。流石に不憫で、色々言いたかったこと忘れちゃったよ。」
「あえっ!?えっ……そ、そんな事ないですよジゼルちゃん……ご主人様、すっごい優しいし……可愛いし……何しても怒らないから………」
「え"っ。」
が、ここでまさかのディーヴァが爆弾投下。何かを思い出して頬を僅かに赤らめると、じっとりと湿度が増した。
それに対してジゼルは当然、僕とディーヴァを交互に見るけども。なんだこれ僕に対する集団リンチか?ディーヴァ、ジゼルの方に寝返ったのか?やめようね。人の性事情の暴露会はやめようね。良くないと思うよそういうの。
「………もしかしてフレイ。ヤったの?こんな小ちゃい子と?」
「はい。……私が元気ない時、ご主人様が「好きにしていいよ」って言ってくれたから………♡♡♡」
「………………………わお笑笑。」
ほら見ろ!!ジゼルがドン引きしちゃったじゃん!!無言な辺り余計にダメージ入るんだが!!ていうかさり気なく僕に矛先逸らすのやめてもらっていいですか???いや僕が誘い受けしたのは紛れもない事実なんですけど。今それ言う必要あったか?ねえディーヴァ?
ただ幸いというか何というか。ジゼルは今度は撃沈してる僕に寄ると、心配そうに僕の顔を覗き込んできた。お陰で改めてサリーの堪忍袋がだいぶ温まって参りましたが。それを気にも停めず、ジゼルは僕にこう尋ねる。
「えっ………大丈夫なの?キミがフレイと、その……シたら潰れちゃわない?こんな小柄なのに………」
「どういう意味ですかジゼルちゃん!!!大丈夫ですよね!!ね!?ご主人様!!」
「ソダネ。」
確かに潰れはしないね。せいぜい文字通りに骨が折れる程度だね。なんて正直に言えばディーヴァに恥をかかせてしまうから、僕は笑顔で誤魔化すけども。
でもそうすると、今度は怒り心頭のサリーが僕を急に抱き寄せる形でジゼルとディーヴァの元から僕を奪った。そして所有権を主張するかのように僕を抱きしめると、敵意を剥き出しにしてジゼルとディーヴァを睨む。
「どいつもこいつも……ソロモンに近付き過ぎ……!!ソロモンは私のなの……私が、一番ソロモン好きなの………!!」
そう涙ながらに、独占欲全開にサリーが僕の頭をデカ乳に沈める。というか僕が足つかないのをいい事に、全身を抱きかかえて唇を奪おうとしてくる。
いやめっちゃ僕もキスしたいし抱っこされながらベロチュウされるの幸せなんだけどさ?ディーヴァはまだしもジゼルの目の前だからちょっと解放して欲しいって言うか?流石に知り合って間も無い女の子の前でディープキスは公開処刑が過ぎないかサリー。いやそういうTPOをアラガミが理解する訳ないのは分かってるんだけど!!ちょっと待って!?
「あーはは………ごめんねソロモン?ジゼルちゃん勘違いしてた。これキミが変態っていうか、周りの環境が凄まじいんだねー……こりゃ仕方ないわ色々と………」
「ガチめの同情やめてくれないか??」
「でも思ったより満喫してるって言うか、幸せそうな暮らししてたんだね。……キミが人間の生活に固執しない理由、ちょっと分かったかも。」
僕を奪い合ってギャンギャン威嚇しあってるサリーとディーヴァを他所に、ジゼルがそう小さく笑みを漏らす。もっと健全なところを僕は見て欲しかったんだけどね。いっつもこんな人目も気にせず乱闘してると思うなよ?いや、乱闘してるか。してるわ。
そして僕が女の子を侍らせてるのではなく、彼女達に求められまくってると分かると同時。ジゼルはなんと、さらに爆弾を投下してきやがった。
「で、ソロモン。こんだけエッチな娘たちに好き好きされてるけどさ。キミはその娘とフレイ、どっちが好きなの?」
「
「そうなんですよ!!ねえジゼルちゃん、どうやったらご主人様に好き好きしてもらえますか!?」
僕がサリーの身体にしがみつくと同時、ディーヴァがジゼルに泣きつく。本人を目の前になんてこと尋ねてるんだディーヴァ。爆弾投下したつもりが自分まで誘爆して、ジゼルも困ってるじゃん。今の関係で満足しとけって。
「んー………そうだねえ。色仕掛けも慣れて効かないなら、やっぱもう襲っちゃうのが良いんじゃない?」
「襲………………ッ!??」
前言撤回。やっぱジゼル放火魔の方だわ。爆弾にガソリンぶっかけやがって。こいつ人間性を獲得する前は火属性のアラガミか何かか??
んでディーヴァもディーヴァでなに困惑してるんだよ。「頑張ってくれてありがと」ってする時、毎回毎回力尽くで僕のこと犯し倒してるくせに。
それともなんだ?普段はフィジカルの差があり過ぎて犯されてるみたいになってただけで、あれ別にディーヴァは普通にラブラブしてるつもりだったとか?あり得そうだからやめてくれないか?
「でもジゼルちゃん、そんな事したらご主人様に嫌われちゃいませんか……?」
「大丈夫大丈夫。フレイの体格なら、力尽くで襲っちゃえばソロモンは抵抗できないから。もう好き嫌いとか関係ないよ。好きになるまで犯せばそれで終わりだもん。ね?」
「ね?じゃないんだが。」
実際力尽くで襲われたら物理的に抵抗は出来ないけども。だが仮に僕の身体が
とか言って、僕がサリーにしがみついていた時だった。何故かジゼルは呆然としたディーヴァを差し置いて、サリーの方へとやってきた。やめろ一体お前はサリーに何を吹き込む気だ。純真無垢なアラガミのサリーに余計な知識を吹き込んで一体何をさせるつもりだ。
「それにサリー……だっけ?キミも見た感じ、ソロモンとイチャイチャしたいのに物足りなさそうじゃん?」
「!!!……うん。イチャイチャしたい……どこでもソロモンに甘えて欲しいのに………」
「大方、フレイの前だとそういう事しないようにソロモンに言われてるんでしょ。この子恥ずかしがり屋さんだから。」
そう言ってサリーに抱っこされてる僕を、ジゼルがさわさわと軽く撫でる。さっきベロチュウしたのがイチャイチャに入らないだと?その程度もはや挨拶とでも言いたいのかサリー。もう性の悦びを知ってしまった以上、本番してくれないと満足できない身体になってしまったのかい。
現にジゼルに問われれば、サリーが僕をデカ乳を押し付けて甘えるよう誘惑してくる。何ならデカ乳が膨れ上がり、大事なところを隠すだけの暖簾を捲り上げかけてる。ジゼルが余計なこと吹き込んだせいでめっちゃ悶々してる。
「キミだってソロモンより全然身体大きいんだし、フレイの前でも好きに襲っちゃっていいと思うよ?好きなの我慢するの辛いでしょ。」
「ソロモン………いいの?ここでおっぱい、飲ませていい……??」
「待て待て待て。サリー待って?そんな物欲しそうにこっち見ないで??ディーヴァの前では好きにしていいから。ジゼルいるうちは、ちょっと待って??」
サリーの方に関しちゃ僕は拒否とか出来ないんだから。そんな無理やりグイグイ来られたら、僕に選択肢なんて無くなるんだから。
んで僕がサリーに現在進行形で襲われかけてるのを目にしたのが最後のひと押しになったんだろうね。無遠慮に貪られかけてる僕に対し、目の据わったディーヴァが歩み寄ってきた。残念なことにサリーも僕を愛でることに夢中で全然気付く気配がない。
「はー……はー……ご主人様………」
「まあ待てディーヴァ。ちょっと落ち着こう?後でちゃんと相手してあげるから────ん"っ。」
「ご主人様がいけないんですからね……私だってご主人様のこと大好きなのに、サリーばっかり相手して………!!」
僕がサリーに抱っこされながら思いっきし唇を奪われた後。ディーヴァが僕の背中に分厚い腹筋を押し付けると、下乳を僕の頭に擦り付けて甘えてきた。何なら僕の腰を後ろからガッシリ掴んで、自分の股ぐらを押し付けて盛ってる。
こうなってしまえば僕はもはや為す術なんてない。身長二メートル超えの女の子に二人がかりで、全身を余すことなく貪られてるんだ。
そして各々に同時に、僕に好き勝手やってる地獄絵図に、元凶のジゼルはと言うと────
「ほらフレイ。今ソロモンに身体押し付けて、サリーの身体に押し潰しちゃってみ?この子多分マゾの素質あるから、凄い悦んでくれるよ?」
「ん"……ソロモン、身体ぎゅーってしてかわいい………♡♡♡」
「ご主人様……っ、私、ご主人様襲っちゃってる……ご主人様に許されてないのに、甘えんぼしちゃってる………!!!」
引き続き二人に余計な入れ知恵をして、二人がかりでどう僕を襲うがいいかをレクチャーしてやがる。つか誰がマゾだこんにゃろ。
おかげで僕はジゼルが見てる前でぐっしょぐしょにされたし、この日以来サリーとディーヴァは遠慮が無くなった。というか、片方が僕に手を出しているともう片方が便乗してくるようになった。独占欲は依然くそ強いままだが、この二人が仲良くなってくれて良かった────
「────なんて言うと思うなよ?二人に余計なこと吹き込みやがってこんの。」
「えー。でも良かったでしょ3P。あんながっつかれてるとはジゼルちゃんも予想外だったけど。あの娘たち凄いね。」
「………………ノーコメントで。」
サリーとディーヴァにここぞとばかりに愛欲を吐き出され、骨の髄まで貪られ尽くした後。腰と背筋が死んだ僕は、ジゼルの身体を借りながらもどうにか
一体なんのつもりであんな風に二人を僕にけしかけやがったのやら。まあ僕としては、ジゼルが二人と顔を合わせて特に揉める事も無かったから良かったんだけど。
正直ディーヴァに関しちゃ一悶着あると思ったし、サリーに至っては割とジゼルに心開いたからな。僕の甘やかし方とか人間基準で色々教えて貰えたのが良かったらしい。つくづくクソが。
そう身体を借りながらも、僕はジゼルに恨み言を吐くけども。そうすると何故か、ジゼルが僕を微笑ましそうに見つめてきた。なんだお前。
「………ううん。ゼロ、ちゃんと愛してくれる娘が居たんだなって。なんかあれ見たら、随分とキミの印象が変わっちゃった。」
「情けないもんだっただろ。こう言っちゃ何だが、堕し児の前では随分と虚勢張ってんだよ。」
「うん。……なんか初めて、キミの素の部分を見た気がする。それに……キミが人類を滅ぼしたいって、そう願った理由が分かった気がした。」
呟き、ジゼルがピタリと足を止める。僕が人類を絶滅させようとするのは憎しみでなく、今の暮らし────正確にはあの娘達を守るためだと。人類の敵になり、人類の敵を愛してしまったが故に世界を滅ぼすしか無くなったのだと。否応なく、ジゼルはあの二人を見て悟ったらしい。
僕は人でなくなってもなお幸せ者で、脅かされる幸福を守るために世界を滅ぼそうとしてる。そんな身勝手でロシアは滅び、これから全ての人類史は終わりを告げる。
当然許し難い真相だろう。それこそ僕に殺意を向けるには十分すぎる、最後のひと押しだと僕も自覚していた。だからこそジゼルをあの支部長室に招き入れた。それで少しでもジゼルが下の堕し児達と志を共にし、僕の庇護をやめてくれればそれで良しと。
けどジゼルは、僕の頭をただ優しく撫でた。そして少し身体を押し付けると、僕にそっと囁いた。
「………ゼロ。キミはやっぱり、人類の絶滅なんてやっちゃいけないよ。そんな事に時間を割くより、あの娘達を構って、愛してあげなくちゃ。」
「………………耳が痛いな。」
「あんなにキミのこと好き好きしてくれる娘を放って、やる事が世界の滅亡って。それ、あの娘達は知ってるの?」
当然だ。僕が二人のために人類を絶滅させようとしていることも、そのために堕し児相手にあれこれやってる事も。だから構って欲しいの我慢して待っててくれるし、僕のために手を貸してくれる。
………分かってる。本当は「そんな事より構って欲しい」って二人が思ってることくらい。ああやって手を出す大義名分を与えれば、二人して僕に暫く必要ないくらい愛情向けるんだから。本当はもっと相手してあげなくちゃいけないし、僕も正直ずっとイチャイチャしてたい。
けどだからこそだ。僕も一刻も早く人類を絶滅させて、何も心配せずにあの娘達と暮らせるようになりたいんだ。サリーもディーヴァも、神機使いに殺されるようなことが無いように。ただそれだけを願って、僕は人の世の終わりを謳い続けた。
「でもゼロ。………あの娘達は、きっとそんな事望んでない────っていうか、興味無いと思うよ?」
「………………そうだろうな。」
「あの娘達は、「ゼロに喜んで欲しいから」って人類への攻撃を始めた。本当はそんな事よりゼロに愛して欲しい筈なのに。」
分かってる。現にディーヴァはそのために、僕にロシア支部を差し出して壊れた。壊れて、壊れた部分を埋めるために僕に依り縋った。そして僕の言うことなら何でも聞くアラガミになり、僕を神のように崇める不健全な状態に陥った。
本当はただ愛して欲しかっただけなのに。この前のロシアだって「二人のために」と押し付けがましく、僕が人類滅亡の片棒を担がせてるに過ぎない。人類の絶滅なんて、僕が一人で夢見る空虚な願いなのだろう。
それこそそんな馬鹿な真似のためにあれこれやる時間があるなら。その時間を少しでも二人に費やしてやれば、どれだけあの娘達が喜ぶか。そんな事、僕だって分かってる。
………だが僕は知っている。神機使いはアラガミを殺せる。それでサリーは一度殺されかけた。そのせいで僕は人類の危険性を理解した。
そして僕は今回ロシアを滅ぼすことで、アラガミの危険性を世界に示した。もう全てが手遅れなんだ。世界を滅ぼすその可能性を示した以上、今さら僕らは人と共存なんて出来ない。
こうなってしまった以上、人類は決して僕らを受け入れる事は無い。どんなに精巧に人の形を真似たとて、僕らは所詮はアラガミだ。そうと知れれば殺される。そうなる前に滅ぼさなくては、またしてもサリーやディーヴァが殺される。
………ジゼル達だってそれは同じだ。下の堕し児達も、今は僕を共通の敵として睨んでいるけどさ。それは彼らが「自分が人類から見れば同じ敵」だと気付いていないせいだ。だからこそ僕を「人類の敵」なんて言える。もうとっくに人間でなんか無いくせに。
なんて、彼らに人間を辞めさせた張本人が言うのはなんか違うからさ。僕は黙ってジゼルの小言を受け入れるけど。そうすればジゼルは何かを察したかのように、続けて僕の髪を優しく撫でる。
「………大丈夫だよゼロ。この支部をちゃんと復興して、フェンリルの一部として機能したらさ。アラガミが人間の真似するなんて、誰も思いつかない筈だから。」
「そう上手く行くと、本気で思ってるのか?」
「現にキミはこのフェンリルに他の人間を招き入れられるような状態まで持ち直したじゃん?……だからキミが、あの娘達の安心して暮らせる場所を作ればいい。そうすれば人類絶滅なんて大変なこと、キミが頑張らなくても大丈夫だから。」
ジゼルが僕を抱きしめ、安心させるようにそう説く。この支部さえ「人間の場所」として建て直せば、僕は人類と表立って争う必要も無いと。そしてその時間を、サリーやディーヴァと共に過ごせると。そう耳当たりのいい言葉で誘惑する。
………正直に言って、有り得ない話では無い。ジゼルの言う通り、この支部さえ元通りに神機使いのものに戻せたのなら。そこに住まう僕ら堕し児の諸事情など、幾らでも誤魔化しが効く。幾らだってバレないように、人類の真似事は出来る。
決して非現実的な話では無い。寧ろ人類絶滅なんて荒唐無稽な夢物語よりも、よほど現実的にサリーやディーヴァを神機使いの魔の手から守れる方法だ。
そう頭の片隅にあったからこそ、僕も堕し児達の面倒は僕なりに見てきた。それにこの支部を再稼働させるべく、ジゼルと色々と頑張ってきた。
それでもなお人類を完全に滅ぼし、完全な安心を得たいと思うのなら。それは僕が臆病で、強欲なだけではないか?そんな有り得ない事への被害妄想で、世界を滅ぼす必要は本当にあるのか?
僕の真意を知った上で問い掛けるジゼルに、僕は僕で返す言葉を失う。何しろジゼルの言うことは間違ってない。そう急いで人類を絶滅させるまでもなく、僕らが直ぐに神機使いに滅ぼされることは無い。少なくとも堕し児という存在が露呈するまで、あと何年掛かるかすら分からない猶予がある。
もし僕らが神機使いに狩られるとすれば、僕らがアラガミだとバレた時だ。そしてそれまでの期間があれば、人類を絶滅させるための準備の期間は十分にある。
それならば………人類を滅ぼす準備だけ整えて、こっちの正体がバレるまでは見守ってもいいんじゃないか?そしてその間、少しでもサリーやディーヴァとイチャイチャする方がいいんじゃないか?
………少しだけ、僕も休んでいいんじゃないか?
そう、互いに心のどこかで望んでいたのだろう。
「………それもそうか。」
「ね、ゼロ。人類を絶滅させるってキミの夢、ちょっとだけ忘れてみない?心配しなくてもあの娘達はそんな危ない目に遭わないと思うから。」
「様子見くらいならまあいいよ。」
サリーやディーヴァは人間が見れば一発で「人間じゃない」って分かるから隠すけど。それで人間をこの支部に招き入れて、今の暮らしが脅かされないようなら様子は見よう。人類を滅亡させるための準備は一応しつつ。
そうすればジゼルも、僕を「人類の敵」って大義名分で殺す真似はしなくていいものな。心を痛めながらも復讐をやりきる必要も無くなるものな?そのために僕を言いくるめて、人類滅亡を先送りにさせるなんて。大した英雄だよ全く。僕が頷くとはまるで思ってなかったようだがな。
「────えっ!?ゼロ、それ本当……!?」
「確かに君の言うことも一理あるなと思っただけだ。……それに、意外と君がサリー達に親身になってくれるとは思ってなかったから。その礼も兼ねて、ね。」
「〜〜〜〜〜〜ッ!!!ありがとう……キミは本当に素直でいい子だねえ……!!」
そうやって僕が人類絶滅を少しだけ見送れば、ジゼルは感激したように僕を抱きしめて頭を撫でた。サリーもディーヴァも僕も、彼女にとっては憎しみで殺せるほどの仇敵なはずなのに。本当、凄い娘だと思うよ。人類からすればジゼルはある意味世界を救った英雄だ。
ただ、僕にとっての誤算だったのが一点。
「じゃあさゼロ?………ちょっっっとだけ、ジゼルちゃんの部屋に来てもらってもいい?」
「は?」
「その………ね?キミがフレイやサリーに滅茶苦茶にされてるの見てたら、ね?ジゼルちゃんもムラついちゃって………」
「だから責任取って?」そう宣うとジゼルは、腰が死んで身動き出来ない僕を軽々とお姫様抱っこした。
何しろジゼルは僕に「故郷と弟の仇」と「既に亡き弟の代わり」という相反する二面を見ている。そしてそこに「人類の敵」という要素が加わることで、「僕を殺すしかないのか」と苦しんでいた。
けど僕が一時的とはいえ、人類絶滅を先送りにした時点でジゼルも救われた。依然変わらず「故郷と弟の仇」という遺恨は残るものの、それ以上に僕を自分の弟の代わりと思って見ている。
そしてもう一つ。そこまで弟に固執する時点で、ジゼルが重度のブラコンなのは自明なんだけどさ。こいつなんと、その弟に手ェ出すレベルのブラコンだったようで。何ならそれで子ども出来たくらいにはそっち方面にはイカれた女なんだよ。復讐鬼のブラコン子持ちギャルとか業の煮凝りかよ。
「違うよおゼロ。ジゼルちゃんはねえ、女の子みたいな男が好きなの♡あとむっちりした身体付きの子♡♡♡」
「オッサンみてえな性癖しやがってふざけんな!!そこまでは許可してないから!!下ろして!?ね"え"!!!」
「大丈夫だよー。フレイやサリーに詰められたら「嫌なのに私に無理やり襲われた」って言えばいいから。ね?痛くないよう優しくしたげるから。」
そう僕の拒絶をものともせず、ジゼルは僕を自身の部屋へと連れ去って行った。一応弁明しておくと、僕はめっちゃ抵抗したからな?割と過去最高で抵抗したからな?
にも関わらずサリーはジゼルを敵認定したし、ディーヴァに至っては怒りでアラガミ化を引き起こしかけた。何ならそのまま二人掛かりで上書き(意味深)された。
これだけでも死ぬかと思ったが、さらに下で通常の三倍キレ散らかした堕し児達に殺されかけたのは別の話。こっちはジゼルが追い払ってくれたが、「恨みは簡単に消えないんだな」って僕は思い知ったよ。依然変わらずジゼルは、隙あらば僕の抹殺を目論んでいるらしい。
最も正直堕し児によるリンチならまだしも、死因が腹上死は僕も勘弁願いたいが。割と真面目に今までで一番死の影がチラついたぞ。
この第零接触禁忌種、