神様にされたら愛され過ぎてヤバい件について。   作:Am.

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最終更新一年前?死にたいんですか???
亀更新の度に読み返させるのも申し訳ないので大雑把な前回のあらすじを。

前回のあらすじ:サクヤさんと二人で親睦会(ミッション)行ったら新型の小型の神骸種(ミサイル搭載型コクーンメイデン)に包囲されました。全てはゼロ(ソロモン)の計画通り。

なお初見殺しは火傷程度であっさり突破された模様。
おまけにこれから殺す人達が全員優しい地獄仕様。

どうして最初からこうならなかったんですか?


04.安寧(ロビー)

 そうして突如の新型の神骸種の乱入という、前代未聞の乱入任務をサクヤさんと僕は終えた訳だが。そのあと僕がサクヤさんと共にロシア支部に戻る最中、僕はふとある異変に気付いた。

 

 

「………………ッ。ふぅ……」

「サクヤさん?なんか体調悪い?」

「ううん大丈夫……って、隠してもしょうが無いわね。」

 

 僕に気付かれた事にバツが悪そうにサクヤさんは笑うがその症状は知っている。僕としてもそれを知られたくないからわざわざあんなパンドールの別個体を用意したんだが。

 

 

「実はね?あのコクーンメイデンの変異した神骸種がミサイル撃って来たじゃない?」

「ああ。……サクヤさん、僕庇って前突っ切ったから爆風に焼かれたよね?」

「ええ。あの後からなんか全身が薄らと痛いの。……ゼロは悪くないのよ?寧ろゼロは大丈夫?どこか痛くない?」

 

 

 そう輸送車両の中サクヤさんは傷一つない僕に向かって詰め寄る。僕が首を横に振って無事を伝えれば安心したようにシートの背もたれに寄りかかったけど。

 

 さっきサクヤさんが訴えた身体の痛み。あれは僕のオラクル細胞を吸引し、体内を侵蝕される際の拒絶反応だ。僕から生まれた神骸種の細胞は同じ性質を宿す。あの赤黒いオラクル細胞は正にそれだ。

 

 人間性を学習した僕の細胞は吸引した人間を侵して強制的にアラガミ化を引き起こす。それは神機使い相手でも例外ではなく、だからこそ僕は今回のパンドールを後手で改造させた。そうしたソロモン本体の戦闘力より厄介極まりない性質を神機使い達に悟らせたくなかったから。

 

 だがそれでも元が細胞を散布する用のパンドールだったからか、多少の毒性は残ってしまうらしい。それらはゲーム風に言うなら()()()()()()()()()()()()()とでも言うべきか。マガツキュウビの殺生石*1に近い。

 

 

(………問題はその効果がいつまで残るかだが。)

「ゼロ、どうかした?……心配しなくても大丈夫だからね。ゼロは悪くないわ。それに支部に着いたらちゃんと支部長に診て貰うから。」

「……それなら支部に着くまで横になって休んで。サクヤさんが嫌じゃなきゃ、だけど。」

 

 どの道神骸種のそうした毒性を支部長に知られ、解析されるのは僕にとっても厄介だ。そう考えた僕は揺れる車内で座り直すとサクヤさんに自分の膝の上をポンポンと叩いていた。当然サクヤさんはきょとんとしてた。

 

 

 おい僕今何やった???

 

 

「………ゼロ。それは………………」

「膝枕。この輸送車揺れるし座席も硬いから。着いたら起こすから寝てて。」

『ゼロ?????』

 

 頭の中にレンの「何やってんだお前」とばかりの声が響く。違うんだこれはサクヤさんに膝枕して視線を逸らした隙にサクヤさんの体内の僕の細胞を鎮静化させるためだ。それで症状消せば「支部長に診て貰おう」ってならないし、何なら診られたところで分からない。

 

 ただ細胞の鎮静化とかアラガミの能力使う時は僕って頭上に光輪出ちゃうらしいから?それ見られないようにするためにサクヤさんに寝てもらいたいし、膝枕だったらサクヤさん目を閉じてるの確認できるから。何なら視線遮れるから。

 

 問題はこれらの僕の思惑をサクヤさんに一切漏らせないって事なんだけど。お陰で今の僕はサクヤさん視点だと距離感の詰め方バグった謎ガキな訳だけど。

 

 幸いサクヤさんも僕みたいな子供を異性と意識するような事は無かったらしい。ただ純粋で無垢な気遣いと思ったのか、案外あっさり横になると僕の膝に頭を預けてきた。

 

 

「えっと……じゃあお言葉に甘えるけど。足とか痺れちゃったら直ぐ言って?」

「大丈夫。僕の事は気にしないで。」

「………………………っ。」

『あのゼロ?????』

 

 

 そうサクヤさんが僕に膝枕すると同時。僕は半ば反射でサクヤさんのサラサラな髪を梳くように撫で、落ち着くようにと促してしまっていた。やらかしたと気付いたのは再度レンの声が響いた時だったが今さら止められない。

 

『ゼロ、女慣れしているとはいえ手癖何とかしないとヤバいですよ?今完全に無意識でしたよね???』

 

 はい。完全に無意識の手癖でした。ディーヴァを膝枕して宥める時のノリでやってました。向こうからすれば初対面同然の女性にやる事ではありません。いくらガキでも許されないことってあるだろうが。

 

 不幸中の幸いサクヤさんは割とすぐに目を閉じたまま寝息を立て始めたから良かった。僕を無事に守れたって安心感と、全身を苛む苦痛と侵蝕に対する拒絶反応で疲弊してたらしい。だからちゃんと意識が落ちてるのを確認すれば、僕は頭を撫でる掌越しにサクヤさんを侵す細胞に干渉出来た。

 

 ちなみにこの程度の能力の行使なら別に後頭部に光輪は出ませんでした。なのでこのサクヤさんの膝枕は完全に不要な行為でした。マジで僕がやらかしただけでした。何やってんだ???

 

 ただディーヴァ相手のこう言った甘やかしに僕が慣れていたせいか、割とサクヤさんは支部着くまでガチで熟睡してた。改めて寝顔見て思ったけど綺麗な人だなって思ったよ。

 

 それこそ「死なすのが惜しい」って思うくらいには。

 

 だからって殺さない理由にはならないんだけど。

 

 

 

 

 

「サクヤさん着いたよ。」

「ん……っ!?ごめんなさい!寝ちゃってたわ……」

「お気になさらず。元気になったみたいだね。」

 

 

 そして数十分後。フェンリルに帰還した事で僕が起こせば、サクヤさんは慌てて僕の膝から飛び起きた。その上で僕の顔を見ると、サクヤさんはお礼とばかりに僕の頭を撫でる。

 

 

「ありがとうねゼロ。ゼロのお陰ですっかり楽になったわ。」

「それは何より。けど後で必ず支部長に見てもらうように。あの感じ、医学も心得があるんでしょ?」

「………そうね。新種の状態異常なら大変だものね。」

 

 

 だからサクヤさんが僕の頭を撫でる手に指を重ね、念押しする形で支部長のところに向かわせる。そうすれば身体に痛みが残る状態異常をとりあえず「時間経過で治るもの」として誤認させられる。

 

 けど僕がそうしてサクヤさんに撫でられてる最中、サクヤさんは僕の顔を改めてじっと見つめていた。人間の思考は僕には分からないが大方「マセガキめ」的なこと思ってるんだろう。

 

 ……堕し児相手なら造書庫(ライブラ)で思考を読めるんだが。妙な話だが人間相手の対話にも早く慣れないとな。

 

 なんて考えながら、サクヤさんにされるがままとなってたその時である。

 

 

「ようお疲れさん。ぶっ続けで任務ご苦労様。」

「おやリンドウ。」

 

 

 僕らは同じく任務を終えて帰投したばかりと言った様子のリンドウと鉢合わせた。こっちはこっちで連続任務とは精が出るな。何をしてきたやら。

 

 

「リンドウもお疲れ様。何か任務に行ってきたの?」

「ちょっとした偵察任務だよ。少し気になることがあってな。」

「………………へえ?」

 

 

 僕が尋ねる前にサクヤさんが聞いてくれたがなるほど。偵察任務、そういうのもあるのか。

 

 確かに僕がサリー達と徘徊してた最中も時折戦闘意思の無い神機使いの気配は察知してたけども。ああいうのってサクヤさんみたいな遠距離神機持ちがやるものと思ってた。

 

 まあそこらの仔細はジゼルに後で確認するとして、だ。偵察任務って何を調べ回ってたんだ。僕は神骸種を別で使役したりはしてないんだが。

 

 

「リンドウ、何かあったの?もしかして神骸種に妙な動きでもあった?」

「いや俺の方は別件だが……その口振りだとそっちは何かあったのか?」

「こっちは突然ザイゴートの神骸種が飛来したのと、そいつがコクーンメイデンを新種の神骸種に変えたのよ。お陰で大変だったのよね、ゼロ?」

 

 

 リンドウが受注した偵察任務の仔細を探るべく尋ねてみる。ついでにサクヤさんが僕達の方で出くわした神骸種の事も共有してるがまあいいだろう。どの道シックザールにも共有する情報だ。

 

 そしてこっちの情報を先に開示したせいか。それともシンプルに信頼されてるからか。リンドウは案外あっさりと僕にまで任務の仔細を開示してきた。

 

 

「そりゃまたご苦労だったな。ただ悪いなゼロ、こっちは神骸種とかは見てないんだ。奴らが関係してるかどうかは何とも言えないんだが……」

「と、言いますと。」

「いや。さっきお前さんと出撃した時に乱入してきたヴァジュラが居ただろ?あれについてちょっと調べていたんだ。」

 

 

 確かに言われてみれば作戦区域へのアラガミの途中侵入と言うのは滅多にない。サクヤさんのフリューゲルとパンドールは完全に僕の意図だがあのヴァジュラは僕も想定してなかった。

 

 それに言われて思い出したけど確かリンドウが「手負い」とか何とか言ってたか。つまり何か別のアラガミに襲われた?それで追われて作戦区域に乱入してきたと見てるわけか。

 

 一応補足しておくとヴァジュラを襲ったのは僕の支配下の神骸種ではない。侵蝕目当ての場合はザイゴートやサリエルみたいなガス撒けるやつ使うし。これから使う戦力に傷を増やすようなやり方はしない。

 

 となると神骸種以外の別のアラガミがヴァジュラを襲撃したと。割とここらでは頂点捕喰者とも言えるヴァジュラを。

 

 

「………あいつ、なんか別のアラガミに追われてたっぽいよね。神骸種か、それとも別のアラガミか。」

「まだ何とも言いにくいが厄介な相手ってのは確かだな。この支部が大変な時期に難儀な話だが………」

「良いよ。僕としても多忙な時期だし不確定要素はできるだけ排除しておきたい。もし新種が出たら呼んで。それが何であれ喜んで手を貸すよ。」

 

 

 何しろ原種のアラガミは大体喰ったとはいえ堕天種や接触禁忌種は未捕喰の種類も多い。それこそディアウス・ピターやヴィーナスなどは出くわすのが困難な個体も多いんだ。

 

 そして先の任務を通じて僕は神機経由でもアラガミを捕喰出来ると分かった。仮に神機使いとして接敵した場合、そういう連中を捕喰出来れば僕は新たな能力を獲得できる。

 

 そうでなくともこれから神骸種を用いて第一部隊をどうにか潰そうという時期に、不確定要素はなるべく排除しておきたい。だからこそ僕は未確認アラガミの討伐任務に今の時点から積極的に手を挙げておいた。

 

 

「………気持ちは有難いがいいのか?お前さんは神骸種の相手だけでも十分過ぎるくらいに働いてるのに。」

「そうよ。それに新種のアラガミが厄介なのはさっきの任務で分かったでしょう?小型であれなんだから、大型の個体はもっと大変よ?貴方の場合は心配要らないのかもしれないけど………無理して働きすぎじゃない?」

「………………ん?」

 

 

 そうすれば意外……でも無いのかもしれないが、二人に難色を示された。そんなことある?

 

 アラガミの身体能力基準でやってるせいかな。人外に片足突っ込んでる神機使いから見ても、僕はどう見てもオーバーワークらしい。それで顔色の一つも変えないのが却って心配を煽るようだ。

 

 現に後から聞いた話によれば普通の神機使いは一日に一任務。リンドウみたいな腕利きの場合に通常任務+支部長からの特務一件と、二任務を熟す程度らしい。任務の難易度によって多少の変動はあるらしいが、僕が化け物じみて見えた理由はよく理解した。

 

 ならばもう少し上手く人間の振りをしないと怪しまれてしまうかもしれない。シックザールは既に僕がアラガミ化を超克した神機使いと認知している。

 

 けど特にリンドウはなんか勘が良さそうだからさ。余計なボロは出したくない。だからなるべく違和感のない理由で無理のない程度に食い下がる。

 

 

「そうとは言うけどさ。新型アラガミ相手なら尚のこと対処法はこの支部の人間が把握しとかないと。いつまでも皆をここに縛る訳にも行かないし。あくまで君達は一時的な支援者なんだから。」

「あー………確かにそうか。ほんとちっこいのにしっかりしてるよなあお前さん。」

「勿論僕が不在の偵察任務中に鉢合わせたら、そのまま片付けてくれると有難いけどね。もし正式な任務となったら僕も一応連れてって。そう死ぬような無茶はしないから。」

 

 

 そうリンドウ達の懸念を察した上でそれらを払拭する言葉を選んでおく。そこまですれば向こうも拒否する理由は無い。そう思ってたから。

 

 だが………

 

 

「けどそうなるとリンドウ、メンバー割りはどうする?第一部隊(うち)はちょうど四人だから、誰かに抜けて貰う事になるけど………」

「あっ。……そうか。そういう事か。」

「それにこれから俺達とゼロで行動するとなると、どのみち編成は考えねえとな。俺は今回や支部長に特務押し付けられる事もあるから、その際は抜けさせてもらうとして。」

 

 

 完全に失念していたが、そもそも神機使いって同時行動できる上限が四人て決まってたなって。んでうち来た第一部隊はちょうど四人だったなって。つまり僕も入れて組むとなると誰かあぶれるわけだ。

 

 ましてや初対面の大物狩りともなるとわざわざメンバーの厳選が必須になってくるわけで。余計なこと言ったなって気付いたのは後になってからだった。いや新型とか接触禁忌種とか捕喰出来るならめちゃくちゃしたいのは事実なんだけど。主に僕の能力強化的な意味合いで。

 

 そう、僕とリンドウが頭を悩ませていた時だった。真っ先にサクヤさんがなんか思いついたらしい。

 

 

「あっ、それならさ。ゼロが私の代わりに衛生兵すればいいんじゃない?神機も同じスナイパーだし。」

「ふむ。……そりゃまたどうして?」

「私ね、適合する神機が見つかる前はオペレーターしてたのよ。見た感じこの支部はあのジゼルって人しかオペレーターが残ってないんでしょう?私がそっち回れば複数の部隊を動かすことも出来るし適材じゃないかって。」

 

 

 ………確かにそうすれば第一部隊のオペレーターはサクヤさんに任せてジゼルの手が空く。そうなりゃ堕し児達の部隊のオペレーターをジゼルに任せ、神骸種の指揮も任せられるわけだ。僕としても都合がいい。

 

 あとは僕がサクヤさんの代わりを出来るかって話だが。リンドウはリンドウで異論が無いのか、さっきみたいに難色を示す様子もない。

 

 

「まあそうだな。うちは突撃思考の奴が二人いるからそれをゼロが見てってもんだろう。ちょうど例の()()()も控えてる訳だし、決めるのはその後でもいいんじゃないか?サクヤもそこでオペレーター試してみろよ。」

「そうね。それでゼロの手に負えるようなら任せちゃうわ。でも大変そうだと思ったら無理せず言って?」

「あの二人そんなヤバいの。」

 

 

 ソーマは突っ込みがちだし無愛想なのも想像つくけど。エリックもヤバいのか?本編だと出オチ(上だ)かましたイメージしか無いから戦闘スタイルの想像つかないけどそうか出オチかましてる時点でアウトだわ。下手すると僕が手とか下さなくても死ぬわあいつ。

 

 何にせよ衛生兵って立場も、有事の際に事故に見せ掛けて第一部隊の面々を始末するには丁度いい。ここはサクヤさんの提案に乗っかるとしよう。

 

 

 さて。そうと決まれば、だ。

 

 

「じゃあ早速だが僕はソーマとエリックの任務に行ってくる。骨は折れるそうだが頑張って────」

「待て待て待てお前。さっきの話聞いてたか???」

「休みなさいって言ってるのよ。一日四件はリンドウでも無理だから。」

 

 

 さっさと続けざまに任務を受注しに行こうとしたら二人に速攻で肩を掴まれた。何ならそのあとサクヤさんに「うちの支部長には報告入れとくから休め」って強引に支部長室に叩き返された。

 

 一応僕ここ(ロシア)の支部長なんだが???

*1
マガツキュウビ:巨大な九尾の狐のような姿をしたアラガミ。その中でも黒と赤の禍々しい風貌の特殊個体。

 

近付いた神機使いの最大体力を時間経過で削る、殺生石と呼ばれる浮遊物を生成する能力を持つ。

 

数いるアラガミの中でもぶっちぎりのクソ(諸説あり)。




なおリンドウさんとサクヤさんは既に交際中です。
サクヤさんは人妻感が異常だからね仕方ないね(暴言)
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