悪魔ほむらと取引をし、契約を結んだ俺はうずくまっていた。
取引条件としてドラえもんの秘密道具を希望したがポケットの中は何も入っておらず先程の通信で金で購入するとの事だった⋅⋅⋅⋅
じぐぢょおォォォー!!!
家にある金、全財産は30万円ズボンに入っていた自分の財布からは2千円のみ⋅⋅⋅⋅こんなんでどうしろと言うんだ。
「マスター⋅⋅⋅⋅」
自らを杖と紹するこのサポートしてくれる奇妙な生物(?)はムカイさんと言って俺の心中を察してくれている。
あーもーっ黄昏れてても仕方がない、少なくとも全くゼロって訳ではないしな。
「大丈夫だムカイさん。え⋅⋅⋅と、とにかく今ある現金で当面の活動をしなくちゃならない。秘密道具の購入がしたいんだがどうすればいい?」
「は、はい!マスター。先ずこのスマホをご覧下さい。ズロロロ」
⋅⋅⋅⋅⋅ムカイさんの口からスマホが出てきた⋅⋅⋅⋅⋅さっき四次元ポケット出した時、空中から出したのに何で口から出るんだ?唾液はついて無いみたいだが⋅⋅⋅⋅
俺は色々言いたい事はあるがそれは後にしてスマホを受け取った。スマホを見ると秘密道具通販サイトアプリが載っていた。
「そのアプリから秘密道具の一覧と値段が確認できます」
俺はアプリに指先で触れめて画面を出す。するとスマホ画面に見覚えのある秘密道具が簡単な説明文と値段を表示されていた。
俺は生活に必要な衣食住の食に関する秘密道具を検索した。
【グルメテーブルかけ】お値段⋅⋅⋅⋅
一、十、百、千、万、十万、百万⋅⋅⋅⋅500万円ー!!!???
高過ぎるだろがー!!確か自分の記憶間違いないがなければ結構安くドラえもんが小遣い貯めれば少しの無理で買えたはずだぞ!?
他の道具を見ても何とも結構なお値段だった。悪魔ほむらの言っていた道り、時空や宇宙の法則を乱しかねない道具はいくら検索しても見当たらない。条件や制限を設けるとか言っていたが値段設定が悪魔すぎる⋅⋅⋅⋅
俺は再び絶望のオーラを発した⋅⋅⋅⋅駄目だ⋅⋅⋅どうする事も出来ない⋅⋅⋅⋅
「ああ⋅⋅⋅そうだムカイさん⋅⋅⋅満月の日は今日から後どれぐらいかな⋅⋅⋅⋅⋅」
「はいマスター⋅⋅⋅後10日と9時間27分です⋅⋅⋅」
はは⋅⋅⋅マジ終わったよ⋅⋅⋅今からバイトしたとしても無駄だな⋅⋅⋅空気砲やら、ジャンボガン、熱線銃等破壊力のある秘密道具に至っては一千万円越えてるからな⋅⋅⋅⋅短いリプレイ人生だったな⋅⋅⋅⋅
せめて金属バットでも購入して魔獣とやらに対抗するか⋅⋅⋅⋅⋅?
次の満月が命日か⋅⋅⋅何処までもツイてない、運が無い⋅⋅⋅んっ⋅⋅⋅⋅?
イヤ、待てよ!確か運⋅⋅⋅月⋅⋅⋅ツキ⋅⋅⋅何か何か引っ掛かる⋅⋅⋅思い出せ!!
俺は足りない頭のスミからスミ迄必死で探索した。
そうだ!確か【ツキの月】という秘密道具があったじゃないか!俺は必死で祈る様に検索する。すると画面から映しされたツキの月に俺は密かに歓喜した⋅⋅⋅⋅が、一瞬で僅かな希望は打ち砕かれた⋅⋅⋅⋅お値段⋅⋅⋅⋅1億円⋅⋅⋅⋅⋅!!??
首でも吊るか⋅⋅⋅⋅⋅
「マスター!!画面の下の方までご覧下さい」
突然、杖のムカイさんが諦めないでと言わんばかりの語気でアドバイスしてくれた。
俺はムカイさんの言うとうり画面下の方までスライドする。すると画面からはレンタル及び試供品、一回限りで効果を弱めてあるサンプルも有ります⋅⋅⋅と表示されていた。
うっしゃあぁぁぁーー!!!
何とか首の皮一枚繋がったぞー!!
そういや原作のドラえもんでも未来デパートが無理矢理サンプルとかお試し品とか送ってたもんな!それにドラえもんの道具の大半がレンタル品だったけ⋅⋅⋅⋅
俺は息を思いっきり吐き、ムカイさんに礼を言った。
「ムカイさん、ありがとう!本当にありがとう!あんたがアドバイスしてくれなきゃ気づかずにバカみたいに時間を浪費してた何処だよ!」
「いえいえワタクシなぞに礼は不要です!ワタクシはマスターのサポートをする為に存在しておりますので⋅⋅⋅⋅」
「それでも皮一枚繋がったんだよ!これなら何とかなりそうだ!」
俺は再び希望を胸に抱いて画面を凝視する。
【ツキの月】お値段1億円
無料お試し品お一人様三回迄、持続効果時間は3分間のみ
3分間⋅⋅⋅この、道具の本来の効果時間は3時間だがお試し品なだけに効果も著しく短くしてある。でも十分だ!
早速画面の無料お試し品希望にポチっとした。するとムカイさんが⋅⋅⋅⋅
「それではお出しします。ズロロロ」
⋅⋅⋅⋅⋅⋅何で四次元ポケットを除いて口から出すんだ⋅⋅⋅⋅⋅?だが今や些細な事だ。何しろ俺の命運が掛かっているからな。
俺はムカイさんからツキの月を受け取り思わずガッツポーズをしてしまった。
そうだ生きる上で必要不可欠な食事⋅⋅⋅⋅
グルメテーブルかけのページにも目をやる。
【グルメテーブルかけ】
お値段500万円 レンタル品有り サンプルも有ります。
レンタル品、サンプル品のページに目をやるとサンプル品は三回のみの仕様。お一人様一回限り。レンタル品は1ヶ月間のレンタル契約で月、何と5万円という結構なお値段だ。
だが考えてみれば一度購入してしまえば破れたりして破損しない限りは何度でも仕様でき、世界各国の様々な料理を楽しめるのだからそう考えればかなりお得でお安いのかも⋅⋅⋅
俺は取り敢えず一回限りで三回仕様出来るサンプル品の項目タッチした。
「お出ししますね。ズロロロ」
⋅⋅⋅⋅⋅やっぱりまたムカイさんは口から秘密道具を出してくれた。
よし、当面の予定を俺はムカイさんに語った。まずツキの月。この道具は飲めば信じられない幸運が訪れる。特に普段ツイていない人間ほど効果が高くなるといったモノだ。
本来なら三時間だが試供品な為、効果は3分間のみだ。俺はツイていない人間だから効果は抜群なはず、これを利用して宝くじ売り場で飲んでクジを購入し宝くじで当てた金で諸々の活動費用を賄おうという訳だ!
とは言えそこまで信用できるかは正直五分五分だ。
何しろあの悪魔は嘘は言ってはいないが、やはり信用するのは危険すぎる。まあ、契約を希望したのは自分だから自己責任と言えばそのとうりだ。何より他に選択肢等なかったからな⋅⋅⋅⋅⋅⋅
では、宝くじを購入しに行こうか!
俺は自転車に股がり近くにあるデパートの宝くじ売り場にやって来た。
「マスター御武運を⋅⋅⋅⋅」
ああ、ありがとうムカイさん。俺はツキの月を飲み干して宝くじを購入した。クジはサッカークジを三千円分、数字選択式のクジをこれまた三千円分購入した。ここは道具の力を信じて一口だけでもよかったが、つい前世での癖で同じ様な金額で購入した。
家に戻った俺は宝くじを机の引き出しにしまい祈った⋅⋅⋅⋅いや、今さら神様に祈っても正直あれだ。前世で一周目ではどんなに祈って努力してもどうにも為らなかったんだ⋅⋅⋅⋅⋅
だから祈るのは何とも背徳的だが、あの美しいと感じてしまった漆黒の女神⋅⋅⋅悪魔ほむらに祈りを俺は捧げた⋅⋅⋅
聖職者の人から観れば理解し難い諸行だろな。だが俺はもうほむらと契約してしまった。なら、それを全うする為にも今回の件の成功を祈るしか無いだろう⋅⋅⋅?
因みにムカイさんにクジの当選発表は丁度明日との事だ。高額当選する、しないで今後の活動が著しく変化する。
今さらあれこれ考え過ぎても疲れるだけなのでひとまず食事にする事にした。
「ムカイさんは何か食べれるのかい?」
俺だけ食事するのも何だか気まずいのでムカイさんも食事できるのか一応聞いてみた。
「いえマスターワタクシは特に食事を必要とはしません。何しろサポート道具の『杖』ですので⋅⋅⋅⋅ですがもしよろしければ甘味モノを希望したいかな⋅⋅⋅と⋅⋅⋅⋅」
甘い物か⋅⋅⋅なら丁度帰りのついでにスーパーで購入したどら焼きでも出すか⋅⋅⋅
俺はテーブルにグルメテーブルかけを拡げ前祝い(願望)と称して和食御膳を注文した。すると目の前には豪華な旅館で食べる様な料理が並んだ。
俺は自分とムカイさんの分のお茶を煎れ食べ始めた。頂きます!
「うんめ~!!」
正直試供品の道具なので余り期待しないでいたのだがそれは杞憂に終わった。本当に美味しい⋅⋅⋅⋅
かつて家族と囲んで食事したテーブルは今や一人⋅⋅⋅⋅孤独と言えばそうだが実際の年齢は42歳。アラフォーだ。今さら寂しがるような歳でもない。
「う~ん!このどら焼きとても美味しいですよ!マスター♫」
ムシャムシャと実に至福と言った表情でどら焼きを頬張るムカイさんの頬っぺたには食べかすがついている。
俺は思わず苦笑した。
ドラえもんの道具って余りにチートなので本作品はこんな形の設定にしてみました。