今日は連休あけの月曜日、普通の人達には憂鬱な幕開けなのだろう。
だが俺、小林信一にとって実に念願の本当の意味での新しい1日目だ。
学校の校門前に来ると感動で身震いまでしてくる。ドキドキする鼓動を必死で抑えて自分のクラスの戸を開く。
ソコには懐かしいヤツの顔が見えた!
「あ、おはよう小林君久しぶり!」
「あ、ああ嶋田君⋅⋅⋅⋅!おはよう!超久しぶり~!!」
朝の挨拶をかわしたのは前世においていち早く友人になった嶋田仁(しまだひとし)だ。前世においてこいつと一緒なら楽しい学校生活が楽しめると思った矢先に両親揃って蒸発の憂き目に合い、連休明けを待たずして高校中退したからな⋅⋅⋅
だからこそ又、こうして会えて俺超嬉しい!!
「なに、どうしたの?たかが七日間の連休ぶりなのに大げさ過ぎないかい?」
俺にとっては実に27年ぶりなんだよ⋅⋅⋅
思わず目頭が熱くなるが、グッと堪えて辛抱した。
さて、俺の席は⋅⋅⋅何処だっけ?流石にそこまでは覚えていなかった⋅⋅⋅⋅⋅(汗)
「あ~俺の席って何処だっけ?」
「オイオイ休みボケにも程があるでしょ⋅⋅⋅そっちの扉の一番前じゃないか⋅⋅⋅」
「あっ、そっかそっか~(汗)ど忘れしちまってたわ!あんがと!」
踵を返して、教えもらった席につくと俺の隣の席に静かに佇み、読書をしている可愛らしい女子クラスメイトがやけに目についた。
ひたすら読書に没頭しているメガネを掛けたショートカットの女の子だ。
あ、ヤバい名前が思い出せない⋅⋅⋅
つーか、そもそも嶋田君以外のクラスメイトの顔と名前も正直把握していない。だって前世だと1ヶ月足らずで中退したから親交を深める以前の問題なんだよな⋅⋅⋅まあ、しょうがない⋅⋅⋅
話しをするキッカケすら掴めず何だか微妙に気まずい感じになる。まあ、向こうは読書してるから特にそんな感じにはならないが⋅⋅⋅⋅
あれこれ考えている内に先生が来て朝のホームルームが始まった⋅⋅⋅⋅
ああ⋅⋅⋅今、本当に高校生なんだな⋅⋅⋅⋅この当たり前が、普段の日常がどれだけ貴重で尊いモノなのか⋅⋅⋅このクラスでは恐らく一番身に染みているのは俺何だろうな⋅⋅⋅⋅
「それと今日は時期ハズレの転校生が来る予定だ。長い間心臓の病気で入院していたので最後の検査で遅れて2時限目に来るとの事だ。みんなで色々教えてあげるように。以上だ」
朝のホームルームが終わり、休憩時間になった。勿論嶋田君の所にいって久しぶりのフレンドトークに花を咲かせるつもりだ。
現役高校生だとそれぐらいで⋅⋅⋅と大袈裟と思われるだろうが無理やり社会人に成らざる負えなかった自分には気兼ねなく出来るフレンドトークは正に宝なのだ。
頭の中にある微かな記憶を頼りに現代の今の時代の流行りの音楽やゲームの話しをして大いに俺は楽しんだ!!
正直記憶違いの部分もあるのでかなり焦った(汗)
「そういや俺の隣の女子って名前何だっけ?」
さりげなく隣の席のメガネ文学美少女の名前を聞いた。自分でも不思議と気になったからだ。奇妙な存在感を感じる。
「小林君⋅⋅⋅休みボケが本当に酷すぎないかい?隣の席の子は長門有希さん⋅⋅⋅連休前に同じ図書委員になったじゃないか?本当に覚えてないの?」
うわ⋅⋅⋅⋅⋅全然記憶が無いぞ⋅⋅⋅⋅
「い、いや~連休中はやりかけのゲームに夢中で⋅⋅⋅⋅ははっ参ったな⋅⋅⋅⋅(棒読み)」
友人の嶋田君曰く、メガネを掛けたクールな文学美少女として既にクラスメイトの何人かが密かに想いを寄せてるらしい。
俺自身も何故かやたらと目が離せずにいた⋅⋅⋅そういや昨日、悪魔ほむらが素敵な出会いが待ってるかもとか言ってたな⋅⋅⋅嶋田君とは言うなれば再会だからもしかしてと密かにワクワクしてしまう。
やがてチャイムが鳴り2時限目が始まろうとする。確か転校生が来るとか言ってたな⋅⋅⋅この時期に転校生ってどんな人何だろう?これも素敵な出会いの内の一つ何だろうか?
先生が教室に入り、皆が席に座る。
「では転校生を紹介する。さあ入りなさい」 「はい」
静かに教室の扉が開き、聞き覚えのある声で返事をして、見覚えのある美少女が教室に入った⋅⋅⋅⋅⋅
その少女は長くツヤのある滑らで美しい黒髪を靡かせ颯爽と歩き教室の空気を変えた⋅⋅⋅⋅⋅
・・・・・・・・・・・・・・・
えっ、えっえっえっえーーー!!??
あっあっ悪魔ほむらぁ~!?
「皆さん初めまして暁美ほむらと言います。長い間心臓の病気で入院生活を送っていたので色々と教えて下さい。よろしくお願いします」
言い終わるのと同時にクールな出で立ちから人懐こい笑顔を振りまいた。
その瞬間クラスの空間が一気に色めき立つ⋅⋅⋅⋅⋅!!
「な、なんて可憐なんだ⋅⋅⋅⋅⋅」
「く、悔しいけど完敗だわ⋅⋅⋅」
「こ、こんなに美しい女性が存在するなんて⋅⋅⋅⋅」
「ふん!ナニさ⋅⋅⋅⋅⋅可愛いじゃない⋅⋅⋅⋅!」
「後でメールアドレスを聞かなければ」
「僕は長門さん一筋⋅⋅⋅⋅い、いや何でもない⋅⋅⋅⋅」
まるで教室全体が魔法に掛かったかのような熱気に包まれる⋅⋅⋅⋅⋅!
(な、何であの悪魔がここにぃ~!?スッゲー嫌な予感しかしねぇ~素敵な出会いってお前のことかい~)
先生が席を示す前にその「暁美ほむら」は俺に視線を集中し、スタスタとこちらに笑顔で近づいて来た⋅⋅⋅⋅
お、お願いほっといてくんさい!
そんな俺の願い虚しく俺の左手を両手で包み⋅⋅⋅
「キャー!小林君久しぶり~!!会いたかったわ~♥また一緒に色々頑張ろうね♥」
や、やりやがったよ、このアマ~!!
この悪魔ァァー!!
その瞬間、一気に視線が俺に集中する。まさに針のムシロだ
感覚的だが好奇心からの視線1割、残りの9割の視線は嫉妬、妬み、僻みといったモノを感じる。
胃が⋅⋅⋅胃が痛む⋅⋅⋅
俺はほんの数秒で心身共にダメージを喰らい気がつくと保健室のベッドに寝ていた。
あかん⋅⋅⋅記憶がとんでる⋅⋅⋅
「あら⋅⋅⋅気がついたのね⋅⋅⋅貴方意外と繊細というか、脆弱というか⋅⋅⋅」
ベッドの横に椅子に座ってこちらの様子に呆れて果てている悪魔⋅⋅⋅⋅「暁美ほむら」が居た。
「何で此処にいるんだ⋅⋅⋅⋅」
怨嗟を込めて言葉を捻り出した。
「貴方覚えていないのかしら?口と鼻と目から血を垂れ流して保健室に運ばれたのよ。教室は大騒ぎだったわ」
いや、教室が大騒ぎなのは半分貴女が原因だから!それにそう言う意味で言ったんじゃない!!
「そうじゃなくて何で人間の世界に⋅⋅⋅⋅しかもよりによって俺のクラスに⋅⋅⋅」
「半分は貴方の行動を間近に観察する為よ⋅⋅⋅何しろ必死で足掻いてアタフタする様子がとても面白くて気に入ったわ」
こ、この悪魔め⋅⋅⋅⋅
「⋅⋅⋅じゃ、後の半分はなに?」
「⋅⋅⋅⋅⋅貴方の隣の席にいた長門有希という女子⋅⋅⋅あの子が目的よ。接触して行動の牽制と監視の為にわざわざこのアバターでこちらに来たのよ」
えっ?どゆこと?長門有希さん⋅⋅⋅⋅パッと見た限り静かに一人で読書に没頭している文学メガネ美少女で奇妙な存在感を感じさせる。けどそれ以外は普通そうに見えたけど⋅⋅⋅⋅?
「何だってそんな事を⋅⋅⋅それにアバター?」
「アバター⋅⋅⋅⋅この身体⋅⋅⋅いえ今、目の前にいる『暁美ほむら』という存在は本体の人格と記憶と力の一部分のみを付けた仮の存在⋅⋅⋅本体と繋がっていて常に情報を共有しているわ⋅⋅⋅⋅長門有希もまた今の私同様に人間じゃないわ」
「ええっ!えと、じゃあ、何か?長門さんも悪魔!?もしくば宇宙人!?」
我ながら突拍子のない事をいってしまった⋅⋅⋅⋅
「あらっ⋅⋅⋅頭は足りないみたいだけど、なかなか良い勘してるじゃない、誉めてあげるわ。正解よ⋅⋅⋅長門有希は宇宙人⋅⋅⋅正確には情報統合思念体という肉体を持たない宇宙人達によって創られた対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース(TFEI)まあ、早い話しがアンドロイドみたいなモノよ⋅⋅⋅⋅」
まさか本当に宇宙人だったとは⋅⋅⋅まあ正確には有機アンドロイドと呼べる存在らしい。
「何だってそんなのが此処にいるんだ?」
「鈍いわね。貴方の監視に決まっているじゃない?」
「へっ!?何で俺?」
「流石にそこまでは私でも分からないわ。今、全力でムカイさんを始めとする端末達に負けじと情報収集させてる最中よ⋅⋅⋅⋅⋅後でムカイさんに聞いたら何か判るかもね」
や、やべえ⋅⋅⋅⋅どんどん話しがデカクなってきたぞ⋅⋅⋅⋅後でムカイさんにより詳しく聞こう。
「まあ、そんな訳で暫くは彼女と貴方の観察と監視で此方の世界に留まるわ⋅⋅⋅⋅」
こうして悪魔ほむらは転校生「暁美ほむら」として俺のクラスメイトとなった。
しかし長門有希さんが俺の監視とは⋅⋅⋅⋅正直向こうから話しかけられたらどうしよう⋅⋅⋅⋅無視するのもアレだしな⋅⋅⋅⋅
秘密道具で宝クジを当て、久々の学校生活にウキウキしたのもつかの間⋅⋅⋅厄介で面倒な事になった。また胃とそれに頭まで痛くなってきた⋅⋅⋅⋅