リプレイヤーは稼ぎたい   作:クリスチーネ小林

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ガチャは世知辛い

詳しい事はわからないが何やらインキュベータ?とか言うのが裏で暗躍して予定の日にちを前倒しで魔獣達の相手をしなくてはならなくなった。

 

 

「本来の予定なら魔獣との戦闘シミュレーションを何度か体験させてから魔獣に立ち向かってもらうはずだったのに⋅⋅⋅全く忌々しいわね⋅⋅⋅インキュベータ!」

 

酷くイラつき、ぼやきながら掌から黒い塊をひねり出しそれが奇妙な穴を作り出した。

 

 

「悪いけどぶっつけ本番よ⋅⋅⋅怨むならインキュベータと己の運の無さを恨むのね⋅⋅⋅詳しい事はムカイさんに訪ねなさい。私も別空間から急いで行かなきゃならないから!」

 

「おっ、オイ待てよインキュベータって何だよ?」

 

「鬱陶しい奴らよ⋅⋅⋅それじゃ、生き残ったら特別に何か望みを叶えてあげるわ⋅⋅⋅⋅最後まで足掻きなさい⋅⋅⋅!」 

 

悪魔らしからぬ事を言い捨てて黒い穴へと入り姿を消した⋅⋅⋅ 

  

 

「なあ、ムカイさん、インキュベータってどんな奴らなんだ?名前からして宇宙人っぽいけど?」 

 

「はいマスター、インキュベータとは地球外知的生命体でウサギのような姿をしており、ほむら様の天敵です!」

 

「あの悪魔の天敵⋅⋅⋅ね⋅⋅⋅」

 

正直無敵の存在に思える彼女にもそんな厄介な敵がいるとは思いもよらなかったな。

 

「マスター!!今から魔獣との決戦空間へとお連れ致します。時間に余り余裕がありませんのでお急ぎを!」

 

「ああ!わかった!ムカイさんよろしく頼むぜ!」 「はい!」

 

 

ムカイさんは例によって口から何か光を放った。そしたら人が通れそうな空間が開けた!

 

「さっ、マスター!お急ぎ下さい」

「わかった。行こう!」

 

ムカイさんを伴い空間に入るとエスカレーターみたいに移動した。

 

 

「でっ、今回はイレギュラーで日数を前倒しで初陣となる訳だが、ムカイさん俺の戦う魔獣はどんなタイプなんだ?出来れば初心者なんでお手柔らかに願いたいんだが⋅⋅⋅⋅」

 

「⋅⋅⋅⋅申し訳ありませんマスター⋅⋅⋅インキュベータの情報妨害により探索が打ち切られてしまいお伝えする情報が手に入りませんでした⋅⋅⋅⋅」

 

インキュベータ⋅⋅⋅抜け目の無い奴みたいだ。

 

まあ、でもガチャで武器やらMS(モビルスーツ)やら出してしまえば何とかなるだろ。最初に聞いた話しだと重火器で対処可能と言ってたし、ガチャの資金も秘密道具で今は豊富だ。何とかなるなる!

 

 

気楽に考えていると出口が見えてきた。そして出口から出るとそこは広い森林地帯だった⋅⋅⋅⋅

 

 

うはー!空が澄みきっていて星空が綺麗に輝いて俺は能天気に深呼吸して景色を堪能した。あれ?でも今の時間はまだ夕暮れにもなっていない筈⋅⋅⋅まあ別空間だからだな!と結論付けた。

 

 

「マスター!お早くガチャを引いて準備をなさって下さい!」

 

「おう!悪い悪い!」

 

そう答えるとムカイさんは口からスマホを出してくれた。よし!気合い入れて回すぞ!

 

 

まずは武器、弾薬のガチャからだ。一回500円とモノを考えれば非常にリーズナブルだ。よーし! パンパンッ!

 

頬を軽く叩いて気合いを入れてスマホのガチャを引いた!良いの出ろー!!

 

ガチャ!⋅⋅⋅画面に出てきたのは暁美ほむらお手製爆弾と表示されたモノだった⋅⋅⋅⋅てかっ、悪魔が自分で爆弾を自作するの?

 

まあいい⋅⋅⋅武器には違いない。よーし!一気に回すぜっ!!

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

⋅⋅⋅⋅結果を言おう⋅⋅⋅⋅100回分⋅⋅⋅⋅つまり計5万円費やして出てきたのは全てほむらお手製爆弾だけだった⋅⋅⋅⋅

 

何なのコレ?アイツもしかして作り過ぎた在庫の処分でやってるんじゃないのか!?

 

 

どちくしょおぉぉぉー!!!

 

 

丸腰よりはマシだけどよぉ⋅⋅⋅コレ本当に効果あるの?手投げタイプだから敵に向かって投げなきゃならないし。

 

俺そんなに肩に自信無いんだがなぁ⋅⋅⋅野球は投げるより打つほうが得意だし。せめて金属バットでも出てくれれば⋅⋅⋅⋅

 

 

「マスター。ほむら様のお手製の爆弾の威力はワタクシめが保証します!何しろほむら様の手作りですから!」

 

ほむらの事は今一信用できんがムカイさんがそう言うなら信じよう。でもそんな強力なら投げ損じたら危ないな⋅⋅⋅⋅

 

 

「とりあえずこの四次元ポケットに獲得したほむら様お手製爆弾を収納しておきました。ポケットを装着して何時でも使えるようになさって下さい」

 

「ああ、ありがとう、ムカイさん」 

 

俺は言われたとうりすぐ取り出せる様にポケットを腹にくっつけた。少々見た目はアレだが⋅⋅⋅⋅

 

 

はぁぁ~⋅⋅⋅⋅もう武器のガチャはここまでだ⋅⋅⋅気分を変えてMSのガチャをやろう!

 

 

ガチャの画面をMSのガチャに切り替える。画面には1万円、5万円、10万円と3つの値段のガチャが出てきた。俺はムカイさんに値段でどんなのが出て来るのか聞いた。

 

 

「はい。1万円のガチャですと悪くてボール、良くてジムとかの紙装甲の量産機及び、それらの武装。5万円で少し武器の強いMS、MA。10万円のものならば主役機やエース的機体が手に入ります!ですが5万円と10万円の確率はかなり厳しい確率設定になっております。何卒ご了承下さい」

 

 

よーし、わかった!まず残りの予算を確認だ。まず秘密道具で当てた一千万円は出来ればこのままにしておきたい。今後の生活費、学費、秘密道具(レンタル品)その他に費やさなくてはならない。

 

月のツキ。あれは本体価格1億円はとてもじゃないが手が出せない。効果時間を短くした試供品は後二回しか使えない。一回を来週また宝くじで使い、残りの一回はもしもの為にとっておきたい。

 

となると使える資金はクズ両親が残していった金⋅⋅⋅

 

宝くじ、食料品、武器ガチャ(一回500円)で使った分を差し引いて残り24万円ちょい。4万円は生活費、光熱費等に使わないとならない。

 

となると残りの使える予算は20万円となる。安いからと武器ガチャをやり過ぎた。しまったなぁ⋅⋅⋅

 

MSガチャは安いので1万円、中間が5万円、高いのが10万円⋅⋅⋅⋅あ~どう振り分けるかな~。

 

 

「なあ、ムカイさんはどう振り分けるのがベストだと思う?」

 

ムカイさんに相談するとムカイさんは⋅⋅⋅

 

「マスター!!魔獣達がやって来ます!!」

 

そう叫んだ瞬間⋅⋅⋅⋅遥か遠方の方でガラスの割れるような音と共に無数の黒い集団が来訪してきた⋅⋅⋅⋅

 

 

「な、何だよあの数⋅⋅⋅⋅それにデカイ⋅⋅⋅!?」

 

魔獣達とはかなりの距離が離れているがそれでもデカイと目視確認で認識できる。ここから見てデカイと感じるなら間近ならもっとデカイ⋅⋅⋅!!

 

それに数は30⋅⋅⋅⋅50⋅⋅⋅⋅嘘だろぉ!?まだ増えてくぞ!!

                

 

一番デカイやつの姿がハッキリと分かってきた。何と言うか生物の筈なのだが何処か無機質で感情的なものは感じられず只、ひたすら此方に真っ直ぐゆっくりと行進してくる。形は山羊のような顔立ちで頭にデカイく禍々しい2本の角があり、筋肉?なのかはわからないが隆々とした体格で足は羊のような蹄で踵がなく器用に二足歩行でやってくる。色は全体に黒く、総合的に見て正に『悪魔』(デーモン)と言うに相応しい⋅⋅⋅⋅⋅!!

 

コイツらを見たら暁美ほむらは悪魔というより堕天使と言った方が似合う。

 

 

「むっ、ムカイさん⋅⋅⋅ヤツらを本当に俺が相手しなきゃならないのか⋅⋅⋅⋅?」

 

「⋅⋅⋅⋅マスター!覚悟を決めて下さい。ワタクシめも出来うる限りのサポートをさせて頂きます⋅⋅⋅!」

 

い、いくら何でも初心者相手にアレは無いだろう?

 

だあっー!もうこうなったら20万円の内10万円を1万円のMSガチャを引いてジムを手に入れてやる!

 

俺は焦る気持ちを必死で抑えながらスマホ画面をタッチして1万円のMSガチャを10回引いた。

 

「ジム出ろジム出ろ⋅⋅⋅!!」

 

だが、結果はボールだった⋅⋅⋅⋅

半ばヤケになって残り9回のガチャを連続で回した。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

現実は何処までも非情で結果は全てボールオンリーだった⋅⋅⋅⋅

 

 

ドチクショオォォォー!!

 

 

「⋅⋅⋅⋅マスターとにかく引き当てたボールを出して置きます」

 

ムカイさんは何も無い空中から引き当てたボール計10体を取り出した⋅⋅⋅⋅(流石に口からは出さなかった)

 

目の前に並んだボール達だが、俺の記憶の片隅にある公式設定の大きさより明らかに小さい。

 

確か公式だと12.8㍍だった筈⋅⋅⋅なのに目の前にあるボールは全てが4~5㍍位しかない。

 

当然唯一の武装であるキャノン砲も本体が小さい為それに合わせて小さい⋅⋅⋅⋅

 

 

こんな貧弱なのでどうしろってんだよ!?完全にアレは丸い棺桶じゃないかっ!

 

こうなったら武器タイプの秘密道具を使ってやる!俺はスマホ画面をドラえもんの秘密道具購入画面に切り替える。

 

画面をスライドさせると劇中に出てきた【熱線銃】、【ジャンボガン】が表示される。

 

そして劇場版ではお馴染みの【ショックガン】に【空気砲】もある。本体価格は軒並み一千万円を越えている。

 

 

武器タイプの秘密道具は威力に比例して値段がべらぼうに高い。試供品も有るには有るが一回限りで、三発分のみとなっている。

 

アレだけの数相手には足りなさすぎる。だが、無いよりマシと判断して試供品を全てムカイさんに出してもらった。それをポケットにしまい、魔獣達の方に視線をやると更に増えていた⋅⋅⋅⋅⋅

 

 

俺は能天気でお気楽気分だった自分を激しく嫌悪し後悔した。

 

 

俺は魔獣と戦うと聞いてもボンヤリとゲーム感覚に捉えていた⋅⋅⋅⋅それにもし死んでもまた、ほむらにリプレイさせて貰えると心の何処かで甘く考えていたのを自覚する。そんな事して貰える保証も契約も話し合いもしてないのに⋅⋅⋅⋅⋅⋅

 

 

魔獣達の総数は確実に200体は越えている。

 

 

俺は地面にひざをついてへこたれるのだった⋅⋅⋅⋅

 

  

   

 

 

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