ファースト・オブ・バレット   作:パルバール

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第82話『早朝に備えて』

走ってエドを追いかけていた俺は膝を折りながら地面に片手をついて荒い呼吸をしていたエドを見つけた

その手には何かを抱えているが…もし上手く事を運んでいるのならその手に持ってる何か…それは

 

「魔導書か!」

 

追っかけていたゾンビ達がいない、となるとエドが魔導書を使い倒したという事だ

 

「…魔術師の才能があったのか」

 

意外と思いつつも俺はエドにちかづいていく

 

「おーい、エドー!」

「…ぇ?か、カシワザキさん!来ちゃダメです!」

「え?」

 

何を言ってるか分からないまま走ってた俺は突然段差に気づかずそのまま足を下ろしたようにガクッ!と体が前に倒れてしまった

 

「な、なんじゃこりゃ?!」

 

地面だと思ってた所は何故かヌタヌタしてて少しずつ足が埋まっていく

 

「そ、そこ底なし沼です!早く出て!」

「こんな暗い道に底なし沼でも作ったのかお前!た、助けて!足がががが!」

 

その後どうにか引っ張ってもらい沼から脱出に成功した

エドが言うにはもうゾンビ数体が埋まってるらしい…あと少して俺も土に還るところだった…

 

「…あー、なんだ…ありがと」

「い、いえ…僕がもうちょっと違う魔法使えば…」

「魔法…ねぇ…」

 

魔法使いは存在する、魔術師よりも強力な呪文を備えた魔法使いや魔法を封印してる魔法使いもいるが…日本支部にも魔法使いは少数だが在籍してる

だがエドが持ってる魔導書は魔法使いのとは違うので魔法ではないが…彼にとってはどちらでもいいだろう

 

「さて、行くぞ…少し収穫があったしな」

「あ、はい!」

 

町を出て森を歩く、時計を見るともう夜中の1時…早く寝ないと明日に…いや、今日に響くな

 

「エド、今日の朝…6時丁度に町に攻撃をしかける」

「え?」

「町にいた超人達が上手く立ち回ってくれたおかげで町人達は無事…そんでもって6時に全員で行動を起こすらしい」

 

青葉からの紙によると翔太郎、緋彩、誠は町人達が捕まってる場所に…青葉と須郷はすでに準備を終わらせ町にいる謎のローブ達を襲撃するらしい…との事をエドに噛み砕いて説明しつつ続ける

 

「俺達は町に向かい…Nを倒す」

「っ…!」

 

エドは少し驚いた表情をした、まぁあのNを見たことあるなら倒すなんて無謀だと思うだろう…だが

 

「今回、俺とカクロ…ケイトと芦川の魔力付き銃…これだけで倒そうとは流石に思わなかったが今は」

 

腕を上げ、指をエドに向ける

向けられたエドはえ?…と、いう顔をしていた

 

「エド、お前と、お前の魔導書がある…それがあれば魔術師1人…なんてことはない」

 

魔には魔を…俺達の中で1番火力がでるのはエドだろう

まだ威力は未知数だが魔術師の魔導書ならばある程度の威力は期待できる

 

「は、はい…ありがとう…ございます…」

「え?あ、う…うん…」

 

明らかに落ち込んだ雰囲気のエド、そのまま何も話さず歩いてケイト達がいる場所を目指す

 

「………カシワザキさん」

「ん?どした」

 

泥だらけで不満そうなカクロを慰めてると唐突にエドが話しかけてくる

 

「…どうしても、助けたい人がいて…でも相手は僕よりもはるか上にいる人で…それでも、相手が苦しんでるのを見たら…カシワザキさんはどうしますか?」

「…そうだな」

 

と、突然の相談で困惑顔になるのをどうにか押さえ込んで

エドの顔を見る…彼の顔は真剣だ、恐らく詳しく聞いても話さないだろう

となると、俺の意見を言って彼の背を押す一押しにしてやろう

 

「まぁとりあえず拳を握るじゃろ?」

「はい」

「そんでもって相手をぶん殴って俺を頼れ!とハッキリと言え」

「はい!……はい?」

 

なんだその、何言ってんだこの人?みたいな顔は?しょうがないだろ俺メンタリストちゃうぞ

 

「相手の気持ちなんて知ったこっちゃねぇよ、相手がどう思ってようがお前がする事は自己満足と優越感に変わりはない、そんなら自分の気持ちぶちまけて…後は相手に丸投げだよ」

 

ちょい昔に同じような事を言ったような言わなかったような…どっかのひい…なんちゃらも同じような事を悩んでいた

それと同じなんだろう

 

「け、けど…」

「けどもへったくれもない、上手い言葉選びとかできるならそうしたらいい、だがそんなの誰でもできるわけないし…そんなら建前とかんなの投げ捨てて本音喋ってみろ」

 

俺はお世辞でも誰かに救いの言葉をかけたりとか気を楽にしてあげるとか、そんな事できない

…こんな職場だからこそ必要なかもしれないけど

 

「う、うぅ…」

「まぁ俺よりケイトの方がいいと思うぞ」

「え?あ…け、ケイトさんはちょっと…」

「そうか」

 

見た感じ馬鹿っぽいんだよね、見た感じは

 

────────────────────────

 

しばらく歩きケイト達がいる洞窟へと戻った俺とエド、エドは疲れたのかすぐさま横になり寝息が聞こえてきた

疲れてたのだろう、俺は前足で顔面にテシテシと講義してくるカクロの首根っこを掴みながら川を目指す

 

「…ん、芦川とケイトか」

「はい、エドワード君はぐっすり眠ってましたよ」

「エドは男だ、あいつだけ仲間ハズレにする必要はなかったんじゃないか?」

「ま、そうなんだけどよ…せめてあまり巻き込みたくないじゃん?」

 

魔導書を手に入れたからには少なからずエイレーネーに関わりを持ってもらうことになる、だがそうだとしても深く関わらせない事ができるならそれに越したことはない

 

「ま、勝手にすりゃいいさ…そんで?この紙なんて書いてあんだい?日本語はよく分からないんだ」

「え?ケイト日本語喋れたよな?」

「喋れても書くのは無理なんさ」

「なんだそれ…まぁいい、その紙にはな…」

 

洞窟を出る前に渡しておいた紙、それを確認してもらおうと思ってた…その紙には少し細工がされている

 

「えっとな…お、ライターはあったか…こうやって炙ると」

 

紙に書いてある文字を下にして下からライターで炙る、すると何も書いてない裏側に文字が浮き出てそれを芦川が横から覗き込む

 

「…なるほど、それで…」

「巻き込みたくない、それはエドを思っての事だけどそれ以外もある」

 

裏側に書かれていた事、それはNの早朝からの一日の流れだ

どうやって、また何故こんな情報を知ってるかは知らないが最後の文には『確実に殺れる瞬間』と書かれNがいる家に入った瞬間と書いてあった

 

「喋れても文字は読めない事を利用してる、青葉は知ってて日本語で書き俺達しか読めないようにして…尚且つこの文」

 

と、表の隅に書いてある文字を見る、そこには

 

『エドワード君には教えないように』

 

と、御丁寧に書いてあった

 

「…か、柏崎さん…私…長内青葉が…その…怖くなりました」

「分かる、こいつどこまで知ってるんだ?」

 

そもそもエドがNと何かしらあったのは知ってる、エドがあのNから逃げれる訳がない

となると、裏切りか…それとも

 

「…まぁ、今回は敵じゃないから安心だが…やっぱり超人は敵に回したくないな」

 

俺達が知りえない情報、明らかにおかしい情報収集力…

あいつは自分の事を一般人と名乗ってるが、馬鹿馬鹿しい

こんな一般人がいてたまるか

 

「とりあえず、芦川はエドと町を目指しつつ他の超人の合流と補助を頼む」

「は、はい!」

「俺とケイトは…」

「分かってる、久しぶりに血が騒ぐよ!」

「程々にな」

 

超人達は派手にゾンビと謎のローブ達を蹴散らしてもらおう

俺達はいつも通り死ぬ気で敵の大将を倒すだけだ

 

「…エドは、どう動くかね」

 

俺と離れた時に何があったのか、どうやってNから逃れたのか…いくつか予想できるが本当はどうなのかは本人達しか知らないが…朝になればどうでもよくなる

 

「…どちらにせよ、悪は殺す」

 

それがエイレーネーの使命なのだから

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