ファースト・オブ・バレット   作:パルバール

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第89話『後日談』

あれから俺達は無事集まり、後処理を行った。

アメリカ支部の治療を受けたが須郷は右手が治らなかった、

これはエンに任せるしかない、そして街の事はエイレーネーアメリカ支部によって『無かった街』という事になった。

と言っても前の街から新しい街へと変わるだけになる、街の住人達は今回あった事は他言無用と誓約書を用意された。

街の子供達は1部の広い家に寝ていた、どうやらゾンビが入り込まないよう魔術を仕掛けてあったらしくその周囲は1匹たりともいなかったらしい。

そして俺達日本組は翌日にも帰国する事になった、俺や芦川は日本支部への報告、超人組は元の生活に戻る為に。

 

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 

「こうあれだよな、帰るのに見送りが3人なのって悲しい」

「私達じゃ不満か?カシワザキ」

「いや不満じゃないけどさ」

 

ジャンカルロ支部長、ケイト…そして

 

「よう、気分はどうだ?エドワード」

「………」

 

魔力を使い果たし今まで眠っていたエドワード、その3人が見送ってくれる事になった。

 

「柏崎さん…ケイトさん…それと芦川さん…ごめんなさい」

「まぁ俺としては丸く納まったし別に」

「私は良い方向に傾くと信じてたから責めはしない」

「あの私だけおまけ扱いになってるのは気の所為ですか?」

 

落ち込んでる表情で見てくるため話題を変える事に。

 

「そう言えばエド少年はこれからどうするんだ?」

「ぼ、僕は…ケイトさんの所でお手伝いをする事になりました」

「エドワードは魔術師の才能があるからね!戦力が増えて魔術の対抗役がいて一石二鳥ってやつさ!」

「……んで実際は?」

 

エドワードがケイトと芦川と話し始めたのを確認し、カルロ支部長にこっそりと聞いてみる。

 

「…魔術師を放っておけないのが大きな理由だね、どうやら今回の敵と同じ魔術を使えるらしいからウチとしても国としても…ね」

「…ま、処分しない方がいい時もある…」

「そうだね、これから彼は我がエイレーネーアメリカ支部…唯一にして初の魔術師隊員かもしれない」

「うちの支部より遅い事について一言」

「今までなら正気を疑ってたが魔術師がいるだけでも対魔術を用意できて隊員達の生存率が上がるから良かったね」

 

エドワード本人の同情とかでは無く利益の事を優先するのは支部長らしいと言うかなんと言うかといった感じであった。

 

「…エドワード、彼女に関しては…残念だったな」

「…いえ…N…彼女の魂は救われた筈です、僕はそれならそれでいいんです」

「ま!エドワードには私がいるから安心しなカシワザキ!」

「それはそういう意味なのかケイト!俺はエド少年にも負けるのか!?」

「ふっ、カシワザキは一生そのままでいるといい」

「え、あの…え?ぼ、僕はどうすれば…?」

「エドワード君は…空を眺めてればいいのでは?」

 

肩を組みニヤッと笑うケイトとそれに戸惑うエド少年を見ると多少の殺意が………ん?

 

「…あぁそうだケイト、あれの後始末しないといけなかったよな?」

「ん?そうだったなーさっさと終わらせるぞカシワザキ!」

「おう、んじゃ芦川…あいつらに少し遅れるって伝えといてくれ」

「分かりました!」

「…あとエド少年」

「はい?」

 

突然呼ばれ何だろうという顔をしてる顔を見て少し同情する、どうやらエドワードはまだ気づいてないらしい。

 

「…新しい生活に慣れるのもいいが自分の事も見直すといい、俺としてはそれしか言えないな」

「…?は、はい?」

 

そしてケイトと一緒に俺は離れにある倉庫へと向かう。

エドワードの背中からケイトを睨んでる足が半透明の少女の事にいつ気がつくのか考えながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

暗い倉庫、そこにはいくつもの呻き声がしていた。

冷たい倉庫に転がっているもの…それはローブを纏っていた者達であり若い男女であった。

彼らの唯一の共通点は『目』が赤い事でそれ以外の事はわからずじまいであった、何故なら彼らは何も喋らず…どこから来たのが6席会の者か…何も分からない。

 

「…お前ら何も喋らないって聞いたんだが声でもなくなったか?」

「………」

 

柏崎が話しかける、だが誰も喋る気配はない。

 

 

「ケイト」

「あいよ」

 

短い合図と共に、1人の男の頭部が爆発したように飛び散る。

ケイトの持つ魔銃の破壊力によって周囲にいた者達に肉片が飛び散り短い悲鳴が何ヶ所から起きる。

 

「なんだ、声が出るじゃないか…質問に答えられないなら楽にするぞ」

「…しゃ…喋れば殺さないでくれますか…?」

「おう、いいぞ」

 

耐えきれなくなったのか1人の女が喋り出そうとする、だがそれを周囲が止めようと動き口を閉ざせる。

 

「なんだなんだ?…はぁ…1日待てば何かしらの敵が来ると思ったり自爆するかなと思ってたがハズレっぽいな…ケイト」

 

また短い合図と共に銃撃が再開する、悲鳴と泣き叫ぶ声が響く。

 

「話せば殺さないって…!」

「すまないがお前達に利用価値が無くなった、捕虜にする価値も情報も無さそうだしな」

 

銃声は何度も何度も行われ…そして静かになる。

そこにあるのはもう何も言わない存在だけ。

 

「………ふぅ…ケイト」

「なんだい?」

「…正義ってなんだろ」

「そりゃ私達エイレーネーの事さ?当たり前だろう?」

「そっか…そうなんだろうな、エイレーネーに入った時点でそういう事になるだろうな…けど俺ふと考えるんだよな」

 

光がない目と目が合うが柏崎は何も思わない。

 

「俺達は本当に悪と戦ってんのかなって…な」

 

 

 

 

 

 

 

 

そして柏崎は超人達と共に日本へ帰国した。

波乱の生活は終わりそうには無い。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

皆が寝静まった夜中、人影が誰もいない場所に穴を掘り何かを埋める。

 

それはもう動かない心臓だった、誰のものか分からない。

人影は心臓を埋めると一息ついて空を眺める。

 

「…ちょっと…使い過ぎましたかね」

 

静かにそう言うと暗闇に歩き出してその姿は闇に消える。

カメラのレンズが僅かに光ながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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